●山学高魚田愛音さん「次世代甲府大使」に認定
~日本バッハコンクール高校生部門で飛び級優勝~
~山梨学院高校で樋口甲府市長から認定証が交付~
「甲府の子どもたちに夢と希望を!」のキャッチコピーで注目を集める「次世代甲府大使」にこの程、山梨学院高校1年の魚田愛音さんが選出され5月26日、同校音楽室で認定式が行われた。魚田さんは2月に行われた第12回日本バッハコンクール全国大会高校生B部門に出場、飛び級で優勝する快挙を成し遂げた。コンクールでは地区予選を通過、全国大会では実力者揃いのピアニストたちと優勝を目指し競った。全国大会に優勝したことに対して、将来的に活躍が期待される高校生として今回、芸術部門で推薦され「次世代甲府大使」認定を受け、認定式では樋口雄一甲府市長から認定証及び記念品が贈呈された。認定式では初めに魚田さんのコンクールでの演奏などを編集した紹介映像が流され、樋口雄一甲府市長、吉田正山梨学院高校校長がお祝いの言葉を述べた。それに応えて魚田愛音さんが優勝した時の気持ちといつも応援してくれている人たちに感謝の気持ちを述べ、コンクールでの優勝曲と『甲府市の歌』の2曲を樋口市長たち出席者を前に演奏を披露した。この後、しばしの歓談後、記念撮影をして閉会となった。
■「次世代甲府大使」とはー
2018年4月に制度創設。スポーツ・芸術・文化・学問などさまざまな分野で、顕著な成績を収め将来的に日本を代表する活躍が期待される甲府市にゆかりのある「小中学生」及び「高校生」を「次世代甲府大使」として認定し、市のホームページなどを通じて、その活躍を応援することで、子どもたちが将来に対する夢や希望を強く抱き、より市に愛着を感じてもらうことを目的としている。(認定は随時行う)山梨学院高校からの認定者(団体)は、2018年8月28日に高校サッカー部(インターハイ優勝)、2019年2月13日に中川奈奈さん(芸術=バレー)2019年10月18日に斉木嵩希さん(学問=数学)が認定されている。
■魚田愛音さん、努力の成果が実るコンクール優勝 「次世代甲府大使」にー
今回「次世代甲府大使」に認定された魚田愛音(うおた える)さんは甲府市在住。祖母、両親、兄、本人の5人暮らしの山梨学院高校特進コース1年生。自身もピアノを弾く母親の裕子さんが愛音さんを身ごもっている時、将来は音楽家に育てたいと「人に愛される、自分も愛せるきれいな音が出せるように」と『愛音』と名を付けたと打ち明ける。そして誕生してからは、裕子さんの膝の上でピアノに触れさせ3歳からピアノ教室に通うようになった。4歳から数々のコンクールに出場。平日は5時間、休日は10時間練習する。「長時間の練習でやめようと思ったこともあったが、今ではピアノが心の支え」という。そして、さらに猛練習を積んで昨年10月から12月にかけて行われた第12回日本バッハコンクール地区予選を通過し、2022年2月に行われた全国大会に出場。若き有望なピアニストが集まった高校生B部門の難関を突破し見事頂点に輝いた。魚田さんはコンクールに出場した時は中学3年生。該当級の中学生部門ではなく1つ上の高校生B部門の課題曲「パルティータ第1番変ロ長調BWV825プレリュード、アルマンド、ジーグ」を弾き、飛び級で金賞1位、グランバッハ賞を獲得した。日本バッハコンクールには今回5回目の挑戦で成し遂げた優勝。努力が実を結んだ。日本バッハコンクールは「音楽の原典を学ぶ」をコンセプトとした日本随一の規模のピアノコンクール。
◆魚田さんのこれまでの主な出場コンクール・成績
第6回日本バッハコンクール小学3・4年B部門 全国大会金賞
第5回べーテン音楽コンクールバロックコース中学生部門 全国大会4位
第5回ソナタコンクール ソナタA部門全楽章コース 本選金賞1位
