●第13回「山梨県ケーキショー2023」開催
~ジュニア最高賞の協会長賞に山学短大深澤さん~
~9人が各賞受賞 笑顔を誘う作品に仕上がる~
山梨県洋菓子協会が会員の技術向上を目的に2010年から開催しているケーキの祭典、第13回「山梨県ケーキショー2023」が6月24日・25日、ラザウォーク甲斐双葉店で開催された。当日の会場には協会に加盟する県内洋菓子店のパティシエの作品に加え、22歳以下のジュニア部門に山学短大食物栄養科パティシエコース(2年)17人の創作ケーキが出品され、技を競った。2日目の25日は、コンテスト授賞式が行われジュニア部門の最高賞・協会賞に深澤拓海さん(男性)が輝いた。昨年から賞が設けられたジュニア部門2位の技術指導委員賞には宇佐美紗花さん、3位のジュニア金賞に秋山夢海さん、ジュニア銀賞は中嶋千陽さん、ジュニア銅賞・山本さくらさんと続き、他にメーカー賞として4人、計9人が受賞した。山学短大食物栄養科パティシエコースの技術の高さを証明した。会場で行われた授賞式では山梨県洋菓子協会の野田清彦会長から各受賞者一人ひとりに賞状が授与され、野田会長は「今日受賞した皆さんの努力はもちろんですが、ここにいるご家族の皆さん、スタッフの皆さん、先生方などのサポートの賜物だと思っております。本当におめでとうございます」と述べた。会場に並べられた作品は週末とあり、家族連れなど多くの買い物客の目を楽しませていた。今回はコロナウイルス感染症のため中止していたロールケーキ作り体験が5年ぶりに復活。両日とも定員を大きく上回る希望者で賑わっていた。
■13回目を迎えた「山梨県ケーキショー」とはー
洋菓子は時代とともに食するだけではなく見て楽しむ芸術作品として扱われるようになり、デザインや技術の向上は目覚ましいものがある。形や技術を競う洋菓子コンテストとして約40年の伝統を誇る国内最大規模の「ジャパンケーキショー」をもとに山梨県洋菓子協会が会員の技術向上を目的に2010年から「山梨県ケーキショー」をケーキの祭典として山梨独自の作品コンテストを実施。毎年、パティシエや専門学校、山梨学院短大生など山梨県内の洋菓子界を担う人材の力作が出品され、洋菓子業界を牽引してきた。出品部門は3部門。第1部デコレーション、第2部工芸菓子、第3部が22歳以下のジュニア部門に分かれ、ジュニア部門では仕上げをバタークリーム仕上げ、マジパン仕上げ、アメ細工と決められている。「山梨県ケーキショー」は毎年土・日の週末に行われ今年も6月24・25日の2日間、ラザウォーク甲斐双葉店で開催された。山梨学院短大は発足当初から参加し、2019年のコロナ禍による中止を挟んで今回が13年連続となる。今年も山梨学院短大食物栄養科パティシエコース2年生は「製菓基礎実習(1年次)・製菓専門実習」で学んできた技術で、約1ヶ月をかけて製作、マジパン仕上げのケーキ17作品を出品した。※(マジパン=アーモンドと砂糖を練ったものでケーキなどのデコレーションに使われる)。
会場には受賞者以外の作品も展示され、どれもオリジナリティ豊かで可愛らしさが溢れ完成度の高い作品に多くの買い物客が足を止め、眼を輝かせ見入っていた。
■プロによる厳しい審査を経て、山学短大パティシエコースから9人が受賞―
授賞式は、25日午後5時30分より行われ、初めに山梨県洋菓子協会・野田清彦会長が挨拶。「今日の受賞は、皆さんの努力はもちろんですが、ここにいるご家族の皆さん、スタッフの皆さん、先生方などのサポートの賜物だと思っております。この大会は山梨の大会だけではなくてこの後にジャパンの大会があって、世界の大会があって、そして世界に勝てればいろいろな業界、いろんな人たち、いろいろな世界が開けます。そんな大きな大会につながっていますのでその1歩を築いたみなさん、本当におめでとうございます」と述べた。続いて一般部門、ジュニア部門の受賞者に賞状を一人ひとりに授与した。審査結果は、山梨学院短大食物栄養科パティシエコースからは、1位の山梨県洋菓子協会ジュニア部門最高賞の山梨県洋菓子協会会長賞に深澤拓海さんが受賞し、2位にジュニア部門で昨年新設された技術指導委員長賞に宇佐美紗花さん、3位・山梨県洋菓子協会ジュニア部門金賞を秋山夢海さん、銀賞・中嶋千陽さん、銅賞に山本さくらさん他にメーカー賞には明治賞・近優月さん、森永乳業賞・古瀬明日実さん、タカナシ賞・後藤美紅さん、ラザウォーク賞・三井真衣さんの4人が選ばれ計9人が受賞した。授賞式後全員で記念写真に納まった。また、一般部門では本学卒業生の名取琴美さん(2020年卒・ハイランドリゾートホテル)が2位・日本洋菓子連合会会長賞と5位・金賞の小山田美優さん(2022年卒・清月)の2人(右から名取さん、小山田さん)が受賞。山学短大生の洋菓子技術の高さを証明した。
