●2022年県高校総体閉幕 山梨学院勢3日間の記録
~山学高総合女子3年ぶりの優勝、男子準優勝~
~先輩に続け、若い力が台頭。学校対抗得点に貢献~
数多の名勝負が生まれた高校スポーツの祭典「第74回山梨県高等学校総合体育大会春季大会」が11日から13日の3日間、甲府市・小瀬スポーツ公園をメイン会場に県内各会場で行われた。男子38校・33競技、女子36校・30競技で高校生アスリートが対抗得点獲得に力と技を競い熱戦を繰り広げた。山梨学院高校は男子が12競技、女子が11競技に出場。私学の名誉と実力を懸けて挑んだ結果、男子は学校対抗得点総合2位、女子は3年ぶりの優勝に輝いた。対抗得点獲得に大きく貢献したのは男子のサッカー、ホッケー、新興のバトミントンは2連覇を飾り、女子も2年連続準優勝を果たした。陸上競技では男女中・短距離での優勝やフィールド競技での活躍もあり得点を上積みした。テニスでは女子が団体9連覇と個人ダブルス・シングルスともに1,2,3位を独占。抜群の強さを見せた。また、水泳の女子も多くの種目で優勝し10大会連続優勝。ソフトボールも圧倒的強さで対抗得点を重ねた。その他、新体操や男女空手道も毎回得点を獲得。また、すでに終了している硬式野球の優勝や冬季大会女子のスキー、スケートも加点され大きく貢献した。女子は昨年1点差に泣いた3位から優勝へ、男子は昨年の5位から2位へ躍進。男女揃っての好成績は6年ぶりとなった。高校生アスリートが全力で駆け抜けた3日間が終わった。
山梨県高校総合体育大会は、競技種目別学校対抗戦とされ、総合得点で順位が決定される。原則として関東高校体育大会、全国高校総合体育大会(インターハイ)の山梨県予選を兼ね、個人戦も実施することができる。
◆大会1日目
空手道女子個人形で岡村萌愛(3年)が準優勝。女子団体形でも2位、男子団体形は3位となった。昨日10日の壮行会で選手宣誓を行った岡村萌愛選手は「新人戦で悔しい思いをして11月くらいから一生懸命練習してきたので2位はうれしいですけど、一番のチャンスだったところでまた逃してしまったことは悔しい」と試合後話した。テニスは女子が団体優勝9連覇、男子団体は4位。水泳では女子50m平泳ぎ泉谷ひめり(3年)、女子50m背泳ぎ穂坂美空(2年)、女子200m背泳ぎ大畠裕衣、女子100mバタフライ成島夕愛(2年)がいずれも優勝を飾り、同じく女子100mバタフライで大畠芽衣(2年)が2位、女子50m自由形は矢ケ崎楓来(2年)2位、女子800m平泳ぎ浅野夏梨2位、女子800m自由形町田梓(2年)2位、女子4X100フリーリレーは2位となった。男子では山田輝音が200m自由形で2位に入った。新体操は学校対抗で優勝し、ゴルフ男子団体は準優勝した。7日に先行開催した陸上競技は2日目。この日も山梨学院勢が躍動した。フィールド競技女子三段跳びで7日の走り幅跳びで3位になった永坂莉羅(3年)が再び表彰台に上がった。5本目で4位から3位につけるとその勢いに乗り、最後の6本目でトップに立った。次の最終試技者の跳躍を待つも、ライバルが永坂の距離を逆転、惜しくも2位となった。永坂莉羅選手は「足が不調だったけど、11mは絶対跳ぶんだと思っていました。5本目に10m90で3位に並んでそれは嫌で絶対超えてやると思い跳びました。2位になったのは悔しいですけど関東につながったのは良かった」と話した。男子の走り高跳びでも二人が2位、3位の表彰台に上がり後一人も6位、関東大会出場を決めた。2位の小柳竣平(3年)が1m80を跳び昨年同様2位と健闘した。小栁俊平選手は「春に出したベストが190cmで今日もアップの時からベストを超えそうなくらい調子が良かったですけど、関東へ行かなきゃという重圧を自分で懸けてしまって思うようなパフォーマンスができなかった」と悔やんだ。同じ高さで試技数の違いで3位になった深沢虎太郎選手(2年)は「優勝を狙っていたんで正直悔しい。関東ではベストになる190cm(現在185)を跳びたい」と話した。6位の向山結音選手(1年)は「目標としていた180は跳べなかったけれど、ベストは尽くせた」と話した。トラック種目決勝は女子100mで快挙が生まれた。女子100m決勝で奥村陽(1年)が快走を見せ優勝を飾った。ゴール直前混戦の中、奥村が抜け出し12秒19でゴールを切った。村松璃香(2年)は4位に入った。奥村陽選手は「準決勝でトップに立てたことが自信になりました」と話し、レース内容については「覚えてないんです。頭が真っ白になりました」と初々しく話した。