山梨学院広報課

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●山学短大が幼児教育関連団体と連携協定締結
~3団体と幼児教育で「保育の質」向上に連携
~保育は子どもの今と未来を支えるための仕事~

山梨学院短期大学は6月21日、保育・幼児教育関連団体と山梨県内の保育・幼児教育の充実を図ることを目的に包括的連携協定締結式を山梨学院広報スタジオで行った。未来を託す幼児に対する教育は現在、保育者の減少や人材不足、組織的な不祥事などで起きた不信感で「保育の質」が不安視されている。今回、幼児教育を取り巻く課題を解決し、さらに保育の充実に向け、重層的な取り組みを推し進めるため、山梨県保育協議会、公益社団法人・山梨県私学教育振興会及び山梨県認定こども園設置連絡会の3団体と連携協定を結んだ。締結式は時間を分け団体ごとに行われ、初めに山梨学院短大・遠藤清香学長と山梨県保育協議会・廣瀬集一会長が協定書に署名した。次に、山梨県私学教育振興会・川手佳彦理事長、引き続き山梨県認定こども園設置者連絡会・井口太会長が協定書に署名・交換した。その後、それぞれに山梨学院短大・中野隆司保育科長が協定の趣旨、今後の事業展開を説明した。協定書署名に先立った挨拶で遠藤学長は「山梨県の保育・幼児教育の環境、それから子どもに関わる環境、そして子育てを取り巻く環境には、みんなで協力して頑張ってはおりますがまだまだ課題があるというふうに考えます。それらの課題解決に向けて、一緒に取り組んでいけることを大変うれしく思います」と挨拶した。今後、さらに学生の実習や就職、保育者の日々の保育実践や研修、研鑽などを通して「保育の質」の向上に連携していく。

■幼児教育とはー
幼児教育とは、幼児に対する教育を意味し、幼児が生活するすべての場において行われる教育を総称したもの。具体的には、幼稚園、保育所、認定こども園などで行われる教育、家庭における教育、地域社会における教育を含む、広がりを持った概念として捉えられる。幼児教育の意義、役割は目先の結果のみを期待するのではなく、生涯にわたる学習の基礎をつくること、「後伸びする力」を培うことを重視している。幼児教育に関わるに当たり、家庭や地域社会では、幼児の持つ強さや幼児の可能性の芽を伸ばす努力が求められる。幼稚園施設等における教員等には、幼児一人一人の内面にひそむ芽生えを理解し、その芽を引き出し伸ばすために、幼児の主体的な活動を促す適当な環境を計画的に設定することができる専門的な能力が求められる。このように幼児教育は次代を担う子どもたちが人間として心豊かにたくましく生きる力を身につけられるよう、生涯にわたる人間形成の基礎を培う普遍的かつ重要な役割を担っている。(文部科学省:幼児教育の意義・役割より)

これまでに山梨県内で幼児教育を担う多くの保育者を送り出してきた山梨学院短期大学と保育・幼児教育関連3団体が少子化や待遇改善などの課題、また不適格保育などによる保育者の減少に悩む逆境の中、より良い環境で「保育の質」を上げようと連携して取り組むため協定を結んだ。連携協定式は6月21日、山梨学院広報スタジオで3団体が集まり、時間を分けて執り行った。

