●第71回関東高校ラグビー大会 山学高準優勝
~全国レベルの名門茗渓学園高に零封されるも健闘~
~経験を糧に県外強豪校との練習試合で底上げ図る~
第71回「関東高校ラグビーフットボール大会」各ブロック順位決定戦が6月11日、東芝府中グランド他で行われた。関東1都7県の予選上位チームがAからGまでの7ブロックに4チームずつに分かれトーナメント方式で各ブロックの優勝を争う。Bブロックの山梨学院(山梨1位)は1日目、埼玉1位の川越東高に快勝し。2日目決勝戦を茗渓学園高(茨城)と対戦した。試合は雨の中、府中朝日フットボールパークで行われた。開始1分、山学のキックオフボールを獲った茗渓が速い展開で先制トライを挙げ、山学の出鼻を砕いた。山学もゴール前でのスクラムで反撃をするが、相手のディフェンスに押し返され好機を逸すると、その後は茗渓に主導権を握ぎられ再三、厳しいアタックやタッチキック、ラインアウトからのスクラムなど多彩な攻撃で山学ゴールラインを脅かした。しかし、山学も強いタックルで攻撃を凌ぎ、前半をワントライワンゴール0-7のロースコアで抑えた。後半に入り、今度は山学が立ち上がりに相手陣地に入るもの堅固なプレスを崩せず好機の眼を潰された。一方、茗渓は直後、ゴール前の攻防でラックから得点。さらに山学のディフェンスをパスによるアタックで破り得点した。中盤、山学も反撃。ゴール前で連続2度のラックによる好機を作るも、茗渓の堅い守備に押し返された。終了間際にもトライを許し0-26で敗れた。山学は茗渓の強いアタックと堅固FWに力負けを喫したが初の関東でBブロック準優勝と健闘した。
■前半 名門・茗渓学園高に先制されるも、ロースコアで凌ぐー
関東大会初戦、川越東高に快勝した山梨学院は、全国高校選手権(花園)に11大会連続28回出場を誇る茨城第1位の茗渓学園高とBブロック優勝を懸けて25分ハーフで対戦した。東京府中市・府中朝日フットボールパークで行われた試合は、断続的に強い雨が降る中でも、保護者や多くの高校ラグビーファンが詰めかけ、午後2時25分に山梨学院のキックオフで開始された。開始早々、ゲームは動いた。山学のキックボールを受けた茗渓は、アタックを掛けて右へ素早い展開に#13から#14右ウイングにつないで右中間へトライした。僅か開始1分の出来事だった。出鼻をくじかれた格好となった山学も6分、ゴール前まで持ち込みスクラムからトライを狙うも、相手のディフェンスに押し返され好機を逸した。その後は再三、茗渓のフォワード(FW)の強いプレスやスピードあるバックスの攻撃でトライ危機を招くが、山学は辛抱強く耐えた。その中で攻撃の主軸#ジョサイアが負傷退場し状況は悪化した。それでも前半をワントライワンゴール0-7のロースコアで抑えた。
■後半 茗渓の堅いフォワード、スピードあるバックスに苦しむー
後半に入りサイドが変わった山学が立ち上がり相手陣地に入りトライを狙うも、強力な茗渓フォワードに押し戻された。反転、茗渓はタッチキックで22mライン深くまで陣地を奪うと、そのままゴールライン前の攻防となり、スクラム・ラックからトライ、ゴールも決めて0-14となった。さらに中央付近での攻防にボールを持った茗渓バックス#11が山学フォワード陣のタックルを華麗なステップでかわしてパスで#12につなぐと、FW#2が左サイドを駆け上がり左隅にトライ。難しいゴールキックも決め、茗渓が21-0とリードした。山学は主導権を握られ苦しい中盤に反撃。ゴールライン中央までボールを持ち込みスクラム、ラックで何度もトライを試みるが茗渓定評のFWの堅い守備でトライが奪えず、絶好の好機を逃した。さらにウオータータイムを挟んで山学はタッチキックからラインアウトに持ち込み、ゴールライン中央に持ち込み、再びラックで執拗にトライを試みたが、ここもまた茗渓FWにより阻止された。その後も激しい攻防が繰り返された終了間際の25分、茗渓FWのアタックから、素早い球出しでバックスがスピードに乗って右中間にトライ。ゴールキックは外れたが、ここでノーサイドの笛が響き、山学は0-26で敗れた。
