●関東大学バレーボール男子春季2部リーグ戦開幕
~山学大コロナ禍で大会3日目にして初戦を戦う~
~粘ってフルセット初戦飾る。1部昇格へ好発進~
2022年「関東大学バレーボール男子春季2部リーグ戦」が4月9日開幕。しかし、新型コロナウイルス感染が(リーグ12チームのうち)数チームに及び試合スケジュールが大幅に変更された。山梨学院大学は9日、10日の試合が延期になり、大会3日目の16日、この日が初戦となった。昨年秋季リーグ2部初参戦で目標の中位6位と善戦した山梨学院は、昨秋10位の立正大学と対戦した。今季は上位を目標に掲げ、初戦は絶対に負けられない試合となった。第1セット、山梨学院が13番・アタッカーの常田将志が左サイドからアタックで先制すると、その後は両者互角の戦いが続き立正大が先にセットポイントを奪った。山梨学院はデュースに持ち込む粘りを見せセットカウントを奪い返すも、最後3ポイント連取され第1セットを落とした。第2セット、山梨学院は1番・奥原蓮、立正は長身アタッカーのスパイクの応酬で拮抗。最後は奥原の2連続クロススパイクなどで突き放しセットを奪い返した。第3セット、山梨学院のコンビバレーが機能し始め、連続ポイントが随所で決まり、2セット連続で奪いリード。しかし、勝利を意識した第4セットはミスが重なり流れは立正に移りフルセットに持ち込まれた。ここでも前半は一進一退の展開も、徐々に山梨学院が地力を発揮。マッチポイントはラリーを制しセットカウント3-2で勝利、初戦をものした。
山梨学院大バレーボール部は2016年の「スポーツ科学部」開設と同時に男女同時に創部。女子は17番目の強化育成クラブとしてスタートした。男子は遅れて2018年に強化育成クラブに認定され、今年5年目を迎えた。強化指定された春季リーグに4部から3部に昇格。2019年秋季リーグ入替戦に勝利し2部に昇格。翌年2020年春季リーグ戦の開幕を待ち厳しい練習に明け暮れたが、関東大学バレーボール連盟は新型コロナウイルス感染防止を受け、2020年春・秋季リーグ、さらに2021年春も中止にした。代も変わり3、2年生中心の若い新チームはようやく実質初リーグ参戦となった秋季リーグで6勝5敗、負けたチームにも善戦し目標としていた中位の6位を確保。存在感を示した。しかし、2022年春季リーグはまたも新型コロナウイルスに翻弄された。4月9日開幕した2部リーグは所属の数大学に関係者の感染が確認され、一部試合の延期措置を決断。そのため試合スケジュールの変更をもって大会を実施した。山梨学院は9日、10日に試合を組まれていたが対戦相手が辞退し試合は延期された。16日大会3日目、予定されていた対戦予定チームが変更され、初戦の相手が立正大学となった。立正大は2戦目となる。
■昨秋、2部初参戦を振り返り今シーズンに懸ける思いをー
三井勇監督・山梨学院大学スポーツ科学部特任教授は「簡単には勝てないと実感しています。試合だけ見れば僅差だったですけど1点、1セットを確実に取っていく。その1点、2点が本当に大事でそのためにはやはり練習なんですよね。よく分かりました。初めて経験した2部の試合の中でも選手たちは成長してくれたと思いますけど、その課題が練習で解決できて1試合1試合でさらに成長していくという積み重ねです」と選手たちに期待を懸ける。今シーズンについて、「リーグ戦が始まりましたけど、昨年とメンバーは変わっていないので、そう意味では期待できるというか、しかし、変わってないということは相手も分析しやすいわけですから、うちはコンビバレーなのでさらにその裏をかけるコンビネーションを身に付けられるかがこれからの試合です。この春でチーム力は上がっていくと思いますが上位3つには入りたいと思います。そして秋には入替戦(1部)を経験して自信や勝つためには何が必要かが分かれば練習にそれが落とし込めるし、意味を持つようになります」と前を見据える。
■昨年リーグ戦で勝利している立正大との初戦はー
4月16日大会3日目、この日第2試合のコートに立った山梨学院初戦、立正大と対戦した。立正大のサーブから始まった。トスを受けたサウスポーの13番サイドアタッカーの常田(3年)のアタックがコートに刺さり1点を先取した。その後は両者譲らず山梨学院は1番サイド・奥原蓮主将、5番センター・宮嶋卓(4年)、6番サイド・森一輝(4年)の鋭いアタックに立正大の二人の長身アタッカーの強烈なアタックで対抗。得点を奪い合いデュースにもつれたが最後に立正の3ポイント連取で25-27で第1セットを失った。◆第2セットに入り序盤リードを許すもすぐさま1番奥原のアタックや相手のサーブミスで4連続得点を入れて追いつき、さらに3連続得点で中盤リード広げると相手も必死に食らいつき一進一退の好ゲームを展開した。1点リードの終盤、奥原の2連続クロスアタックでセットポイントを握るとラリーでのネット際の攻防を押し込み25-21でセットを奪った。
