山梨学院広報課

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●全国高校野球山梨大会 選抜覇者・山学準決勝敗退
~延長タイブレークの末、春夏連覇の夢かなわず~
~吉田監督 歴史をつくった選手に感謝の言葉~

「第105回全国高校野球記念選手権山梨大会」準決勝2試合が7月22日、甲府・山日YBS球場で行われた。春の選抜大会を制し、春夏連覇を目指す山梨学院高は駿台甲府高と対戦。試合は9回でも決着がつかずタイブレークにもつれ込んだが、7-9で敗れ夢は叶わなかった。2戦続け先発のマウンドに上がった林は、1回表一死後、守備の乱れから1点を先制されると3回にも3連打で2点を献上した。追う展開となった山学はその裏、四球と安打の走者を置いて5番佐仲大輝が相手エースから左中間へ3点本塁打を放ち3-3の同点とした。林は5回にも失策と2連打で1点を勝ち越されたが山学は6回裏、2番手投手津島悠翔の安打から星野泰輝の適時打で再び4-4の同点とし、勝負を譲らない。その後、山学が優位に試合を進め7回は勝ち越し、9回はサヨナラの好機を迎えたが、あと1本が出ず延長タイブレークとなった。10回表、山梨学院は再び林をマウンドに送った。無死二塁・一塁から始めるタイブレーク。先攻の駿台は一死満塁から内野ゴロで1点を奪うと、林はまたも味方失策も絡み、続く2連打と自身のボークでこの回一挙5点を失った。諦めない山学は、一死二塁・一塁から代打の迫結哉の適時打で1点を返すと、続く進藤天が主将の意地を見せる適時二塁打を放ち2点差に詰め寄るも及ばず、2年連続夏の甲子園出場、春夏連覇の夢は実らなかった。決勝戦はもう1試合の勝者、東海大甲府高と駿台甲府高の対戦となった。

準決勝第1試合目、甲府工業高と東海大甲府戦が長引き、山梨学院が出場する第2試合目は約45分遅れの午後0時15分開始となった。試合開始前30分、生徒会、登録メンバー以外の野球部員、応援団、吹奏楽部、チアリーダー部、一般生徒総勢約300人、教職員、PTA約30人、100人を超える野球部保護者会、その他OBなど総勢約500人余りが一塁側スタンドに集結、大応援団が試合の始まりを待った。

■前半、守備のほころびから先行許すも、佐仲の一発で追いつくー
準々決勝から中1日、林が先発のマウンドに立った。準々決勝の日大明誠戦に本来の調子ではなくても6回を5安打2失点と試合を作りエースの役目を果たした。準決勝1回表、林は先頭打者を空振り三振に打ち取り上々の立ち上がりも、次打者の左中間に飛んだ打球を追う左翼の岳原陵河(3年)、中堅手・星野泰輝(3年)が交錯、中堅手の星野のグラブから打球が落ち、三塁打となった。これでリズムを乱したのか、林は後続に四球、自らのワイルドピッチで駿台に1点の先制を許した。一方の駿台は準々決勝で県内最速の151キロを記録したエース平井智大が登板。山学打線は1回、2回を抑えられた。3回表、駿台は林を攻め立て3者連続安打で1点、なおも犠飛で1点を追加した。追う展開となった山学はその裏、3番岳原の四球、4番高橋海翔(3年)が安打で続くと、今大会打撃好調の5番佐仲大輝(3年)が低めの球を左中間芝生席に打ち込み、試合を振り出しに戻した。林は5回表、先頭打者に遊ゴロを打たせるが、名手・進藤天(3年)の失策と安打で一死三塁・一塁に走者を背負い、次打者に適時打を浴び、勝ち越された。

■中盤から終盤、山学優位に進めるも、あと1本が出ずー
林は6回表に一死を取ると左腕・津島悠翔(1年)にマウンドを譲り自身は一塁に守備位置を変えた。1点リードされた6回裏、津島の安打を1番徳弘太陽(3年)が確実に二塁に送ると、準々決勝で勝利に貢献した2番星野の中前適時打で再び同点の4-4と追いついた。駿台はエースが制球に苦しみ7回裏から2番手に継投した。山学は7回二死後、再び9番津島が内野安打で出塁、続く1番徳弘の死球で二死二塁・一塁の好機に2番星野が粘った6球目に三遊間を割る左前打で、二塁走者津島が猛然と本塁を突くも、判定はタッチアウト。勝ち越しを逃した。8回裏、山学攻撃中に再びアクシデントが襲った。一死後、4番高橋の安打で、当たっている5番佐仲の打席。駿台2番手が投じた7球目、投球が頭部に当たり、初戦身延高の時の林の死球退場に続き2人目となった。6回途中から継投した津島は8回、9回も無失点の好投。打線の援護を待った。9回裏、先頭の林は左翼線を抜く二塁打で得点圏に出塁、続く代打小竹遥斗(3年)が犠打でしっかり三塁に送った。続く1番徳弘の四球と盗塁で一死三塁・二塁。サヨナラのお膳立てができ、一塁側応援スタンドからはこの日最高潮となる大声援が沸き起こった。打撃好調の2番星野の打撃に期待を懸けた。しかし、星野は三振、続く岳原も左飛に終わり応援席から落胆のため息が漏れた。

