山梨学院広報課

HOME

山梨学院パブリシティセンターニュースファイルイメージ画像

●【対談】桐蔭横浜大・森学長、山梨学院大・青山学長
~大学づくりや教育改革、学長としての役割を意見交換~
~共に学生中心の教育で社会に貢献する人材育成目指す~

桐蔭横浜大学・森朋子学長と山梨学院大学・青山貴子学長が9月22日に対談し、大学づくりや教育改革、学長としての役割などについて意見交換を行った。両学長はともに今年4月に学長に就任。森学長は前日21日、河本達毅同大副学長とともに山梨学院大学を訪問し、青山学長らと情報交換。この日は午前9時から、山梨学院広報スタジオで対談し、学生を中心としたカリキュラム改革のための大学の変化や学長としての役割、大学間連携などについて議論を交わした。変化の激しい社会の中で、学生がたくましく育っていくために、青山学長は「どんな学生にも魅力の種は備わっている。そこを伸ばして社会に送り出す意味で、大学の果たす役割は大きい。なかなか自信を持てない学生に対しても、(4年間で)しっかり自分なりの納得解を見つける後押しをする」と語り、森学長は「(学生が)私たちに合わせて勉強するのではなく、彼らに合わせて私たちがサポートする。学びの基盤を作ると学生たちは大きく伸びる」と共に学生が自信を持って社会に踏み出していくためのサポートシステムの重要性を説いた。また、カリキュラム改革や目的、新しい学長像や大学間連携の在り方など約2時間半にわたり熱く語り合った。
 
9月22日に行われた桐蔭横浜大学と山梨学院大学の両学長による対談は、午前9時から山梨学院広報スタジオで行われ、桐蔭横浜大学から森朋子学長、河本達毅副学長、山梨学院大学から青山貴子学長、成田秀夫学習・教育開発センター長が出席した。対談は、インタビュアーの進行で森朋子、青山貴子両学長の3人で進められた。
 
■両学長のプロフィール
桐蔭横浜大学・森朋子学長は、大阪大学言語文化研究科博士後期課程修了、ドイツ・ケルン大学哲学科の留学経験もあり、関西大学教育推進部教授を経て、2020年度に桐蔭学園に着任。幼稚園園長、小学校校長、大学副学長に就任後、今年4月に学長に就任。教育研究開発機構長、小学校校長、幼稚園顧問を兼務している。桐蔭横浜大学の歴史は、1964年に学校法人桐蔭学園が設立され、1988年に桐蔭学園横浜大学が開設、1997年に桐蔭横浜大学と名称が変更され現在に至っている。学部は法学部、医用工学部、スポーツ健康政策部の専門性の高い3学部を有し、2023年度からは現代教養学環を開設予定。
 
山梨学院大学・青山貴子学長は、2004年東京大学文学部卒業、同大大学院教育学研究科生涯教育コース修士課程修了。2009年山梨学院大学現代ビジネス学部講師として着任。以後、生涯学習副センター長や教育開発センター長を歴任し2019年に教育研究担当副学長に就任した。2020年から経営学部(現代ビジネス学を再編)教授。専門分野は社会教育学・生涯学習・メディア文化史。2022年4月に学長に就任した。学部は法学部、経営学部、健康栄養学部、国際リベラルアーツ学部、スポーツ科学部の5学部。
 
◆《対談の一部を抜粋紹介》
■大学の変化・役割―
午前9時過ぎに始まった対談は、インタビュアー・佐藤智氏の進行で始まった。最初に両学長による大学の掲げる教育理念、教育目標の紹介があり、続いて先行きが見通せない時代における大学の変化、役割について話し合った。青山学長は今の学生は人と接したり、社会にどう向き合っていけば良いのかわからない。自分に自信が持てないと感じていると話し、大学としての役割として「どんな学生にも魅力の種は備わっている。そこを伸ばして社会に送り出す意味で、大学の果たす役割は大きい。なかなか自信を持てない学生に対しても、(4年間で)しっかり自分なりの納得解を見つける後押しをする必要性がどの大学も強まっている」と語った。引き継いで森学長は「彼らにはものすごく伸びしろがあると感じています。ここまでの学習は、ほんの小さなもので、そこまでの経験がすべてになってしまわないようにというのが大学の役割だと思っています。今までは手に職を持っていればという時代があったと思いますが、それが高度経済成長期が終わり、その都度対応が必要になり、ここまでの学びや学習が全く違うものが必要になってきました。18歳からの学び直しが十分に可能なチャンスがある時代が来たと思っています。その意味ではしっかり大学を選んでいただければ、もっと彼らは伸びると思います」と個性を大事にする大学の役割を論じた。
 
■なぜ改革が必要なのかー
森学長は「専門性が高い職業を18歳の段階で決めることは、今の100年時代にそぐわないと思います。何にでもいつでもなれるので、その基盤をつくることがいいだろうと判断で、桐蔭の改革として、どの学部においてもまずは基盤づくりが大学の大きな使命なのかなと感じています。非常に青山先生と価値観が同じ方向を向いているなと思うので、私たちに合わせて勉強しなさいではなく、彼らに合わせて私たちがサポートすると大きく伸びると思います」と述べ、青山学長は「まさに共感しかないですね。私も森先生と同じ方向に向いていると感じましたが、たぶん他の大学のリーダーも同じように感じている方は多いと思います。それを置かれた大学の歴史や強みがそれぞれあるのでその中で何を活かすかを皆で構築しているのかなというイメージを持ちます」と語った
 
