●「第11回ドリームケーキプロジェクト」ケーキ贈呈式
~山学短大・山梨中銀連携事業で子どもの夢を実現~
~入賞者は自分の絵が本物に変わり、びっくり~
山梨学院短期大学と山梨中央銀行の連携事業「ドリームケーキプロジェクト」ケーキ贈呈式が12月10日、山梨学院短期大学スイーツスタジオで行われた。今年で11回目となるプロジェクトは、山梨中央銀行が子どもたちが食べてみたいと思う「夢のケーキ」の絵を募集。山学短大食物栄養科パティシエコースの学生が実際のケーキを作ることで子どもたちに“夢が実現”する喜びを感じてもらい、さらに食育につなげることを目的に2012年から始まった。これまでに子どもたちの夢が多く寄せられ、今年も想像力豊かな約700点の作品が集まった。応募作品は学生たちによる事前審査の結果、「ドリームケーキ大賞」は北杜市の小学校4年生・鈴木虎太朗さんの作品が受賞。「山梨中央銀行賞」に忍野村の小学校1年生・後藤小夢さん、「未来のパティシエ賞」には甲斐市の幼稚園児・加藤翔大さんの3点が入賞した。贈呈式は、3年ぶりに各入賞者が一堂に揃って行われ、それぞれに記念品の「ドリームケーキ」の絵が入った盾と当日の午前中に完成したケーキがそれぞれ入賞者に手渡された。ケーキと対面した受賞者は一様に驚きの表情を見せ、目を輝かせていた。入賞した3作品と入選作30点は12月19日から28日まで山梨中央銀行本店1階ロビーで展示される。
■産学包括的連携事業―
山梨学院大学・山梨学院短期大学、山梨中央銀行は2010年7月に地域振興に貢献するために包括的業務連携協定を結んだ。その一つとして山梨学院短期大学とは2012年から子どもたちの夢を育むことを第1目的とした「ドリームケーキプロジェクト」を立ち上げ、毎回子どもたちが「食べてみたいと思うケーキ」を絵で募集。それを山梨学院短大食物栄養科パティシエコースの学生が形にする試みが好評で今回で11回目となった。当初は約300点だった応募数も年々増加し、ホームページと郵送による案内のみの募集に対し約700点の作品が集まった。
■3年ぶり、入賞者が一堂に集まりケーキ贈呈式を開催ー
午後1時30分、短期大学スイーツスタジオに入賞者及び保護者、ドリームケーキを製作したパティシエコース1年生19人、山梨中央銀行、山梨学院短期大学関係者らが集まりケーキ贈呈式が行われた。2020年、2021年度はコロナウイルス感染防止を受けて、各省入賞者を時間差で単独で行われたが、今回は3年ぶりに一堂が会しての開催となった。初めに贈呈式に先立ち主催者から挨拶があった。山梨学院短期大学・・羽畑祐吾食物栄養科長が「新型コロナウイルス感染症も3年目に突入しておりますが、山梨中央銀行様と山梨学院短期大学食物栄養科パティシエコースとの最大のコラボレーションである『ドリームケーキプロジェクト』を今年も無事開催できて大変うれしく思います。今年で11回目となり山梨中央銀行様のお力添えもあり、毎年県内のお子様たちのたくさんの思いがこちらに寄せられ、地元の短期大学として、地域への貢献を実感しているところです。今日、入賞されたお子様の思いは絵という形で我々に届けられました。そして、それらの絵にパティシエコースのお姉さんお兄さんたちの力と思いを加えて、この場で一気に現実のケーキとなります。ここ、スイーツスタジオでお子様の純粋な夢が現実のものとなる瞬間を、今年も皆様と楽しませていただくことに感謝します」と挨拶。続いて山梨中央銀行地域創生推進部・渡邊正雄部長が「今日入賞者の子どもさんに集まっていただきました。本当に今回おめでとうございます。それからこの素敵な賞を子どもたちの夢をしっかりとケーキという形で具現化してくれた山梨学院短期大学の学生の皆さん本当にありがとうございました。日頃の努力と学びを駆使して素晴らしいケーキに仕上がっていました。この後に入賞した皆さんに大変喜んでいただけると確信しています。自分たちの思い描いたケーキが形になったということで夢が叶ったと思います。考えていただいた学生の皆さんにとっても、今度は夢を叶えてあげるのではなくこの先自分たちのいろいろな夢を叶えるために、それぞれそれに新たな夢に向かって突き進んでいただきたい」と挨拶をした。次に進行を務める山梨中央銀行地方創生推進部の岡本新一山梨未来創生室長からプロジェクトの趣旨と経過が説明され、続いて表彰が行われた。
初めに「ドリームケーキプロジェクト大賞」に輝いた鈴木虎太朗さんの贈呈式が行われた。鈴木さん欠席のため、代理人の担任教諭が受賞者の鈴木さんが描いた夢のケーキ「ドリームケーキ賞・ゆめのショートケーキ」の縮小写真がはめ込まれた特製の盾が羽畑食物栄養科長から授与され、続いて製作者の学生から思いのこもった夢のケーキが披露され贈られた。代理人の担当教諭は「本日は、出席を楽しみにしていた本人は都合によりこの場を欠席していますが、本人はサッカー大好きな男の子なのでこんなケーキの絵を描くなんて思いませんでした。そしてこんな形になるなんてすごく喜ぶと思います。責任を持って渡します。作っていただいた皆さんありがとうございます」と挨拶した。その後、製作した学生の代表が「賑やかな感じが再現出来たら」と説明。続いて「未来のパティシエ賞・ハンバーガーケーキ」に輝いた幼稚園児の加藤翔大さんの表彰が行われた。同じく特製の盾とケーキが贈られた。学生の代表は「私たちはハンバーガーケーキを作りました。