■延長タイブレーク 無死二塁・一塁から攻撃が始まるー
延長タイブレークとなった10回表、山学の守護神・林が再びマウンドに上がった。林は6回途中まで104球を投げ、残る力を信じて自身を奮い立たせた。駿台は先頭打者が初球を林の前に転がし走者を進め好機を広げた。山学ベンチは次打者を四球で満塁にし、守り易い策をとった。林は思惑通り次の打者に内野ゴロを打たせ打球は遊撃正面、併殺と思われたが進藤がファンブル、その間に三塁走者が還り得点を許した。その後も、山学は失策、適時打、林のボークでこの回、一挙に5点を失い重圧を背負った。それでも強力打線を誇る山学は最後まで諦めず、その裏一死二塁・一塁。代打の迫結哉(3年)の適時打で1点を還すと、腰の怪我から復調したが、今大会当たりが出ていない進藤天主将(3年)が打席に立った。是が非でも勝つとの思いは、左中間フェンス直撃の2点二塁打になり2点差に縮め寄った。しかし、反撃はここまで。試合は7-9で敗れ4時間に及ぶ熱戦に終止符が打たれた。7回の勝ち越しの好機と9回のサヨナラの好機を逃したことが敗戦につながった。山学は2年連続夏の甲子園出場。そして春夏連覇の夢はついえた。

■山梨学院高準決勝戦の結果

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 合計
駿台甲府高 1 0 2 0 1 0 0 0 0 5 9
山梨学院高 0 0 3 0 0 1 0 0 0 3 7

※10回延長タイブレーク
◆山梨学院高先発メンバー:
1番(右)徳弘太陽③、2番(中)星野泰輝③、3番(左)岳原陵河③、4番(一)高橋海翔③、
5番(捕)佐仲大輝③、6番(遊)進藤天③、7番(二)大森 燦③、8番(投)林 謙吾③、9番(三)伊藤光輝③ ◆[途中出場]津島悠翔(投 ①)、岩本健太(捕 ③)、小竹遥斗(打 ③)、平野天斗(三 ①)、迫結哉(打 ③)、白井琉聖(走 ③)
◆[投手]林⇒津島⇒林➡[捕手]佐仲大輝⇒岩本健太③ 
林 6回1/3 打者33 投球数132 被安打10 奪三振3 四球3 失点9
津島3回2/3 打者14 投球数 65 被安打 1 奪三振4 四球1 失点0
◆[打撃]安打13(長打4:本塁打=佐仲、二塁打=大森、林) 四死球12 三振6

■吉田監督 選抜優勝後、初めて“ありがとう”の感謝の言葉を伝えるー
試合後、吉田洸二監督は「準備の段階で後悔は残らないが一コマ一コマ振り返ると何とかならないかなという場面もあったかなという感じですね。準備はしたけどうまくいかなかった」淡々と語った。林投手については「守備が足を引っ張ってしまったかな」と一言。甲子園に向かうプレッシャーについては、「今日負けるのと前に負けるのとは話が違うので、今日はしょうがないですね。選手はよくやってくれました」と選手を労った。最後に「これでこのチームは終わるので選手に“ありがとう”と言いたいです。本当に歴史をつくったチームなので褒めてあげたいですし、本当にすごいことをやった子たちなので」と感謝を述べ、続けて「選抜優勝の後、私は一言も良く頑張ったと言ってなかったので、今日、試合が終わってキャプテンとピッチャーには握手してよく頑張ったと伝えました。今日初めて選手に“ありがとう”と伝えました」と闘将は静かにしみじみ語った。1年間強いリーダーシップでチームを支えた進藤天主将は今日の敗戦について、「本当に悔しいという気持ちしかないんですけど、自分の守備、バッティング、どっちでも足を引っ張ってしまったので本当に自分の力不足です」と唇を噛んだ。「でも怪我から復帰してもう一度仲間と野球することができたので、本当にそれがうれしくて、感謝したいと思います」と涙をこらえた。山梨学院での3年間を、「山梨学院に来て野球の技術だけではなくて人間性だったり、人の在り方を一から学ぶことができました。山梨学院に来なかったら今の自分は無いと思いますし、本当に山梨学院に入学して良かった」と振り返った。林謙吾投手は「勝てる試合だったなと思います。ただ序盤に4点取られてしまったのでそれが1点でも減らせていたらと思うと。山梨学院に入って、最後まで、甲子園に出るためにやってきたので、それができなかったことは心残りではあるんですけど」と悔やんだ。選抜で注目を浴びた以降、「結構、苦しんだ部分はあったですけれど、調子もなかなか上がらなかったり、理想がどんどん自分の中で勝手に上がって行って、それを求めてしまっている自分がいて、それでフォームを崩したりしたことがありました。最後は『気持ちだ』というふうにどんな形でもいいから全員で甲子園へと思ってやってきました」と胸のうちを明かした。3年間の野球部での生活を、「とても濃かったです。最初は野手とピッチャーもやりながら試合に出れない日がずっと続いて、その中でも1年生から出ている同級生もいて悔しい思いもあったですけど、本当に入った時には選抜優勝とかここで夏に最後までエースとしてマウンドに上がることができるということは思っていなくて、たくさんの事を教えてもらって、たくさんの仲間に支えられて、後悔はないです」と振り返った。最後にもう一度、「勝ちたかったです」と言葉を絞り出した。

「第105回全国高校野球記念選手権山梨大会」決勝戦はもう1試合の勝者、東海大甲府高と駿台甲府高の対戦となった。試合は7月24日(月)午前10時より、山日YBS球場で行われる。

文(K.F) カメラ(平川大雪) 2023.7.23