山梨学院広報課

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●山梨学院大学孔子学院「中国琵琶演奏会」開催
~中国琵琶奏者の第一人者を迎えて演奏・体験会~
~中国伝統楽器の奥深さと美しい音色を堪能~

山梨学院大学孔子学院は2月18日、「中国琵琶演奏会」を山学大孔子学院大会議室で開催した。2019年に開設された山学大孔子学院は、山梨県民が中国文化や芸術に触れ、より中国への理解を促進してもらおうと、これまで中国語講座、太極拳講座など通年講座の開講や文化交流イベントの活動に積極的に取り組んできており、今回は2000年を超える歴史を持つと言われる中国琵琶の演奏会を著名な中国琵琶奏者・王 暁東(ワン シャオドン)氏を迎えて行った。この日は60余人が会場に詰めかけ、王氏は初めの数曲を最高のテクニックが必要とされる中国伝統曲を弾くと、参加者はその演奏に目を見張り第一人者の技術に引き込まれた。その後は、王氏のパートナーのピアノが加わり、日本人になじみの曲やポップス、オリジナル曲など計10曲を披露。曲間には中国琵琶の歴史や日本琵琶とのつながり、1991年に来日して聞いた日本の歌などの思い出を語り、情感あふれる美しい旋律を聞かせた。参加者はしばしの時間、会場を包み込む中国琵琶の豊かな音色を堪能した。公演終了後には事前予約をした10人が王氏の指導を受け中国琵琶の体験を楽しんだ。

■山梨学院大学孔子学院の活動、取り組みー
孔子学院とは、中国政府が「国際的な中国語教育制度の開発・整備。中国文化に対する世界各国との相互理解と友好関係の促進」を目標に推進するプロジェクトで中国の大学と現地の大学等が提携して運営する教育機関である。日本で15校目となる山梨学院大孔子学院では、2019年度の開設以来、中国語や中国文化の理解促進のための語学講座や文化講座を開講している。通年講座に加え、毎年「孔子学院の日」には文化交流イベントを開催。2019年度は「中国切り絵芸術の世界展」として世界無形文化遺産「剪紙」の実演、翌年には牡丹画、中国書を展示した「中国文化芸術展」を開催した。また、山梨学院高校の進学コースの生徒を対象に「楊琴」の演奏会や「中国武術/気功」の実演を実施した。そして昨年11月には中国国家級無形文化財に認定されている伝統芸能「変面/京劇・雑技」が行われ、その公演の中で中国琵琶の体験が行われ好評だったため、今回、単独の演奏会・体験会が企画された。

■日中文化交流演奏会に多くの人が参加ー
今回の演奏会には事前予約による多くの申し込みの中から60人余りが参加した。演奏に先立ち山梨学院大学孔子学院・熊達雲学院長は「今回の演奏会にこんなにたくさんの方々のご来場に心より深く御礼を申し上げます。孔子学院は4年前に開設。県民の皆さん、学校関係者の皆さんに向けていろいろな文化イベントを開催させていただきまして好評を受けており、主催者側としてほっとしています」と謝意を示した。続けて「本日の演奏会はその一環として東京藝術大学音楽教員の王先生にお願いしました」。その後、中国琵琶の歴史や日本やかつての琉球、朝鮮、ベトナムなどに伝わり親しまれていることに言及した。最後に「今日の演奏曲目を見ると、中国の曲をはじめ、日本や西欧の曲も入っています。それでは早速、王先生の演奏を楽しんでください」と挨拶した。

中国琵琶演奏家・王 暁東(ワン シャオドン)氏プロフィール
1963年中国北京市で生まれ、幼少より母と叔父より中国琵琶の手ほどきを受ける。1987年国立中国音楽院卒を卒業後、中国全国総工会文工団琵琶奏者として中国各地で演奏活動を行った。その後、1991年日本の琵琶に興味を持ち来日。正統派薩摩琵琶の第一人者である普門院紫城氏に師事し、日本琵琶の歴史や演奏法を学ぶ一方、日本各地で演奏活動や教育機関でレクチャーコンサート(講座形式の音楽理解を目的)を行った。1993年には、東京藝術大学大学院に入学。中国琵琶と日本琵琶の比較研究に取り組み、1996年に修士課程を修了した。その後、本格的な演奏活動に入り、2008年より東京藝術大学音楽部で講師として東洋音楽演奏を指導。現在は、中国琵琶の演奏活動だけではなく、中国琵琶の紹介、普及に努めている。

