●山学大 「International Music Fair」 第1弾開催!
~甲府市ふるさと応援寄附金で音楽による国際交流促進~
~和・中・洋、世界の音色が共演。コロナ禍に元気を~
山梨学院大学国際交流センターは2月4日、「インターナショナル・ミュージック・フェア」をメモリアルホールで開催した。国際的に活躍する一流音楽家たちを招いて行ったこのイベントは甲府市と山梨学院大学との包括的連携協定に基づく甲府市ふるさと応援寄附金事業の一環で国際交流促進を目的に実施された。開催に当たっては、コロナ感染拡大を考慮し感染防止対策を万全に期した上で参加者を300人に限定。オンラインでも配信した。開演前に主催者の山梨学院大学国際担当・秋田辰巳学長代理は「コロナの厳しい中、このイベントを何とか開催することが出来ました。また、甲府市にはふるさと応援寄附金という形で日頃から本学の国際交流企画を支えていただいております。御礼申し上げます」と挨拶。演奏は、大月市を拠点にボランティアや国際文化交流と積極的な活動を展開する和太鼓集団「紅富士太鼓」、二胡の本場中国で話題となり活動の場を国内外に広げる二胡と歌のユニット「アカラ」、ヴァイオリンとピアノでタンゴを中心に世界の数多くの演奏家と共演する「TANGO Duo」の3組が登場。和・中・洋の楽器の共演による世界の音色がメモリアルホールに響きわたり観客は、しばしコロナ禍の疲れを忘れる至福の時を過ごしていた。
■甲府市ふるさと応援寄附金事業とはー
甲府市は海外の活力を積極的に活用し、多様な文化が息づく「甲府のまち」を創造している。その中で国際感覚豊かな人材を育み、さらなる発展を確かなものにするため、ふるさと納税制度を活用した補助金制度を構築した。「甲府市ふるさと応援寄附金」事業は、2018年1月31日に締結した甲府市と山梨学院大との包括連携協定に基づいた一環として山梨学院大における留学生の受け入れなどを支援することで甲府市の国際交流を推進することを目的としている。甲府市はこの「ふるさと応援寄附金」を国際交流推進事業費として本学に補助し、本学は市民参加型の国際交流イベントの開催や現在、世界約40の国・地域約450人が在籍する留学生への奨学金に充てるなど最大限活用している。これからも市民の皆さんと本学の留学生が直接触れ合い、異文化交流や異文化理解を深める機会を設けることによって、山梨県及び甲府市とともに更なる国際化に貢献するとしている。
■初の「インターナショナル・ミュージック・フェア」開催にあたりー
2月4日開演前、会場の山梨学院メモリアルホールで山梨学院大学国際交流センター・村上昂副主幹に話を聞いた。「今回は『インターナショナル・ミュージック・フェア』の第1弾として企画しました。これから毎年さまざまな国の音楽を取り入れる予定です。今回、特に中国の二胡とかは、日本人ではあまり聞く音色ではないのでこういうものを取り入れたり、逆に日本の和太鼓も外国人の留学生たちはほとんど見たこともないので今回は、和・中・洋というコンセプトで行いました。音楽もスポーツも本当に言葉が通じなくても心が通じます。目で感じ、耳で感じて異文化を身近に感じられるもので、さまざまな国の音楽に触れて音楽を通じて国際交流が出来ればと思います」と企画意図を話した。
午後6時、開演に先立ち山梨学院大学国際担当・秋田辰巳学長代理は「本日の開催に向けてご参加いただいた皆様、甲府市を初めご理解と協力をいただいた方々にまずもって感謝を申し上げたいと思います。中国の『礼記』という書物に『楽は徳の華なり』と書いています。人は生まれつき美徳を持っていてそれが外に表れたのが音楽であるという意味だそうです。その一方で日本の作曲家・新実徳英先生は『良い音楽には人を良い方向に向かわせるエネルギーがある』と仰っています。それでは皆さんひとり一人が今日のこの時間を過ごすことによってより良い方向に向かうように期待しながら人間の美徳である美しい音楽を楽しんでいただきたいと思います。それでは始めたいと思います」と挨拶した。
