●2023年度東日本学生レスリングリーグ戦 2日目
~山学 順位決定リーグ初日、1位通過チーム2校を撃破~
~明日の最終日、王者日体大と全勝同士で優勝を争う~
5月17日、大学対抗団体戦「東日本学生レスリングリーグ戦」2日目が東京・駒沢屋内球技場で行われ、順位決定リーグ戦が始まった。決定リーグは1部16校が4つのグループに分かれ、そのグループ順位同士が戦い順位を決めていく。グループ1位で通過することが優勝を争う必須条件。Bグループ1位で予選リーグを通過した山梨学院は順位決定リーグ戦に臨み、前回大会3位の拓殖大、4位の早稲田大と対戦した。昨年、準優勝に終わった山梨学院にとって、今大会も優勝候補筆頭に挙げられている日体大を破り王座奪還を果たすために負けは絶対に許されず、優勝への強い気持ちで一戦に臨んだ。拓殖大との対戦は配列順1番目の65㎏級が敗退した流れを2番手、主将の青柳善の輔が快勝して元に戻すと、後続の74㎏級佐藤匡紀、86㎏級五十嵐文彌が安定した強さを見せ、続く61㎏級森田魁人が辛勝し4-1とし勝敗を決めた。残りの125㎏級、57㎏級も勝利し、6勝1敗で試合をものにした。2戦目の早稲田大との対戦には、荻野海志が先陣を切りチームを鼓舞する戦いぶりで勝利すると、57㎏級勝目大翔、86㎏級に階級を上げた佐藤匡紀、61㎏級森田魁人、125㎏級ソビィット・アビレイ、70㎏級冨山悠真が続き、ここまで6勝0敗。最後、74㎏級の青柳善の輔は終了間際までリードしたものの、一瞬の逆襲でまさかの逆転負けを喫したが、試合は6勝1敗で早稲田大を下し勝利した。順位決定リーグで2勝した山梨学院は同じ2勝の日体大と明日、優勝を懸けて直接対決する。
新型コロナウイルス感染拡大防止を受けて中止になった2020年、2021年。待ちに待ったリーグ戦の復活を心待ちにしていた選手たちは、2022年の大会に懸ける思いは強かった。山梨学院の選手たちは、中止前の2019年、7連覇を目指していた中で3位という思いがけない順位はプライドを傷つけるほど大きかった。その雪辱を果たすべく臨んだ2022年大会、この大会にも山梨学院の前にはだかったのは日体大だった。大会では直接対決で惜しくも敗れ、準優勝に終わったが今大会、学生王者を3人抱え国際大会にも出場経験を持つ実力者が揃い優勝への手応えを持って臨んだ。昨日の予選リーグでは3戦全勝でグループBを1位通過、他のグループも昨年同様の日体大、早稲田大、拓殖大が全勝で順位決定リーグに進んだ。
■順位決定リーグ第1戦目 拓殖大と対戦ー
抽選による試合順1番目は65㎏級の最軽量から始まった。山梨学院の先陣を切るのは、須田快晴(3年)。勝利してチームに流れを呼び込もうとマットに立った。須田は積極的に攻撃を仕掛け、相手にパッシブによる1ポイントを奪い先制。第2Pに入ると逆に消極的との判定を受け、1-1の同点。その後は一進一退の攻防が続くが互いに決め手に欠き、このままではラストポイントで敗れるため、須田は懸命に攻撃を掛け残り10秒、タックルからバックを押さえ2ポイントを奪い勝利かと思われたが、判定は拓殖に上がり、チャレンッジを試みるがタイムアップとの判定、無念の敗退となった。2人目に登場したのは、70㎏級青柳善の輔(4年)、立ち上がり、奇襲を掛けられ先取された。その後は、青柳は慌てず自分のペースで相手を追い詰めタックル、ローリングと点を重ね第1Pを6-2で折り返した。第2Pに入ると青柳のギアが上がり、14-3で貫録勝ちを収めた。3人目の佐藤匡記(4年)は落ち着いた取り口で着実にポイントを重ね勝利した。4番手86㎏級五十嵐文彌(3年)は日大戦の悔しい惜敗を意にせず、素晴らしい動きで第1P残り1分を残し11-0のTF(テクニカルフォール)勝ちした。5番目、61㎏級森田魁人(3年)は、昨日の日大戦で勝利を決める4勝目を挙げ、この試合でも4勝目の試合を決める役回りとなった。森田は序盤、足へのタックルから2ポイントを挙げると、その後は拮抗した時間が過ぎ、軽量級らしく速い動きでの攻防が続き、試合は森田が2点を守り切り、この試合でも勝負の節目となった。続く125㎏級ソビィット・アビレイ(2年)、57㎏級勝目大翔(1年)も僅差で勝利し、6勝1敗で順位決定リーグラウンド1勝目を挙げた。
◆順位決定リーグ1日目《山梨学院大VS拓殖大 6-1で勝利》
テクニカルフォール2、優勢勝ち4、優勢負け1
65kg | 70kg | 74kg | 86kg | 61kg | 125kg | 57kg | |
山学大 | 須田 | 青柳 | 佐藤 | 五十嵐 | 森田 | ソビィット | 勝目 |
● | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
拓殖大 | 萩原 | 萩原 | 田中 | 本橋 | 塩谷 | 三浦 | 菊地 |
■順位決定リーグ2戦目 早稲田大戦ー
