●山学高ソフト インターハイ県予選22度目の優勝
~準決・決勝ともに投打が充実。相手校を圧倒~
~昨年4校優勝も満足せず、今年こそ真の覇者を目指す~
令和4年度「全国高校総合体育大会(インターハイ)ソフトボール競技山梨県予選」準決勝・決勝戦が6月12日、北杜市高根総合グラウンドで行われた。山梨学院高ソフトボール部女子は、11日の2回戦初戦、甲府昭和高校を16-1で下し、12日、準決勝戦の富士河口湖高校に15-0、4回コールド勝ち。帝京第三高校との決勝戦では9-0、5回コールド勝ちを収め優勝。4大会連続22度目のインターハイ出場を決めた。12日準決勝、富士河口高戦は1回表、山梨学院先発の向山琴葉は三者連続三振に打ち取るとその裏、打線は猛打爆発。打者12人、本塁打1本、二塁打2本を含む7安打で8点を奪い、2回裏にも長短6安打を放ち5点を追加、先発を下した。さらに変わった2番手からも2点を重ね15-0と大量リードした。2回表から向山を継投した久保井美羽も期待に応え相手打線を抑え完全リレーで勝利、山梨学院は決勝に進出した。決勝戦の対戦相手は帝京第三高、今年の県総体でも決勝戦で当たり勝利している。後攻の山梨学院は2回裏、6安打を集中。6点を奪うと、4回裏にも安打に犠飛、スクイズを絡め3点を重ねた。先発の向山は1回表、再び三者連続三振で退けると5回表に浅い中前打を打たれ無安打投球は逃したが相手を全く寄せ付けず完璧な投球でエースの貫録を示した。インターハイソフトボール競技は高知県高知市で8月4日から7日までの日程で行われる。
■着実に実力を増し、強豪校の仲間入りを図るソフトボール部女子―
1965年創部。57年の歴史を誇る山梨県屈指の強豪校と君臨してきたソフトボール部女子は2016年、部員減少により廃部の危機に陥ったが、伝統の灯を消してはならないと佐々木憲士現顧問らの努力もあり、後任の監督と部員の確保により存続の危機を乗り越えた。2017年4月に就任した渡辺努監督と佐々木顧問のもと、2年生5人と1年生新入部員の8人、計13人により再始動した。その年の5月の山梨県高校総体で2年生・1年生だけの若いチームでいきなり優勝、6月の山梨県で行われた関東大会、センバツ大会でも3位と健闘した。その後も着々と実力をつけ2019年のインターハイでは全国の強豪校と対戦して山梨県初となる3位。そして2021年には雨のため準決勝、決勝が中止となり4校同時優勝ながら初優勝を飾った。また、今年3月に行われた全国高校選抜大会では2012年度以来、2度目の準優勝となり、就任6年目となる渡辺勉監督の元、部員30人(選手27人、マネージャー3人)のチームは全国優勝を狙える強豪校の仲間入りに近づいている。
■準決勝戦 2投手完璧リレー、自慢の打線が爆発。投打で圧倒決勝進出―
午前9時、曇り空ながら時折、日が差す高根総合グラウンドで準決勝が開始された。山梨学院の対戦相手、富士河口高校の先攻で試合は始まった。山梨学院先発は、100キロを超す直球とチェンジアップが持ち味の向山琴葉(3年)がマウンドに上がった。立ち上がり向山は先頭打者を空振り三振に打ち取ると、続く2番・3番も空振り三振に仕留めた。1回裏、山梨学院打線が火を噴いた。1番・遠藤愛実主将(3年)が死球で出塁すると、2番・塩田優和(1年)がセフティバンドで出塁。3番・本田光音(3年)も四球を選び、無死満塁。4番・向山は左中間を破る適時二塁打で2点を先制。さらに櫛渕あい(3年)の2点本塁打、穴久保瑠華(3年)、島田みん(3年)などが安打でつなぎこの回、一挙に8点を奪った。2回裏にも、打線の猛威は収まらず、8安打で7打点を加え15-0とした。先発の向山は大量点に守られ1回で降板したが2回以降継投した久保井美羽(1年)もダイナミックな投球を披露。完璧リレーで4回まで完全試合のコールド勝ちで決勝に進んだ。
※決勝戦も守備配置図同じ
◆《6月12日 準決勝 北杜市・高根総合グラウンド》
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 合計 | |||
富士河口湖高 | 0 | 0 | 0 | 0 | - | - | - | 0 | ||
山梨学院高 |
8 | 7 | 0 | × | - | - | - | 15 |
