●関東高校ラグビー大会 山学高初出場初勝利
~復活3年目、記念すべき県外公式戦初勝利~
~埼玉1位校に堂々渡り合い、花園出場を近寄せる~
2023年度第71回「関東高校ラグビーフットボール大会」が6月10日開幕した。1日目14試合が東芝府中グランド他で行われた。「関東高校ラグビー大会」は関東1都7県の28チームが各地区の予選の成績によりAからGまでの7ブロックに4チームずつに分かれトーナメント方式で各ブロックの優勝を争う。Bブロックの山梨学院(山梨1位)は埼玉1位の川越東高と対戦した。序盤3分、先制したのは川越東。山梨学院が反則でPG(ペナルティーゴール)を決められ3点を奪われたがその直後、タッチキックからラインアウト・マイボールを#13ジョサイア、#11三木良唯吏とつなぎトライ・ゴールキック(GK)を決め7-3と逆転した。なおも山梨学院はゴールライン際でのスクラムの攻防で#4リアムがトライに成功、GKも決まり14-3とリードした。川越も終了間際にトライを1本返し14-8で前半を終了した。後半も、序盤に川越のゴールライン前の猛攻でトライを許し14-13と迫られるも、初陣の山梨学院は焦らずに#7朴霜焄、#13ジョサイヤ、#6渡邊楓太のトライで28-13と差を広げた。一方の川越も1トライを返すも山梨学院は最後まで主導権を譲らず、終了間際には中央のゴール前の攻防で#5雨宮巧弥の駄目押しトライで42-21と、ダブルスコアで川越を下した。山梨学院は復活3年目にして県外公式戦初勝利を飾った。明日のBブロック決勝で名門・茗渓学園高(茨城)と対戦する。
山梨学院高は5月の山梨県高校総体で初めて日川高に勝利、悲願の初優勝を飾り関東大会出場を決めた。山梨学院高校は2021年4月、2006年以来休部していたラグビー部を15年ぶりに復活。大学ラグビー部との高大連携で競技力を上げ、“花園”常連校の日川高校を破ることを目標に始動した。復活3年目、ようやく厳しい練習が実を結び新しい一歩を踏み出した。「関東高校ラグビー大会」は関東1都7県の28チームが各地区の予選の成績によりAからGまでの7ブロックで4チームずつに分かれトーナメント方式で各ブロックの優勝を争う。このシステムは関東地区の同程度の成績を収めたチームが競う合うため、現在の力を試す絶好の機会となる。山梨学院はBブロックに入り、茗渓学園高(茨城)、川越東高(埼玉)、明和県央高(群馬)の4校でブロック優勝を争う。今回、山梨県から山梨学院のほか、日川高(山梨2位)、日大明誠高(山梨3位)が出場しており各ブロックで戦う。
■前半 川越東高の先制をTB三木選手の逆転トライがチームに流れを引き寄せるー
山梨学院の初戦の対戦相手川越東高はラグビー強豪校が揃う埼玉県の中、花園出場実績があり今大会も県1位での出場。試合は東芝府中グランドで大勢のラグビーファンが見守る中、川越東高のキックオフで開始された。試合は25分ハーフ。開始早々両チームの激しいボールの奪い合いになり、序盤3分、ハーフウエイラインでの攻防で山梨学院が反則を犯し、相手の距離のあるPG(ペナルティーキック)を見事に決められ先制された。山梨学院もその直後、タッチキックで陣地を大きく獲得し、ラインアウト・マイボールからTB#13ジョサイア(3年)、TB#11三木良唯吏(2年)とつなぎトライ、三木のコンバージョンキック(ゴールキック:GK)も決まり7-3と逆転した。なおも18分には山梨学院は再びラインアウトからゴールライン際でのスクラムの混戦の中、FW#4リアム(2年)が出たボールにトライを成功させた、GKも決まり14-3とリードした。その後も山梨学院の強いフォワードと速いバックスのコンビネーションによる展開ラグビーで川越を揺さぶり優位に試合を進めたが、川越も終了間際にトライを1本返し14-8で前半を終了した。
■後半 差を縮められるも鍛え上げられたフォワード、バックスの連携が光るー
