●「第65回山梨学院高校卒業証書授与式」
~コロナ禍に揺れた卒業生369人が新たな旅立ち~
~平和な時代を築き、生涯を健康で生き抜いてと訓示~
2023年(令和5年)3月1日、隣接する『不老園』の梅の花が見頃を迎える中、山梨学院高校で「第65回卒業証書授与式」が執り行われた。式は同校体育館に新型コロナ感染症防止対策のため参列者全員がマスク着用の上、特進コースプレミア系列、同アドバンス系列、進学コース合わせて369人の卒業生ほか、教職員、保護者が参列して行われ、WEBによるオンライン配信も行った。午前10時、開式の言葉に続き、生徒総代の特進コース・三森美涼さんが卒業証書を受け取り、続いて皆勤賞、特別表彰(創立者古屋賞)、外部団体表彰の賞状が各代表に授与された。学校長式辞で吉田正校長は「本日、卒業を迎えた君たちが大きな志を抱いて学び続け、この先溢れるほどの幸せが訪れることを切に願っています」と門出の言葉を送った。答辞では小林梨沙さんが「」とエールを送った。式を終えた卒業生は、各クラスに戻り、最後のクラス会が行われそれぞれに卒業証書が手渡された。その後、中庭に出て思い出が詰まった学び舎を背景にクラス・チームメイト、恩師と記念写真を撮り合い、別れを惜しんでいた。
■卒業証書・特別表彰・各外部団体表彰授与
3月に暦が変わり一気に春の兆しが見え始めた3月1日。山梨学院高校で2022年度「第65回卒業証書授与式」が執り行われた。式には卒業式でのマスクの着用の是非がある中で、山梨学院高校は国公立中後期受験を控える生徒、選抜高校野球出場などを考慮し、卒業生、教職員、保護者(1名のみ)全員のマスク着用で実施した。また、式の模様はWEBでの配信を行った。式は午前10時、初めに司会進行の宮崎 健教頭から開式の言葉が告げられ、続いて総代の特進コース・三森美涼さんが壇上に上がり、卒業生を代表して卒業証書を受け取った。続いて皆勤賞10人が一人ひとり紹介され代表に賞状が授与された。続いて特別表彰として「創立者古屋賞」に野球部の鈴木斗偉さんが紹介された。「創立者古屋賞」は学術、文化、スポーツ等の分野で生徒の模範となる顕著な成果をあげ、山梨学院の名声を高めた者に授与される。また、正課及び課外活動で特にすぐれた実績をあげた個人や団体を表彰する「Students of the Year賞」にソフトボール部、野球部、バトミントン部が表彰された。外部団体表彰では山梨県私立中学高等学校連合会会長賞の斉藤明宏さん、県高等学校野球連盟会長賞の鈴木斗偉さん、県高等学校文化連盟賞を吹奏楽部・山田彩愛さん、県高等学校体育連盟優秀選手表彰にソフトボール部・遠藤愛実さん、日本学生野球協会優秀選手・相澤光秀さんが受賞。他に部活動としてサッカー部、テニス部、ソフトボール部、バドミントン部、空手道部、水泳部、剣道部、ラグビー部、スケート部など体育局から13団体。文化局からは応援部、吹奏楽部、書道部、茶道部、将棋部など7団体の計20の外部団体から延べ55人が表彰を受けた。
■学校長式辞・在校生送辞・卒業生答辞
各表彰の紹介、授与後に式辞の挨拶に立った吉田正校長は「3年前、全国の多くの高校で入学式が行われないというニュースの中、本校も入学式を中止いたしました。学校が生徒のための式典を中止にするということは私たち教員にとって、最も辛い決断でした。この失われた1年目の思い出を君たちのために少しでも取り戻そうとすべての教職員が心をひとつにしたことを私は今でも決して忘れることはありません。(中略)生徒にとって在学中の最大行事とも言える各コースの研修旅行を縮小こそしたものの何とか実現にこぎつけることができたのは幸運でした」とコロナ禍での行事実施に翻弄されたと振り返った。続けて吉田校長はそれに伴うマスクのなどの規制に触れ、親しき(愛する)人を遠ざける苦しさを、進学コースが研修で訪れた長崎で、1945年8月9日の原爆で妻を亡くし自身も被爆し、苦しんだ原爆症の研究と治療に生涯を捧げ、「平和を」訴え続けて43歳で亡くなった永井隆医学博士の人生を絡め紹介した。その中で病床に臥せ、消えかかる命を前に幼い娘、息子のそばに居たい思いがままならない生活を記した本、『この子を残して』から言葉を引き、「『人は生きている間に何をしたかではなく、どのように生きたか』に価値がある。そして『職業に就いたらではなく、どのように勤めたかの大切さ』を病の床での激しい痛みと苦しみの中にあっても、自分を苦しめた原子力の平和利用の可能性を信じ、人類への貢献を訴えた永井博士の子どもたちに向けた言葉は、その時代背景や宗教的信条を超えて私たちに今でも問いかけ続ける言葉です。それは私たちが『なぜ学ぶのか。私たちは何を目指して生きるべきなのか』という問いです。どうか日本や世界のために貢献する力を身に着け、その力を発揮し、やがて平和で明るい時代を築き、生涯を健康に生き抜いてください。本日、卒業を迎えた君たちが大きな志を抱いて学び続け、この先溢れるほどの幸せが訪れることを切に願っています」とはなむけの言葉を述べた。その後、来賓代表の林 昌明PTA会長の祝辞、来賓紹介、記念品贈呈と続いた。