コンサートは、新型コロナウイルスの変異株オミクロンが山梨県でも拡大する中、開催にあたり開演前に演奏者、スタッフ、大学関係者、参加者全員が抗原検査を受けるなど徹底した感染防止対策を講じた。
■和・中・洋おもむきの異なる音色を楽しむー
第1部「紅(あか)富士太鼓」は、大月市を拠点に活動。これまでにネパールやアメリカ、フランス、オーストラリア、台湾など和太鼓による海外での国際文化交流も広く行い、直径4m80cmの大太鼓はギネスに登録されたことでも話題になった。ボランティア活動にも積極的に参加、国内外での認知度は高い。この日は若手各4人の男女奏者8人により3曲を演奏。繊細さと迫力ある一糸乱れぬバチさばきで会場を盛り上げた。3曲目の「猿橋(邦題)」は名勝猿橋をテーマに風景、歴史などを曲に反映した10分を超える大作を披露。トップバッターとして日本を代表する和太鼓演奏の存在感を示した。
第2部の二胡と歌のユニット「アカラ」は、男女の奏者の『ツイン二胡と歌』の独自スタイルで本場中国でも話題となり、上海公演では3年連続の公演を開催、好評を博した。その後も活動の場を国内外に広げ、ジャンルを超えた音世界で活躍している。この日はピアノ伴奏を加え、1曲目の名曲「蘇州夜曲」で二胡独特の哀愁ある音色で聴衆を引き付けると中国曲やオリジナル曲、「異邦人」「雪の華」のJポップでは二胡と歌、ソロ演奏で糸を引くような音色がどこか物悲しく情感あふれる世界に聴くものを引き込んだ。
第3部「TANGO Duo」はアメリカのタンゴフェスティバルで出会い結成したヴァイオリンの唐津留すみれさんのヴァイオリンと小林萌里さんのピアノのディオ。唐津留さんは、小中高まで公立校に通い、ハーバード大に現役合格し首席卒業。ジュリアード音楽院修士課程に進学、卒業と華々しい経歴を持ち、バイオリストとしても世界的チェリストのヨーヨー・マとの共演など話題に事欠かない。小林さんは数々のコンクールで入賞、海外での現地演奏家と複数のコンサートに出演する小林萌里さん。この日最後のステージは二人によるタンゴの世界が醸し出された。伝統的な曲やクラッシック、ジャズの要素を取り入れたタンゴの革命児と言われるピアソラの曲など8曲を叙情的、旋律的に、時に優美に演奏した。曲間には二人はアメリカでのタンゴとの出会いやアルゼンチンと山梨がワインの産地との共通点、タンゴとワインの相性を話題に参加者を喜ばせた。
コンサート終了後、再び閉会の挨拶に立った山梨学院大国際担当・秋田学長代理は「皆さんいかがでしたか。楽しんでいただけたでしょうか。日・中・洋の3つの音楽の要素ということでご紹介させていただき楽しい音楽をたくさん聴けたと思います。先程開会の挨拶で日本と中国の話をしたのですが洋の話をしていませんでした。一つだけ紹介したいと思います。古代ギリシャのプラトンが言ったそうですが『音楽は万物に魂を、心に翼を、想像力に飛躍を、そしてあらゆるものに命を授ける』ということだそうです。山梨学院大学では全学的国際化ということでさまざまな国際交流企画を実施しています。厳しい時代だからこそこれからも音楽で心豊かに過ごしたいものです。オンラインでご覧の皆様は次回ぜひこの会場でお会いできることを願っております」と結んだ。
3組のコンサートは休憩を挟んでたっぷり2時間余り。参加者は一流の演奏家が醸成した豊かな時に身を委ね、おもむきが異なる音楽を堪能した。第2弾が期待される。
文(K.F) 写真(平川大雪) 2022.2.5