●第94回選抜高校野球大会 甲子園出場決定
~山梨学院高に2年ぶり5回目の吉報届く~
~先輩たちの無念の思いを背負い必勝を誓う~
3月18日から阪神甲子園球場で開幕する「第94回選抜高校野球大会」の出場が確実視されていた山梨学院高校野球部に出場決定の吉報が届けられた。出場校を決める選考委員会が1月28日、大阪市内で開かれ一般選考28校、21世紀枠3校、神宮大会枠1校の32校が決定した。山梨学院広報スタジオに特設の電話が設けられ、結果を待ちわびる学校関係者、多くの報道陣が詰めかける中、大会本部からの電話が鳴ったのは午後3時18分。吉田正校長が緊張の面持ちで電話を受け取り「喜んでお受けさせていただきます」と答えた。その後、出場決定記者会見が行われ、吉田校長、吉田健人野球部部長、吉田洸二野球部監督がそれぞれ挨拶、記者との質疑応答が行われた。記者会見終了後には、砂田野球場に場所を移し、報告を待っていた1,2年生部員に吉田校長から出場決定が伝えられた。選手たちはコロナ下の中、報道陣のカメラの前で静かなガッツポーズで喜びを表した。2年前の新型コロナウイルスの影響で中止となった先輩たちの思いを背負い大会に臨む。組み合わせ抽選会は3月4日、大会は3月18日から30日までの13日間、高校球児の熱戦が繰り広げられる。
■山梨学院の秋季関東大会の戦績
山梨学院高校は、昨年夏の県大会を終え、新しくなったメンバーで臨んだ秋季県大会で優勝し、秋季関東大会に山梨県第1代表で出場した。大会では、1回戦を千葉2位代表の拓大紅陵高相手に中盤逆転、その後打線が繋がり12-3(8回コールド)で勝利、波に乗った。続く白鷗大足利高(栃木1位)との準々決勝では毎回得点と先発榎谷礼央投手(2年)の安定した投球で完封。9-0(7回コールド)で圧勝した。準決勝では埼玉1位代表の強豪浦和学院高との対戦は、5回まで2-2と同点。そのまま延長戦に突入すると、延長10回表、先頭打者進藤天(1年)の二塁打を足掛かりに打線が爆発。打者11人で一挙7点を奪いその裏、2試合連続先発の榎谷がしっかり抑え9-2で試合を制した。決勝では茨城1位代表の明秀学園日立高に先制するもその後点の取り合いになり、7-7の同点で迎えた7回裏、明秀の攻撃。山学は二死から2点を許し、反撃できないまま7-9で惜敗。優勝は逃したものの、準優勝を飾り選抜出場が確実視された。選考委員会では、6枠の関東・東京地区から山梨学院高のほか関東大会優勝の明秀学園日立高(茨城)、木更津総合高(千葉)、浦和学院高(埼玉)4校が関東地区代表として選出され、また、東京地区から國學院久我山高、二松学舎大付属高が選ばれた。
■吉田監督、記者会見でチームの充実ぶりを語るー
2年ぶり5回目の出場決定を聞いた後の記者会見では、初めに吉田正山梨学院高校長は「関東の代表として選抜され非常に誇りに思います。このコロナ禍の中で選手たちにとって大きな自信となったと思います。甲子園で大きく輝いて欲しい」と挨拶した。続いて吉田健人野球部部長は「選抜出場が発表がされて非常に身が引き締まる思いです。このコロナ禍の中で練習時間が短くなったりいろいろなところで制限がありますが、その中でも選手たち(2年生)の1回の甲子園ですので寮生活での感染対策など万全な環境を出来る限り整えていきたい」と述べた。また、吉田洸二監督は「2年前の同じ日に非常に高揚感に溢れていました。しかし中止となって、たくさんの若者の涙を見てきましたのでまずは、今年は開催まで行ければ」と2年前の選手の無念さを思いやった。そして「野球の方はうまく調整ができれば初めて優勝に手が届く可能性のあるチームだと手応えがあります。今後どのように世の中が流れていくか分かりませんが出来る範囲で全力で毎日を送っていけたら」と大会への意欲を示した。続けて報道陣との質疑応答では、大会への意気込みについて吉田監督は「今年は今までのチームにないぐらいバランスが取れていますので初戦をうまく戦い、勢いに乗って優勝まで駆け上がれたら」と自信のほどを垣間見せた。