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●山学大経営学部産学連携プロジェクト
~ブドウ栽培・収穫等を通じワイナリー業界を探究~
~郡内織物をワインラベルとして使用し商品化~

山梨学院大学経営学部では、2年生が履修する「専門演習入門」において学生が地域社会と連携し、地域や産業を知りながら、地域の経営について学ぶ課題解決型の授業を展開。2021年度は12のテーマを設け開講され、そのうちの一つにワイナリーや織物業者などと連携し、地場産業の今後の在り方について考え、新規提案する企画があった。学生はブドウ栽培や収穫、醸造現場の見学等の実体験を通じてワイナリー業界について探究するとともに、郡内織物のB反に着目し、ワインラベルへと生まれ変わらせ織物の認知度向上、ワインの若者への訴求による地域経済の活性化につなげるプランを提案。地元企業などの協力により、学生が実習した圃場で収穫したブドウで醸造されたワインに学生がデザインした郡内織物のラベルがあしらわれ、商品化されることが決定し、6月2日に成果報告会が行われた。報告会では、実際に市販されるワインがお披露目され、学生や企業関係者がこれまでの苦労や成果、感想を寄せた。

「専門演習入門」は1年次の「ビジネス基礎演習」の応用・実践で、PBL(課題解決型学習)を通じて実際のビジネスの現場で求められるスキルを学修する。地域の自治体や団体、企業などとのプロジェクト活動を通じて、「課題認識」「調査」「企画立案」「成果報告」といったスキルを身につけることを目的にしている。2021年度は12のテーマが設定され、このうちの一つに山梨の地場産業であるワイン(ワイナリー)と郡内織物「ふじやま織」に着目し、産業の活性化や認知度向上、販路拡大に取り組む産学連携プロジェクトがあった。
 
経営学部の太郎良留美学部長は「学生は様々な実習・実体験、SWOTやビジネスモデルキャンバスなどによる分析などを通して、安価な輸入品が市場を席巻し、生産が落ちていること、また、織物の認知度が低いこと、ワインの若者への訴求ができていないことなどの課題を見つけ、解決する足がかりとして、このラベルに行きついたようです。若者にもなじみやすいデザインを触感やイメージにも訴求できる布でラベルを作ることで目と手に訴えようと考えたそうです。「ジャケ買い(ジャケット買い)」という言葉もあるように、商品のパッケージは、知覚させ、認知させ、イメージを喚起させる効果があると言われていますが、若い感性で、実際に触れながら学べたことで、ワインも「ジャケ買い」させるアイデアへとつながったのではないかと思います」と今回のプロジェクトの概要や成果を報告。この企画に参加した学生は、1年間に渡り、ブドウ栽培や収穫といった圃場での農作業、ワイナリーでの醸造現場の見学、イベントでのワイン販売、商談会への参加といった実体験を通じて、地場産業であるワイナリー業界について理解を深めた。また、郡内地域で古くから地場産業として伝わる郡内織物「ふじやま織」について、機屋での製造工程を見学。その際に目にしたB反(染めムラや傷などがあり、市場に流通しない正規品外の生地)に注目し、織物の認知度向上、ワインの若者への訴求などを狙い、B反をワインラベルへと生まれ変わらせる企画を立案・実行に移した。学生がデザインしたラベルはワイナリーイベント会場での人気投票を経て2案を商品化ラベルとして決定(実際の商品化にあたっては市場での流通量を考慮し、B反ではなく正規品を使用)。このラベルは、学生が実習した圃場の甲州種100%の白ワインにあしらわれ、JAふえふき直営のワイナリーのニュー山梨ワイン醸造のショップや県内の道の駅(都留・富士吉田)などでの販売が決定した。今回の実習した圃場では品質の高い高糖度のぶどうを生産しており、醸造過程で上澄み果汁だけで醸造し、残糖がなくキレのある辛口で、甲州特有の風味豊かな甲州種ワインに仕上がっている。JAふえふき組合長でニュー山梨ワイン醸造株式会社の小池一夫社長は「山梨学院大学の協力をいただき、このような素敵なものに仕上がりました。ワインと織物の地場産品のコラボということで、実際に商品化し、発売できるということは、大変ありがたいことです」と述べ、ラベルをデザインした学生に「皆さんのデザインしたラベルのおかげでこんな素晴らしいものができました。(選ばれて)おめでとうと(デザインしてくれて)ありがとうという言葉を送りたいと思います」と話し、完成したワインを学生に贈呈した。山学大の青山貴子学長は「本学では学生の“たくましく生きる力”を育てたいということで、近年ではPBL(Project Based Learning)に基づいた科目を開発してきました。今回学生が取り組んだ科目では、地場産業の振興に焦点をあて、生きたビジネスを学びました。学生たちはワインの原材料の生産、ラベルデザイン等のマーケティング、流通を含めた販売までのトータルのビジネスの流れを学ぶことができ、机上や理論で学ぶこととは異なり、実際に商品として形にしていくということは、学修成果として吸収できるものは全然違うと思います。大学としては、人を育てることを学内に閉じずに地域や様々な現場でつながりながら実現していきたいと思っています。今後も大学での学びと地域の産業振興とを上手く結び付けていきたいと思います」と述べ、総括した。デザインが商品化ラベルに選ばれた鐘煜権さんは「実際に自分のデザインされたラベルのワインを見ることができて、まだ実感は湧きませんが嬉しかったです。若い人にはシンプルなデザインが好まれると思ったので、シンプルさを意識してデザインしました」と話し、内田朱夏さんは「若いカップルや家族をコルクになぞらえてイメージしました。また、可愛さや落ち着きをイメージして、かしこまった場面ではなく、にこやかに飲んでもらえるようなものをデザインしました。私は山梨出身ですが、このワインを通じ、山梨の色々な地域の産業を知ってもらえたら嬉しく思います」と期待を寄せた。

文(Y.Y)、カメラ(平川大雪)2022.6.2