●2023年度山学短大学生チャレンジ制度認定書授与式
~6団体に認定書が授与され、学生のやる気を全面支援~
~短大での学びを活かし、実践力活動で社会に還元~
2023年度山梨学院短大学生チャレンジ制度認定書授与式が6月29日、短大サザンタワー3F301教室で行われた。学生チャレンジ制度は1995年度に創設され、学生のやる気やチャレンジ精神に大学が経済面などで全学的に支援する制度で今回、29回目となった。学生チャレンジ制度認定は昨年度から大学、短大独自に実施するようになり、今回、短大では1ヶ月余りの応募期間中に集まった多数の企画の中から、教育的効果・人間形成への影響度・独自性・ユニーク度・実現可能度などを総合的に審査し、特に短大ならではの視点から幼児教育や食、健康など地元・山梨に密着し、さらに社会に還元できることを審査対象に加えて、1個人、5団体の計6件が認定された。認定書授与式には各企画代表者らが出席、竹中麻美子学生部長から代表者6人に認定書が授与された。経過報告の後、テーマ「季節を感じる造形・親子ワークショップの展開」の企画で認定された保育科加山ゼミ11名の代表者・宮下葉美さんと三浦真子さんが企画の実行に向け、「私たちは造形活動を通して、学外の施設を利用した親子ワークショップの企画運営をします。今回の経験を活かして将来、立派な保育者として活躍できるよう今後も一層の努力を行ってまいります」と受賞者を代表して意気込みを述べた。
山梨学院チャレンジ制度は、“行動する学生”の意欲を全面的に支援する山梨学院独自の制度で今回、29回目の実施となる。この制度は『学生の課外活動を通じて得られる主体的探究心と積極的な行動力の涵養』を目的に行われ、「こんなことに挑戦したい!」という企画を文書にして大学に提出。応募企画の中から優秀案に奨励金が支給される。短大では今年度、4月29日から6月9日の期間で企画を募集。多数の応募から、山梨学院短大の6人の選考委員が審査した結果、「コロナ禍の高校生に向けた食物プログラムの開発」など6件の企画が認定された。
■認定書授与式 受賞者は晴れ晴れした表情で認定書を手にしたー
認定書授与式は、短大サザンタワー3F301教室で昼の休憩時間を充て行われ、各企画認定代表者や関係者、指導教員、職員などが出席した。司会進行を鈴木耕太食物栄養科講師が務め、初めに山梨学院短期大学・遠藤清香学長が挨拶に立った。「学生チャレンジ制度を考える時にキーワードになるのは主体性という言葉かなと思っています。学習指導要領が新しくなって、小学校や中学校で主体的で深い学びというものがキーワードになって、保育現場でも子どもの主体性というものが周知されています。皆さんがこの学生チャレンジ制度でやろうとしていることは探究的な学びだし、そして何より主体的に挑戦しようと思ったことだと思います。人間って本来、主体的なものだし、皆さんはこれからも主体的に学んでどんどん知識を深めていってくれるのか楽しみにしています」と述べた。続いて、竹中麻美子学生部長・保育科准教授から認定書が各団体代表者に授与された。各団体の受賞者はチャレンジしたいことへの思いから誰もが期待に胸を躍らせた。選考委員会委員長も務めた竹中麻美子学生部長は「皆さん、ようやくスタートラインに立ったところなので、後はそれぞれが勢いを持って進んで行ってほしいと思います。今年のチャレンジにはたくさんのグループに申請していただいて、そして先生方が丁寧に一つひとつの内容を吟味して審査して出された結果です。これまで皆さんが歩んできた皆さんらしさが企画に反映されていました。これから学校の方でも全力でバックアップしていきますので自信を持って進んで行ってください」と激励した。引き続き、認定団体を代表して保育科の宮下葉美さんと三浦真子さん(左から)が「私たちは造形活動を通して、山梨の豊かな自然や環境とのつながりを感じてもらうことを目指し日々、題材研究を進めています。山梨県立美術館をはじめとした学外の施設を利用した親子ワークショップの企画運営をします。異年代の子どもたちと活動することで年齢ごとの支援の在り方や幼児教育と小学校教育の接続を造形教育から考えます。また親子で参加していただくことで保護者と子どもが一緒に活動する様子から家庭との連携や保育者への支援の在り方について学びます。今回の経験を活かして将来、立派な保育者として活躍できるよう今後も一層の努力を行ってまいります」と決意を新たにした。その後、各企画認定書受賞者代表者ら全員で記念写真に納まり、授与式は閉会となった。
■企画内容(抜粋) 《認定企画全文一覧はこちら》
1. 「コロナ禍の高校生に向けた食育プログラムの開発」チーム・シャンドマルス 食物栄養科・保育科合同グループ21名 代表者:食物栄養科2年 中田正俊 |
◆企画概要: 山梨学院短期大学で学んだ食に関する知識を踏まえて、高校生を対象とした食育活動を実施。「食育講座」では、朝食やバランスの良い食事の重要性を中心とした講座と、高校生にも作れる朝食や昼食の調理実習を行う予定。今回の「食育講座」が単に一過性のイベントで終わらないように、しっかりとしたプログラムを構築して、来年度以降も後輩たちに受け継がれるような講座を目指す。 |