村松璃香選手は「私は後半型なんですけど、前に人が居すぎてちょっと力みが出てしまったのでそこが反省点です」と振り返った。男子3000m(SC)障害では山梨学院勢がレースを引っ張った。スタートから小林柊(2年)が先頭に出てレースをつくるが残り2周で小林が遅れ、先頭に立った甲府南高選手を大貫冬翔(3年)と望月朝陽(2年)が追う展開に。残り200mのコーナーからラストの直線で甲府南を抜き山学二人の争いに望月が前に出て5mの差をつけゴールした。1位望月、2位大貫、4位小林と山梨学院勢が上位を占めた。望月朝陽選手は「昨年は決勝で何とか6番に入ったのですが、1学年上がって自分のレベルも1段階上がったのでそこがラストスパートにつながった」。2位の大貫冬翔選手は「自分はこの種目は1か月前から初めて予選を含めて3回目のレースだったんですけど、優勝はできなく悔しいですがいい走りができたと思います」。小林柊選手は「集団を引っ張ってラストは全力で勝負しようというレースプランがあったのですけど1000mから落ちてしまったことは悔しいですね」と関東でのリベンジに燃える。
◆大会2日目
空手道は男女組手が行われ、ともに団体2位。個人では男子河野汰郎(2年)が4位に入った。
ソフトボールは1日目、3月の女子ソフトボール選抜大会で準優勝の実績を手に2回戦から登場。甲斐清和高に勝利すると2日目、甲府商業高を破り決勝戦は帝京第三高と対戦し、すべて無失点コールド勝ちで圧倒、23回目の優勝を飾った。水泳は1日目で多くの種目で優勝、2位と上位を占め、2日目も勢いは止まらず女子50mバタフライで成島夕愛(2年)が大会新で優勝。他にも女子100m背泳ぎは穂坂美空が50m続いて2冠を達成した。女子4X100mメドレーR優勝。男子は50mバタフライで田中礼士(3年)が優勝し、上位に名を連ね山梨学院の存在感を示した。2日目はテニス女子の個人ダブルスが行われ、山梨学院同士の対戦になった。山田理莉子(3年)・穴水姫奈乃(2年)ペア(左から)と米山夏果(2年)・西村美璃(1年)ペア(左から)が8ゲームマッチで行われ、山田・穴水ペアが終始リードを保ち8-2で優勝した。勝利したペアは関東大会、インターハイの出場が決まった。優勝ペアの山田理莉子選手は「練習と試合でやるのとは緊張感がまるで違うので最初は競ってしまった。10月から練習を重ねて自分たちから積極的にプレーすることができて良かったです。関東でも緊張した時も焦らずに落ち着いたプレーで一つでも多く勝てるようにしたい」と意気込んだ。穴水姫奈乃選手は「優勝はめっちゃうれしいです。お互いミスが増えた時にカバーし合えたので良かった」と笑顔で答えた。2位の米山夏果選手は「いつも一緒に練習している相手だから何をやれば分かっているけど、いざ試合になると緊張し過ぎてやろうと思ったことをミスしてしまうという感じです」と。西村美璃選手は「1年生ということもあってまだ慣れないんですけど、先輩と組めて負けてはしまったんですけど楽しかった。初めて組みましたけど、お互いもっと知っていきたいと思いました」と話した。
陸上競技最終日、この日も中長距離陣が健闘した。トラック最初の決勝種目、女子800mで石井れいな(3年)と西本佑菜(1年)が登場。レースは序盤から石井が出ると西本が後ろにつく4人の集団が、2周目最後のカーブから直線に入ると3人が一気にスパート。横一線になり最後ゴール手前20m付近で西本が一歩前に出て逃げ切った。石井は甲府南選手に次いで3位となった。優勝した西本佑菜選手は「今日は全体的に足が動いていていい走りができました。先輩について行こうと決めていました。最後の直線では必死に最後の力を出そうと頑張りました」。また新しい力が台頭した。続いて行われた女子3000m決勝では1500mに続いてルプラス恵美里(3年)が2冠に輝いた。「ずっと独走で最初の1キロは目標タイムで通過しましたけど2キロでがくんと落ちてしまい目標の9分台を目指していたので納得のいかないレースをしてしまった」と肩を落とした。男子5000mタイムレースでは成沢翔英(3年)、小島光稀(2年)、和田瑛登(3年)が出場した。レースは序盤から成沢が前を走り正確なラップを刻み、集団が5人に絞られた。残り2周、集団の後ろにいた小島が2位に上がり、ラスト1周の鐘を合図に成沢の前に出た。残り200m、4人が一斉にスパート。必死の形相でゴールを目指した。すさまじいトップ争いを制したのは成沢。2位に小島が入った。中盤から遅れた和田は6位となった。優勝した成沢は陸上競技1日目の1500mでも優勝。これで2冠となった。