●【関甲新学生野球春季1部リーグ開幕 】
~山学大、宿敵新潟医療福祉大に初戦勝利~
~大黒柱星野の粘投が光る。全試合勝利を目指す~
2022年度「関甲新学生野球春季1部リーグ戦」が4月9日、開幕した。山梨学院大の開幕初戦は松本大と対戦が予定されていたが延期され、10日2戦目、新潟医療福祉大との対戦が実質の開幕戦となった。今季から関甲新学生野球1部リーグ戦は8大学から10大学に増え、1試合総当たりの勝率制でリーグを戦う。昨季は春・秋とも4位に終わった山梨学院大は、一戦必勝を掲げ優勝を目指す。試合は、実力伯仲の新潟医療福祉大が先攻。山梨学院は威力ある最速146キロの直球が持ち味の星野健太がマウンドに上がった。星野は4回表まで安打2本、無失点に抑え味方の援護を待った。山梨学院打線は相手投手に抑えられるも4回裏、先頭打者が内野の失策で塁に出ると、安打と犠打で二・三塁に走者を進め、5番・好田凌の犠飛で効率よく1点を先制。5回表、新潟医療も二塁打と敵時打で同点に追いついた。その後、山梨学院は6回裏に犠飛で1点を加え、再びリード。さらに7回裏、2本の安打と1番山口晃の右翼フェンス越えの3点本塁打で5-1と突き放した。先発の星野は走者を出しながらも粘りの好投を続けたが8回表、二死から3連打を浴び1点を失った。9回表、マウンドを譲った中沢紘基が三者凡退に抑え5-2で初戦を制し、幸先の良いスタートを切った。
山梨学院大が所属する関甲新学生野球連盟の創立は1993年、今年で30年の節目となる。
これまで3回運営方式が変更され、今回4回目で今季から編成を8大学から10大学に増やし、1試合総当たりの勝率制でのリーグ制を実施することとなった。1部リーグは上武大、白鷗大、新潟医療福祉大、山梨学院大、平成国際大、松本大、常磐大、関東学園大の8大学に作新学院大(秋季リーグ2部1位)、新潟大(2部2位)の2大学が加わった。それに伴い2部リーグを9大学に編成を変更、1部リーグの最下位になったチームは2部リーグの1位チームとの入替戦を実施する。
山梨学院大の関甲新学生野球の成績は、1993年創立と同時に参戦。以来、2000年までは1部、2部を行き来を繰り返すも2001年に1部定着。これまでに3位を12回、2006年秋季、2011年秋季、2012年春・秋季、2013年春季の4季連続を含む5回の準優勝、2014年春季リーグに念願の初優勝を飾った。しかし、2019年秋季の3位を最後に上位進出を逃し、昨年の春・秋リーグはともに4位と優勝争いに絡めなかった。
最近では上武大、白鷗大が優勝を分け合う2強が続いているが、今年は山梨学院が何としてもこの牙城を崩したいところだ。
■コロナ感染防止により、奇しくも新潟医療福祉大と3季連続初戦対決ー
4月9日開幕の大会1日目に松本大学との対戦が予定されていたが、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため延期措置がとられた。延期試合は4月30日、山梨学院大学野球場で実施される。10日大会2日目、山梨学院大にとって実質の開幕戦になった。山梨学院の初戦は奇しくも、昨年、春・秋季大会と同じく新潟医療福祉大学との対戦となった。試合は十分な感染対策の下、有観客で行われた。
■試合前の須田監督インタビュー
試合前、須田喜照監督は「昨年は4年生中心のチームだったのが今年はメンバーも顔ぶれもガラッと変わり、いい意味では楽しみですがリーグ戦経験のほとんどない選手なので少し不安があります。そこはピッチャーの星野が4年生なので彼を中心にしっかり戦いたい。星野がしっかり投げてくれれば十分優勝も狙える」とエースに全幅の信頼を寄せる。また、「関甲新1部のエース級ピッチャーはどこもいいので簡単には点を取れないのでバントや機動力をうまく使い、星野が3点以内に抑えて勝つというのが理想」。初戦の新潟医療福祉大戦は「力があるチームで簡単には勝たしてくれない。でも勝たないと優勝できないので、粘り強く最後は1点でも勝っていればいいので余計なミスをせず、他のチームも力があるのでリーグ戦なんですけれど一戦一戦、トーナメントのつもりで戦って行かないといけない」と気を引き締めた。今年、山梨学院大野球部が掲げるテーマは「一戦必勝」。大黒柱のエース星野健太投手(4年)と下級生中心の若いチームが「つなぐ野球」で大事な初戦の勝利を目指す。
■試合経過 ❖安打が出ずも、少ない好機に得点―