次に在校生を代表して井上 希生徒会長はコロナ禍の中で卒業生たちと交流した思い出を振り返り、「いつも私たちの背中をやさしく押してくださった」と先輩たちの印象を語り、続けて部活動や学業へ全力で取り組むひたむきさ、夢へ挑戦する姿を見て、「先輩たちを憧れの存在」と意識した。さらにコロナ禍の大変な試練にも立ち向かいながらも部活動の全国大会での活躍は、自分たちに勇気や努力するきっかけをつくってくれたと語り、「先輩方は常に私たちの目標でした。これからは先輩方の後を受けて私たちが一体感を持って新たな山梨学院高校の未来を築く存在になることを在校生一同ここにお約束します」と誓い、送辞を述べた。それに応え、卒業生を代表して小林梨沙さんの答辞は初めに、卒業式を迎えることができたことに感謝し、「私たちは3年前、入学したものの入学式は行われませんでした」と、その後のコロナ禍で失われたあるべき学校生活の日常を振り返った。さらに「高校生活は今日で終わりです。このメンバーで楽しむことが少なかったことは心残りですが、次のステージで頑張り、そしてその分まで楽しみたいと思います。在校生の皆さん。今日まで私たち3年生についてきてくれ本当にありがとう。ここからは2年生が山梨学院高校を牽引する番です。そのためには自分、仲間、指導者を信じることが大切です」と続けた。そして「どんなときにも私たちを支え、力になってくれたお父さん、お母さん、今までありがとう。今より成長した姿を見せられるよう努力することをここで約束します」と心からの感謝の言葉を述べた。最後に授業や部活動の指導した先生たちにも感謝の気持ちを伝え、答辞とした。
最後に山梨学院高校生として最後の校歌を全員で歌い、野球部OBのシンガーソングライターの伸太郎さん『卒業~それぞれの旅立ち~』の音楽が流れる中、1組から10組までの卒業生は式場を退場、それぞれ最後のクラス会に教室に戻り、最後のホームルームでひとり一人に卒業証書が手渡された。
■式後に卒業生代表・三森美涼さんと「創立者古屋賞」受賞者・鈴木斗偉さんに聞いたー
卒業生総代を務めた特進コースの三森美涼さんは「コロナ禍で最初に入学した時点でみんなと思うように活動できないというのは寂しい部分が大きかったんですけど、だんだん規制が弱まってみんなと活動できる範囲が広がってくると一つひとつの行事がこんなに楽しんだという実感が湧いてきたし、もっと一日一日大切にみんなと過ごしていきたいなという思いで3年間過ごしました。2月の半ばに総代という話を聞きました。すごい大役だと思ったんですけど、みんなの代表として出るからにはしっかり堂々とした姿で卒業証書を受け取りたいと思いました」と話し、将来は「読書や文章を書くのが好きなので文学部に入って、出版方面の仕事に就けるような学習をしたい」と目標を模索する。「創立者古屋賞」を受賞した野球部・鈴木斗偉さんは春夏甲子園連続出場に貢献し、第30回WBCU-18ベースワールドカップ出場を果たした。「1年生からAチームにさせてもらったんですが、最初全然駄目で、厳しく指導してもらい最後、こんな素敵な賞をいただけたのは光栄です。すごい賞をいただけると聞いた時には“自分でいいのかな”と思ったんですけど、最高の仲間に恵まれて、最高の指導者に恵まれて、自分の代になってしっかり自覚を持って3年間頑張ってきたのでうれしいです」と笑顔で応えた。卒業後は首都大学野球連盟に加盟する強豪大学野球部でプレーをするという。
卒業生369人は、コロナ禍の3年間の試練を乗り越え、それぞれの目標や夢を胸に山梨学院高校から新たな一歩を踏みだした。ゆっくりと、じっくりと、確実に、前を向いて・・・。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2023.3.1