第23回日本演奏家コンクール ピアノ部門中学生の部 全国大会
第8回東京国際ピアノコンクール 中学生部門 本選3位
第12回日本バッハコンクール 高校生B部門 全国大会金賞1位、グランバッハ賞
他にも数々のコンクールで優秀な成績を残している。
■「次世代甲府大使」認定式 樋口市長、吉田校長、魚田さんがあいさつー
「次世代甲府大使」認定式は、高校の授業終了後に山梨学院高音楽室で行われた。式は、甲府市役所情報発信課・望月良彦課長の司会で進められ、初めに出席者、甲府市役所樋口市長、奈良田康至子ども未来部長、飯田浩明教育部長、田中健康市長室長、山梨学院高校吉田正校長、魚田愛音さん、母親の魚田裕子さんが紹介された。引き続き「次世代甲府大使」制度の概要説明、魚田愛音さんの紹介映像が流され、樋口市長による「次世代甲府大使」の認定証の交付が行われた。多くのカメラのシャッターが切られる中が認定証パネルと記念品が手渡された。
樋口雄一甲府市長はあいさつで「ピアノに対して一生懸命取り組まれた成果が今回の快挙につながったと思います。魚田さんの活躍が学校や同世代の仲間あるいは甲府市民など周りの人たちに勇気を与え、そして多くの人が希望を持って夢に向かって進んでいくことを願っております。また、魚田さんが昨年のショパン国際ピアノコンクールで第4位に入賞され、海外で活躍されているピアニスト小林愛実さんに憧れ、海外でピアノの練習をしたいという思いがあるとのことで将来は我が国を代表するピアニストとして世界の舞台で存分に活躍されることを大いに期待しております」と激励した。山梨学院高校吉田正校長は「今回は芸術部門で『次世代甲府大使』に認定させていただきまして私たちも大変誇りに思っています。どうしても山梨学院はスポーツと進学というイメージですけれども芸術部門でこのグランバッハ賞を取るような逸材がいるということを知っていただいて、私たち本当に誇りを持っておりますし、コロナ禍の苦しい中(東京にレッスンに通う)でもずっと続ける姿を中学時代から見ていますのでこうして選んでいただいて私たちも本当に自分のことのように喜んでおります」と述べた。魚田愛音さんは「この度は『次世代甲府大使』に認定していただきありがとうございます。ピアノを始めて約14年になります。長時間の練習でピアノをやめようと思ったこともありましたが、今ではピアノを弾くことが心の支えとなっています。今回コンクールに向けて毎日10時間以上じっくり練習したので、優勝した時はとてもうれしかったです。いつも応援してくださっている方々への感謝の気持ちを忘れずにこれからも頑張りたいと思います」と謝意を述べた。続いてコンクールでの優勝曲「パルティータ第1番変ロ長調BWV825プレリュード」と魚田さんがピアノ曲にアレンジした『甲府市の歌』の2曲を樋口市長たち出席者を前に演奏を披露。会場にいた関係者全員は本物の音に聞きほれていた。この後、和やかに歓談が行われ、最後に記念撮影をして閉会となった。
■認定式後のインタビュー
魚田愛音さんは今回の大会に臨むにあたり、「昨年も高校生B部門に出て全国大会は行ったんですけど、賞には入れなくてそれからずっと講評とかを全部読んで練習に活かしたりして悪いところを全部直して、自分の良さを活かす演奏ができるように頑張りました」と話し、「本番では納得のいく演奏ができたんですけど、まさか1位と思っていなかったのでとてもうれしかったです」と喜びを表した。将来は、「最近音のきれいさについて褒められることが多くなって、自分の良さを出して多くの人を感動させられるようなピアニストになりたいと思っています」と話し、世界で活躍するピアニストを目指す。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2022.5.26