●全日本大学女子サッカー選手権 準決勝
~山梨学院大は3対1で日本大を退け初の決勝進出~
~DF嶋田2得点の活躍、初の日本一まであと1勝~
第31回全日本大学女子サッカー選手権(インカレ)準決勝が1月4日に東京・味の素フィールド西が丘で行われ、山梨学院大は日本大と対戦した。試合は前半立ち上がりから中盤で競り合う一進一退の攻防。スコアレスのまま迎えた22分、ついに均衡が破れる。DF栃谷美羽(3年)からの右CKをDF嶋田 華(2年)が頭で合わせ山学が先制点を奪う。対する日大も29分に山学の最終ラインの連係ミスの隙をつき、同点に追いつく。突き放したい山学は、ビルドアップから攻撃を組み立て、43分、左CKのこぼれ球をDF嶋田が押し込み、勝ち越しに成功。さらに前半ATにはFW浜田芽来(4年)がPKを決め、3対1と試合をリード。後半も山学が試合の主導権を握ったが、ここまで1失点の日大の粘り強い守備に阻まれ、追加点を奪えず我慢の時間となる。一方の日大は選手交代で攻勢を強めたが、山学は応援スタンドの声援を背に最後まで集中力を切らさず相手の攻撃を防ぎ試合終了。山学は3対1で日大を退け、創部以来初の決勝進出を決めた。
インカレ女子サッカーは12月24日に兵庫県・三木総合防災公園で開幕。3年連続3回目出場の山学大は1回戦がシードされ、26日の初戦・2回戦で東京国際大(関東第7代表)と対戦し、WEリーグ・ノジマステラ神奈川相模原加入内定のFW浜田芽来の貴重な先制点を守り切り、準々決勝進出を決めた。続く準決勝では、大阪体育大(関西第1代表)と対戦。FW上田莉帆の2得点を含め、3対0と圧倒。兵庫ラウンドを無失点で勝ち抜け、2年連続で準決勝・東京ラウンド進出を決めた。準決勝の相手は、同じ関東大学リーグ(関カレ)で対戦する日本大(関東第8代表)。今季のリーグ戦対戦成績は1勝1負の五分で日大は初のベスト4入り。山学は昨年の準決勝でPK戦の末敗れ決勝進出を逃している。この日もバックスタンドには登録外の部員が陣取り、条件付きで認められた声出し応援で仲間を鼓舞。山学イレブンは、応援スタンドの仲間の声援を糧にピッチに立ち、試合は日大のキックオフで始まった。
第31回全日本大学女子サッカー選手権大会 準決勝 ≪山梨学院大学VS日本大学≫ 2023.1.4 会場: 東京・味の素フィールド西が丘 |
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〇 山梨学院大学 3 | 前半 3-1 後半 0-0 |
1 日本大学 ● |
山学得点者:嶋田 華×2、浜田芽来 |
■前半、DF嶋田が2得点の活躍。3対1と試合をリード。
試合は前半立ち上がりから中盤で競り合い、両校の堅い守備が光る拮抗した展開。一進一退の攻防となり、両校決定機を活かせずスコアレスのまま時間が過ぎる。山学は素早いプレスから攻守の切り替え、球際の当たり負けしない強さを見せ、徐々に試合の主導権を握り、22分ついに均衡が破れる。DF栃谷美羽(3年 修徳高)からの右CKをファーサイドでDF嶋田 華(2年 日ノ本学園高)が頭で合わし、ゴール左に流し込み先制点を奪う。対する日大も厳しいプレスとカバーリングから攻勢を強め、29分に山学のバックパスの連係ミスの隙をつき、同点に追いつく。1対1の振り出しに戻り、突き放したい山学は、セカンドボールを丁寧に回収し、ビルドアップから攻撃を組み立てる。43分、左CKのセットプレーのこぼれ球をDF嶋田が押し込み、勝ち越しに成功。さらに前半ATには相手のクリアボールをPA内でインターセプトしたFW浜田芽来(4年 十文字高)がドリブル突破をはかり、相手に倒されPKを獲得。これをFW浜田が落ち着いてゴール左に決め、3対1と2点リードし前半を折り返す。前半のスタッツは山学シュート9本・CK4本に対し、日大がシュート1本・CK0本と山学が終始押し込む展開となった。
