●山学大孔子学院「中国文化講座第3弾」開催
~人気YouTuberが中国の不思議を講演~
~多民族国家の暮らしや文化を詳細に解説~
山梨学院大学孔子学院は2月25日、中国文化講座「人気ユーチューバー!楊小溪(ヤンチャン)の『中国』の不思議」を山学大孔子学院棟大講義室で開催した。山梨県民が中国文化や芸術に触れ、より中国への理解を促進してもらおうと、孔子学院ではこれまで様々な通年講座の開講や文化交流イベントなどの活動に取り組んでおり、今年度3回目となる中国文化講座を行った。第1回目の「周恩来と西遊記」、2回目「中国最新情報!中国の若者は日本のことをどう思っているか?」に続き、中国人YouTuber楊小溪さんが中国の地域によって違う暮らしや文化を解説した。講座には事前予約の50人余りが参加した。楊小溪さんは2011年に来日、2019年に現在、認知度約96%、利用率(月1回以上)65%を超えるYouTubeにチャンネルを開設。今、16万人の登録者(フォロワー)を数える。楊さんは、講座の中で中国の若者が日本への関心度が高い一方で、日本人に対する中国のリアルな情報発信が少なく、日中のギャップの低さを感じてチャンネルを開設したと話し、多民族からなる民族習慣の違いや方言の多さ、地域での料理の違い、生活様式など多様な文化の存在を詳細に説明。日本人に馴染みのない中国の興味深い話に参加者は真剣に聞き入っていた。(※数字はモバイル社会研究所2022年調査)
■楊小溪(ヤンチャン)プロフィール
今回、山学大孔子学院「中国文化講座」第3弾の講師として招いたのは、中国の地域の暮らし(中国トレンド情報)を配信して16万人を超えるフォロワーを誇る人気のユーチューバーの楊小溪さん。中国四川省出身、東京都在住。現在、ユーチューバー(YouTuber)として「ヤンチャンCH」を開設。他にタレント、女優、司会など多岐にわたり日本国内外で活躍。上海海洋大学で日本語専攻、そこで日本の興味を強くし2011年、交換留学生として来日。2014年に一橋大学大学院に入学し修士号を取得。その後、中国企業日本支社に入社、2017年から日中のSNS上でインフルエンサーとして活躍。2019年10月からYouTubeチャンネルを開設し現在に至る。また、2022年KADOKAWAより初著書の「中国大陸大全」を出版。中国33の地域の暮らし・文化を詳しく紹介、好評を博している。
■人々のコミュニケーションツールとして欠かせないSNSで世界を知るー
日本国内のSNS利用者数は年々増加しており、SNSは生活の一部とも言える存在でプライベートやビジネスの場でも多く活用されている。日本国内で普及しているSNSは6つほどあり、基本無料で気軽にみられる動画配信サービスのユーチューブは人気が高く、認知度は日本国内で96,2%、スマホ、携帯所有者のうち月間ユーザーは65,2%に上り、6大SNSの中で最多である。10代から60代以上まで全世代の利用率が高いことが特徴で、質の高い動画を投稿するユーチューバーは全体の4,3%を占め(数字はモバイル社会研究所2022年調査)、多くのフォロワーを獲得し人気を集めている。小学生が将来なりたい職業のランキングでは3年連続1位になった。
■孔子学院は中国と日本の文化の相互理解を促進するために貢献するー
「中国文化講座」開始に先立ち挨拶した山学大孔子学院・熊達雲学院長は「中国の不思議は皆さんにとっては大きな不思議で中国人にとっても不思議です。今はグローバル化になって国の境は低くなってきました。どこに行くにも簡単に行けます。若い人の中で中国と日本の相互理解は私のような人間と比べればもっと深まると思います。我々、孔子学院は中国語を教える以外に中国と日本の文化の相互理解を促進するためにも微力でありながらも貢献しようと考えています。そして中国と日本は中華人民共和国ができ両国が国交回復してすでに昨年50年。今年は平和条約締結45年目となっています。戦後、やや問題もありましたが中国の多くの国民は平和の時代を楽しんできました。これから中国に対する理解、日本人に対する中国人の理解を深めていくことによってこの平和の時代を末永く続けていきたいと祈念しています」と述べた。