※4回コールド
山梨学院高:投手:向山琴葉⇒久保井美羽(1年)―捕手:田口心彩(3年)
〔投手〕向山:投球回数1回、投球数11、打者3、被安打0、四死球0、三振3
久保井:投球回数3回、投球数37、打者9,被安打0、四死球0、三振5
〔打撃〕安打15(本塁打:櫛淵1、三塁打:遠藤1、二塁打:向山1、島田1、穴久保1)、四死球3、三振0
〔交代〕遠藤(遊)⇒金子実依奈(遊・1年)、島田(一)⇒H赤塚結里奈(一・2年)、田口⇒H桒原華歩(2年)、及川⇒H牧野ほのか(3年)
◆決勝戦 エース向山好投。22度目のインターハイ出場権獲得―
午前11時10分に始まった決勝戦は、山梨県高校総体決勝でも対戦し勝利している帝京第三高校。後攻の山梨学院は準決勝と同じく向山琴葉が先発した。1回表、1番・2番・3番打者をここでも三者連続三振で切ると1回裏、山梨学院打線は、2番塩田、3番本田の左翼線を破る二塁打で三塁・二塁とするもその後が倒れ無得点。2回裏、2点を追加した一死満塁に3番本田が右中間を破る走者一掃の適時二塁打。送球の間に三塁を陥れた。その後も1点を重ねこの回6安打6点を奪い主導権を握った。向山は3回表にも三者連続三振を奪うなど相手打線を完全に抑え込んだ。唯一、このまま無失点で抑えればコールド成立の5回表、先頭打者3球目、二塁と中堅の間に落ちる浅い安打を記録されるも後続を打ち取り、9-0コールドで下し、今大会3試合すべてコールド勝ち優勝。インターハイ4大会連続22回目出場を決めた。
■《6月12日 決勝戦 北杜市・高根総合グラウンド》
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 合計 | |||
帝京第三高 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | - | - | 0 | ||
山梨学院高 |
0 | 6 | 0 | 3 | × | - | - | 9 |
※5回コールド
山梨学院高:投手:向山琴葉―捕手:田口心彩
〔投手〕向山:投球回数5回、投球数49、打者15、被安打1、四死球0、三振8
〔打撃〕安打13(二塁打:本田2)、四球1、三振1
〔交代〕及川⇒R北村⇒及川、島田(一)⇒R牧野⇒赤塚(一)、田口⇒R穴久保⇒田口、
及川⇒H中山若葉(1年)
■閉会式・表彰式後のインタビュー
渡辺努監督は「選抜で準優勝とかで周りから過大評価されている中で県大会ってかなりプレッシャーが掛かる大会なのでその中では何とか代表権を取れてほっとしているというのが本音です。今日の試合ではまだまだのところもあるのでここからまだ時間もあるのでまた調整したいですね」と大会を振り返る。インターハイに向けて、「昨年はいろいろな運もあったし、勢いもあり、去年は去年、今年は今年なので何とか一つでも多く戦わせてあげたいです。優勝目指して頑張りたいです」と話した。遠藤愛実主将は「今大会は自分たちらしく試合ができたのでインターハイでは次こそは真の日本一を取れるように頑張ります。今のチームは、昨年経験している人が多いのでその選手を中心に投打ともバランスの良いチームだと思います。全国大会は県大会に比べてレベルが高いチームが多いのでいいピッチャーとか、いい相手をイメージして練習していきたいと思います」と意気込む。エースの向山琴葉投手は「決勝戦はうちが点を取るまで自分が頑張って零点で抑えようという気持ちで投げました。自分としては結構いいコンディションで投げられたので良かったと思います。去年は4校同時優勝でしたので今年は単独優勝できるように頑張ります」と話した。
四国4県によるインターハイ「第74回全国高等学校女子ソフトボール選手権」は高知県高知市春野で開催。8月4日から7日まで競技が行われる。前回大会は雨のため準決勝、決勝戦が中止になり4校が優勝を分け合い、山梨学院は初優勝の勲章を受けたものの、複雑な気持ちが残った。さらに今年3月に行われた全国選抜大会では準優勝と決勝戦で敗れた高校との違いを思い知らされた。インターハイまで約2か月。今度こそは全国大会に真の優勝を目指し、賜杯を山梨に持ち帰る。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2022.6.12