●第12回「山梨県ケーキショー2022」開催
~ジュニア最高賞の協会長賞に小山田さんが輝く~
~9人が各賞受賞 滑らかさと細かい作業に好評価~
第12回「山梨県ケーキショー2022」が6月25日・26日の両日、ラザウォーク甲斐双葉店で開催された。山梨県洋菓子協会が会員の技術向上を目的に2010年から開催しているケーキの祭典。当日の会場には協会に加盟する県内洋菓子店のパティシエの作品に加え、22歳以下のジュニア部門に山学短大食物栄養科パティシエコース(2年)20人の創作ケーキが出品され技を競った。2日目の26日は、コンテスト授賞式が行われジュニア部門の最高賞・協会賞に小山田美優さんが輝いた。ジュニア部門2位の技術指導委員賞には小岩井瑶子さん、ジュニア3位の金賞に保坂ゆらさん、銀賞・佐藤麻袖、銅賞・中村幸恵さんが受賞した。その他メーカー賞として4人が受賞。山学短大食物栄養科パティシエコースの技術の高さを証明した。会場で行われた授賞式では山梨県洋菓子協会の野田清彦会長から各受賞者一人ひとりに賞状が授与された。野田会長は「コロナ禍で3年間このような授賞式もできませんでしたが、作品は3年間を積み重ねパワーアップしている」と講評した。この日は、週末ともあり会場に並べられた作品は、家族連れなど多くの買い物客の目を楽しませていた。
■12回目を迎えた「山梨県ケーキショー」とはー
洋菓子は時代とともに食するだけではなく見て楽しむ芸術作品として扱われるようになり、デザインや技術の向上は目覚ましいものがある。形や技術を競う洋菓子コンテストとして約40年の伝統を誇る国内最大規模の「ジャパンケーキショー」をもとに山梨県洋菓子協会が会員の技術向上を目的に2010年から「山梨県ケーキショー」をケーキの祭典として山梨独自の作品コンテストを実施。毎年、パティシエや専門学校、山梨学院短大生など山梨県内の洋菓子界を担う人材の力作が出品され、洋菓子業界を牽引してきた。出品部門は3部門。第1部デコレーション、第2部工芸菓子、第3部が22歳以下のジュニア部門に分かれ、ジュニア部門は仕上げはバタークリーム仕上げ、マジパン仕上げ、アメ細工と決められている。「山梨県ケーキショー」は毎年土・日の休日に行われ今年も6月25・26日にラザウォーク甲斐双葉店で開催され、山梨学院短大は発足当初から参加し一昨年の中止を挟んで今回が12年連続となる。今年も山梨学院短大食物栄養科パティシエコース2年生は「製菓基礎実習(1年次)・製菓専門実習」で学んできた技術で、マジパン仕上げの創作ケーキ20作品を出品した。※(マジパン=アーモンドと砂糖を練ったものでケーキなどのデコレーションに使われる)。審査結果は、山梨学院短大からは、山梨県洋菓子協会ジュニア部門最高賞の山梨県洋菓子協会会長賞を小山田美優さんが受賞し、ジュニア部門で新設された技術指導委員長賞に小岩井瑶子さん、山梨県洋菓子協会ジュニア部門金賞を保坂ゆらさん、銀賞・佐藤麻柚さん、銅賞に中村幸恵さんが選ばれた。他にメーカー賞には、成嶋美月さん、三井彩さん、神田凜花さん、志村明香さんの4人が選ばれ計9人が受賞した。山学短大生の洋菓子技術の高さを証明した。会場に展示された色鮮やかでオリジナリティと可愛らしさ溢れる完成度の高い作品に多くの買い物客が足を止め、眼を輝かせ見入っていた。また、会場の一角には「ドリームケーキプロジェクト~食べてみたい夢のお菓子の絵~」の作品展示コーナーや生菓子の販売コーナーが設けられていた。例年行われていた子どもたち対象の体験教室は感染症防止対策を受けて今年も中止になった
■授賞式は4年ぶり会場の「ラザウォーク」で執り行われたー
昨年、授賞式は新型コロナウイルス感染拡大防止を受け、山梨学院短大学生のため、日時と会場を「ラザウォーク」から短大サザンタワーに変更して行われた。今回は山梨県の感染者減少と感染防止を徹底して従来の会場での授賞式に戻し実施された。式は、山梨県洋菓子協会・野田清彦会長から一般部門、ジュニア部門の受賞者に賞状を一人ひとりに授与し、それぞれが記念写真に納まった。野田清彦会長は初めに「コロナ禍で3年間このような授賞式もできませんでしたが、作品は間違いなく3年間を積み重ねパワーアップしている」と述べた後、ジュニア部門の講評で「作品の土台がみんな一律になりきれいに揃っておりました。その台の滑らかさはここ近年になかったものです。細かい作業も非常に(足を止めて)皆さんが見ていくだけの重みを持った作品が多かったです。ぜひ来年もパワーアップした作品を出品していただきたい」と出来上がりに高い評価を与えた。