後半、山梨学院のキックオフで始まった。序盤、山梨学院FB#15篠原悠士(2年)がハーフウエイラインでボールを受け取り相手ディフェンスをかわしながらゴール付近まで迫るも相手に阻止されたが迫力あるプレーに観客からは大きな拍手が沸いた。しかし、川越も埼玉1位の実力を見せ、ゴールライン前の猛攻でトライを奪い14-13と差を詰めた。直後、山梨学院はゴール前でのスクラムモールで押し込みFW#7朴霜焄がトライ。川越もPKで3点を加え、21-16と追随するも、山梨学院の攻撃の手は収まらず、#13ジョサイヤが相手タックルをものともしない突進で左隅にトライ。この角度のあるGKもHB#23平塚優斗(3年)が落ち着いて決め28-16にした。続けざまにバックスの総力を見せつけた#15⇒#11⇒#13とパスをつなげ、最後はFW#6渡邊楓太(2年)のトライ・GKで35-16と差を広げた。一方の川越も相手#10を中心に1トライを返すも山梨学院は最後まで主導権を譲らず、終了間際には中央のゴール前の攻防でFW#5雨宮巧弥(3年)が駄目押しのトライを決め42-21とダブルスコアで川越を下した。山梨学院は試合を通して鍛え上げた力強いタックルとバックスのスピードによるコンビネーションラグビーが機能、優位に進めた。
■山梨学院スターティングメンバー
#1小俣颯舞(3年)、#2加藤賢正(3年)、#3足達将太(3年)、#4リアム・ヘンダーソン(2年)、#5雨宮巧弥(3年)、#6渡邊楓太(2年)、#7朴霜焄(3年)、#8初鹿野遙帆(3年)、#9樋口奏(3年)、#10小島咲汰朗(2年)、#11三木良唯吏(2年)、#12宮下悠空(3年)、#13ジョサイア・ヴァレマイババ(3年)、#14芦澤涼介(3年)、#15篠原悠士(2年) ❖交替=前半9分:#10(怪我)⇒#23平塚優斗、後半22分:#4⇒#17マナセ・ファーガソン(3年)、22分:#3⇒#18小泉俊輔(3年)、22分:#14⇒#25程原壱茶(3年)
第71回関東高校ラグビー大会 Bブロック1回戦 《山梨学院高VS川越東高》6/10 東芝府中グランド |
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○ 山梨学院高 42 | 前半 14- 8 後半 28-13 |
21 川越東高 ● |
山梨学院トライ=三木良唯吏、リアム・ヘンダーソン、ジョサイア・ヴァレマイババ、 朴霜焄、渡邊楓太、雨宮巧弥 (得点順) ゴールキック(コンバージョンキック)=三木3、平塚優斗4 |
■試合後のコメントー
古屋勇紀監督は「県外公式戦初勝利でもあるので、そもそもまだ2年2か月という中で、子どもたちにとっても大きなこの勝利はいい経験になったなと思います。やっぱり川越さんもかなり鍛えられているチームですので激しいタックルで、こちらの思うような展開になかなか持ち込めなかったのはありますがこちらもいいタックルができたと思います。でも上のレベルに行くためにはもっと精度の高いディフェンス力を付けなくてはいけないので課題としては残っていますが。決勝戦の茗渓さんは伝統のチームですしこれまでの評判を聞いてもかなりチーム力もあるということなのでチャレンジャーとしてしっかり向かって行きたい」と控えめに語った。FW#2加藤賢正主将は「今日は関東大会の初の試合で緊張している部分もあって上手くいかないことも結構あったんですけ結果勝てて良かった」と安堵の表情を見せた。勝因については、「ディフェンスにフォーカスして練習してきたので自分たちで前に出て体当てて、相手をしっかりつかんで倒すということをやってきたのでそこの部分が多くできてはいたんですけれども、でもそこで起きてしまった反則もあり、それは次に生かせればいいかなと思います」と話した。逆転のトライには、「あそこでトライ取れたということはチームの中で課題だった部分のメンタル部分が成長したかなと思います。明日は茗渓学園さんですけど、強いチームなのでそこにどれだけ自分たちができるかチャレンジ精神を持ってハードワークしていい試合ができれば」と前を向いた。逆転トライを決めたTB#11三木良唯吏選手(2年)は「先制点は取られたんですけど、自分たちがやってきたことをやったら勝てると臨んだので自分たちがやることを再確認した結果、トライできてめっちゃうれしかったです。練習でも常に走ってきたので試合でもそこが活きたということがこの勝利につながった」と喜んだ。「日頃フォワード勝負というのはこだわってやってきているので今日、フォワードがめちゃくちゃ頑張ってくれたのでバックスも気持ち良くトライできたと思います。明日も相手はめちゃくちゃ強いですけど、必ず自分が勢いつけて勝ちたい」と小柄な体に自信を覗かせた。
関東大会山梨県予選後に古屋監督が語った、「山梨県の1位代表として恥ずかしくない試合をやってきたい」との言葉を思い出し、この大会に懸ける思いを感じた。
茗渓学園高とのBブロック決勝戦は11日午後2時25分、府中朝日フットボールパークで行われる。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2023.6.10