試合会場の上武大学野球場の空は雲一つなく晴れあがった。午前10時、新潟医療福祉大の先攻で始まった。経験豊富な先発の星野は、チームの浮沈の重責を担いマウンドに上がった。星野は期待通り4回まで走者を出すが要所をしっかり締めた。山梨学院の攻撃は2回裏一死後、2つの四球と捕手の暴投が絡み得た走者三塁・一塁の得点好機に7番・辻真一郎(3年)が二塁ゴロ併殺打で先制点を逸した。4回裏、先頭の2番・宮崎一樹(3年)が相手二塁手の失策、続く3番・丹羽淳平(3年)の中前へのチーム初安打で無死二塁・一塁。続く4番DH・山﨑鉄也(3年)の犠打で走者を進めると、5番・好田凌(3年)の左犠飛で先制点を挙げた。5回表の攻撃、新潟医療福祉大は一死後、8番打者が右翼線へエンタイトルの二塁打。続く打者は手堅く犠打で走者は三塁へ進んだ。次の1番打者が星野の初球を中前適時打を放ち1-1の同点とした。星野は6回表、先頭打者に初球を狙われ中前打、一死後には左前打で二塁・一塁。続く打者の犠飛で二死三塁・一塁の逆転のピンチに、次打者を一塁ファールフライに打ち取り事なき得た。星野健太投手は「今日は真っすぐが行ってなかったので変化球を多くして真っすぐを見せ球にした」と工夫の投球で凌いだ。攻撃陣は6回裏、四球と相手バッテリーの失策で走者二死三塁・二塁で4番・山﨑の右犠飛で2点目を挙げ再びリードしたが、ここまで1安打で厳しい戦いが続く。
■後半、粘りの星野の投球に打線が応えた。山口貴重な一発ー
疲れが見えてきた星野に、突き放したい打線は7回裏、新潟医療福祉3人目の投手を攻略。先頭打者の6番・豊島輝一(3年)がチーム2本目の中前打で出塁。二死後、9番・日川光星(3年)が右前打で走者二塁・一塁に1番・山口晃(2年)が3球目を打った瞬間分かる右翼フェンス越えの3ラン本塁打で5-2とリードした。走者は出すものの、要所を抑えられてきた新潟医療福祉打線も8回表、星野を攻め立てた。二死後、3連打で1点を返され、なおもピンチが続いた星野は次打者を気力の投球で空振りの三振で切った。9回表、山梨学院は星野を継投した中沢紘基(4年)が三者凡退で打ち取り大事な初戦を手にした。
■《4月10日(日) 10時試合開始 群馬県伊勢崎市・上武大学野球場》
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 合計 | |
新潟医療福祉大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 2 |
山梨学院大 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 3 | 0 | × | 5 |
山梨学院大 バッテリー:(投手)星野健太⇒中沢紘基(4年)
(捕手)岩崎瞭(2年)⇒高岡宗摩(2年)
〔投手〕星野(勝利投手):投球回数8回、投球数105、打者34、被安打10、四球1、
三振3、失点2・自責点2
中沢:投球回数1回、投球数13球、打者3,被安打0、四球0,三振1
〔打撃〕安打4、四球7、三振7
〔交代〕辻真一郎(三)⇒H(三)安川快飛(3年)、山崎鉄也⇒H原田力輝(2年)、
岩崎(捕)⇒H海辺眺(3年)⇒高岡宗摩(捕)
■試合後のインタビュー
試合後、須田喜照監督は初戦勝利に「星野が粘り強く投げてくれた結果です」と安堵の表情。打線について「そんなに打てないと予想はしていたんですけど、ちょっと打てなさ過ぎ」と苦笑い。「経験のない選手が多い中で、今日、初めてリーグ戦の雰囲気とあり、経験したことで来週あたりからまた違う気持ちで臨めると思うので打撃の方も少しずつ上向いてきてくれればいいですけれども」と今日の弾みをこれからの試合にと、期待を込めた。茅野仁英主将は「初戦取れたことはチームとしても大きく、それに今日は星野が最少失点で粘ってくれたので次につなげていけると思います」。「冬から新チームが始まって春、優勝するとやってきたので全勝で優勝して神宮大会に出場したいと思っています」と意気込んだ。試合を決める本塁打を打った山口晃選手は「ピッチャーがいいピッチングをしていたのでチャンスで何とか点が欲しいと思い、振り抜きました。インコースのカーブでした。一番気持ち良かったです。この勢いで勝ち進んでいきたい」と喜んだ。初戦の重責を果たした星野健太投手は「何とか勝てて良かったです。ホームランで4点差になったので気持ち的に楽になり、山口に感謝しています。自分の良い時に比べたら悪い方だと思います。開幕試合なので何とか抑えて勝たなきゃいけないという気持ちがありました」と経験豊富ながらも開幕戦に力みがあった。これからの試合について、「下級生が多いので自分がしっかりプレーで引っ張り、持ち味の真っすぐをどんどん投げ込み、最少失点で抑えて攻撃の方にいい流れを持って行けたらいい」と強い意志で勝利を呼び込む。
次週の対戦は16日、平成国際大(平成国際大野球場)、17日、新潟大(山梨学院大学野球場)で行われる。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2022.4.11