◆第3セット序盤、山梨学院は5番・宮嶋のクイック、1番・奥原のフェイント、16番サイド・宮川彪馬(3年)のアタックで得点を重ね主導権を握った。後半も13番・常田の強烈なアタックなどで優位に試合を進め25-18で2セット連取した。勝利を目前にした◆第4セット、山梨学院は守備の乱れやミスで一時6点差をつけられ完全に流れは立正に傾いた。それでも2番セッター・飯山慎之輔(4年)の必死のトスでアタックするも相手ブロック、レシーブのコンビプレーに阻まれ、追いつけずに19-25でセットを失い2-2となった。◆第5、フルセットの勝負となり、先取点を奪われた山梨学院は、新戦力の39番・アタッカーのサウスポーの石塚蓮(1年)を起用。石塚は左サイドから強烈なアタックで返すとその後も1番・奥原、6番・森とともに得点を奪い、立正の気迫の戦いも試合を盛り上げ好ゲームを競い合った。最後は息詰まるラリーの末16番・宮川が決め15-11で苦しみながらも初戦をものにした。
■試合結果
《3日目1戦目 山梨学院大VS立正大 4/16 会場*非公開》 | ||
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○ 山梨学院大学 3 | 第1セット 25-27 第2セット 25-21 第3セット 25-18 第4セット 19-25 第5セット 15-11 |
2 立正大学 ● |
山梨学院メンバーは、1番・奥原蓮主将(スポーツ科学部4年)、2番・飯山慎之輔(同4年)、5番・宮嶋卓(同4年)、6番・森一輝(同4年)、13番・常田将志(同3年)、22番リベロ・高原快成(経営学部2年)を中心に 9番・北原尚季(同3年)、16番・宮川彪馬(スポーツ科学部3年)、30番・山本翔星(同2年)、39番・石塚蓮(同1年)が出場した。
試合終了後、三井勇監督は「ほっとしています。スタートで勝てるか勝てるかで違いますから。1セット目取られたでしょう。『ちょっとマズイな』と思ったのですが2セット目取ってこれでトントンといけると思ったら4セット目で・・・。こんなもんですよ」と苦笑い。「うちは初戦ですから緊張感で硬くなっていましたし、コロナコロナでチームとしてやる期間が少なく昨年(秋季)終わったころに比べれば、そこまでの力を超えるところまで行っていませんから。5セット目で1年生が入って少し気分転換ができうまくいったと思いますけどまだまだですね。これから試合を重ねて強くなるという感じですね」と試合を振り返った。
奥原蓮主将は「前回は1セット目はわりと取れていたので自信を持って臨んだんですけど緊張もあったのでサーブを決め切れなかったり、ネットタッチなどミスも多く思うようにいかなかったですね。4セット目も立て直せなくてそのままという感じです。終盤5セット目はミスもなくゲームを優位に進めることができ良かった」と話した。目標については、「上3つに入ることでさらに上へ上へを掲げているのでそのため負けられない試合だったので勝てて」とまずは安堵の表情を浮かべた。昨秋のリーグ戦でスパイク賞に輝いたセンターの森一輝選手は「確実にマークされ、上がってくるボールは少なくなるので決め方や、おとりになるなど自分ができることを意識して取り組んでいます」とチームプレーに徹する。この試合については「前も今日のような試合も多かったですけど、詰めの甘さが出てしまい、勝ちを意識すると簡単なミスが多くなり勝ちきれないところが自分たちの弱みですね。克服しようとはここまでやってきたんですがまだまだ課題ですね」と反省した。セットカウント2-2の場面で起用され、勝利に貢献したルーキー。39番・アタッカーの石塚蓮選手は「弱気になってしまうと勝てるものも勝てないので、まず向かっていく姿勢を大事にしてプレーしました。先輩たちがプレーしやすい状態を作ってくれたのでやり易かったです。先輩のおかげ」と初々しく話した。石塚選手は秋田県出身。今年1月の「全日本高校選手権(通称春高バレー)」で秋田県勢タイの4強入りに貢献したエースアタッカー。高校1年からレギュラーで3度のインターハイ、春高バレーを経験した。「大学では一つのプレーに偏らずに全部のプレーを平均以上できるようなプレーヤーとともにメンタル面もしっかり鍛えて4年間で成長できたと思える結果を残しチームに貢献していきたい」と決意を語った。
今年の新入部員は18人。三井監督は「全体的にキャリアもあり、全員うまいですけれども、シーズンを通して何人か使える場面でできるだけ使い経験させ、これからの最終戦、それから秋に向け鍛えて行けば、それで上級生を超えるくらいになれば上級生はさらに頑張るだろし、チーム力は上がっていくでしょう」と期待を寄せる。山梨学院大男子バレー部の1部挑戦に注目したい。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2022.4.17