■受賞後、作品と各受賞者の話を聞くー
授賞式後、作品名「Ⅾance with us?」で協会会長賞(ジュニア部門第1位)を受賞した小山田美優さんは受賞について、「獲れるとは思っていなかったのですごくうれしいです」と笑顔で一言。作品に関しては、「社交ダンスの漫画が好きでそれをモチーフに作りたいと思い、女の子のドレスのヒラヒラに苦労してそれに2週間ぐらいかかりましたけど、きれいにできて良かった」と作品のアイディアを明かした。将来は、「衛生面をしっかりとしたおいしいお菓子作りをするパティシエになりたい」と話した。作品名「Ⅾreamer」で技術指導委員長賞(ジュニア2位)を受賞した小岩井瑶子さんは「驚きとうれしさが両方あります。この賞は自分の誇りだと思うのでそれを胸に頑張っていきたい」とパティシエを目指す。制作するにあたって、「一人ではできなかったと思うので協力したりアドバイスをして進めていったのでそれが大事だった」と仲間との支え合いが実を結んだ。作品名「探検家と巨大野菜」でジュニア金賞(同3位)の保坂ゆらさんは「野菜をイメージして作ったのでリアルになるように色を工夫したのでそこが見てもらえたらうれしいでです」と自信作をアピールした。「最後に大きいキノコを乗せたんですがそれがうまく立たなくてそこに苦戦しました。もともと探検家というイメージをリアルに作りたかったので野菜と合わせたらどうかなと思いました。自分で一からアレンジして作る作品というのが初めてだったので、この経験を活かして、みんなの作品からもいろいろアイディアも見られたのでこれを活かして頑張っていきたいと思います」とこの経験を励みにする。作品名「白雪姫」でジュニア銀賞(同4位)を受賞した作品名「Library of time」xは「小さい頃から白雪姫のストーリーが好きで、白雪姫の幸せな場面をイメージして作りました。動物と白雪姫の表情にこだわって、目も可愛い風にして頑張って作ったのでそこはすごく気に入っています。自分自身細かい作業がすごく好きなのでこの賞を励みにケーキ作りにも活かしていきたいです」と受賞に満足した。将来は「東京のケーキ屋さんに修行して技術を学んで将来的には自分のお店を開きたい」と夢を馳せた。作品名「Library of time」でジュニア銅賞(同5位)の中村幸恵さんは「クラス全体の作品がみんな良かったので正直自分が入賞するとは思っていませんでした」。作品については、「最初にデザインしたものとだいぶ変更して、結構トラブルもありましたのでこうやって完成したのがすごくうれしい」と素直に受賞を喜んだ。「今回の賞で、自分にも作る能力があると確信できたので今後もさらに自信を持った作品に取り組んでいきたい」と抱負を話し、将来はパン屋さんを目指す。
担当の関戸元恵食物栄養科専任講師は「年々技術が上がっているということは、今年も審査員の方からも窺っていまして、やはり学生の努力と日頃のまじめな姿が作品に表れているのかなと感じます」と話し、さらに「(入学から)1年2か月を経ってこのケーキショーの作品を完成させなくてはならないのですけど、それまでに1年生の時のケーキショーだったり、ドリームケーキだったりのイベントを通しての製菓技術の向上もできていると思うので日々の授業の積み重ねが今回の成果かなと思います」と生徒の成長に目を細めた。
主催者挨拶で野田清彦山梨県洋菓子会長が、今年の一般部門の出品が少なく、コンテスト結果は激戦ではなかったと指摘した出品減少の理由は、コロナ禍の影響もあるだろうが、働き方改革など企業の様々な事情から製作する時間がないなどから出品が減少傾向にあると予測される。技術力向上を目的とするこのコンテスト存続ためには協会として、出品者を増やす検討が必要となる。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2022.6.27