さらに鍵になる選手は、の質問に「春は投手力、夏は打撃と表現されます。私は過去2度甲子園の決勝に出させてもらいましたが共に投手力が、非常にプロを狙える生徒と出会ってそういうことが可能でした。今回私たちのチームのエースである榎谷も秋の関東大会から短期間でまた一回り成長できましたので春は投手力である一番重要な部分がしっかりとした柱がいますので、あとは打線も今までになく1番から9番まで隙の無い生徒が揃いましたのでそういう意味で手応えがあるということで」とチームの充実ぶりに期待を寄せる。
■砂田球場で「出場決定報告式」 60人の部員が静かなガッツポーズで応える
記者会見後には、場所を野球部員60人が待つ砂田野球場に移し「出場決定報告式」が行われた。整列した部員を前に吉田正校長は「先程、選抜甲子園の出場決定の連絡を受けました。君たちはこのコロナの中、良く頑張ってくれました。関東大会でのあの素晴らしい試合のように甲子園に行ってもぜひ県民に明るい話題を一回でも多く届けられるように頑張ってきてください」と激励。「選抜出場おめでとう」の掛け声に選手たちは、静かにガッツポーズして激励に応えた。報道陣の写真撮影に応えた後、相澤秀光主将(2年)は「自分たちはこの冬選抜優勝を目標に練習してきました。今、ピッチャーは順調に来ているんですけれど、その分野手はもう少し力を付けて甲子園に臨みたいので調整しています」と現在の状況を話した。そして「2020年の中止があった中で自分たちは選抜に選ばれたので自覚を持って行動し、優勝目指して頑張ります」と先輩たちの思いを込めた。関東大会で2試合に完投し、吉田監督の期待も大きい榎谷礼央投手(2年)は「野球はピッチャーが一番大事だと思っているので今までの2ヶ月、残り2ヶ月しっかり調整していきたい。自分の目標としては甲子園優勝投手というのを目標にやっているのでそれに合ったような練習をしています。関東大会では浦和学院戦が一番良いピッチングだと思っているのでそれ以上の結果を甲子園で出せるよう、重み(チームを背負う)はあるんですけど、それを力に変えて優勝を目指して頑張りたい」と意気込みを語った。どんなコースでも打ちこなし高出塁率で存在感を発揮する鈴木斗偉選手(2年)は「リードオフマンとして、自分が塁に出る、出ないでチームの形勢が大きく変わるのでなるべく多く出塁して後ろのバッターにいい形で回せればといつも打席に入っています。ここから選抜の時までの勝負だと思うので選手ひとり一人が大会を見据えて実戦形式などでしっかりしたプレーができるように頑張っていきたい」と2か月後の大会に思いを馳せた。1年生ながらチームの主軸を担う高橋海翔選手(1年)は「最高の舞台で野球をやらせてもらえるので楽しんで自分の持ち味である勝負強いバッティングでチームの勝利を掴めるように頑張ります。プレッシャーは無い」と力強いコメントを残した。
■初戦までに実戦感覚を取り戻す。それが勝利への重要課題ー
吉田監督は、記者会見の中で開幕までのチームの強化について、「いかに初戦に野球感を戻せるかということが一番重要になってきます。今年は特別に3月5日からオープン戦が解禁になりますのでそこから何試合できるかが、コロナ感染症の問題もあるのでそこが全てというぐらい春は、野球感を戻せるかが大きなウエイト」と実戦感覚の再構築を挙げた。
いよいよ目標が定まった。選抜甲子園大会に向けて本格的に始動する。今だにコロナ感染が広がる中、2度と選手たちの夢の舞台を壊さないため、コロナへの万全な対策強化と早い終息を願うばかりである。
第94回選抜高校野球大会組み合わせ抽選会は3月4日。大会は3月18日から3月30日まで13日間(休養日を含む)にわたり阪神甲子園球場で熱戦が繰り広げられる。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2022.1.29