■受賞後、上位3人の受賞者に話を聞くー
授賞式後、作品名「咲かせてみよう」で協会会長賞(ジュニア部門第1位)を受賞した深澤拓海さんは受賞について、「とてもうれしいです」と緊張気味に一言。作品に関しては、「花咲爺さんをイメージして作りました。なるべくリアルに作ろうと思って花咲か爺さんが持っている細かい粉の部分まで再現して作りました。木の部分に人間を乗せるために1回作った木が折れてしまって丈夫に作り直してこの形になりました」と製作には細部にこだわった。将来は、「ホテルに就職したいと考えていて、そういうコンテストにも参加したい」とさらに技術を高める。作品名「梅雨の終わり」で技術指導委員長賞(ジュニア2位)を受賞した宇佐美紗花さんは「1ヶ月位、長い時間かけて苦労して作ったのでうれしいです」と受賞を喜んだ。作品は今の季節を感じてもらいたいと明かした。「人の頭が大きくなったりするとバランスを保てなくなってしまうのでバランスが難しかったです。全体を見て色とかを考えて作ったので細かい部分より全体のバランスを見てもらえるとうれしいです」と見どころを語った。この受賞を機会に卒業後の道を聞くと、「まだ、パティシエになるか決めてないんですけど、何かに向けて頑張るという力はついたと思うので、将来どんな道に進んでも活かせるかなとは思います」と山学短大での学びが自信につながったと語った。いろいろな動物が茶釜に化けるというテーマの作品、「Letsぶんぶく」でジュニア金賞(同3位)の秋山夢海さんは「自分頑張ったことが賞としてみんなに見てもらえて良かったなと思います。いろんな動物とか人をたくさん作って、ちょっと細かいところもこだわって作って頑張りました。自分なりに出来栄えはきれいでいいと思います」と自信作に笑顔を見せた。同じく将来を聞くと、「パティシエ系に行くか分からないですけど何か自分の手で作ってみんなに届けられるような仕事に就きたいなと思っています。自分から一から作れるようになり力がついていると感じています」とこの経験をこれからの励みにする。
(※3位以下の作品はアルバムに掲載)
主催者の山梨県洋菓子協会・野田清彦会長に山梨学院学生の作品の出来栄えを聞くと、「毎年、一つひとつ階段を懸け上がるような進歩の仕方をしていると感じています。というのは、昨年、失敗したところとか、後はテクニック的なところが毎年、毎年カバーされていると感心するところであります」。その理由を、「(短大には過去に受賞した作品が保存されている)山梨学院の学生の皆さんは、過去の先輩の作品を見ながら学んでいるわけですよね、この作品はこの賞を獲ったいう事を皆さんが共通理解をしていることです。そうすると今年はそれを越えないと受賞できないと皆さん分かっていらっしゃると思います。それが進歩につながっているような気がします」と学びの環境を評価した。
■5年ぶりロールケーキ作り体験も大盛況。山学短大生もスタッフで協力―
2日間開催された「山梨県ケーキショー」の作品展示会場ではコンテスト以外にもさまざまなイベントが用意された。参加洋菓子店の販売コーナー、保育・幼稚園児や小学生が描いた“食べてみたい夢のお菓子の絵”の展示、また、コロナウイルス感染症防止対策のため、中止が続いていたロールケーキづくり体験教室が5年ぶりに復活。両日とも多くの参加希望者が定員数を大きく上回り、整理券を配布して抽選で対応するほどの大盛況。山梨県洋菓子協会スタッフやパティシエコースの学生が笑顔でケーキ作りの楽しさを教えていた。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2023.6.26