成沢翔英選手は「もっと速いペースで独走する形だったんですけど、1500mの疲れもあり、なかなかペースが上がらず周りにとってはいいペースになってしまった。優勝はしましたけど悔いが残るレースでした」と思惑どうりにはいかなかった。小島光稀選手は「ハイペースで進むと思っていたのがイーブンで行ったので自分がラストスパートと仕掛けたんですけどラスト100mで抜かれてしまいまだスピードが足りないと感じました」と話した。3人は表彰台で写真に納まった。大会陸上競技最後の種目は男女4X400mR。最初に女子のレースから始まった。1走・村松苺華、2走・奥村陽、3走・タマヨ ジュン(3年)、4走・村松璃香の布陣で走り4位に入った。男子は1走・佐々木琥珀(1年)、2走・坂本隆汰(2年)、3走・渡邊莉玖(2年)、4走・笠原昇真(3年)チームはゴール前の都留高とのデッドヒートをぎりぎりかわし3位に入った。
◆大会3日目最終日
大会最終日、いくつかの決勝競技が行われた。山梨学院男女バトミントン部はとも順当に勝ち上がり決勝に進出した。2020年に強化運動部指定を受けて活動を活発化したばかりの昨年、男子は決勝で甲府商業高を破り初優勝。女子は強豪甲斐清和高に敗れはしたものの、2-3と善戦した。今大会、男子チームは1セットも落とさず決勝に進出。甲府工業高と対戦した。試合は山梨学院の一方的な展開で3-0の勝利2連覇を飾った、女子は甲斐清和高と2年連続で対戦。女子チームは近年王者として君臨している甲斐清和に1-3と敗れるも熱戦を繰り広げた。ダブルス2ゲームを先取され、後がなくなった山梨学院はシングルスでエース松下栞菜主将(3年)が粘り勝ちし1ゲームを返した。3ゲーム先取の試合は、続いてコート2面同時にシングルスが行われ、山梨学院の優勝は2つの勝利が必須の状況で進められた。2面とも優勝懸けた両校の一進一退の攻防で緊迫した展開が続くも、山梨学院が1面で1-2のセットカウントで先に敗れ、その時点で敗退が決まり今回も準優勝となった。あと一歩で破れた女子の松下栞菜主将は「去年の悔しい気持ちをばねに頑張ってきましたけどこのような結果に正直すごく悔しいです。ひとり一人が全力を出し切れ、気持ちも負けてはいないので後は、実力次第だと思うので来年こそは後輩に頑張ってもらいたい」と気丈に話した。2連覇を果たした男子チーム安間亮広主将(3年)は「最初のダブルスで2年生がいい流れを作ってくれた中で1年生がつないでくれ、自分がシングルスで決めることがやりたいことだったのでそれが達成できて良かった。昨年のメンバーが全員残っているので今年はいい成績を残したい」とインターハイでの活躍を目指す。同じ時間帯にサッカーの決勝戦が行われ、山梨学院は昨年と同カードの韮崎高と対戦した。試合は、前半序盤に失点。18分に8番MF五十嵐真翔(2年)が頭で決め同点に追いつくと、後半37分に11番FW伊藤優作(3年)のシュートで勝ち越し、そのまま終了。2年連続で優勝を手にした。小棚木蒼大主将(3年)は「立ち上がり先制されどうなるかと思ったんですが、うまく修正ができチームが一つになって逆転ができたのは良かった。野球部が優勝したということもあって、絶対に負けられないという思いもあり、野球部も応援に来てくれたと思うのでそこで優勝を見せられて良かった」とライバル野球部と切磋琢磨して強くなる。また、この日はテニスシングル決勝も行われ優勝は山田理莉子(3年)、2位に穴水姫奈乃(2年)、3位米山夏果(2年)と山梨学院勢が独占。山田と穴水は6月の関東大会、8月のインターハイ出場権を獲得した。また、ホッケーも順当に優勝。県総体に初参戦したラグビー部は初戦日川高校に貫録負け。3位決定戦では東海大甲府高に善戦するも後半、逆転負けを喫し、4位となり関東出場は逃した。
◆総合成績発表・表彰式
すべての競技が終了し、小瀬スポーツ公園武道館で成績発表と表彰式が行われた。高体連の逆瀬川慶浩会長より各校の生徒代表に優勝旗などが手渡された。3日間にわたった熱戦の中、高校生アスリートのスポーツを愛するひたむきな姿が新緑の5月の季節に際立った。
◆今大会の学校対抗得点
《男子総合得点》=1位:甲府工業高42点、2位:山梨学院高37点、3位:日川高32点、4位:日本航空高31点、5位:駿台甲府高27点、6位:甲府一高17点
《女子総合得点》=1位:山梨学院高34点、2位:日本航空高31点、3位:甲府商業高21点、4位:甲斐清和高19点、5位:駿台甲府高17点、6位:甲府一高12点
文(K.F) カメラ(平川大雪、藤原稔) 2022.5.14