山梨県保育協議会との締結式ー
初めの締結式は、山梨県下の公立・私立保育園、認定こども園の施設長と職員で組織される山梨県保育協議会との連携協定に山梨県保育協議会から廣瀬集一会長、志村史哉副会長、小幡徳生副会長が出席した。山梨学院短期大学からは遠藤清香学長と山梨学院短期大学保育科・中野隆司科長が出席、締結式の司会進行は羽畑祐吾山梨学院短期大学栄養科科長・地域連携研究センター長が担当した。締結に先立ち初めに遠藤清香学長が挨拶。「今回、山梨県保育協議会と連携協定に至れたことは、本当にうれしく思っております。本日、協定となりますが実は皆様とはこれまでも本学学生の実習や就職、卒業生のリカレント教育(学び直し)などでいろいろな連携をさせていただいてまいりました。それが本日、締結という形となります。後からも申し上げますが、幼稚園の関連団体様と、保育園団体様、それから認定こども園の団体様、皆さんと連携をすることによって大きなまとまりとして山梨県の幼児教育・保育の課題に取り組んでいければと考えております。山梨県の保育・幼児教育の環境、それから子どもに関わる環境、そして子育てを取り巻く環境には、みんなで協力して頑張ってはおりますがまだまだ課題があると思います。それらの課題解決に向けて、一緒に取り組んでいけることを大変うれしく思います。保育は子どもの今と未来を支える仕事であり学問であると考えております。山梨県内の保育・幼児教育の充実につながるさまざまな取り組みが今後実現されていくことを期待します」と述べた。
(※遠藤学長の挨拶は以下、同文。また、すべての挨拶文については抜粋しています)

現在、県内に公立・私立の約200の会員で組織される山梨県保育協議会の廣瀬集一会長は挨拶で、「一生懸命、『保育の充実』をということでやっていますけれども、その中で歴史、伝統ある山梨学院短期大学は、県内の保育園、認定こども園、幼稚園を含めて多くの卒業生がいるので一緒になって山梨県の子育てを続けてきた感謝と自負の気持ちがあります。ぜひ山梨県が子育て環境をより一層、伸ばせるように、良い環境をつくるように今日の包括的な連携を含めて、みんなで進めていきたいと思います。そして現在の学生さんたちにも、大きく育っていただきたいし、今、実際に現場に入っている先生たちも本当にもっともっとキャリアアップをしながら、出来る(保育の充実)ことを期待しながら今日の協定に臨んでいます」と述べた。この後、廣瀬会長と遠藤学長が協定書に署名、志村副会長と中野科長が覚書に署名した。次に4人が記念写真に納まった。協定の趣旨及び今後の事業展開を中野隆司保育科長がモニターに内容を映しながら説明した。

■《締結の趣旨・目的》(以下、次の私学教育振興会も同じ)
〇山梨県内の幼児教育・保育の充実
〇地域の子育てに関する課題の解決
■《連携・協力内容》
(1)学生の実習及び就職に関する支援(2)幼児教育・保育に関する研究・調査(3)現場保育者対象の研修への支援(4)山梨学院短期大学の教育活動に対する外部評価。
■《2023年度の事業内容》
幼児教育・保育の魅力 再発見~大学から現場へ、継続する学び~
❖ 7月 保育科2年生「保育現場見学デー」
❖ 8月 やまなし保育フェア(本学学生が会場にブースを設ける)
❖ 9月 保育科1年生「保育現場見学デー」
❖12月 保育科1年生「幼稚園教育実習説明会」
❖5月・10月 外部助言評価委員会などが予定されている。(次の私学教育振興会も同じ)

