●選抜野球 山学高県勢初の決勝に進出
~粘って迎えた最終回に集中打 広陵を破る~
~決勝は悔いの残らないゲームを全力野球で~
山梨学院高校野球部が春夏通じて県勢初の決勝に進出した。31日「第95回選抜高校野球大会」準決勝2試合が行われた。第1試合の山梨学院は秋季中国大会優勝の広島・広陵高校と対戦した。この日は今大会初めての一塁側アルプススタンドに約850人の応援団が集結、山梨学院の雄姿に熱い声援を送った。午前11時、試合は開始された。先攻の山梨学院は初回、相手の2年生ながらエースナンバーを背負う高尾響投手と対峙し三者凡退に打ち取られた。その裏、広陵高の攻撃。5試合連続先発の林謙吾投手の立ち上がり、先頭打者の二塁打と犠打、犠飛で1点を先制。2回表、山梨学院もすかさず反撃、先頭4番の高橋海翔の安打を足掛かりに6番進藤天の犠飛で同点に追いついた。その後、林は8回まで毎回安打され走者を出すも、チームの堅い守備と要所を締める投球で再三のピンチを凌いだ。山梨学院も7回二死後、進藤が二塁打で好機を作ると、続く7番大森の安打で進藤が本塁を突くも間一髪のアウト。追加点を逃した。1-1のまま迎えた9回表、山梨学院の打線が覚醒した。一死二塁の好機に4番高橋が中前適時打でようやく1点を奪い均衡を破るとその後も、5本の安打を重ねこの回、打者一巡の7安打5得点を挙げ6-1とリード。山梨学院の応援団はボルテージを最高潮に上げた。その裏、林はきっちり締め山梨学院は県勢初の決勝戦進出の快挙を成し遂げた。
快進撃を続ける山梨学院高野球部の決勝戦に懸ける応援にこの日も多くの応援団が山梨から駆け付けた。31日午前0時30分に吹奏楽部、チアリーダー部、生徒会、野球部員含めた生徒400人と教職員50人の学校関係者計450人がバス13台に分乗し出発した。他に野球部保護者会・PTA、一般の応援者約400人が午前9時半開門に合わせ入場ゲート前に集合した。
■スタンドから選手に向けた応援メッセージー
野球部マネージャーの中谷優花さん(2年)は「甲子園でこんなに勝つことは初めてなので感動しています。開幕戦で開会式を見られ、決勝に行ったら閉会式も見られるのでここまで来たら決勝まで行ってほしいと思います」。男子部員と一緒の応援には「緊張してやっています。でも目立つように、試合している選手に届くような大きな声で応援頑張ります」と話した。この日で5試合皆勤で応援する村松璃香(3年)さんは「同じクラスの仲間が一生懸命頑張っているので私たちは応援することしかできないですけど、コロナ下の中、全校応援ができるということで私も春休みに精一杯応援しています。ここまで来たので優勝目指して頑張ってほしいです。もう思い切り声を出して踊って応援します。甲子園まで連れてきてくれた、野球部の皆さんに本当に感謝しかないです」と話し、最後に「夜の出発や中止などがあり寝不足でにきびができて結構大変です」と笑った。同じく皆勤の白倉綾さん(2年)は「最初は遠いのでそんなに熱心ではなかったですけど、点が入るたびに周りの応援が盛り上がってきて、自分も次第に次も行きたいという気持ちに変わりました。応援するたびに自分の学校が好きになり、応援は大変ですけどそれだけの価値があります。今は、自分が率先してみんなを鼓舞して応援しています」と全校応援で頑張る。
■山梨学院終盤、優勝候補の一角を一気に粉砕。応援団の元気が勇気を与えたー
秋季中国大会優勝で、2年連続出場の広島・広陵高校は選抜にも2年連続で26度目の出場回数を誇る古豪チーム。2年生エース最速145キロを投げる高尾響投手と長打力のある強力打線でこの大会を勝ち上がってきた。広陵高校に対して山梨学院は投手の林がどれだけ踏ん張れるかが鍵になり、持ち味のつなぐ野球が機能し、投手を援護できるかが勝敗の分かれ道になる。
午前11時、雲が多いながらも暖かい甲子園球場で試合は開始された。先攻の山梨学院は初回から野球部員が中心の応援団が盛り上がる中、2年生ながらエースナンバーを背負う2年生の高尾響投手に対峙するも、三者凡退にかわされた。その裏、広陵は5試合連続先発の林謙吾投手の立ち上がりを先頭打者の二塁打を犠打と犠飛のそつない攻撃で1点を先制。2回表、すかさず先頭の4番高橋海翔が中前打で出塁。次の5番佐仲大輝の打席で相手バッテリーのミスと犠飛で高橋は三塁へ。その好機に今、高校野球ファンに話題の山梨学院オリジナル曲「ビッグウエーブ」が演奏され次打者進藤天を応援。それに応え進藤の中犠飛で同点に追いついた。その後、林は初回、制球が悪かった投球を修正。打撃力が武器の広陵に単打を許し得点圏に走者を進塁される場面もあったが、チームメイトのファインプレーや堅い守備でピンチを凌ぎ力投を続けながら打線の奮起を待った。