●第48回全日本大学レスリング選手権 1日目
~日体大の3連覇を阻止。山学王奪還に好位置~
~8階級中5階級で決勝進出。全部勝つ!~
レスリングフリースタイル大学日本一を決める「第48回内閣総理大臣杯全日本大学レスリング選手権大会」が19日、大阪府堺市金岡公園体育館で開幕した。大会は各大学10階級中、オリンピック階級6階級と非オリンピック階級4階級の内から2階級にエントリーの計8階級で争われる。出場枠は参加大学から1階級1人の8人が出場でき、個人の成績のポイントによる大学対抗戦として争われる。1日目は各級の予備選から準決勝までが実施された。山梨学院の1日目の結果は8階級の内、5階級が準決勝に残った。内訳は61㎏級の優勝候補の榊流斗の副選手として出場した森田魁斗(2年)が快進撃を遂げ決勝進出。次に65㎏級の荻野海士(1年)、70㎏級の青柳善の輔(3年)、86㎏級五十嵐文彌(1年)が優勝筆頭の日本体育大の選手を破る金星を挙げた。さらに最重量級の125㎏級の留学生ソビィット・アビレイ(1年)も危なげなく決勝に駒を進め、大学対抗得点獲得に大きく貢献した。しかし、その一方で優勝候補の57㎏級の小野正之助(1年)が怪我の影響から本来の力を出せずに初戦敗退。昨年の世界選手権出場の佐藤匡紀(3年)が準々決勝でまさかの敗退、97㎏級の谷崎大造(3年)が軽量失敗で失格などの誤算も生じ、3連覇を狙う日体大、その後を追う山梨学院、日大との三つ巴の戦いが混沌として1日目の大会を終えた。
今回48回目を迎えた「内閣総理大臣全日本大学レスリング選手権大会」は、レスリングフリースタイルで全国大学日本一を決める学生最高峰の大会。各大学から10階級の内、8階級に1人の代表選手が出場し個人の成績によって得点が与えられ、その合計点で大学の順位を決める大学対抗戦。今回は全国31大学で争われ、大学対抗得点は、優勝12点、準優勝9点、3位6点、5位3.5点、7位2点、8位1点に振り分けられ加算される。大会は、10階級で行われ19日1日目に予備選から準決勝まで、20日2日目に敗者復活戦と決勝がそれぞれ実施される。10階級の内訳は、オリンピック階級の57㎏、65㎏級、74㎏級、86㎏級、97㎏級、125㎏級の6階級、非オリンピック階級の61㎏級、70㎏級、79㎏級、92㎏級の4階級では各大学2階級にエントリーができる。山梨学院はこれまで6回の優勝を誇るが、一昨年3位、昨年4位と優勝争いに絡めず、今大会は3年ぶりの優勝奪還をすべく実力校の名誉に懸けて大会に臨んだ。
■≪11/19 大会1日目 大阪府堺市金岡公園体育館≫ 3年ぶりの優勝を目指すー
◆57㎏級の小野正之助(1年)は2019年、2021年のインターハイ60㎏級王者。2022年度国体57㎏級を制し、優勝に近い選手として期待され出場。試合は、怪我の影響から動きに精彩なく初戦敗退した。
◆61㎏級は昨年の全日本選手権、今年の全日本学生選手権を制した榊流斗(4年)が怪我回復が遅れ欠場。代わって副選手の森田魁斗(2年)が出場。1回戦に関門の拓殖大選手を破ると、勢いに乗り相手を寄せつけない戦いぶりで決勝に進出。本来の力を見せつけた。
◆65㎏級に出場の荻野海士(1年)は2020年・2021年全国高校選抜大会連続優勝や今年の東日本学生選手権春季新人戦で優勝。さらに全日本学生選手権で3位に入るなど、この大会でも上位入る実績を持って大会に臨んだ。試合は1回戦、2回戦と順調に勝ち上がり3回戦準々決勝では後半にグレコローマンでの実績も持つ反り投げからの大技でビッグポイントを奪う実力者の片りんを見せた。決勝では優勝候補の筆頭。日体大清岡幸太郎(3年)と対戦する。
◆70㎏級の青柳善の輔(3年)は、今年の東日本学生選手権でこの大会の優勝候補の日大・渡辺慶二(3年)を破って優勝。また、U20世界選手権65㎏級で銅メダルを獲得するなど昇り調子の青柳はこの日の試合でも落ち着いた取り口から徐々に相手に圧力を掛けて仕留めて勝ち上がってきた。明日の決勝は、渡辺とのライバル同士の戦いとなる。
◆74㎏級の佐藤匡紀(3年)は昨年の世界選手権出場の実力者。当然この大会優勝の候補者として期待を受けて臨んだ。1回戦、2回戦を共にテクニカルフォール(TF)で貫録勝ちを収めると準々決勝で今年の全日本選手権で優勝している日体大高田煕(3年)と対戦した。前半から互いに組み手争いからプレッシャーを掛けあうが、佐藤が不用意に気を抜いた瞬間に一気に挑まれ大技を与えてしまった。その後は挽回を試みるが及ばず残念な準々決勝敗退となった。明日は敗者復活戦で3位を目指す。
◆86㎏級の五十嵐文彌(1年)はJOCジュニアオリンピック、東日本学生春季新人戦を制し、将来を期待され大会に抜擢された。五十嵐は2回戦から登場。緊張する初戦にフォール勝ちを収めると動きの良い動きで準々決勝もTFで勝利。準決勝では世界選手権79㎏級代表でこの階級では全日本学生選手権を制し、今大会の優勝候補筆頭に挙げられていた。五十嵐は王者を相手に先に仕掛け前半中盤にタックルからバックを奪い先制。尚も相手の圧力をものともせず得点を重ね前半を5-0とリード。後半も優位に展開するも、相手の必死の対抗に5-2で逃げ切った。勝利の瞬間、五十嵐は雄叫びを上げ喜んだ。
◆125㎏級には留学生のソヴィット・アビレイ(1年)が2回戦から出場。長身のアビレイは初戦から長い足を柔道のように足を払い相手を倒し得点を重ねる戦法で初戦は前半TF勝つと、準々決勝では開始早々、相手を倒しそのままフォール(F)に持ち込む早業で勝利。準決勝でも序盤から得点を重ねTFで余裕の勝利。頼もしい助っ人が仕事をした。
1日目が終了して準決勝までの成績は、決勝進出種目で日体大が6階級、山梨学院が5階級、日大が3階級、専大・早稲田が2階級、明大・国士館が1階級となった。3校までが明日の敗者復活戦、決勝の結果いかんでは優勝の行方が変わる混沌とした状況になった。
試合終了後、小幡邦彦監督は57㎏級と74㎏級の誤算はあったと言った中で、「65の荻野と86の五十嵐は相手が格上だったんですが勝ってくれて、五十嵐の場合は高校時代から一度も勝ったことのない相手に初めて勝って成長を感じました。他の階級の61の森田も1回戦に勝てば決勝に行けると思っていたんで、3番以内でいいと思っていたものが勝ったところは上出来ですが、どこも(大学)勝てる選手のポカがあったので、明日はうちが5階級全部しっかり勝てばチャンスがあるので接戦になるとは思うんですが気を抜かずにしっかり頑張らせたいなと思います」と3年ぶりの優勝に懸ける。
文(K.F) カメラ(平川大雪)2022.11.19