まず先陣を切ったのは、力強い戦いぶりが魅力で昨年の全日本大学選手権王者の荻野海志(2年)。試合は積極的に攻める荻野がパッシブで1ポイントを先取。その後互いに有効なポイントを奪えないまま、残り時間が少ない中、荻野が足を抱えて相手を外に投げ出し2ポイント、さらに終了間際に1ポイントを追加し、4-0で折り返した。第2P、序盤に相手の攻めを切り返しポイントを加え、連続攻撃で優位に試合を進め7-0で勝利。チームを勢いづけた。2番手の57㎏級勝目大翔(1年)は1年生同士の戦いに第1Pに2ポイントを先制すると、第2Pにも激しい攻防の中、少ない好機に得点を重ね7-0で1年生対決を制した。3番手の86㎏級に登場したのは世界選手権出場経験を持つ佐藤匡紀(4年)は作戦上から階級を上げての出場。0-1と1ポイントをリードされて迎えた第2P中盤、パッシブで得た1ポイントで同点にすると、勝負所で攻撃を開始、足を取りサークル外へ相手を投げ2ポイントを追加、逆転3-1で相手を退けた。4番手、61㎏級森田魁人(3年)は1日目の日大戦、2日目1戦目の拓大戦と勝負を決定づける4勝目の貴重な役回りを担ってきた。この早稲田戦も、前半4-6とリードされて迎えた第2P、残り30秒で逆転、終了間際に1ポイント差に迫られるも9-8で逃げ切り、この試合も4勝目を決めた。5番手125㎏級ソビィット・アビレイ(2年)は辛勝ながら勝利をつなぐと、6人目、70㎏級冨山悠真(2年)は第1Pで先に仕掛けた相手にリードされた直後から反撃を開始、激しい攻防をかわしながら徐々にポイントを加え、残り10秒12-2でTF勝利を収めた。これで山梨学院は6-0で全勝勝利まであと1勝。最後は74㎏級に階級を上げた青柳善の輔(4年)。第1P、1-0の僅差で折り返すと、山梨学院応援席から“行け、行けキャプテン!”の大声援もあり、第2Pでは相手の攻撃を上手くかわしながら要所でしっかり加点し、4-1で勝利を目前にした一瞬相手の攻撃を見誤り抱えられ外に投げ出される4ポイントの大技を食らい4-5と逆転され、チャレンジも失敗し4-6でまさかの敗退となった。しかし、チームは6勝1敗で早稲田大に勝利、順位決定リーグで2勝。明日の日体大戦に昨年の雪辱を果たす。
◆順位決定リーグ1日目2戦目《山梨学院大VS早稲田大 6-1で勝利》
テクニカルフォール勝ち1、優勢勝ち5、優勢負け1
65kg | 57kg | 86kg | 61kg | 125kg | 70kg | 74kg | |
山学大 | 荻野 | 勝目 | 佐藤 | 森田 | ソビィット | 富山 | 青柳 |
○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ● | |
早稲田大 | 計良 | 尾西 | 山倉 | 藤田 | 北脇 | ズート | 深田 |
■試合後のインタビュー
試合後、小幡邦彦監督は今日の戦いを、「順調に行きましたがただもったいない負けもあったので、明日はそういうミスはできないので、出る選手もそうなんですけど、応援している選手も一つにならないと勝てないですし、1戦1戦が接戦になると思うので、昨年の借りを返せるようにしっかり勝ち切れるように頑張らせたいと思います。日体も連覇するために必死に来ると思いますし、うちも王座を奪還するためにやってきているので、後は気持ちの勝負となると思うのでミスを恐れずに強気に攻めさせたい」と優勝への並々ならぬ思いを吐露した。力強い戦いぶりが魅力の荻野海志選手は早稲田大戦について、「対戦相手は今まで戦ったことがなかったので、緊張ももちろんあったんですけど、自分は学生チャンピオンとして、山梨学院のポイントゲッターとしてできることをやろうと考えて戦いました。果たすべき責任を全うできた」と話し、明日の日体大戦については「自分も勝ったことのない清岡選手との対戦ですけど、自分が勝てると思っているので明日に向けてしっかり調整したいと思います。自分が優勝に導けるように頑張ります」と自信の程を見せた。青柳善の輔主将は終了間際に一瞬のタイミングで逆転された相手を、「小さい頃からACCのチームで一緒で昔から勝ったことのない相手なので、勝ちたい気持ちでやったんですけど、苦手で上手くいかずに最後、場外際で4点負けしてしまいました。上の階級で接戦だったのでまあ、仕方がないですね。また、身体をつくり直して頑張ります」と気持ちを切り替えた。「自分は今日チームに救われてチームが勝てたのですが、明日は気が抜けない試合となるので自分がチームを救っていく気持ちでやるのと、今年のチームは強いのでひとり一人が気を抜かないで頑張るというチャレンジャー精神で勝ちに行きます」と最終決戦に挑む。
順位決定1部リーグ1位から4位までのグループ1日目の結果は、山梨学院大、日体大が2勝で並び、拓殖大と早稲田大が2敗の結果となった。山梨学院は明日、日体大と優勝を懸けた直接対決で6連覇を成し遂げた2018年以来の優勝を目指し、チーム一丸となり王者奪還に挑む。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2023.5.17