公益社団法人・山梨県私学教育振興会との締結式―
締結式は山梨県保育協議会の終了後に同じ進行で行われた。協定書署名は山梨県私学教育振興会・川手佳彦理事長と遠藤学長とで行われ、覚書は鈴木信行副理事長・幼稚園部会長と中野保育科長が署名した。挨拶では川手佳彦理事長は私学教育振興会の役割を行政への要望活動や対外的な活動を私学の団体として行っていると説明した後、「この度の山梨学院短期大学との幼児教育に関する包括的連携協定が当会の幼稚園部会にとって大変大きな意義があるものであります。山梨学院短期大学保育科は県内最大の保育士や幼稚園教諭養成施設でこれまでも多くの教員を養成していただいており、県内の幼児教育において非常に大きな影響力を持っております。協定書にあります通り幼児教育・保育の内容の向上に資するために研修や研究が非常に重要であり、保育科の先生方にご協力いただきますことで幼稚園部会の研修がより周知するものと考えております。今回の協定締結を契機に山梨学院短大保育科と幼稚園部会でさまざまな取り組みが進められ本県の幼児教育が一層発展することを期待しております」と述べた。続いて鈴木信行同副理事長・幼稚園部会長が挨拶「今、なぜ包括的連携協定なのか。社会が大きく変わる中で、保育時間が長くなりそのことを批判することは簡単です。でもそういう社会、そういう構造になってしまった社会の中で、子どもたちをしっかり育てること、そういう時代に生きられる強い心を持った子どもたちを育てるためにはどうしたらいいのか、これが私たちの保育の課題です。今までの保育では子どもたちが育たなくなっているという事実に向き合わなくてはなりません。そのために、私たちは自分の園だけではなくて多くの園の中で、自らの園の保育を振り返り、そして新しい子どもが育つ保育を模索し、作っていかなくてはなりません。喫緊の課題です。私たちだけではどうにもなりません。山梨学院短期大学では私たちの各園で働く先生たちを育ててくださっています。それだけではなくて様々な子どもの育ちに関わる専門家の先生方がたくさんいらっしゃいます。かつては保育科だけのことを考えていた私たちが認定こども園になり給食もとても大事な要素になっております。心と身体を育てるためにです。そういう意味で専門的な視点から私たちの保育の見直し、個々の園の保育の質の向上のために、しっかりとした枠組みの中で、すべての園にその力をお貸しいただけたらと心から願っています。そのことで今日のこの包括的連携協定はとても私は心から喜んでいるところです」と述べた。(その後の協定の趣旨説明などは同じ)。

山梨県認定こども園設置者連絡会との締結式ー
認定こども園設置者連絡会からは井口太会長と鮎川剛事務長が出席して締結式が行われた。協定書署名は井口会長と遠藤学長、覚書署名は井口会長と中野保育科長によって行われた。山梨県認定こども園は保育協議会に加盟している園と私学教育振興会幼稚園部会に加盟する園、どちらにも加盟していない園を含めて合計69園の団体から組織されている。井口太会長の挨拶では「今回、山梨学院短期大学と協定を結ぶことに私どもにしてみても非常にありがたいことですし、双方がいろいろなことで努力していく中で、子どもたちにとってより良い環境がつくれるのかなと思っています。私ども団体としても毎年研修会、研究会等を行っておりますが講師の先生をお願いするのに非常に苦労しているところです。そういった面でも私どもにはとってはありがたいと思っています。また、各園にしてみても保育教諭採用の面でも非常にありがたいと思っています。そして、学生さん方にしてみてもいろいろな園を回るとか、見学したりとか私どもの園としても協力体制が取れるではないかと思っています。これを機会に山梨の子どもたちにより良い環境を提供できるよう頑張っていきたいと思っています」と述べた。署名終了後の事業展開説明で認定こども園との《2023年度事業内容》は
❖7月 保育科2年生「保育現場見学デー」
❖8月 やまなし保育フェア及び保育科1年生「保育科現場見学デー」が組まれていると説明。その後、滞りなく進行が進められ保育・幼児教育関連3団体との包括的連携協定をすべて締結した。

締結後、井口太会長は認定こども園が抱えている課題について、「研修会などを計画しても今はなかなか、先生方が自由に研修会に出られる時間がつくれないという、どうしても先生方の勤務時間の問題もあるし、その辺が厳しくなっていることは確かです。また、講師の先生を探すことも事務局は大変なんです。締結したことでその辺はこちらからもお願いし易いですし、学校としても対応してもらえれば本当にありがたいですね」と話した。

「保育の質」を上げるためには構造的な変革が課題となる。産学だけではいかんともし難い現状である。少子化、保育員の人材不足、長時間労働、低賃金の待遇改善などが喫緊の課題だ。遠藤学長が挨拶で述べた。「保育員は子どもの今と未来を支える仕事」。大切な子どもたちのためには人手の充足が必要となる。「保育の質」向上。その実現に山梨学院短大は、これからも教育現場から広く山梨県全体の保育・幼児教育に関わる団体とともに考え、保育の充実を推進する。

文(K.F) カメラ(平川大雪) 2023.6.22