●春季関東地区高校野球大会 準決勝
~山学高、強豪浦和学院に敗れ決勝進出逃す~
~夏に向けて、課題の克服に全力を尽くす~
「第74回春季関東地区高校野球大会」5月28日、栃木県宇都宮市清原球場で準決勝2試合が行われた。大会は関東の8都県17校によって21日より熱戦が繰り広げられ、この日は第1試合に山梨学院高対浦和学院高、第2試合に関東第一高対山村学園高の準決勝が行われた。山梨学院の対戦相手はセンバツ4強の浦和学院。昨年の秋季大会で同じく準決勝で戦い2-2から山梨学院が延長10回に大量点を入れて勝っており、この試合でも好試合が期待された。試合は先攻の浦和学院が山梨学院の先発榎谷礼央を攻め立てた。今大会、初戦に先発好投した榎谷はこの試合で途中、相手の痛打を右足に当て負傷降板、全治していない中での登板の影響か、いつもの安定感ある投球が見られなく、2回に1点先制されると3回に3点、4回は2点を奪われ、0-6で降板した。浦和学院は長短打、犠打、盗塁、スクイズと完全に試合の主導権を握り、投げては好投手の左腕・宮城誇南が切れ味鋭いストレートと変化球が冴え、山梨学院打線は成すすべもなく完璧に抑えられた。試合は0-7、7回コールドで敗れ4強でこの大会を終えた。試合後、吉田洸二監督は「今日の試合は、これからの2か月間、何か頑張れる宿題を拾わせてくれた」と夏の甲子園に照準を合わす。
山梨学院高は今大会初戦東京第2代表二松学舎、準々決勝群馬第1代表前橋育英戦では7回コールドで勝利し準決勝へ順調に勝ち上がった。対戦相手の浦和学院は夏の甲子園14回出場。センバツでは優勝1回、4強3回、春季関東では優勝6回を誇る強豪校。初戦を神奈川第2代表桐蔭学園、準々決勝は秋の覇者茨城第1代表明秀日立に競り勝ってきた。今春のセンバツ4強の浦和は、よりパワーアップして山梨学院と対戦した。。
■エース同士の対決 榎谷初戦のけがに泣くー
昨夜から未明にかけての雷雨に見舞われた宇都宮市。午前10時、宇都宮市清原球場の上空はすっきり晴れ上がった。山梨学院・右腕榎谷礼央(3年)、浦和学院・左腕宮崎誇南(3年)、両エースの投げ合いでゲームは始まった。初回先攻の浦和学院は山梨学院榎谷の130キロ台後半の速球の連投に三者凡退。その裏、浦和学院の宮城も山梨学院リードオフマン1番鈴木斗偉(3年)を空振りの三振。2番進藤天(2年)に右中間に大きい飛球を打たれるが中飛。続く岩田悠聖(3年)も凡打に打ち取った。このまま投手戦に突入かと思われた2回表、試合は動いた。浦和は先頭打者4番の大きい中飛に続く、5番打者に榎谷は投手ゴロに打ち取ったかに見えたが、榎谷が獲り損ね慌てて一塁ベースが駆け込むがセーフ。榎谷の失策で走者を出した。浦和は次打者が手堅く犠打で二塁に送り二死二塁の得点圏に走者を進めると7番打者が変化球を中越え適時三塁打で1点を先制。さらに3回表、榎谷は一死後、1番打者にストレートの四球で走者を出し、続く2番打者の左前適時打で1点、3番打者には右翼フェンス直撃の適時打で1点。さらに犠飛で1点。この回3点を失った。榎谷は初戦の右足怪我の影響か、明らかに投球に勢いが感じられずに、続く4回表にも先頭6番打者、続く7番打者に連続安打。一死三塁一塁で9番にセーフティースクイズを決められ1点を追加、さらに続く1番は中越え適時三塁打で6点目を挙げられた。一方、山梨学院打線は浦和学院の左腕宮崎の切れ味鋭い速球と変化球に悩まされ4回裏一死後、3番岩田悠聖の死球と4番高橋海翔(2年)の安打で三塁・一塁の好機に、続く5番相澤秀光(3年)は二塁への併殺打で得点ならず。その後も、得点圏の二塁も踏めず浦和学院宮城に完璧に抑えられ、7回コールドで敗退した。その中で2回裏一死後、5番打者相澤秀光が打席に入る前、山梨学院応援団席の吹奏楽部がこの日、誕生日の相澤を祝してハッピーバースデーの曲を演奏する粋な計らいがあった。それに応えて相澤の打撃に期待が高まったが一塁ゴロに抑えられた。
