●第95回選抜高校野球大会 山学高鬼門の初戦突破
~山学高開会式4年ぶり全員入場行進に堂々した姿~
~林好投。約800余人の応援団、勝利を後押し~
3月18日、「第95回選抜高校野球大会」が開幕。開会式直後の1試合目に山梨学院高校が宮城・東北高校と対戦した。昨年、春・夏と1点差の惜敗で初戦敗退を喫した野球部を応援しようと山梨学院高応援団が駆け付けた。今大会はコロナ対策緩和を受けて、応援自粛が解除されようやく甲子園に日常が戻った。マスク着用の声出し応援も個人の判断で認められブラスバンド、一般客の上限人数制限がなくなり、山梨学院からは三塁側アルプススタンドに出場選手以外の野球部員や吹奏楽部、チアリーダー部、生徒会、一般生徒、教職員など学校関係者、それに野球部保護者会、PTA、一般観客を含めて総勢800人を超える応援団が選手たちに熱い声援を送った。天候不良により1時間半遅れの午前10時30分より開会式が始まり、4年ぶりの選手全員の入場行進が行われ、香川県の高松商業高・横田亮太主将が「この聖地、甲子園で全高校球児が1球に魂を込め、正々堂々と戦い抜くことを誓います」と力強く選手宣誓を行った。開幕戦は正午丁度に開始された。山梨学院は5回裏、二死から4番・岳原陵河が四球と二盗で好機を作り、次打者の進藤天が左前適時打で先制。続く佐仲大輝の適時二塁打で追加点を奪い2-0とリードした。4回表まで完璧に抑えていた先発の林謙吾投手は7回に1点を返されるも、その裏打線が1点を追加。試合は、林がその後もきっちり抑え、3-1で初戦を4年ぶりに突破した。2回戦は大会6日目に富山・氷見高校と対戦する。
■800人を超える山梨学院応援団、4年ぶりの堂々の入場行進を見届けるー
学校関係者応援団は開会式を見届けるため17日午後10時半、13台のバスに分乗して学校を出発。天候不良で開会式時間が予定より1時間30分遅れたため(予定9時開会式)、時間調整して18日午前8時過ぎに到着、開門の午前9時を待った。雨が残る中、開門した三塁側アルプススタンドに出場登録以外の野球部員23人、吹奏楽部45人(今春卒業のOB含む)、チアリーダー部15人、生徒会12人を含め、一般生徒、教職員約300人、また、保護者会約80人、PTA・一般客約450人、総勢800人を超える応援団がスタンドに居並んだ。午前10時30分に始まった開会式は、登録選手全員がグランドを1周する入場行進を行い、前回優勝校の大阪桐蔭高を先頭に山梨学院高は14校目に入場。進藤天主将が選抜旗を掲げ、全員が凛々しい顔で堂々と行進した。選手宣誓では香川県・高松商業高の横井亮太主将が「戦争、紛争、そして災害、私たちが野球に打ち込んでこられたように、すべての若者が希望を、持ち夢を追いかけられるよう平和な世の中になるように願わずにはいられません。私たち高校球児は仲間を信じ、一枚岩となって全身全霊でプレーし、勇気や感動を届けることで、支えてくださるすべての方に恩返しをしたいと思います。この聖地、甲子園で全高校球児が1球に魂を込め、正々堂々と戦い抜くことを誓います」と選手宣誓を行った。
■選手に向けて応援メッセージ
試合開始前、スタンドで選手たちへの応援メッセージを聞いた。大森裕史野球部保護者会会長は「試合は子どもたちが頑張ってきた秋の大会のように、明るく楽しく、元気にプレーしてほしいというのが私たちの中にはありますので、普段通りのプレーを堅くならずに一生懸命やってもらえればいいので、そうすれば先に必ず勝利が見えてくると思います」と平常心での勝利を期待した。レギュラーで活躍する大森選手に、「県内選手では一人だけしか一桁背番号をもらっていないので出られる機会があれば頑張ってもらいたいですね」と謙虚に話した。野球部の応援団長を務める中原義虎選手(3年)は「監督が“エンジョイ・アルプス”とアルプススタンドから元気を届けられるように楽しんで応援をしてほしいと言ってくれて、声出し応援は初めてなので、いろいろ練習をしてきたので出来る限りの声を出して応援をしたいです。自分たちの代なので声援と振り付けも夏と少し変えています」と応援で甲子園を体験する。吹奏楽部・渡邉凱部長(3年)は「相手は有名OB選手がいる学校なのでそれに負けないように自分たちも選手に頑張ってもらえるような演奏をしたいです。自分たちができることはエールを送ることなので自分たちがしっかり大きな音を出して選手たちの気持ちを高ぶらせて頑張ってほしい」と話し、チアリーダー部・河西心部長(3年)は「部員みんなが基本にしている笑顔で、2回戦も行ってほしいので気持ちが選手に届くように応援したいと思います。