翔大君が描いてくれたイラストに少しでも近づけられるかどんな食材を使うか苦戦しながら作りました」と話した。翔大さんは製作した学生たちに「ありがとうございました」とはきはきとした声で挨拶を返した。次に「山梨中央銀行賞・フルーツイッパイ」では受賞者の後藤小夢さんに同じく特製盾が渡邊部長から手渡され続いて「夢のケーキ」が学生から贈られた。学生の説明は「いろいろな果物やお菓子が乗っているのをしっかり再現できるようにしました。喜んでくれるといいなと思います」と話した。各入賞者それぞれ保護者や出席者、担当の学生たちみんなで記念写真撮影を行った。最後に羽畑祐吾食物栄養科長は「入賞おめでとうございました。それからパティシエコースのお兄さん、お姉さん本当にありがとうございました」と挨拶し贈呈式が終了した。
■「夢のケーキ」の製作に取り組んだパティシエコース1年生ー
12月11日。午前8時30分に集合した食物栄養科パティシエコースの1年生19人は、午後のケーキ贈呈式に間に合わせるために「夢のケーキ」の仕上げ作業を急いでいた。1ヶ月前の11月10日、学生たちは応募のあった約700点の絵の審査を行い、入選作品30点、入賞対象となる3作品を選び出した。11月28日より入賞の3作品をチームに分かれ、役割分担や各パーツの素材選定や手配など、授業のほか放課後などを使い準備を進めてきた。「ドリームケーキ大賞」を受賞した北杜市市立長坂小学校4年の鈴木虎太朗さんの「ゆめのショートケーキ」は、6種類のショートケーキをホール状にあしらった。それぞれのショートケーキにはフルーツやクリーム、チョコレート、モンブラン、タルトなどどれもおいしさが詰まった仕上がり。担当したチームの一人、三井真衣さんは「いくつもケーキを作るのは大変だったですけど、出来てみたらたくさん作って良かったと思いました。ここまでやってきて(技術)身に付いているか不安だったんですけど、ちょっとずつですけど力がついていると実感しました」と出来栄えに自信を見せた。「高さが出てしまうチョコケーキや逆に高さが出ないタルトなどバランスを取ることに工夫をしました。自分だけでは出来ないこともみんなで協力すれば出来ることもたくさんあったし、子どもが喜んでいる姿やこれからもこのようなケーキを食べていきたいなと思えるような顔を見たい」と話した。「山梨中央銀行賞」に輝いた忍野小学校1年の後藤小夢さんの「フルーツイッパイ」は今、トレンドとなっているチョコレートをたっぷり垂らしたスポンジ生地を土台にイチゴやマスカット、オレンジ、キウイなど色とりどりのフルーツと板チョコ、クッキー、サブレ、生クリームなどで飾った。担当した飯室来楽さんは「応募してくれた子の想像通りには出来たと思いますし、その子を喜ばせてあげたいという気持ちでやっていたのでびっくりしてくれるとうれしいです。試作品をみんなで(7人)でいろいろ話し合ってアイディアを出し合って作ったのが良かったです。今回は幼い子たちのアイディアだったですけど、これからはこれをどう自分のものにしていくかを学べていけたら」と、やり終えた充実感を滲ませた。「未来のパティシエ賞」を受賞した甲斐市富士幼稚園の加藤翔大さん(5歳年長)の「ハンバーガーケーキ」は巨大なハンバーグを思わせる出来上がり。4層に積み上げた中には肉や野菜のレタス、チーズをすべてケーキ材料でアレンジ、各層の間にはシャインマスカットなどフルーツをさりげなく挟み込みトップには大胆にイチゴを配した可愛くも大胆なハンバーガーに仕上がった。チームの宇佐美紗花さんは「子どもたちがどういう思いで絵を描いたのか、どうやって作ってほしいのかを試作の時から考えて作りました。納得いく仕上がりでした。まだレシピをあまり知らないのでレタスとかチーズを表現するにはどうするか先生に聞いたりして苦労しました。(チームでの共同作業に)各部分をみんなで分担して最後に組み立てて一つの物をつくりあげたのは楽しかった」と普段あまり経験しない協同作業に充実感を滲ませた。学生たちは丁度1か月前から始動した「ドリームケーキプロジェクト」に9ヶ月間足らずの実習で学んだ技術を総動員して取り組んだ成果を、子どもたちの夢の実現に結実させた。
今年度からパティシエコースで学生に洋菓子を指導する廣瀬和代特任講師は「最初の応募作品のイラストだけではかなり無理があったんですけど、私はもう固定概念みたいのができてしまっているのですけど学生たちの創造力は、枠を超えてイメージを膨らませて作り上げたと思います。私がいない時に緊迫感を持って“自分たちでやらなくちゃ”という気持ちが生まれてグループの一体感が生まれたことが良かったと、今日見てて思いました」。学生たちの成長について、「今は何をしなければいけないか自分で気づいて人とモノづくりをする。そして自分の独創性も段々と培われて技術も上がってきています。この前に褒めたばかりなんですけれども、また、こういう機会でまた一段と伸びると思います」と成長に目を細めた。
子どもたちが描いた「食べてみたいケーキの絵」約700作品の内、入賞した3作品と入選作30点を12月19日から12月28日まで山梨中央銀行本店1階ロビーで展示する。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 一部写真(山梨学院短大提供) 2022.12.11