■中国屈指の琵琶奏者が内外の多彩なレパートリーから10曲を演奏ー
王氏は登場するとおもむろに静かに中国琵琶を弾き始めた。ゆったりとした古い中国の民謡長の曲調、中秋の名月を愛でる「小月児高」。続いて雲南省に住む彜族(イゾク)をテーマにした草原の宴「彜族舞曲」。哀愁ある曲調は悠久の中国の歴史の大地を感じさせる。そして中国琵琶曲の十大名曲の一つと言われる「十面埋伏」。項羽と劉邦の合戦の模様を表現した徐々に高まる激しい演奏は、最高のテクニックが必要とされる中国伝統曲で参加者の心を中国琵琶の世界に誘い込んだ。7歳から始めた中国琵琶の技術は母親と叔父の厳しい指導で培われており、中国琵琶特徴の右手5本指の華麗な動きが複雑な音を紡ぐ。その後、王氏のパートナーの電子ピアノとの合奏で、長年の演奏活動でレパートリーを増やしていった日本の楽曲、「天空の城」「涙そうそう」や世界的にヒットした洋楽、オリジナル曲を披露した。アンコール曲では80年代のヒットメーカーから贈られた楽曲「桜の樹の下」で演奏会を締めた。演奏後は山学大孔子学院の職員から花束を贈られ、参加者の大きな拍手に笑顔で応えた。

■演奏会後の体験会でより身近な中国琵琶の普及を目指すー 
演奏会終了後、場所を孔子学院棟ロビーに場所を移し、王氏は事前予約の10人の体験希望者に中国琵琶の持ち方から弦の抑え方、弦の弾き方など細かく丁寧に指導。中国琵琶の魅力を伝えた。その様子を見ていた予約以外の参加者も周りを取り囲み関心の高さを見せていた。
富士川町から夫妻で参加した石坂さん(右から正継さんと喜美子さん)。石坂正継さんは、中国琵琶の演奏の印象を「初めて聞きました。とてもきれいな音色で、昔は琵琶法師なんていう暗い印象を持っていたのでそうじゃないんだと気が付きました。とても良かったです」。体験して「音が上手く出ないことと指がついて行かなく、頭を使わないと手が動かないですね」と話した。奥さんの喜美子さんは「演奏家の先生の思いが琵琶に込められているのが伝わってきて魅了されました。哀愁帯びた音色が心に沁み入ってとても良かったです。初めて触らせていただいたんですけど、でも少し教わったらワンフレーズできたのでなんか楽しめるのかな」と意欲満々、興味を示した。山梨学院大に留学卒業後、大学国際交流センターで働くベトナム出身のレーティー・キムニーさんは「初めてです。感動しました。実は演奏曲目の中に自分が知っている曲があったのですごく興味がわき、楽しみに来ました。演奏者の手の動きを見て水が流れるように聞こえてとても素晴らしかったです。(ベトナム琵琶があること)知らなかったです。それを聞いてびっくりしました。琵琶は中国だけのものだと思っていました。(体験では)超難しいです。慣れないから手が痛いです。でも先生が簡単に引いているのが素晴らしかったです」と話した。
最後に演奏家の王 暁東氏は「これだけ興味を持っていただけると本当にうれしいですね。中国琵琶は本当にまだ知られてないと思いますね。ですがそれをひとつのチャンスとして広げていきたいです。2000年頃に一時期、広い範囲ではなかったんですけど、『中国琵琶いいですね』と多くの人が言ってくれ人気があったんですけど、最近いろいろな原因があって広がらなくなってしまって、もっと頑張りたいですね」と、これからも演奏と普及に力を入れると意欲を燃やした。お互いの文化を知り合い、相互理解を深めることが両国の平和と友好・発展につながる一番の道と、山学大孔子学院の日中文化交流の活動は続く。

2月25日(土)、山学大孔子学院は2022年度中国文化講座第3弾として、「人気ユーチューバー!・楊 小渓の『中国』の不思議」を開催する。

文(K.F) カメラ(平川大雪) 2023.2.19