■後半、山学は最後まで集中力を切らさず相手の攻撃を防ぐ
後半も前半の勢いそのままに山学が試合の主導権を握り、相手陣内でのプレーの時間が続く。山学は攻守に渡りフィジカルの強さを見せ、素早いプレスからボールを奪い、バイタルエリアまで侵入。しかし準決勝まで1失点の日大の枚数をかけた守備に跳ね返され、追加点を奪えず我慢の時間となる。後半25分、山学は2枚替えを行い、運動量を考慮しポジションを入れ替え、攻撃に変化をつける。37分には日大のパスを奪ったFW浜田がMF齊藤桃花(2年 藤枝順心高)に送り、途中出場のFW城倉歩未(4年 日本航空高)にスイッチ。FW城倉は、PA内までカットインし、迷わず左足を振り抜きミドルシュート。ボールは惜しくも相手GK正面で追加点は奪えず。一方の日大もサイドを広く使い、緩急をつけたショートパスをつなぎ、山学ゴールに襲い掛かる。後半も残り10分を過ぎると、山学は前半の失点を活かし、シンプルにはっきりとしたプレーで相手の攻撃を阻み、試合を進める。後半ATは4分、応援スタンドの声は最後まで途切れず、ピッチ上の仲間を鼓舞。選手たちも最後まで集中力を切らさず相手の攻撃を防ぎ切り試合終了。山学は3対1で日大を退け、昨年のベスト4の壁を打ち破り、決勝進出を勝ち取った。
試合後ミックスゾーンで取材に応じた村上裕子監督は「兵庫ラウンドが終わり、期間が開いて、堅いゲームになることは選手たちには言ってきたので、失点して拮抗した試合になりましたが、ピッチで選手たちが集中を切らさずに最後までやり切れたことが勝因だと思います。また、セットプレーで2点入り、嶋田華は能力に長けているポテンシャルのある選手なので、彼女の良さが出た2点だったと思います。うちはラージ(登録上限)30人、個性豊かでチームに絶対必要な選手を選んでいることが強みで、活躍できる選手が常にスタンバイしているので、練習の中で切磋琢磨してやっているので、こういう大会でも(層の厚さが)しっかり活きたなと思います」と試合を振り返り、初の決勝の舞台に向け「東洋さんには関カレで1度も勝てていないので、いつも東洋の壁を感じながらやってきたので、東洋さんに勝ってこその日本一だと思うので、胸を借りてそれ以上のものを見せられるように準備したいと思います」と述べた。ゲームキャプテンを務め、この日自身1得点の浜田芽来選手は「関カレ後期は日大さんに勝てていなくて良いイメージはなかったのですが、やはり勢いがあり、入りから苦戦はしました。先制しましたが、そのあと追いつかれ、普段であればそのまま落ちてしまうのですが、そこから巻き返せたのは大きな成長だと思います。(PKを獲得したシーンについて)自分自身もきょうの試合はどんどん仕掛けて打っていこうと決めていたので、そこが出たかなと思います。決勝の舞台でもいつも通り、自分たちらしく楽しんでプレーし、自分が得点を決めてチームを勝たせたいと思います」と語った。この日2得点の活躍の嶋田華選手は「日大も上手な選手が多くてきつかったですが、チーム力の部分で自分たちのやるべきことが90分間を通してできたと思います。1点目はセットプレーの練習を凄くやってきたので、その成果が出せて、2点目は(目の前に)こぼれてきたので運が良かったと思います」と得点を振り返り、「明日1日、攻撃や守備のコンセプトをしっかりと固め、決勝は勝ちたい気持ちもありますが、このチームでやる最後の試合なので、楽しんでやれば勝てると思うので、そこを大事にしていきたいです」と決勝への思いを口にした。
インカレ決勝は1月6日、東京・味の素フィールド西が丘で13時キックオフで行われる。山学の相手は、今季の関東大学リーグ2戦2敗と勝てていない関東第1代表の東洋大。山学は、創部以来まだ見ぬ景色を目指し、応援スタンドも一体となり、67人のこのメンバーで戦う最後の試合に挑む。
文(Y.Y)、カメラ(平川大雪)2023.1.4