2. 「高血圧治療中でも食べられる納豆(もどき)の開発」 個人:萱嶋ゼミ 代表者:食物栄養科2年 金丸佳音 |
◆企画概要: 高血圧症治療後の薬には主にワーファリンが含まれているためビタミンKを多く含む納豆の服用が禁止される。そんな方々でも食べられることができる納豆に近い納豆もどきを開発して食の質を向上させるために企画した。(7月1日~12月31日) |
3. 「調理の基礎を使用し、山梨の食材のおいしさを伝える」 ふーかる28名 代表者:食物栄養科2年 小林留果 |
◆企画概要: 食材の価格が高騰している今、安価な食材の組み合わせで食材を無駄なく調理する方法を模索する。円安の影響で国内、山梨県の食材の需要が高まっている中、鹿肉、淡水魚、果物などの食材で本来廃棄する骨やあらなどを家庭での有効活用法を考え、学校で学んだ調理の基礎を生かしおいしく食べられる調理法リーフレットの作成。食育イベントやフードバンクの食支援などで広める。 |
4.「親子 de Enjoy Music!」 田邊・荻原合同ゼミ20名 代表者:保育科2年 新谷 葵 |
◆企画概要: 今回の活動では、アルテア子ども館を訪問し、0〜3歳児の親子を対象に、楽器に触れたり目の前で楽器演奏を聞くなど、家庭ではなかなか体験することが出来ない音楽を通した親子の触れ合いが出来る場を設ける。活動を通して、私たち自身も実習以外で子どもたちや保護者の方々と接する貴重な経験ができ、特に保育をする上での音楽表現や活動についての学びや専門性が深まると考える。 |
5.「科学あそび」 学友会執行部12名 代表者:専攻科2年 牧野愛加 |
◆企画概要: 私たち執行部は子どもと関わることを将来に考えている学生が多数在籍する。その中で昨年は絵本の読み聞かせから対象の年齢に応じた絵本の選び方などについて考えることができた。今年度は創作活動、主に『科学あそびを』通してどのような過程を踏むことが重要になるのか、どのような説明や興味の引付ができるかなど年齢に応じた保育について考え、実践する場として考える。 |
6.「季節を感じる造形 親子ワークショップの展開」 加山ゼミ11名 代表者:保育科2年 宮下葉美 |
◆企画概要: 季節を感じる題材について、素材や技法に対する知見を深めるとともに、周囲の自然や環境とのつながりや関心を抱き、子どもたちならではの出会いや気づきを引き出せる題材の在り方について探求し、教育実践の充実につなげる。子どもの家庭以外での様子や表現活動から見えてくる姿から子ども理解を深め、学生もまた保護者と子どもとの様子から、家庭との連携や教育機関における支援の在り方について学ぶ。 |
■授賞式後のインタビュー
授賞式後、2年連続で受賞した学友会執行部の保育専攻科・牧野愛加さんは「私たちがチャレンジしたいなと思っていることに先生たちも賛同していただいたことをとてもうれしく思っています。学友会執行部として10月に行われる樹徳祭に一緒(大学と)に企画させていただいているんですが、樹徳祭の2日間を活動日として、科学あそびの何種類か出させてもらいます。今はどんな風な作り方でどのような伝え方が子どもたちに分かりやすいか、現段階で考えています」と意欲を示した。また、今回、唯一個人で企画を勝ち取った食物栄養科・金丸佳音さんは「うれしいですが、他と違って一人で研究を行うのでしっかり計画立ててやって行きたいと思います。もともと自分も納豆が好きで食べているんですけど、姉が薬剤師をやっていて、高血圧の治療薬に納豆が良くないと聞いて、おいしい納豆が食べられない人でも食べられるようになれば食の質の向上につながるんじゃないか」と応募のきっかけを話した。実際の活動について、「納豆もどきを自作開発して、成分検出は外部に依頼して今は材料を集めている段階」とこれから短大で学んだ知識を活用し、難題に挑む。
選考会委員長の竹中麻美子学生部長は「それぞれの企画が、やってみたいということがものすごく感じられる企画だったということが今年の特長かなと思います。今までの活動の反省を踏まえてチャレンジしてみたい事だったり、自分が今まで学んできたことを、社会に還元する手段としてやってみたい事だったり。本当にそれぞれのグループがやってみたいというアイディアが感じられる企画ばかりでした。選考委員の中では、もっとここのところをより具体的にとか、実際にやってみることで考えていってほしいなど、選考委員なりの要望はありましたけど、それを含めて学生なりに一生懸命に考えたからこそ、学生らしさの良さがありました」と審査での感想を語った。これから、認定を受けた学生たちは、卒業までの残り半年間の取り組みの中で、それぞれが山学短大で学んだ知識を活かした実践力で、実行性の高さと完成度を証明する。
企画の実施終了は、2024年2月中旬予定(各認定企画の終了予定では概ね12月末で完了になっている)。その後、卒業式までに報告会が行われる。
文(K.F)カメラ(平川大雪) 2023.6.30