山梨学院広報課

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●第99回箱根駅伝往路16位、復路・総合14位
~4年生の力でシードに近づくも、シードの壁の重さ~
~個々の力とチーム力で戦い次は結果を残す~

2023年1月2日、3日、新春に熱い戦いが繰り広げられた「第99回東京箱根間往復大学駅伝競走」は、駒澤大学が総合優勝を飾った。10区間217.1㎞をシード校10校、予選会を通過した10校、関東学生連合チームを加えた21校が箱根を折り返し、大手町を目指す10区間で争われた。山梨学院大学は3年連続36回目の出場。7年ぶりのシード権を懸けて臨んだ。1月2日午前8時、東京大手町読売新聞本社前を往路1区の選手21人が一斉にスタートした。2日の往路は5区間107.5㎞。1区、山梨学院は前回大会同様、木山達哉を起用。木山は1位と12秒差の8位の好走。2区の10km27分台の記録を持つボニフェス・ムルア(4年)に襷をつなぐと、ムルアは快調に飛ばし8位から4位に順位を上げた。3区村上大樹が14位に順位を落とすも、4区はこの日区間変更の北村惇生が区間10位でチームを12位に上げた。5区山登りに抜擢された新本 駿はペースが上がらず16位で往路ゴールを切った。3日復路109.6㎞。山梨学院は他6チームとともに芦ノ湖を一斉スタート。シード圏内を目指し疾走した。6区高田尚暉は15位、7区石部夏希は14位、8区伊東大暉は13位と徐々に順位を押し上げた。9区高木翔瑛は失速し順位を15位に落としたものの、最終10区の篠原楓は区間5位の快走を見せ、14位で大手町のゴールテープを切った。7年ぶりのシード権獲得を目指したが来年に持ち越された。

■第99回箱根駅伝【往路】107.5km
◆1区[21.3km 東京大手町 ⇒ 鶴見中継所] 木山達哉
山梨学院は2020年不出場、2021年19位、2922年18位と下位に沈み、7年ぶりのシード権奪還を目指して大会に臨んだ。1区、2区で前半で流れをつかむべく、期待の二人に大会の浮沈を懸けた。1区は、全体的に平坦なコースで走りやすいが、集団で走ることが多く、どこで抜け出すか駆け引きが注目される。1区で流れを引き寄せるかが、以降の順位に影響を与えるため、各校のエース級のスピードランナー選手が投入される。山梨学院は1区に前回大会に続き、木山達哉(4年 香川・尽誠学園高)が3年連続出場を果たした。昨年11月の記録会で1万m28分36秒42、留学生に次いでチーム内3位を記録した。レースは序盤からOP参加の関東学生連合が抜け出し独走。それをスローペースの20チームが集団で追う形になった。残り3㎞でレースが動き、粘りを見せる木山は最後まで各大学のスパートに対応し前回大会14位を上回る8位で2区のボニフェス・ムルアに1位から12秒差で襷をつないだ。

◆2区[23.1km 鶴見中継所 ⇒ 戸塚中継所] ボニフェス・ムルア
「花の2区」と言われるエース区間。4年最後の箱根に初出場の ボニフェス・ムルア(4年 ケニア・キトゥムラ)は、11月の上尾ハーフマラソンで優勝し、1万メートル27分台の記録を持ち、11月の上尾ハーフマラソンで優勝し、さらなる上位進出を期待されスタートした。ムルアは前半の平坦コースでスピードを上げ、2km付近で創価大留学生とともに4位グループに浮上。その後は細かい起伏を繰り返すコースにも順調に順応。15㎞付近のこのコース難関の権田坂でももう一人の留学生と二人で通過。トップ争いには加われずも、同走の留学生を振り切り単独4位、個人区間順位5位で襷をつなぎ、前半で良い流れをつくった。