■楊小溪 「中国」の不思議を説明。隣の大国は奇妙で面白いー
楊さんは山学大孔子学院細萱和寛事務局長から紹介を受け登壇。事前予約申し込みで参加した老若男女50人余りの聴講者を前に改めて自己紹介から講座を開始した。楊さんは上海海洋大学で日本語を専攻。それまであまり日本に関心がなかったがたまたま日本語を専攻し俄かに日本に目覚めた。交換留学で来日し、来日先であまりにも中国の生活を理解されてないことにショックを受け、2017年、最初にまず日本に興味を持つ若者にSNSを利用し日本紹介する動画配信を始めた。上々の結果に、次に日中のギャップを埋めるため中国の情報発信をしたいと、2019年からユーチューブCHを開設したものの、中国人の自分自身が知らないことが多く中国国内のカルチャーショックが大きかった。そこからは様々なところに足を運び、ゲストを招いて出身地のことを聞くなどリアルな情報を取り込み、幅を広げていった。徐々に日本人視聴者から、『中国のイメージが良くなった』『中国は想像したのと違う』『もっとディープな中国を知りたい』など好反響の応援メッセージをもらうようになり、ユーチューブをやって良かったという“やりがい”を得た。現在、フォロワー数16万人超える大人気チャンネルとなった。
そして今回の文化講座は、これまでにユーチューバーとして得た本国中国での取材経験、知識・情報と、2022年初の著書となる「中国大陸大全」を出版した内容から『中国の不思議』と題して講演した。時間を割いて語ったのは、広大な面積の中にある56の多民族国家のそれぞれが持つ特長や習慣の違い、特に中国語言語の中の方言によって、四川省出身の楊さんにも中国人同士での会話が難しいなどとユーモアを交えて披露。実際の音源を使いながら『不思議な世界』に聴講する参加者も興味深く聞き入った。他にも日本人に身近な中国料理の話題には、大きな国の8大料理としてそれぞれの地域の特色から生まれた食材、調味料、味付けなどを解説して興味・関心を引いた。また、経済成長著しい都市の景色はみな同じとちょっぴり皮肉を込め、楊さんが薦める観光地など多岐にわたって中国の魅力や不思議を語った。講座最後には、参加者からの『日本のどんなところが面白いか中国人に伝えたいこと』との質問に、「日本の観光資源が豊富で新鮮でどこへ行ってもきれい。旅行に行って、現地の人とコミュニケーションしてほしい。中国と日本の文化は似ている部分が多く、発見が楽しみ」と答えた。その後のサプライズ抽選会では5人の当選者に楊さんの著書がプレゼントされた。
■講座を聴講した参加者はー
先日行われた中国琵琶演奏会にも参加した石坂正継さんは「先日の琵琶公演終了後に今回の講座に申し込んだ」と言う。講座を聞いた感想を、「中国の雄大さ、その中でどんな話をするのか興味がありました。特に方言は、日本にもありますがあれだけ大きな違いがあってまるっきり分からない(通じない)ということにびっくりしました。私は四川省には5,6回行っているんですけど他にもいろいろ行ってみたくなりました。これからもこれらの講座を聞いて中国という国をもっと理解できたらいい」と話した。本学法学部3年の野崎恵汰さんは「コロナ禍ということもあって、なかなか日本以外の文化を学ぶ機会が少ない中でこのような講座を通して中国の文化を知りたいと思って参加しました。他の文化講座にも参加したことがあってそこでもいろいろな文化を学んで自分の将来の経験値として高められればいいなと思っています」と話した。甲府市出身の斉藤良子さんは「友達の紹介で来ました。とても勉強になる内容ばかりで改めて中国の広さを感じました。印象としては中国の料理についていくつもの種類に私は興味を持ちました。私はもともと中国に対して悪いイメージは持っていませんでしたが、ヤンチャン(楊さん)を通して中国人は社交的で明るいなと感じました。講座は2回目で、先週の琵琶にも来て中国のことがより理解できたかな」と話した。
日本語と出会って人生が変わったという楊さん。今後も日中のギャップを埋める懸け橋になるようなさまざまな活動を通して広く情報を発信していく。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2023.2.26