●第104回夏の甲子園 山学高一歩及ばず初戦惜敗
~天理投手に散発 選抜同様1-2、僅差の敗退~
~約800人応援団の初戦勝利の願い叶わず~
8月8日、「第104回夏の甲子園」大会3日目4試合が行われ、山梨学院高校は第2試合に奈良の古豪天理高と対戦した。3年ぶり10回目の出場で県内初優勝を目指す野球部に山梨学院高応援団が駆け付け、三塁側アルプススタンドに陣取った。生徒会をはじめ、吹奏楽部やチアリーダー部、一般生徒、出場選手以外の野球部員、教職員、PTAなど学校関係者、それに野球部保護者会を含めて総勢800人余りが夏の強烈な日差しにも負けず選手たちに熱い声援を送った。試合は、先攻の山梨学院はこの日、エースナンバーを背負った山田悠希が1回裏、天理に2本の安打でいきなり無死三塁一塁のピンチを迎えるも後続を抑えた。
その後は2回、3回と安定した投球で3者凡退で切り抜けるが4回には2本の安打で1点を先制された。山梨学院打線は天理投手の緩急付けた投球を打ちあぐね無得点を続けた。天理は好投を続ける山田に6回に二死から連続二塁打を浴び1点を失い、7回から榎谷礼央を送り反撃を待った。0-2のまま最終9回を迎え二死を奪われ万事休すかと思われたが、6番渋谷剛生が右前打で出塁、7番岳原陵河が左翼フェンス際の応援団の前に適時二塁打を放ち1点を返し、なおも追加点を8番佐仲大輝に打撃に期待したが二塁ゴロに終わり1-2、センバツと同じスコア敗退となった。
■3年ぶりの夏の甲子園に800人を超える応援団が駆け付けたー
3年ぶり10回目の出場の山梨学院に対して、29回出場3度の優勝を誇る天理高(奈良)の試合が予定の30分遅れで午前11時開始となった。真夏の日差しが照りつける甲子園球場は3年ぶりに一般観客の入場制限がなくなり、多くのファンがスタンドに戻ってきた。山梨学院の応援団も2019年以来の夏の出場とあり、久しぶりのバス応援を実施。試合当日の午前1時大学駐車場をバス14台で出発。午前8時30分頃甲子園に到着、待機した。その後応援団は生徒、教職員、保護者など総勢800人余りが三塁側アルプススタンドに陣取り開始を待った。
■試合前、選手に向けて応援コメントをもらったー
相澤貴志野球部保護者会会長は「3年生にとっては最初で最後の夏の甲子園になりますので思い切り楽しんで山学で培った、積み重ねたプレーを甲子園で思う存分発揮してもらいたいですね。初戦の天理高という伝統校と当たるのでまずはみんなで一致団結して保護者会も一生懸命アルプススタンドから応援してまずは初戦突破をしてそれで波に乗れれば」と話した。
田口駿介野球部応援部長は「相手は強いので応援をしっかり選手に届けて絶対に勝てるように多くの応援団の前でダンスを踊る練習をしてきました。応援は全員でするものなので声は出せないないですけど、全員で音とかをきちんと合わせて自分たちも相手のプレッシャーになればいいかなと思います。勝ったらチームとして勢いがつくのでそれでどんどん一戦必勝でやっていけば上に行けると思うのでこちらでも一緒に戦います」と臨戦ムードを漂わせる。
斉藤明宏生徒会長は「春の甲子園では初戦敗退という非常に残念な結果になってしまったので選手たちには堅守速攻を徹底してもらって勝ち上がっていってほしいと思います。私たちも生徒も全力で応援して、甲子園というのは選手たちにとってはすごい舞台で私たちもそれを応援できることは光栄だと思っているので、全力で応援していきたい」と共に戦う決意だ
吹奏楽部・小林海斗部長は「抽選で強いところを引いてしまったということもあるんですけど、選手たちは勝ちたいという気持ちしかないと思うので、それを後押しできるような演奏をしていきたい。伝統のビッグウエーブとか、ほかにも野球部からの推薦曲が何曲かあって、流れにしっかり対応して盛り上げたい」と力強い音で対抗する。
倉澤結愛チアリーダー部長は「私たちの代の選手はこの夏を最後に引退してしまうのでしっかりエールを届けて頑張る活力になればいいなと思っています。練習はかなりしてきたのでチア部の踊りも見てほしいなという思いはあります」と勇気を応援で送る
今年卒業した野球部OBの三人(右から児玉暖空さん、丹羽凛太郎さん、小谷光瑠さん)。児玉さんは「天理ということで厳しい戦いが予想されるので山梨学院の粘り強さを発揮してメンバー以外にもいっぱいいるのでチーム全体で勝ってほしい」と自分たちが成しえなかった甲子園勝利を託した。
■春・夏連続出場同士の対戦始まるー
