山梨学院広報課

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●山学大でRHEP(難民高等教育プログラム)協定書調印式
~日本在住の難民へ学ぶ意欲の機会を提供~
~本学学生の意識改革にも効果を期待~

山梨学院大学で3月17日、「RHEP(難民高等教育プログラム)」の協定書調印式が山梨学院広報スタジオで行われた。これは社会経済的な理由から日本の大学に通い学ぶことが困難な日本在住の難民の人たちのための奨学金制度でUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)駐日事務所と国連UNHCR協会が推薦する難民者を協力する大学が受け入れ、質の高い高等教育を提供するプログラム。これまでに12の大学が参加。本学は13大学目で2023年度から受け入れを実施する。調印式は初めに山梨学院大学・青山貴子副学長が協定締結に至る経緯を説明。続いてカレン・ファルカスUNHCR駐日事務所代表、国連UNHCR協会・川合雅幸事務局長、山梨学院大学・古屋光司学長が3部の協定締結書に署名した。それぞれの挨拶の中で古屋光司学長は「(本学)学生が難民の学生と共に学習することで自分が知らなかった難民が起きる背景を知るきっかけができるというのが非常に大きい。山梨学院大学としてできる範囲の支援をしていきたい。今回貴重な機会をいただきありがとうございます」と述べた。全学的国際化を推進する本学は、難民の学ぶ意欲を支えるとともに、学内での人権や難民を始めとする国際問題への理解・関心の促進、多様性の尊重、国際社会において平和の構築や社会の発展に寄与する人材の育成など様々な面での教育効果を期待する。

■RHEP(難民高等教育プログラム)とはー
世界の若者の約37%が高等教育を受けられているのに対して難民はわずかに3%にすぎない。日本に暮らす難民の人たちも大学に通い学び続けることは簡単ではなく、そこでUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)駐日事務所が2007年にRHEP(難民高等教育プログラム)を立ち上げた。このプログラムは社会経済的な理由で大学への進学を諦めている。高等教育を受けていないため雇用機会が限られるなど、将来に不安を抱える難民の人々が教育を受ける機会を確保するため、奨学金を受けながら日本の大学に就学できるように支援するプログラムである。(UNHCRのHPより) UNHCR駐日事務所とNPO法人国連UNHCR協会が運営している。このプログラムを実施しているパートナー大学は現在12校。入学金・授業料は全額免除するなど就学者を支えている。
※パートナー大学は、関西学院大学、明治大学、津田塾大学、創価大学、上智大学、明治学院大学、聖心女子大学、関西大学、広島市立大学、早稲田大学(大学院)、帝京大学、天理大学。2023年4月より山梨学院大学が受け入れを開始する。

■RHEP(難民高等教育プログラム)協定書調印式
13番目のパートナー大学として調印式に臨んだ山梨学院大学から古屋光司学長、青山貴子副学長(教育研究担当)が出席。UNHCR駐日事務所からカレン・ファルカス駐日代表、葛西怜氏、NPO法人国連UNHCR協会から川合雅幸事務局長、天沼耕平氏が出席した。初めに司会者の出席者紹介後、青山貴子副学長がRHEPプログラム概要と協定締結に至る経緯説明。「今回、山梨学院大学が難民高等プログラムに参加することで受け入れる学生への支援のみならず学内での国際共修が一層促進し、全学的国際化(ダイバーシティ&インクルージョン=個々の違いを受け止め、認め合うこと)の風土が浸透していくことが期待されます。意欲ある難民の若者の未来を支え、ひとり一人の多様性を認める大学の風土を醸成し、ひいては個々の能力を最大限に発揮できる社会へとつながって欲しい。今回の協定締結にはそうした願いが込められています」と協定締結の意義を述べた。続いて三者による署名調印がなされ、UNHCR駐日事務所、国連UNHCR協会、山梨学院大学の協力プログラムの協定が締結された。本協定の有効期間は、2022年3月17日の協定締結日から2028年3月31日までとされる。

■締結事項(協定内容)
➀:2023年4月から毎年最大2人のUNHCR駐日事務所及び国連UNHCR協会が推薦した難民を山梨学院大学は正規学生として受け入れを開始する。
②:山梨学院大学は本協定による推薦者の入学検定料及び入学者の入学金・授業料等を全額免除する。
③:山梨学院大学は当該学生の学業生活に要する費用の一部相当額を毎月の修学助成金として支給する。

■協定締結後の挨拶ー
初めにUNHCRカレン・ファルカス駐日代表は「難民の背景になっている人が日本語で勉強することが時には不利になり、それを鑑みた時にここでは日本語のプログラムに加えて英語でプログラムを受けられるというのは非常に役に立ちます。法学部、スポーツ科学部(入学)の予定ですけれどもどちらも身近かに関係するもので大変にありがたく思っています。山梨学院が掲げているダイバーシティ&インクルージョンという思想に関連してこのRHEPに参加すること自体が一つの大きなジェスチャーであると捉えています。(中略)今、紛争が起きていますがそういった争いではなくて外交であったり対話を通じて互いに理解し合える世界になっていくと良いなということでこのRHEPに山梨学院が参加していただいたことに大変感謝をいたします」と述べた。
国連UNHCR協会の川合雅幸事務局長は協会の創設や難民問題の広報・啓発活動などの経緯を説明後、ウクライナ問題に触れ、「かなりこの問題については身近に感じていると思います。世界的に日本での支援というのは多くはないかもしれませんが、それは日本での難民支援に対する意識が低いのではなく普段難民問題というものが目に触れないので支援する気持ちが起こってこないというのが大きな要因だと思います。ウクライナ問題では企業などや個人からも支援をいただき感謝をしておりますし、みなさんが身近な問題として感じ取るということで支援の輪が広がっていると実感しています。難民雇用をしている企業は日本人の社員にも良い影響を与えて会社全体にも大きな影響を持っていると聞きます。今回、山梨学院大学が難民の学生を受け入れてくれるということで山梨の地に難民の学生を中心にこのムーブメントを広げていくことができればと考えております」と述べた。
最後に古屋光司学長は「(本学)学生が難民の学生と共に学習することで自分が知らなかった難民が起きる背景を知るきっかけができるというのが非常に大きい。日常生活を送る中、世界各地で起こっている紛争を背景とする難民や環境問題からくる難民のことを知る機会が少なく、関心が起きにくいということが挙げられます。まずはそこで起きている現実から目を背けない。次に何が起きるかということを考えていれば、自分の生活の中で何か間接的に繋がるようなことが起こせるのではないかと思っています。大学としてはさまざまな法律の知識とか、ビジネスの知識とか知識をつけることも非常に重要ですけれども、その学生の生きてきた背景でいろんな人たちと新しいことを知り、今自分は何に関心を持って何をして社会に貢献したいかを気付くきっかけが増えるというダイバーシティ(多様性)キャンパスを作ることによって学生の成長が促進されるキャンパスに変わり、より良くなっていくと思います。今回貴重な機会をいただきありがとうございます」とプログラムによる変化に期待する。挨拶後、報道陣との質疑応答、最後に記念撮影を行い閉会となった。

全学的国際化(ダイバーシティ&インクルージング)を推進する本学は、2023年4月からRHEPプログラム受け入れを開始する。高等教育の機会を提供することにより難民の学ぶ意欲を支えることは基より、学内での人権や難民を始めとする国際問題への理解・関心の促進、多様性の尊重、国際社会において平和の構築や社会の発展に寄与する人材の育成など様々な面での教育効果が期待される。

文(K.F) カメラ(平川大雪) 2022.3.18