山梨学院広報課

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●中学生女性初の「甲種危険物取扱者試験」合格
~志田さん4度目の挑戦で快挙 山学中から3人目~
~3年間の受験経験を糧に次の高みを目指す~

4月28日、山梨学院広報スタジオで「甲種危険物取扱者試験」に合格した山梨学院高校特進コース1年の志田和華(しだのどか)さんの表彰式が行われた。志田さんは3月13日の試験日時点では中学生だったため、県内女性中学生では初の合格者となった。中学生の合格者は県内3人目、すべて山梨学院中学校で占めている。「甲種危険物取扱者」とは、化学工場、ガソリンスタンドなど危険物を扱う施設で必要な国家資格で甲、乙、丙の3種が設けられており、法令(消防法等)や危険物の性質・予防法、物理や化学など大学卒業程度の知識が必要とされ、取得するとすべての危険物を取り扱うことができる。甲種試験合格率は全国で約30%から40%で推移し、高校生では約22%(2020年度)となっており、中学生は一般合格者に含まれている。表彰は、「甲種危険物取扱者試験」の合格は難関であるため本試験の実施機関である一般財団法人消防試験研究センター山梨県支部が高校生以下の合格者に表彰状を贈るもので、この日は、内田不二夫支部長より表彰状と副賞が志田さんに手渡された。志田さんは「4回目ですけど、あと一問あと一問というところで不合格になっていたのでめちゃめちゃうれしいです。『やったー』と達成感がありました」と合格の喜びを笑顔で話した。

表彰式では初めに内田不二夫山梨県支部長が概要を説明。その中で「山梨県支部独自の表彰制度は危険物取扱に関する規則等の一部改正により高校生等が受験可能となった2008年度(平成20年)からの取り組みで本日は高校生以下にとって難関とされる甲種試験合格を称えますとともに志田さんに続くチャレンジャーの出現を狙い表彰式を計画しました」と述べた。続いて内田支部長より表彰状、免状、副賞が手渡され、記念撮影が行われた。

■中学時代に大きな目標を定め実現ー
今年4月に山梨学院高校特進コースに進学した志田さんは、3月13日に行われた国家資格「危険物取扱者」試験の最上ランクで大学卒業程度の化学や物理の知識が必要とされる超難関の甲種試験に4回目の挑戦で合格。複数回受ける人も多い難しい試験に山梨県内での中学生の甲種合格は、2016年8月、山梨学院中学2年の最年少で取得した小槙創さん(当時中学2年生)、2018年3月の石山怜央さん(当時3年生)に続き3人目。女性では初となる。志田さんは1年・2年時に「危険物取扱者」試験の甲種受験に必要な乙種の4種類の試験に合格し、2年時10月に初の甲種試験に挑戦するも不合格。続けて3月、3年生の6月の3回目にチャレンジするも後1歩のところで不合格となり、中学生最後の3月に満を持して4回目に挑戦、見事合格した。ちなみに山梨学院高校での甲種合格者は2011年(平成23年)に高校2年(当時)の野村唯さんが最年少で合格。2019年(令和元年)には特進コース1年(当時)の宍戸優希さんが取得した。

■国家資格「危険物取扱者試験」とはー
「危険物取扱者試験」とは、化学工場や石油タンク、ガソリンスタンド、タンクローリーなど危険物を扱う施設等で必要な国家資格。甲、乙、丙の3種類があり、志田さんが取得した甲種は消防法で定められた全ての種類の危険物について高度な知識を有する者として、危険物の取り扱いが必要なあらゆる場面において、安全確保の中心的な立場として、その関連業種は多岐にわたる。乙種には6類の種別があり合格した種別の危険物について取り扱いと定期点検、保安の監督ができる。また、丙種合格は乙種4類のガソリン、灯油、軽油、重油の危険物に限り、取り扱いと定期点検ができるというように分類されている。甲種試験の内容は(1)危険物に関する法令(消防法等)(15問) (2)物理学及び化学(10問) (3)危険物の性質並びにその火災予防及び消火方法(20問)の合計45問。3科目とも60%以上の正解が求められ、いずれも大学卒業程度の知識が必要となる。

■中学生女性初の「甲種危険物取扱者試験合格」志田和華さんインタビュー
志田和華さんが「危険物取扱者」に挑戦したきっかけは1年生の時、「周りの人がスポーツや英語で頑張っている人がいる中で、私も注目される何かが欲しく、先生に勧められ科学や数学が好きだったこともあり、中学生で国家資格が取れたら格好いいなと思って」と目標を定めた。「先生がたくさんテキストを貸してくださったり、予想問題集を解いたり親に解き方を聞いたりして試験の1・2か月前から勉強しました」。その結果、2020年、1年生の3月、2年生の8月に甲種受験に必要な乙種4種類の資格を取得。実は志田さんのやる気に火を点けたのは父親の存在。「父と一緒に乙種を受けて同時に受かりました」と父親の後押しを励みにした。その年の10月に1回目の甲種試験に挑戦。「ボロボロでした」と笑う。2年生の3月、3年生の6月に再度挑戦したものの、「あと一問、あと一問足りなく不合格でした」と振り返る。そして今年の3月13日、『中学生で国家資格』という最後のチャンスに臨んだ。そして3月30日、ついに吉報が飛び込んだ。この資格をどう活かすかを問うと「国家資格を取得したというか、受験した経験が大きいと思うのでこれから大学受験や、もし専門職に就く場合にまた、国家資格が必要になると思うので今回の経験が活かせたらいいし、ここで科学を勉強したのでこれからの科学や物理の勉強の土台にしたい」と前を見据える。将来は、「今のところ父親と同じ医者を目指しているんですけどもっと勉強頑張らなきゃ」と目を輝かした。

■自分の興味に可能性を広げるー
志田さんをはじめ4人(宍戸さん含む)の甲種の国家資格者を指導した山梨学院中学校・成島秀樹教諭は「私は大学生の時にこの資格を取ったんですけど、中学生で果たして受かるものかなというところからスタートしたんですが、教え子たちが実現してくれてうれしいですね。興味を新たに持ったことに対して子どもたちが自分の可能性を広げるものに一生懸命取り組んで達成していくところを見ているのは教員としてすごくうれしいですね。子どもたちがそういうことを達成すると学校に来て良かったという思いを持ってくれたりとか、また知り合いの方たちがあの学校は好きなことを伸ばしてくれると、歓迎してくれていることがありがたいところです」と教師としてのやりがいに目を細めた。

文(K.F) カメラ(平川大雪) 2022.4.28