新3年生の私たちの代が5人だけなのでまとめていくのがちょっと大変なんですけど、みんな仲良く力を合わせて頑張っています」。井上希生徒会長(3年)は「雨を吹き飛ばすような元気溌剌としたプレーをしてもらいたいです。優勝を目指してほしいですけど、一戦一戦を大切に戦ってほしい」と、それぞれが選手たちにエールを送った。静岡県出身で現在、甲府市在住で高校野球、山梨学院高の大ファンという大久保百合子さんは「選手は一生懸命練習してきたんだから私たちは応援するだけ。チェンジの時、プロ野球と違ってベンチに一生懸命走って帰るでしょ。その姿が大好き」と元気に話した。(学年は新学年)
■正午丁度、開会式直後の開幕第1試合。注目集める一戦が繰り広げられたー
開幕第1試合目。山梨学院は高橋海翔を中心にした打撃力と140キロ台の速球を武器にする東北高ハップス大稀投手をいかに攻略するかが注目された。正午丁度、薄日が差した甲子園のまっさらなマウンドに山梨学院・林謙吾が初めて上がった。先頭打者に空振りストライクで先行すると、4球目の遊ゴロを名手・進藤天が失策したものの、落ち着いて後続を無難に切った。山梨学院の攻撃は2回、3回と満塁の絶好の好機に先制点を期待されたがいづれも相手投手にかわされた。4回にも林が一死後二塁打と相手バッテリーのミスで三塁まで進塁するが連続三度目となる得点好機に後続が三振に倒れ、三塁側アルプススタンドに陣取った応援団からため息が漏れた。林は4回まで53球、無安打、1失策と相手打線を完璧に抑える好投。5回表、東北高先頭打者が打った浅い中前飛球を星野泰輝が猛然と前進したが及ばず、初安打二塁打になるも、林は後続を制球力が冴える投球できっちり抑えた。その裏、応援団は吹奏楽部の曲に合わせ全員立ち上がり野球部応援団を中心にメガフォンを手に打ち鳴らし、大きな声援を選手に送った。山梨学院は二死後、秋の大会3番から4番に打順を変えた岳原陵河が四球を選び二盗も成功。5番進藤天は左前適時打で待望の先取点を奪うと、6番佐仲大輝も右前適時打で続き1点を追加、2-0とした。三塁側アルプス席は俄然応援のボルテージを上げ、一体となり選手たちを鼓舞した。東北高は7回表一死後、4番、5番打者が連続安打を放ち得点好機を迎え、二死後に三塁強襲二塁打で1点を返した。林は1点差に迫られ、なおも走者三塁二塁のピンチにも動じず、1球で左飛に仕留めた。山梨学院はその裏、5回途中からハップス投手から継投した東北2番手秋本羚冴投手を攻め、先頭の3番高橋海翔、4番岳原が連続安打で無死二塁一塁。続く進藤が犠打で三塁二塁に走者を進めた。6番佐仲はきっちり犠飛で加点、再び2点差とした。追加点をもらった林は8回に走者一人を出すも、9回は2打者を空振り三振、三者凡退に切り、緩急を交えた投球で5安打1点に抑える好投でチームを4年ぶりの1回戦突破に導いた。試合終了後、山梨学院校歌が球場に流され、三塁アルプスタンドの応援団からは選手に温かい大きな拍手が送られた。
■山梨学院高校VS東北高校 大会1日目第1試合 甲子園球場
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 合計 | |
東北 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 |
山学 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 1 | 0 | × | 3 |
山梨学院高打順・守備位置
1. 徳弘太陽(右) 2.星野泰輝(中) 3.高橋海翔(一) 4,岳原陵河(左) 5.進藤 天(遊)
6.佐仲大輝(捕) 7.大森 燦(二) 8.林 謙吾(投) 9.伊藤光輝(三)
[投手]林⇒[捕手]佐仲
林=投球回:9回 打者数:33 投球数:119球、被安打:5 奪三振6 四球1 失点1
[打撃] 安打10《二塁打3:林、佐仲、徳弘》 四球:3 死球:3三振:8
初戦突破を信じて集まった800人を超える応援団(生徒・教職員約300人、PTA・一般約450人、保護者会約80人)の心からの応援を糧に山梨学院高は次戦、大会6日目(23日予定)第2試合氷見高校(富山)と対戦。いまだ未達の2回戦勝利を目指す。
文(K.F) カメラ(平川大雪・今村佳正、小池裕太) 2023.3.19