■これからの大学の取り組みついてー
青山学長は「学生を伸ばすために大学はどうしていくのか。山梨学院大の教育目標「たくましく生きる力」を育てるために学生をどのように育成するか。バックグラウンドとしての学生の変化を自信のなさだったり、社会や他者との向き合い方の戸惑いという背景から学長就任時に5つのアクションプランを提示しました」と以下の5つのプランを挙げ、具体的内容を説明。①社会接続型カリキュラムの充実。②国際性豊かなキャンパスづくり。③自律的学習者を育てる総合的な学習支援。④内部保証システムの確立。⑤高・大・社会を通じて長期にわたる連携する地域ネットワークづくりの構築。これらにより、すべての学生が自信を持って社会に踏み出していくために「後押しをするというか伴走していくような大学づくりを目指す」と語った。森学長は「背景には、すごく社会が変化してきていることもあり、学校って社会が変わって10年後位に変わるんですよね。でも学生はその間もどんどん輩出されていくので大学も早く変わらねばと、新たに『ユニバーシティ・ポリシー』を作成しました。その中で『人生と学びの基盤となる力』となる6つの力を掲げました」と話し、①考動力、②複眼的思考力、③共感力、④リーダーシップ、⑤探究力、⑦自律的キャリアの各項目を挙げ、具体的な取り組みを説明した。
 
■新学長として思う学長の役割ー
少子化や社会情勢の変化の中で個性ある大学づくりへの学長の役割について青山学長は「最初に挙げられるのは分かりやすいメッセージの発信だと思います。学内の先生方一人一人は本当に素晴らしい教育観があり、ノウハウもたくさんお持ちでせっかくいいリソースがあるのにそこがばらついていると大きな駆動力とはなりにくく、学長としては同じベクトルに向くように分かりやすい方向性を伝えていくというのが一つ大きくあります。また、学外から見た時の“顔”にはなりやすいので学内と同じように分かりやすく学外にも伝えていくことが必要かなと思います」と話すと、森学長も「分かります。学内のコミュニケーションはすごく重要です。最近気付いたんですけど、学長ってこんなこともできるんだと青山先生とも親しくなれたんですけど、一緒に他の仲間を増やしてもっとこうしていこうと連携したら、ちょっと大げさですけど日本を変えることが可能な立場なんだとちょっと実感しています」と笑顔で話した。
 
■大学間の連携についてー
大学の変革を進めるために方法として、大学間のより緊密な連携を進める話に及んだ。
森学長は「学生が行き来できる仕組み作りができたら」「内地留学、地域留学みたいなことができるし、違う方が来ると学内の活性化につながっていく」などと話し、青山学長は「同じ地域課題の解決を目指しているゼミ同士や同じ競技のスポーツで頑張っている学生が交流すると共通項の違いに気づける」「中にいると気づけないことがたくさんあるので、本当は知りたいことがたくさんあるのでお互いのメリットになる」など次々にアイディアが噴出、話は盛り上がった。対談は和やかな雰囲気の中、二人が考える新しい学長像や組織づくり、地域連携の在り方など様々に展開。やりがい、プレッシャーを感じながらもチャレンジすることが楽しいと話が尽きない。
 
■学長としてこれからの展望をー
青山学長は「まずは風通しを良くしたいということです。それは学内の組織づくりもそうだし、学生同士、大学と学外、大学業界全体で潮流は必ずあると思っていて、その中で本学が周りを見ながら位置づけというのを定めて、風通しを良く進めていきたいと思っています。学内もいろんなレベルでのいろんな思いがある中で、できれば私が思っていることも伝えたいですし、皆さんが思っていることも伝わるような形にしておきたい」と風通しの良さの重要性を強調した。森学長は「責任が重いのは青山先生とか私たちの資質能力ベースの教育で学生中心の教育が成功すれば色々な大学が乗ってきてくれると思うんですが、ただ上手くいかなかったらやっぱり学問中心だよねというのが戻ってきてしまうので、そういう意味では、是非ここで成果を見せられれば、変わってくる可能性はある」と変革への取り組みの意義を語った。最後に二人は目指す方向が同じなのでタッグを組んで時間を懸けてこれからも議論していきたいと笑顔で対談を締めた。
 
対談を終えて、この機会を企画した成田秀夫山梨学院大学習・教育開発センター長は「私が二人を知っていたということがまずはきっかけなのですが、両学園の幼稚園から大学院までの一貫した教育体系など共通項がたくさんあり、地域は違いますが、情報交換したらお互いにメリットがあるんじゃないか」と話し、「本当に社会で活躍されている女性の進出の伸びしろはまだまだありますし、そういう意味では女性の学長がしっかりと情報発信することに大きな意味があります。大学には専門性がある反面、そのことが今まで障害になっていた部分があり、それが柔軟に突破できていく可能性があるんじゃないかと思います。私たちも一緒にやっていくつもりです」と女性学長による大学教育の意義を話した。
 
二人の新任学長が目指す大学の変革のキーワードは「学生中心の大学」。学生のやる気を刺激し、焦らずに一人一人の個性を見守り、サポートし、社会に貢献する人材に育て上げることに情熱を傾ける。女性らしいしなやかさで組織を改革、学生に寄り添った学ぶ教育変革で大学に変革をもたらす。山梨学院大は「たくましく生きる力」を育成し、桐蔭横浜大学は「人生と学びの基盤となる力」を身に付ける。それらはすべて学生を全力でサポートする大学教育への熱い思いに溢れている。
文(K.F) 写真(藤原 稔) 2022.9.26