◆3区[21.4km 戸塚中継所 ⇒ 平塚中継所] 村上大樹
トップと1分2秒差で襷を受けた村上大樹(2年 青森山田高)は今大会へ向けの仕上がりも良く初の箱根駅伝出場を決めた。村上は良い流れを受け、さらに前との差を縮めようと走った。しかし、近年エース級が投入されるこの区間、平坦な第1ポイントの8㎞付近の藤沢地点で5位に順位を下げ、さらに海岸線を走る15㎞付近の茅ヶ崎ポイントでは8位、そして終盤にも順位を落とし14位と粘り切れなかった。

◆4区[20.9km 平塚中継所 ⇒ 小田原中継所] 北村惇生
4区は第93回大会から距離が2.4㎞延長され、5区に有利に進めるための重要区間と、ここもエース級の選手が起用されるようになった。前半から細かいアップダウンが続き残り、ラスト3kmの上りが踏ん張りどころ。この日区間変更で出場した北村惇生(3年 広島・世羅高)は10月の予選会でチーム日本人トップの18位、急成長を見せる。各大学スピードランナーを起用する4区に起用された北村は箱根駅伝初出場ながら1区の木山とともに往路区間に最重要選手と位置付けられる。9㎞付近の二宮の坂ポイントで14位と変わらない順位で通過。次の酒匂橋の15㎞付近までに前走の2選手を捉え12位に順位を上げ、5区の襷渡しでは個人区間10位と好走。チームの上昇に期待を抱かせた。

◆5区[20.8km 小田原中継所 ⇒ 箱根芦ノ湖] 新本 駿
通称、「山登り」の5区は、標高差800メートルを駆け上がる箱根駅伝最難関コース。逆転のドラマも相次ぎ、最高地点を上り切った下り坂でのスピードの切り替えも見どころ。
12位で襷を受けた新本 駿(2年 兵庫・報徳学園高)が5区山登りに挑んだ。新本は最初の5㎞地点では順位を1つ落とし13位も、まずまずの滑り出し。その後も淡々とレースを進めるたが中盤の12㎞付近では足をつるアクシデントがあり14位と順位を下げた。足の影響もあり、さらに下り坂が始まる残り5㎞では15位、芦ノ湖畔のゴールでは16位と悔しいゴールとなった。山梨学院は、往路優勝の駒澤大学から10分30秒遅れ、3日復路は、駒澤大スタート午前8時スタートから10分後に他の6チームと一斉スタートする。

■往路成績16位 往路時間 5時間33分40秒
区間 ランナー 区間時間 順位 合計時間 総合順位
1区 木山達弥(4年) 1:03:05 8位 1:03:05 8位
2区 ボニフェス・ムルア(4年) 1:07:21 5位 2:10:27 4位
3区 村上大樹(2年) 1:04:30 19位 3:14:58 14位
4区 北村惇生(3年) 1:02:46 10位 4:17:43 12位
5区 新本 駿(2年) 1:15:55 18位 5:33:40 16位


■第99回箱根駅【復路】109,6km区間
~箱根経験者4人を揃え、シード権奪還に挑む~

◆6区[20.8km 箱根芦ノ湖 ⇒ 小田原中継所] 高田尚暉 
通称「山下り」。往路の逆方向を行く復路の6区は初めに4㎞を上り、その後の急坂を一気にロスなく駆け下りるかがポイント。下り終わった残り3㎞の平坦コースに如何に足に余力を残していられるか勝負の分けれ目となる。往路16位と出遅れた山梨学院は復路で巻き返しを図る。シード権獲得ラインの10位とは4分24秒差。十分に挽回の可能性が残るタイム差である。6区山下りの重責を任されたのは前回大会1年生ながら3区出場経験を持つ高田尚暉(2年 秋田・花輪高)。箱根芦ノ湖畔をトップの駒澤大から10分後にOP参加の関東学生連合を含めた7チーム一斉スタートで小田原中継所を目指した。高田は、中盤のポイント箱根小涌園前を15位で通過するとその後も順位を守り、個人成績で10位と好走。シード権圏内の10位との差を縮め15位で襷をつないだ。