山梨学院の先攻で始まった。初回の攻撃、応援団は全員立ち上がりメガフォンを手にブラスバンドの曲に合わせ打ち鳴らした。二死後、3番岩田悠聖(3年)の中前打が出るとひと際大きな音が鳴ったが後続が倒れた。山梨学院先発は山田悠希(3年)。県大会の好投によりエースナンバーを背にマウンドに上がった。1球、2球と140キロを超える速球にスタンドからため息が出た。粘られた7球目を遊ゴロ内野安打で出すと次打者の右前打で無死三塁一塁のピンチを招くも、後続を落ち着いて処理しピンチを凌いだ。一方の天理の投手は緩急を使い分け山梨学院打線を後押しする応援を尻目に好機の目を潰す。攻撃では4回、好投を続ける山梨学院山田を一死後、4番打者が初球を狙いすまし、左翼線を破る二塁打で出塁すると二死二塁で6番打者が中前適時打で走者を返し1点を先制した。追いつきたい山梨学院は野球部応援団を中心に吹奏楽部、チアリーダー部が生徒、保護者会が打撃陣に懸命な応援を繰り広げるが走者をだすものの、要所を締められ得点に至らない。6回、天理の攻撃を山田は簡単に二死を取るが、再び4番に二塁打を浴び、続く5番打者に山梨学院応援団のアルプススタンド前の左翼線を破る二塁打で1点を追加された。応援団からは声にならないため息が漏れた。7回表一死後、7番岳原陵河(2年)が右中間二塁打で得点圏に出塁。応援団から得点の期待が高まったが後続が2三振を喫しかわされた。山梨学院はその裏、榎谷礼央投手(3年)を投入、榎谷は7回、8回と期待通りの投球で天理打線を抑え、9回の反撃を待った。しかし、打線は中心打者の4番高橋海翔(2年)、5番相澤秀光(3年)が打ち取られ後がなくなった。祈る気持ちの応援団の声援の中、続く6番渋谷剛生(3年)が右前打で出塁。次の岳原は前の打席で二塁打を放ち、期待が高まる中、2球目の変化球を振りぬくと打球は左翼フェンス際まで飛んだ適時二塁打となり1点差に迫る快打で意地を見せた。これでアルプスタンドはこの試合一番の応援ボルテージを上げ、次打者の佐仲大輝(2年)を後押しした。しかし、初球を狙うも二ゴロとなりゲームセット。目標は潰えた。
■山梨学院高校VS天理高校 大会3日目1回戦第2試合 甲子園球場
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 合計 | |
山梨学院高 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 |
天理高 |
0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | × | 2 |
山梨学院高 山田⇒榎谷2回 ー[捕手]佐仲
[投手]山田:6回 打者24 投球数84球 被安打7 奪三振5 与四球0 失点2
榎谷:2回 打者9 投球数25球 被安打3 奪三振3 与四球0 失点0
[打撃] 安打7《二塁打:岳原2》三振5 四球2
[交代]山田⇒(H)山本和輝(3年) 岳原⇒(R)星野泰輝(2年)
山梨学院高校野球部はセンバツ大会に続いてまたも同じスコアの1-2、僅差で初戦敗退した。大会前、県内初となる優勝も夢ではないと夏に向けてにさらに打撃強化に取り組み、エース榎谷投手に県大会で急成長した山田投手も加わり投打のバランス力を備えパワーアップした姿で甲子園に臨んだ。しかし、試合は敗れたが先発の山田は2点を失ったが期待通りの役割を果たし、榎谷は2番手で持ち味を生かし好投した。打線は相手投手の緩急を活かした投球に打線のつながりを封じられるも、最後まで諦めないしぶとさを見せ応援団の期待に応える野球を見せてくれた。“一歩及ばなかった”。チームにとっては悔いが残るが全力を尽くした結果。初戦に校歌が聞かれなかったのは残念だが、一塁アルプスタンドに向かって整列した選手に応援団からは温かい大きな拍手が送られた。夢は大事に来年まで取っておく。
試合後、野球部のファンという二人(右から渡辺さんと小花さん)。渡辺さんは「春も応援しに行って、1回戦で負けてしまったので今回1回戦に勝てるといいなと思っていたんですけど、負けてはしまったですけどすごくいい試合だったので良かったです」。小花さんは「同い年でずっと応援していた選手なのですごく悲しいというか、タイムリーツーベースで点を決めて最後佐仲君のセカンドゴロで終わってしまったですけど、もう1点というプレッシャーはあったと思うけど」と思いやった。さらに「2年生も3人くらい入っているチームなので来年、また頑張ってほしい」と話した。これからも多くの山梨学院ファンが応援を惜しまない。
文(K.F) カメラ(藤原 稔) 2022.8.9