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●山学短大栄養士コース「専門的実践力外部試験」
~2年間の学びに外部審査員の厳しい目からも高評価~
~十人十色。工夫を凝らした献立が並んだ~

山梨学院短期大学食物栄養科栄養士コースで2月15日、16日の両日、外部専門家に評価を受ける「専門的実践力外部試験」が実施された。この外部試験は、「卒業時における『質保証』の取り組みの強化」として学修成果を学内外の両輪で評価し、社会に目に見える形で提示していくもので、2年間の学びの集大成として行われた。栄養士コースでは2017年度から始められ今回で6回目となる。栄養士コース2年生58人が2日間午前・午後の部4グループに分かれ行われた内容は、成人女性(18歳~29歳)の学食や社員食堂で提供される冬(2月)の昼食献立を想定し、あらかじめ与えられた課題で献立を作成し、実際に1人分を調理・完成させる。学生は、この日までに何度も試作を繰り返し作った独自の献立を持ち時間1時間半で調理。調理中には3人の外部審査員が調理台を回り、学生ひとり一人の作業を見守り、学生があらかじめ提出した献立表を確認していた。料理完成後には、学生は審査員に献立についてのプレゼンで思いを伝えた。それに対して審査員との質疑応答が交わされ、専門家の厳しい視点で10項目にわたる調理の評価が行われ、完成後の講評で概ね良好との高評価を得た。結果発表は卒業式前に配布される。

■学外の専門家から評価を受ける「専門的実践力外部試験」とはー
山梨学院短期大学が2016年度(平成28年)文部科学省「大学教育再生戦略推進費・大学教育再生加速プログラム」に認定された事業計画の一つ、「卒業時における『質保証』の取り組みの強化」として「学外助言評価委員会の設置」から外部の専門家が評価する「専門的実践力外部試験」を2年生のカリキュラムに設定。2年間の学びの中で専門的な知識・実践力・総合的人間力を養い、専門職として社会に貢献できる力を卒業時に学生が確実に身につけられたのか、学修成果を学内外の両輪で評価し、目に見える形で提示していく仕組みとして食物栄養科栄養士コースは2017年度から行われ今回で6回目を数える。同科パティシエコースは認定年度の2016年度から実施し、今年度は1月25日に行われた。

山梨学院短大食物栄養科栄養士コースでは「喫食者に見合った献立作成ができること」「献立に沿った調理することができること」を栄養士の最も基本の専門的実践力と捉え、「専門的実践力外部試験」は、この2つがどれだけ身に付いたかを評価。身体活動レベルの普通(Ⅱ)の成人女性(18歳~29歳)が利用する学食または社員食堂の冬(2月)の昼食献立1食分を想定し、あらかじめ与えられた課題で学生たち自ら献立を作成。その後、教員の指導受けながら家庭での試作を繰り返し試験への準備を進めてきた。卒業に向けて、2月13日には卒業レポート発表会が行われ、続けて15日・16日に2年間の集大成となる「専門的実践力外部試験」が実施された。2年生58人が2日間の午前午後に4グループに分かれ実技試験に臨んだ。

■10項目にわたる詳細な評価基準ー
今回の評価は昼食『給食』を献立・調理を目的にしており、家庭料理ではなく1食の給食としての形がしっかりとれているかが大切となっている。①基準となる食品構成を参考に食事摂取基準を満たしているか。②食品構成をもとに1食分として適切な量となっているか。③1食分の体裁(主食、主菜、副菜の組み合わせ、分量など)が整っているか。④各料理の味付けは適切であるか。⑤衛生的(食材の取り扱い、加熱状況等)な配慮がなされているか。⑥「給食」として経済的な配慮がなされているか。⑦材料に対して適切な調理がなされているか(調理技術は適切であるか)。⑧適切な容器に体裁よく盛り付けられているか。⑨おいしそうな色合いとなっているか。⑩献立(料理)は、作成者の「意図」や「思い」が反映されているか。の10項目から評価され、A評価(優れている)10点、B評価(普通)7点、C評価(劣る)5点で採点。評価は、3人の学外審査員の得点の平均点を算出し、その値を「総合得点」とする。また、視点別得点も同様に、それぞれの視点ごとに3人の審査員の平均点を算出し、その値を「総合得点」とする。また、「視点別得点」も同様とする。外部試験の審査は、両日とも管理栄養士で山梨学院短期大学学外助言評価委員会委員の秋山知子氏と(同)堀口一美氏、本学食物栄養科卒業生で管理栄養士の赤澤明美氏の3人が審査員を務める。