■〈5月28日 春季関東高校野球大会 準決勝 栃木県宇都宮市清原球場〉
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 合計 | |
浦和学院高 | 0 | 1 | 3 | 2 | 0 | 1 | 0 | - | - | 7 |
山梨学院高 |
0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | - | - | 0 |
※7回コールド
山梨学院高校
バッテリー=榎谷→川口→山田➡佐仲
〔投手〕:榎谷=3回2/3,投球数63球、被安打6,四球1,奪三振1,失点6
川口龍己(3年)=2回1/3,投球数31球,被安打2,四球0、奪三振2,失点1
山田悠希(3年)=1回、投球数17球、被安打2,四球0,奪三振0、失点0
〔打撃〕:安打3,四死球2,三振4
〔交代〕:川口→H星野泰輝(2年) 岩田(中)→(中)星野 岳原(右)→H山本和輝(3年)
試合後、吉田洸二監督は初戦で受けた右足の怪我が万全ではない榎谷の先発について、「悪いなりにどれだけ投げられるかというのを試してみたかった。全国トップレベルのチームのバッターが甘い球を絶対逃さないというのを経験してほしかったのであえて打たれるのは分かっていましたけど大体まだ、そんな調整してうんぬんかんぬんというレベルじゃないのでしっかり今日は感じたことを次に活かしてもらいたいと思って投げさせました」と手厳しい。貧打の打撃にも「苦手な左投手でも全国トップクラスの左になると苦手も下手も関係なく力負けです。もちろん試合だけを見ればですね。ただそこは多少想定内の今日1日でした。これからの2か月間、何か頑張れる宿題を今日は拾わせたような気持ちを私はしました。(夏は)持っている力は出せるように頑張れたらと思っています」と夏の甲子園に照準を合わせる。怪我を押して出場して登板した榎谷礼央投手は「痛め止めを飲んでいたので何とか投げることはできました。軸足だったので少し乗りづらいというのはあったんですけれども『行きます』という意識では投げていたんですが、自分の持ち味のストライク先行ができなくてアウトコースが全部ボールになってしまい苦しんで最後、甘い球を打たれてしまった。そこを夏までに直したいと思います」と夏に懸ける。相澤秀光主将は「相手の宮城君は真っすぐがスピードガン以上に速く感じて、変化球も決まっている時は切れが良くて、そういうピッチャーで高めのボールとかは打てないから見逃すということを徹底しようとみんなで話していたんですけど、その高めとか、低めのひざ下の変化球を振らされて思うようなバッティングができなかった。ヒット3本に抑えられて、センバツから打撃にかなり力を入れてやってきたんですけどもあのようないいピッチャーのあのクラスになると自分たちの思うようなバッティングが全然できなかったので、そういうピッチャーにも対応できるような打撃を夏に向けて身につけられれば」と話した。サプライズのハッピーバースデーの演奏については、「思わず打席の中で鳥肌が立ってしまいました。周りからの拍手や自分たちを応援してくれる方々がたくさんいて自分たちは恵まれた中で野球をやらせてもらっていると感じているので、そういう応援してくれる人たちに自分たちは勝利というのが一番の恩返しだと思うので、感謝の気持ちを持って夏は必ず、勝ちを届けられるように頑張りたい」と夏の甲子園での好成績を誓う。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2022.5.28