◆7区[21.3km 小田原中継所 ⇒ 平塚中継所] 石部夏希
前回9区を走った石部夏希(4年 神奈川・相洋高)は、前回20位とチームに貢献できなかったリベンジを誓って疾走した。この区間は、往路の4区で前半3kmが下りながらほぼ平坦、後半に小刻みなアップダウンが続き、気温も上がる難しい区間、ペース配分に注意を要する。15位で襷を受けた石部は、12㎞付近の二宮の坂では15位で通過するが最後は14位と踏ん張り、10位城西大とのシード権圏内から3分45秒差と芦ノ湖からの時間差を縮めシード権争いに希望を持たせた。自身の成績は区間9位と一桁順位と健闘した。

◆8区[21.4km 平塚中継所 ⇒ 戸塚中継所] 伊東大暉
8区の前半、この日、晴天に恵まれ富士山の雄大な姿を背に選手たちが疾走した。前半は海風、後半は16キロの遊行寺の坂など二つの急坂が待ち構える。伊東大暉(4年 鹿児島実業高)は、前回4区16位、2度目になる箱根駅伝に主将として挑んだ。14位で襷を受け取り、慌てず順調に前を追走した。最上級生としてキャプテンとして、シード権を賭し持てる力を振り絞り区間11位、チームを13位に順位を押し上げ、10位の城西大に3分42秒差に縮めた。

◆9区[23.1km 戸塚中継所 ⇒ 鶴見中継所] 高木翔瑛
9区にエントリーされたのは、初出場の高木翔瑛(3年 熊本工業高)。8区の伊東が13位と順位を上げて襷をつないだ。高木は序盤3㎞の下りでさらに順位を上げるべく前を追うも、復路のエース区間で実力者が揃う中、途中8㎞の権田坂で14位に順位を落とす、その後も最長区間のペース配分で苦しみ15位と順位を落とした。

◆10区[23.0km 鶴見中継所 ⇒ 東京大手町] 篠原 楓
10区は平坦なコースながら、気温の上昇やビル風、さらに最終走者としての重圧を抱えて大手町のビル群を目指して走る。最終区10区を任された篠原 楓(4年 愛媛・新居浜東高)は、21年、22年連続で出場し、前回大会では同じ10区で個人14位と悔いの残る結果になった。3連続の出場となる今大会で結果を出すと、15位で襷を引き継ぎ一時は16位と後退したが粘りの走りで2人を抜き14位で大手町のゴールを切った。個人では目標とした5位以内を達成した。
山梨学院は前回大会18位から14位と年々順位を上げ、7年ぶりのシード権獲得を目指したが、シード権圏内10位の東洋大との差は5分36秒。依然、シード権獲得までの壁は高く今大会も結果的には跳ね返されたが、優勝3回の実績を持つ名門復活を目指し、一つでも順位を上げようと走った。

■復路成績:14位 5時間30分23秒 ■総合成績:14位 11時間04分02秒
区間 ランナー 区間時間 順位 合計時間 総合順位
6区 高田尚暉(2年) 59:53 10位 6:33:32 15位
7区 石部夏希(4年) 1:03:58 9位 7:37:30 14位
8区 伊東大暉(4年) 1:05:25 11位 8:42:55 13位
9区 高木翔瑛(3年) 1:11:18 18位 9:54:13 15位
10区 篠原 楓(4年) 1:09:49 5位 11:04:02 14位

 

■往路・復路・総合順位(総合順位10位までがシード権獲得)
往路 大学名 復路 大学名 総合 大学名
1位 駒澤大学 1位 駒澤大学 1位 駒澤大学
2位 中央大学 2位 中央大学 2位 中央大学
3位 青山学院大学 3位 法政大学 3位 青山学院大学
4位 國學院大学 4位 創価大学 4位 國學院大學
5位 早稲田大学 5位 順天堂大学 5位 順天堂大学
6位 順天堂大学 6位 東洋大学 6位 早稲田大学
7位 東京国際大学 7位 早稲田大学 7位 法政大学
8位 法政大学 8位 國學院大学 8位 創価大学
9位 城西大学 9位 青山学院大学 9位 城西大学
10位 創価大学 10位 城西大学 10位 東洋大学
16位 山梨学院大学 14位 山梨学院大学 14位 山梨学院大学


