●山学高ラグビー部 全国7人制県予選で存在感
~準決勝で王者日川高に先制するも惜敗。3位~
~同学年対決の秋に手応え 花園へ邁進~
「第9回全国高等学校7人制(セブンズ)ラグビーフットボール大会山梨県予選」が6月18日、南アルプス市御勅使南公園ラグビー場で行われた。山梨学院高校は昨年、大学ラグビー部との高大連携で競技力を上げ、“花園”常連校の日川高校を破ることを目標にラグビー部を復活した。2006年の休部以来、15年ぶりの再始動となる。1年生だけの新生ラグビー部の再始動公式戦が本大会で決勝の日川高校に敗れるも準優勝を飾り船出した。2年目の出場となる本大会で再び日川高打倒を目標に大会に臨んだ。1回戦、甲府工業高との対戦では、立ち上がり#11芦澤亮介がトライを決めると立て続けに#9三木良唯吏が2本ずつトライし前半を20-0で折り返すと、後半も開始早々から山梨学院の攻撃は収まらず、5本のトライと3本のゴールキックで31-0と相手に得点を与えず51-0と大差で勝利。日川高との準決勝に進んだ。山梨学院は前半1分、当たり合ったこぼれ球を#13初鹿野揺帆がトライで先制。日川も反撃、50mを独走するトライで同点に追いつき前半を7-7で終了。後半に入ると日川がスピード、パススキル、フィジカル面での個々の強さを発揮、徐々に圧力を掛け0-10と後半を支配した。山梨学院は7-17で敗れ3位となるも、着実に差が縮まった収穫ある大会となった。
■復活2年目、山梨学院高校ラグビー部 目指す花園ー
山梨学院高校ラグビー部は昨年4月、2006年休部以来15年ぶりに復活。再始動して2年目を迎えた。創部に関しては、日本代表やトップリーグで活躍する選手を多く輩出し、現在、関東大学ラグビーリーグ2部に所属し1部に返り咲きを狙う山梨学院大学大学ラグビー部の存在が大きい。高大連携していくことで効果的な強化育成を目的にし、県内の有望な中学生が県外の強豪校へ流失している現状を阻止したいという思いから、練習環境が整っている部を創設することでラグビーを志す生徒を後押しし、県全体のレベルの底上げを図る。復活から1年を経過し、コロナ禍のために来日が遅れていた留学生2人も合流。さらに1年生にも留学生2人を含め26人が新しく加入、部員総数54人(マネージャー含む)となり選手層が厚くなりつつある。
■7人制ラグビー スピード感と個人技が見どころー
7人制ラグビーは15人制ラグビーとルールの違いはほとんどないが、スクラムを組むフォワードは8人に対して3人。バックスは7人に対して4人で同じグラウンドで試合を行うため、人数が少ない分多くの運動量を求められる。パスやキックでつなぐプレーが多くなり、個々の身体能力に頼る部分が多く、足の速い俊敏な選手が有利なるため、全員でボールを動かし走り負けないラグビーを信条とする山梨学院高ラグビーが機能することができれば、十分優勝する可能性を秘めている。
山梨学院高校は昨年6月、本大会で公式戦初陣を果たし、初戦を都留興譲館に勝利、準決勝の富士河口高校には前半0-10とリードされるも、後半逆転、21-10で勝利し初出場決勝戦に進んだ。決勝戦相手は強豪日川高校だが、14-58と敗れるも健闘、準優勝を飾った。しかし、その後の15人制の公式戦では新チームになった5月の県総体戦まで日川高校にはスピード、テクニック、フィジカル面が課題となり厚い壁となってきた。
■初戦、甲府工業高戦ー
右から左へ攻める山梨学院高のキックオフで始まった。前半開始早々、左サイドへ展開すると#11芦澤涼介(2年)駆け抜け左中間にトライで先制すると、その後#9三木良唯吏が右中間へトライ。1-0とリード。続けて再び#11芦澤、#9三木が連続トライして前半を20-0で後半へ。ここまで自陣で相手にプレーをさせていない山梨学院の攻撃は止まらず、1分、パスをつないで受けた#13初鹿野遙帆が左中間にトライ。2分後、#5加藤賢生、続けて#12宮下悠空はパスを受けて左サイドを30m駆け抜けた。後半の3トライはキッカー#12宮下のゴールキックも決まり21点を重ねた。その後も#15渡邊颯太、#13初鹿野が止めのトライを決め51-0で快勝。日川高校との準決勝に進んだ。