■山梨学院スターティングメンバー
#1小俣颯舞(3年)、#2加藤賢正(3年)、#3足達将太(3年)、#4リアム・ヘンダーソン(2年)、#5雨宮巧弥(3年)、#6渡邊楓太(2年)、#7朴霜焄(3年)、#8初鹿野遙帆(3年)、#9樋口奏(3年)、#10平塚優斗(3年)、#11三木良唯吏(2年)、#12宮下悠空(3年)、#13ジョサイア・ヴァレマイババ(3年)、#14芦澤涼介(3年)、#15篠原悠士(2年) ❖交替=前半24分:#13(怪我)⇒#23井上愛斗(2年)、後半0分:#7⇒#17マナセ・ファーガソン(3年)、7分:#6⇒#16長谷川大輔(3年)、19分:#1⇒#20下條友成(2年)、21分:#3⇒#18小泉俊輔(3年)、#9⇒#22矢野悠斗(3年)、#14⇒#24程原壱茶(3年)
第71回関東高校ラグビー大会 2日目 Bブロック決勝戦 《山梨学院高VS茗渓学園高》6/11 府中朝日フットボールパーク |
||
---|---|---|
● 山梨学院高 0 | 前半 0- 7 後半 0-19 |
26 茗渓学園高 〇 |
茗渓学園高得点者=前半1分:#14森尾、4分:後半9分:#2川村、 後半25分:#13山口、 コンバージョンキック(GK):#10岡本3 |
■試合後のコメントー
古屋勇紀監督は「このレベルになるとなかなかスコアさせてもらえない試合でした。茗渓さんは非常にディフェンスが堅いので私たちディフェンス面では大変勉強になりました。前半、立ち上がりにいきなり取られたんですけども、ロースコアで前半折り返してチャンスを待とうという中で、前半は私たちのプラン通りで戦うことができたんですが、怪我人が出たりして、後半、少しポジション的ところでギャップができたところを上手く突いてトライにつながれた」と試合を振り返った。選手権に向けて立て直しは、「まずは県内で勝つことができなければ花園はないのでそこに向け、今日やったようなチームですとか、Aブロックのレベルの高い県外の学校と交流をしっかりしながらさらにチーム力を上げていければ」と早速、花園に向けて始動する。加藤賢正主将は茗渓高の印象を、「チームとして完成されていてアタックの精度だったり、そういう一個一個の細かい部分まで徹底されていたと思うので、まずはこういう強いチームとやって良かったなと思っています。強いチームとやって出た反省を失くして次に戦う時には勝てればなと思います。自分たちのチーム力も高くなってきているので、個だけではなくてチーム力でもっと上達していければ」と今日の課題を糧に前に前進する。梶原宏之総監督は大会を総括して、「1回戦を埼玉1位の川越東に対して非常に素晴らしいラグビーをやったんですが、2日連続ということもあり疲れもありましたが、もう一段上の関東にチャレンジしたゲームで、自分たちのラグビーをやらしてもらえなかったということが正直な感想です」と語った。今後の取り組みには、「こういう舞台でしっかりと力を出す、そういう練習を積み上げてまた秋の県内予選、花園に向けたい」と花園でも初出場を目指す。
山梨学院高ラグビー部は復活して僅か3年目(現在2年2か月)、『日川高を破り花園へ』のテーマを掲げ、高大連携で鍛えられてきた。そしてその成果が、初めて日川高を破り晴れの関東大会初出場を果たし、初勝利という形で実証された。この日の決勝では関東のトップ4に数えられ全国大会でも強豪の名門・茗渓学園と対戦、零封されるも健闘し、Bブロック準優勝に輝いた。梶原総監督は「経験値の違い。伸びしろのあるチームで楽しみ」と今後の成長に期待を寄せる。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2023.6.12