■2年間の学びのすべてを懸けるー
取材した15日午前9時。「専門的実践力外部試験」1回目の試験前、短大51号館204調理学習室に集まった食物栄養科栄養士コースの学生たちは身支度、材料測定、調味料計測など事前準備を済ませ、試験開始を待った。試験に先立ち、開式で山梨学院短大食物栄養科・羽畑祐吾科長が挨拶の中で、「卒レポの時にも言いましたように『積み重ね』が大事です。自分がどれだけいろいろなものを積み重ねてきて成長したかというものを見せていただきたい。そのために今日は自分でプレゼンテーションをして、自分の思いということでもありますのでしっかりと2年間の集大成を審査員の先生だけでなく、食物栄養科の先生そして仲間に自分の成長ぶりを示してほしい」と述べた。続いて中川裕子食物栄養科教授から3人の審査員が紹介され、いよいよ卒業試験とも言える「専門的実践力外部試験」が始まった。学生たちは調理時間1時間半の限られた時間内に、2年間の学びのすべてを懸けて献立調理に挑んだ。何回も繰り返した試作に自信を持って調理する姿には真剣な表情の中にも余裕とつくる喜びが見られ、手際よく主菜、副菜、汁物を仕上げていった。審査委員は、調理開始とともに各調理台の学生ひとり一人に献立のアピールポイントや使用した食材、工夫点などを聞いて回り、上記の評価基準のチェックをしていた。調理の完成後は、出来上がり順に写真撮影、評価を行った。審査員は、それぞれの学生が調理した献立を試食しながら学生のプレゼンテーションや質疑応答で献立への思いを聞き、長年現場で培った経験と客観的視点から厳しい指摘やアドバイスを織り交ぜながら採点をしていた。

審査後、秋山知子審査員は総評の中で、「どの方もきちんと1食としての組み合わせができていました。そして色彩も、一つひとつをきれいにしている人も、全体としてきれいにしていた人も、それぞれ自分が良いと思うことをやっていたと思いました。(中略)皆さんはこれから栄養士として専門職の道を進んで行くのであれば、食べる人のことをすごく大事に考えてほしいです。私たちは仕事として一つのものを提供する時に、なるべく皆においしく食べてもらうために作ったり、考えたり、そして実際に食べた人が元気になって、長生きしてほしいと相手のことを頭に入れて、長いスパンで私たちは仕事をしていかねばならないと思います。皆さんの今日1日のこの経験がこれからずーと専門職として過ごしていくために大きな意味を持ってくれればいいと思います。今日の結果に満足するだけではなく、必ずあと何回か作ってみて、いろいろな角度から見て、良いと思うものを作り自分なりにきちんと今日の検証をして仕上げてほしい」と述べた。続いて堀口一美審査員は評価項目の➀~⑤まで、⑥から⑩までを赤澤明美審査員が講評をした。二人は、それぞれ専門家としての視点から概ね良好との高評価を与えた。審査員の3人はこれからひとり一人の10項目の評価を判定し、卒業式の前までに結果を報告する。

■十人十色。工夫を凝らした献立が並ぶ。調理を終えた二人の学生インタビュー
「豆腐おろしハンバーグ」の主菜と冬が旬のかぼちゃとブロッコリーのヨーグールトマヨサラダを調理した長野県茅野市出身の柿澤茉衣さんに自信の程を聞いた。「おいしく想像通りに出来上がりました。ハンバーグは豚のひき肉をだけでなく、豆腐を使用することで脂質が上がらないようにヘルシーに。副菜にはかぼちゃやブロッコリーなど栄養価の高い野菜を多く使いバランスを整えて作りました」と話し、審査員の前でプレゼンテーションしたことについては、「すごく緊張してうまく説明できるかなと思ったんですが、伝えたいことは伝ええることができました。実際に食べてもらっておいしいと言っていただいたので自信になりました」と笑顔で話した。卒業後は地元の給食施設に就職するという笛吹市在住の荻野芽衣さん「まだらのグラタン」を主菜に副菜には冬の味覚のリンゴに白菜でさっぱりした食感のサラダを添えた。アピールポイントは、「冬らしい料理を考えて、グラタンや冬の旬の食材を使ったサラダ、コンソメスープもかぶやニンジン、キャベツを入れて冬の味覚を楽しんでもらおうと思いました」。工夫した点は、「グラタンのほうれん草から水が出るので心配でしたがきれいに仕上がって良かったです。若い女性が対象なのでご飯には押し麦を入れて食物繊維を豊富にして便秘などを考慮したり、グラタンには牛乳ではなく豆乳を使用しました」と話した。卒業後は高齢者施設の栄養士として働き、管理栄養士を目指すという。

■6回目の外部試験を見守ってー
深澤早苗食物栄養科教授は今回の献立の傾向を、「設定が成人の女性なので野菜がたくさん獲れて、食物繊維も獲れ、エネルギーをコントロールしているという指向に学生が立っているのと、流行りの食材で今回オートミールが多く見られましたけど、今の時代を反映して献立を作っていて面白かったですね。レパートリーに富んでいたものも意外に多かったですし、評価が、味のバランスが良いと聞いていましたので学生も上手に工夫していたなと思います」と感想を語った。また、2年間指導してきて、「献立は、自分の料理のレパートリーが広がらないと上手にならないですね。だから家でどれだけ自分で料理をつくるかが将来、栄養士になってからもどれだけ自分の中に献立のストックがあるかによって提供できる献立が決められてきてしまうのでもっと多くの料理を作ってほしい」と自己研鑽に期待を寄せた。
結果発表は卒業式前日、3月14日の卒業式事前指導において配布される。

文(K.F) カメラ(平川大雪) 2023.2.16