■山梨学院セブンズメンバー
#1平塚優斗(2年)、#2佐野涼太(1年)、#3PAEA(1年)、#4雨宮巧弥(2年)、
#5加藤賢正(2年)、#6小林海音(2年)、#7吉野大翔(2年)、#8篠原悠士(1年)、
#9三木良唯吏(1年)、#10小島咲太朗(1年)、#11芦澤涼介(2年)、#12宮下悠空(2年)、#13初鹿野遙帆(2年)、#14松原健斗(2年)、#15渡邊颯太(1年)。
バックアップメンバー=JOSAIA(2年)、足達将太(2年)、小俣颯舞(2年)、朴霜焄(2年)、大森拓実(2年)、矢野悠斗(1年)、武田琉聖(1年)。
◆《山梨学院高校結果 初戦》
第9回全国高等学校7人制(セブンズ)ラグビーフットボール大会山梨県予選 《山梨学院高VS甲府工業高》6/18 御勅使南公園ラグビー場 |
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○ 山梨学院高 51 | 前半 20-0 後半 31-0 |
0 甲府工業高 ● |
山梨学院トライ=#11芦澤涼介2、#9三木良唯吏2,#13初鹿野遙帆2、 #5加藤賢正1、#12宮下悠空1、#15渡邊颯太1 ゴールキック=#12宮下悠空3 |
日川高とは昨年、山梨学院高公式初陣となった本大会決勝で対戦。14-58で敗退するも準優勝を果たした。全国高校ラグビー大会(花園)県予選では150-0と大敗を喫し、1年生だけのチームは王者日川高の壁の厚さ見せつけられた。しかし、今年の新人戦では12-38、今春の県総体では初戦に対戦。前半0-21、後半14-14、計14-35と敗れるも善戦。少しずつだが着実に差を縮めている。
試合は、日川高のキックオフで始まった。開始早々から互いにボールを奪い合う中、1分、当たり合ったこぼれ球を#13初鹿野遥帆がトライ、#9三木良唯吏(1年)のゴールキックも決まり、山梨学院高が7点先制した。その後も日川陣地に攻め込むが4分、ボールを奪われ、そのまま約40mを独走され中央にトライ。ゴールも決められ7-7の同点に追いつかれた。同点のまま後半に入ると1分、タックルの当たり負けから左サイドを駆け抜けられ左中間へトライ。7-12とリードを許した。一方、山梨学院も3分、右サイドで攻撃を展開、パスを受けた#9三木がトップスピードでゴールラインに迫るも相手ディフェンスにタックルされ外へ出された。あと一歩で流れを左右するトライを逃した。その後、激しい攻め合いも日川のボールに対する執着力と相手への圧力でボール支配。残り2分、左からの素早いパス回しや山梨学院のタックルをかいくぐる展開に追いつけず、ダメ押しのトライを奪われ、7-17。それでも最後まで諦めない山梨学院セブンズは必至にボールを追うもノーサイドの笛が鳴り響いた。負けはしたものの、好ゲームを繰り広げチームの成長を印象付けた。
◆《山梨学院高校結果 準決勝 VS日川高校》
● 山梨学院高 7 | 前半 7-7 後半 0-10 |
17 日川高 〇 |
山梨学院トライ=#13初鹿野遙帆、ゴールキック=#9三木良唯吏 |
試合後、加藤賢正主将は「みんなが諦めないとかメンタルな部分では自分たちが仲間のためにという意識を持って戦えたかなと思っています。昨年と比べて自分たちのスキルも上がっていますし、組織的なアタック、ディフェンスもできていたので、それをもっともっと伸ばしていって、最終的に秋の花園予選を勝ち切り自分たちの目標の出場を果たしたい」と力強く決意を示した。古屋勇紀監督は「まだまだ日川高校さんに比べて一対一の部分で劣っているところが出ましたね。体の強さもスキルも含めてですが。チームは学年は若いですが若い選手なりに諦めずにボールを追い続けるいいところが出たと思います」と一定の評価をした。秋に向けては「気持ちを切らさずにやるという子どもたちがほとんどなのでこの部分は大事にしながら個々の強さを追求していきたい」と同学年で戦う花園への道に期待を寄せる。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2022.6.18