●山学準優勝 東日本学生レスリングリーグ戦最終日
~またも山学一歩届かず。日体大の牙城を崩せず~
~総合力の差、ひとり一人の力の底上げを図る~
5月18日、大学対抗団体戦「東京都知事杯東日本学生レスリングリーグ戦」順位決定リーグ最終戦が東京・駒沢屋内球技場で行われた。Bグループ1位の山梨学院大は昨日、Cグループ1位拓殖大、Dグループ1位の早稲田大と対戦し、拓殖大、早稲田大にチームスコア6-1で勝利、最終日にAグループ1位で順位決定リーグ2勝を挙げ3連覇を狙う日体大と優勝を懸けて激突した。試合は抽選で配列を決めた1番手は57㎏級。山梨学院は、勝目大翔が1年生同士の戦いに敗れたが、2番手の70㎏級青柳善の輔がグレコローマンを専門とする上半身の強い相手を破り、五分に戻した。3番手、この大会勝負を決めた節目の勝利に複数関わった61㎏級森田魁人が完敗、続く勝利の確率が高い74㎏級の世界選手権出場経験者・佐藤匡紀が惜敗、次に勢いのある大学王者65㎏級荻野海志は日体の主将、実力者に挑んだ。第1Pをリードするも、第2Pで相手のうまさに徐々に主導権を握られ逆転を許した。ここで1-4となり勝負は日体大に決まったが、一つでも多くの勝利を得るため、続く125㎏級ソビィット・アビレイが勝利、7番目86㎏級五十嵐文彌が日大の経験者との激戦を制し、山梨学院の意地を見せた。試合は山梨学院の3勝4敗、予想通りの接戦に日体大の総合力が山梨学院をわずかに上回った。
■グランスラム達成の日体大に王者奪還を挑むー
試合は、他の試合がすべて終了後、大会最後行われた。1番目に57㎏級が抽選で配列された。山梨学院は、今大会怪我の小野正之助(2年)に代わり勝目大翔(1年)を起用。ここまで期待に応えてきた。試合は0-1とリードされた第2P終盤、互いに攻撃し合う中、勝目の仕掛けが空振り、それを境に4ポイントを失い1-5で1戦目を落とした。2番手配列は70㎏級、主将青柳善の輔が登場。相手はグレコローマンスタイルを専門とする選手。序盤、上半身の力が強い相手に手間取るが、相手を見切るとフリースタイルのスピードとテクニックで得点を重ね10-1で折り返し第2P中盤、12-2となりTF(テクニカルフォール)。振り出しに戻した。続く3番手61㎏級森田魁人(3年)はこれまで勝負を決定した4勝目を挙げ、チームに貢献し、この一戦で逆転を期待されたが、激しい攻防を展開したが後半に主導権を握られ完敗、再びリードを許した。次の4番手74㎏級佐藤匡紀(4年)は世界選手権出場の実力者。両陣営の盛り上がる応援の中、期待を一身に浴びマットに上がった。試合は力がある選手同士のため、なかなか踏み込めずに拮抗状態が続き、互いに警告の累積でポイントを奪う展開に、第2P終了間際の攻防で足を掴まれ背後を取られ2-4で敗れ、山梨学院にとって痛い敗退となった。5番手65㎏級荻野海志(2年)は、昨日のインタビューに勝ったことのない対戦相手に絶対に勝つとこのマットに立った。言葉通り荻野は積極的に先に仕掛け、相手を苦しめ前半に大技を決め4ポイントを奪い主導権を握るも、相手も経験豊富な巧者。次第に荻野の動きを封じ、自分にペースに持ち込め逆転し、荻野を破った。チームスコア山梨学院の1勝に対して日体大は4勝となりこの時点で日体大が勝利を決めた。続く125㎏級ソビィット・アビレイ(2年)が勝利、最後の配列、86㎏級の五十嵐文彌(2年)は第1P、互いに素早い動きから激しい攻防を展開するが有効なポイントは奪えず、五十嵐がパッシブによる1ポイントのみ1-0で折り返した。第2Pにも互いの積極的な攻防が試合を盛り上げ、応援席のボルテージが沸騰した。試合は最後まで集中力を崩さなかった五十嵐が相手を凌ぎ5-2で勝利した。試合は前半の取りこぼしが響き3勝4敗で日体大が3大会連続で優勝を飾った。全試合終了後、閉会式が行われ個人では青柳善の輔主将が敢闘賞を獲得した。