山梨学院打線も相手投手を打ちあぐね6回まで3安打に抑えられてきたが7回、先頭の4番高橋がこの日2本目の安打で出塁するが二盗を失敗。二死後、6番進藤が二塁打で再び得点圏に進むと続く7番大森の中前打で進藤が本塁を狙うも間一髪惜しくもアウト。追加点はならなかった。好投を続ける林は7回、8回の広陵の攻撃で中堅・星野泰輝の2度の美技や自身の懸命の力投でピンチを切り抜けると応援団から大きな拍手が巻き起こった。1-1のまま迎えた9回表、先頭の2番星野が先頭打者安打で出塁。すかさず3番岳原陵河が犠打で二塁へ進めると、当たっている高橋に期待が懸かった。応援団はこれも山梨学院オリジナル「突撃のテーマ」で高橋を鼓舞。アルプスタンドの応援のボルテージが上がった。高橋はそれに応え逆らわずに中前適時打で決勝点となる2点目を奪った。続く佐仲大輝、進藤の長打で2点を追加。継投した投手からも3連打を浴びせ、さらに2点を加えこの回7安打で5得点を挙げ6-1とリードした。9回裏、林は落ち着いてこの回を締めて、チームを県勢初の決勝進出に導いた。また、自身この大会5勝目を挙げ県勢の1大会勝利を更新し花を添えた。選手は試合終了後、応援団に手を挙げて感謝を示した。
■山梨学院高校VS広陵高校 大会11日目第1試合・準決勝戦 甲子園球場
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 合計 | |
山学 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 5 | 6 |
広陵 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
■山梨学院高:先発打順・守備位置
1. 徳弘太陽(右) 2.星野泰輝(中) 3.岳原陵河(左) 4,高橋海翔(一) 5.佐仲大輝(捕)
6. 進藤 天(遊) 7.大森 燦(二) 8.林 謙吾(投) 9.伊藤光輝(三)
[投手]林⇒[捕手]佐仲
林=投球回9回 打者数38 投球数142 被安打10 奪三振5 四球1 死球1 失点1
[打撃] 安打13《三塁打:佐仲 二塁打:星野、進藤2》 四球0 三振7
■試合終了後、喜びの応援団にー
山梨学院応援団の中心となって盛り上げていた野球部の池田丈選手(2年)は「メチャメチャにうれしいです。もう感情が追いつかないです。この勢いに乗って頑張って優勝してほしいです」と興奮気味に話した。中原義虎野球部応援団長は「やりました。もう感動しました。今日はしっかり守ったのと、最後まで粘って粘って同点で行った(8回まで)のが良かったです。山梨からいろんな人が応援してくれているのは分かっているので、その分アルプスから自分たちがつないで大きな波を作って明日もしっかり応援します」と話した。星野泰輝選手の兄で初戦から試合を見守っているという信州大でプレーする星野佳汰さんは「いやあ、すごかったですね。8回まではヒットも広陵さんの方が多くてランナーも出て、本当にピンチをよく凌いだのが勝因ですね。このチームはまとまりが強いというか選手ひとり一人がチームのためにというような行動をしたり、あと、ワンプレーワンプレーの球際だったり、しっかりアウトにしているので集中力が高いと思います。ここまで来たら優勝を狙ってほしいですね。明日の決勝戦は勝っても負けても最後なので悔いの残らないように、全力プレーで頑張ってもらいたい」と話した。大森燦選手の兄で野球部OBの大森開さんは現在、山梨学院大野球部学生コーチを務める。「ここに戻ってくると高校野球は懐かしかったなあという思いもあるんですけども、それ以上に弟が出ているということは自分にとってもうれしいですし、山梨に野球でこんなに活気づいたことがあまりなかったので素直にうれしいの一言です。OBとしても山梨学院が上で活躍してくれるということはすごく誇らしいことですし、今の学年はものすごくチームの結束力が今までの何倍もあると思うので、最後まで諦めることなく、活気を持って頑張ってほしい」とエールを送った。
明日の決勝戦は前回の王者・大阪桐蔭高校を逆転で破った報徳学園高(兵庫)との対戦となった。試合は12時30分より行われる。山梨学院は4年ぶりに1回戦を突破すると春夏通算16回目でついに2回戦に勝利を手に入れた。それからは迷いが吹っ切れたように破竹の勢いで快進撃が続き、ついに歴史を変え、県勢初となる甲子園初の決勝戦にたどり着いた。
文(K.F) カメラ(平川大雪・今村佳正、小池裕太) 2023.3.31