駒澤大学は2年ぶり8回目の総合優勝を達成。出雲駅伝、全日本大学駅伝に続き3冠の偉業。熾烈だったシード権争いは上記表の通り。来年の第100回記念大会の出場権を得た。

■【箱根駅伝報告会・チーム成績発表】
大会終了後、大学に戻ったチームは午後7時よりカレッジスポーツセンターで大会報告会を行った。初めに高瀬智主務から成績が発表され、続いて区間走者、補欠の選手が感想を述べた。
◇1区の木山達也選手は「チーム目標だったシード権獲得には届かなかったですけどチーム全員で最後まで諦めずに挑戦することができました」。◇2区のボニフェス・ムルア選手は「箱根は初めてでしたが楽しかったです。応援をありがとうございます」。◇3区の村上大樹選手は「今回は今日まで本当に調子が良く、3区でも戦える自信があったんですが、本当に詰めが甘かった点が大きくチーム順位に影響してしまいました。来年はリベンジできるようにまた新体制から頑張っていきたい」。◇4区の北山惇生選手は「この経験は非常に自分へのいい糧になったので来年の箱根に向けて怪我することなく練習を継続していきたい」。◇5区の新本駿選手は「最初は順調に行っていたんですが、12キロ過ぎで足がつってしまい、そこは自分の準備不足で順位を下げてチームに迷惑をかけてしまいましたが、こういう大舞台でアクシデントがあったというのは良くないですが経験できたということは来年にこのようなことがないようにこれから1年頑張りたい」。◇6区の高田尚暉選手は「一斉スタートということもあり、後ろから前のチームを追いかけなければいけない立場ですごい責任もあったんですけど、しっかり自分の流れをつくるという面ではチームに貢献できたと思っています」。◇7区の石部夏希選手は「箱根駅伝のメンバーに入れなかった選手や最後まで7区の区間を争った岩谷や島津の分まで絶対に1桁で自分は走るんだいう強い思いを持って最後まで走りました。昨年とは違った走りができたと思っています」。◇8区の伊東大暉主将は「結果として目標であるシード権獲得ができなかったところはキャプテンとして申し訳ないですし、来年の100回大会を予選会から走るという形になってしまって本当に申し訳ありません。ですが4年生の走りを見て、復路に関しては4年生みんな順位をひとつずつ順位を上げてゴールしているのでそういったところを見ると、4年生の覚悟というものは後輩たちに伝わったかなと思います」。◇9区の高木翔瑛選手は「レースに関して自分の都から無さを実感する23キロだったと思っています。次の箱根は最後となるので今の4年生のようにしっかりと力をつけてまた箱根路に戻りリベンジできるように頑張りたい」。
◇10区の篠原楓選手は「自分は予選会が終わってから個人走を中心に下積みをしてきました。その結果、最後まで自分のペースで後半も落ちることなく走ることができました。特別なことはしていませんが自分行ってきた地道な練習を積んでいけば必ず結果につながるということが今回の結果で分かりました」と2日間を走った10人がそれぞれ感想を述べた。

レースを振り返り飯島理彰監督は初めに大会に挑んだ16人の登録選手にねぎらいの言葉を掛けた。続けて、「私が監督に就任してから2年間というものは故障者でベストメンバーが組めずああいう結果になりました。今回ある程度ベストメンバーで練習もしっかりできた者を起用して14位という結果で改めて箱根駅伝でシード権を獲ることは大変だなと感じています。君たちもシードを獲る優勝するということは容易ではないと改めて部員一同気が付いてほしい」と述べ、その後、監督がレース中の運営管理車から見た選手の感想を10区すべてで評価した。最後に「簡単にシード権は獲れないと今大会で監督として痛感しました。16人が万全な状態で練習できてスタート台に立っても14位ですから厳しい。その厳しい戦の挑む前にまた、予選会ですから。100回大会の予選会ですからどの大学も非常に力を入れてくると思います。そこに挑むわけですから甘い気持ちで箱根駅伝を、予選会を捉えないようにやっていくように」と厳しい言葉で報告会を締めた。

文(K.F) カメラ(平川大雪・藤原稔・今村スタジオ・Y.Y) 2023.1.3