◆順位決定リーグ最終戦《山梨学院大VS日本体育大 3-4で敗退》
テクニカルフォール1、優勢勝ち2・テクニカルフォール負け1、優勢負け3
57kg | 70kg | 61kg | 74kg | 65kg | 125kg | 86kg | |
日体大 | 西内 | 曾我部 | 田南部 | 高田 | 清岡 | 小畑 | 高橋 |
● | ○ | ● | ● | ● | ○ | ○ | |
山学大 | 勝目 | 青柳 | 森田 | 佐藤 | 荻野 | ソビィット | 五十嵐 |
■順位決定リーグ結果
1位~4位順位決定リーグ戦は、1位・日本体育大3勝(勝ち点65)、2位・山梨学院大2勝1敗(勝ち点54)、3位・早稲田大1勝2敗(勝ち点32)、4位・拓殖大3敗(勝ち点21)となった。山梨学院は昨年同様、日体大との直接対決で3勝4敗の惜敗で敗れ優勝は来年に持ち越された。
■試合後インタビュー
小幡邦彦監督は「ああいう展開にはなると思っていたんですが、出た選手はしっかり今持っている力は出してくれました。一番は最後気持ちの部分で日体大の方が上だったということです」と敗因を語った。その中で収穫も多くあった。勝利を計算できる57㎏級小野正之助に代わって出場した勝田大翔について、「ほぼ全試合出てくれて、二番手の選手も就職活動などで出られなくて彼に負荷をかけてしまったですけど、よく頑張ってくれて今後のつながるいい試合もしてくれましたし、怪我で出ていない小野もいい刺激になったと思うのでまた、内閣もありますのでうちがチャンピオンになれるように鍛え直していきたいと思います」。また、実績のある日体大主将と互角に戦った65㎏級荻野海志選手にも言及。「去年も試合には出ているんですけどこういう決勝とかプレッシャーが掛かった状態で試合に出たのは初めてなので、やはり清岡君もキャプテンとして、4年生としての意地もあったんで、そこは向こうが上回ったかなと思いますけど、彼の経験としていい結果につながってくれると思うので、終わってしまったことは仕方がないのでまた次に向けて頑張らせたい」と期待を寄せた。世界選手権出場経験のある実力者佐藤匡紀選手は微妙な判定にも「普通に負けました」と潔い。コロナウイルスの影響で2年間だけの出場に、「個人戦にはない楽しさがありますね。試合もそうですが、試合に向けてのチームの雰囲気が個人戦では味わえない、盛り上がりが楽しかったです。自分が4敗のうちの一つを落としてしまい最高学年としてチームに申し訳ない気持ちです。最後負けてしまったのは悔しかったですけど、ここまでくる段階も、チームみんなで切磋琢磨できたので個人だけでなくてチーム全体で成長できたと思います」と話した。チームをまとめてきた青柳善の輔主将は打倒を目指してきた日体大戦に、「自分たち山学の選手たち以外の違う大学の選手たちにも応援をお願いして、みんなの力を借りてでも絶対に勝ちたかったのですけど、まだ追いつけなく、一歩足りない状況で、やっぱり日体は総合力もあって、強いと思いました」と完敗を認めた。自身最後となった今大会に、「自分は悔しいも思い出しかなくて、今年も悔しい結果になってしまったんですけど、この空気に飲まれながら戦える選手がどんどん強くなっていくんだなと思います」と感慨深く振り返った。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2023.5.18