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●山学短大で豆腐・豆乳を使ったメニュー開発試食会
~テイクアウトメニュー5品目を中川ゼミ生が考案~
~素材の良さを若いアイディアで引き立て高評価~

山梨学院短期大学で「豆腐・豆乳を使ったテイクアウトメニューの開発に係る試食会」が8月3日に開かれた。これは食料品製造業・株式会社ソイワールドと山梨学院短大食物栄養科の特定事業に関する協定に基づいたもので、新商品開発に向けた求めに応じて山梨学院短大がテイクアウトメニューを試作した。このほど中間報告会として(株)ソイワールド関係者を招いて試食と意見交換会を行った。試食会はこの商品開発を依頼した(株)ソイワールド長澤要市代表取締役以下、6人の関係者が出席、商品開発を主導する山梨学院短大食物栄養科中川裕子教授の進行で進められた。中川ゼミ2年生7人が2か月間掛けて完成させた5品のテイクアウトメニューが披露され、6人による試食と意見交換を行った。メニューへの評価は材料の豆腐・豆乳とのマッチングやおいしさ、またテイクアウトにふさわしい食べやすさ、見栄え、手軽さなどで総合評価され、5品すべてに高評価が与えられた。(株)ソイワールドの長澤要市代表取締役は「これだけ完成度の高いこのメニューができて、これからさらに先生と皆さんの力を借りながら頑張って商品化したい」と挨拶。今後、改善点を加えより豆腐・豆乳の魅力を伝えるテイクアウトメニューの商品化を目指す。

■山梨学院短大と株式会社ソイワールドが特定事業に関する協定を結ぶー
2023年4月1日、山梨学院短期大学と株式会社ソイワールドは特定事業に関する協定を締結。本協定により定めた地域の食と健康に関する教育・研究を深め地域の振興に寄与することを目的に、(株)ソイワールド商品を使用したテイクアウトメニューを開発し、商品化を目指すことになった。特定事業連携協定締結年度内(2024年3月31日まで1年契約)において進められ、連携協定はこれで3件目となる。

■株式会社ソイワールドとはー
株式会社ソイワールドは、山梨県アルプス市を拠点に2009年(平成21年)に設立した。主力の豆腐、豆乳製品は一切妥協を許さない「全てにこだわった商品づくり」をコンセプトに、山梨県北杜市産大豆と南アルプスの伏流水、国産にがりを使用するなど原材料を吟味し、合成食品添加物を使用しないなど食の安心・安全を第一に、栄養価が高い品質の商品を開発・製造を進めてきた。現在、『大豆まるまるおっとうふ』『大豆まるまるドリンク』『おっとうふ豆乳アイス』をメインとする商品で東京、大阪をはじめとする百貨店や全国有名食品販売店、自然食品販売店、ホテル、県内大手スーパー、県内JAでの販売とネット通販で、数多くの販路を広げている。また、豆腐・豆乳を使用したレシピの開発にも注力し、会社設立以来、山梨学院短大食物栄養科・中川裕子教授研究室の協力のもと、さらに豆腐、豆乳の食品としての魅力を広げるべく新しいメニューの展開に挑んでいる。

■テイクアウトメニュー開発の中間報告、試食・意見交換ー
今回、山梨学院短大食物栄養科中川裕子教授ゼミで取り組んだのは豆腐・豆乳を使用したテイクアウトメニューの開発。8月3日、その中間報告として(株)ソイワールド関係者6人が出席して試食会、意見交換が行われた。山梨学院短大は(株)ソイワールドと今年度4月に結んだ連携特別事業協定に基づき、食育活動の一環として中川ゼミ生7人が参加して行われた。午前10時30分、短大51号館106実習室での試食会に、初めに今回、メニュー開発を主導した中川裕子教授が開会の挨拶と事業内容を説明。続いて挨拶に立った株式会社ソイワールド・長澤要市代表取締役は冒頭で、会社を設立して14年以来、これまでの中川教授の協力に謝意を示し、続けて「今日、このことができたことはすごく感謝、感激で学生の皆さんにも御礼を申し上げたいと思います。うちの社員も含めて楽しみにしています」と述べた。

■学生たちの若い知恵と感性が詰まった5品のテイクアウトメニューの紹介ー
続いて、中川教授とともに学生を指導した古屋七虹食物栄養科助手からテイクアウトメニューの紹介が一品一品行われ、使われた材料や作り方を説明した。それに伴いメニュー開発に携わった学生から5品のメニューのポイントが説明された。

1.抹茶香る 豆乳シェイク・・・季節の果物を入れても良いが、今回は機能性成分であるカテキンを一緒に摂取できるよう抹茶をブレンドした。抹茶のほろ苦さに豆乳のコクが加わることで、飲みやすい飲料に仕上がった。
2.豆腐の塩ドーナツ・・・夏の熱中症対策に『塩』が要となるので味付けは塩ドーナツとした。材料の鶏卵は卵黄と卵白を別立てにして生地をふんわりと仕上げた。揚げるときに絞り出し袋に生地を詰め、クッキングシートの上に絞り出してから中温(160℃~170℃)の油の中できつね色になるまで揚げる。表面にピンクの岩塩で味付けをしているので、少しの塩分でも塩を感じやすく仕上げた。
3.豆乳といちごの紅白シャーベット・・・いちごの赤色と豆乳の白色のコントラストを強調するため、別々にシャーベットを作り下層に豆乳シャーベット、上層にいちごシャーベットを盛り合わせ、サクサクとした食感でひんやりと冷たい冷菓とした。赤、白別々に食べたり、2つ混ぜて食べたりと2通りで味わえる。
4.豆乳明太子うどん・・・うどんをカップに入れ、豆乳つゆに味のアクセントとして明太子を加えて夏にさわやかなピり辛麺で、食欲増進につながるように工夫した。生姜やネギ、野菜のトッピングが彩り良く、お箸が進む。
5.豆乳ブルーベリーマフィン・・・豆乳は牛乳と比べて焼き菓子の膨化率がアップする効果がある。今回は、バターたっぷりでしっとりしたマフィンの中に、季節の生ブルーベリーを加えて彩の楽しみと食感を味わえるように仕上げた。焼きたても美味しいが、1日経ってもしっとりしているのが特徴。

出席者は、テイクアウト用に提案された料理を試食しながら互いに感想を話し合う中で、中川教授や古屋助手、学生たちと活発に質問や意見交換をした。その後、6人の出席者それぞれが感想を述べた。関係者6人の意見は全体的に味については、どれも豆腐、豆乳とのマッチングが良く美味しかったという高評価。商品化に当たっては「夏にぴったりのメニューが多く、子どもから大人まで楽しめる」。「他との差別化できるインパクトが必要となるので、紅白シャーベットや豆腐ドーナツが多くのバリエーションが考えられる」。「これから一つひとつブラッシュアップしていけば良い」。「材料に山梨県産のこだわりを持っているので山梨県らしさ、山梨ストーリーを打ち出していき、お土産品としても売っていけるのでは」。「年齢層や男性女性のどちらか、商品の見た目をはじめ、ターゲット層の絞り込みにもう一段の工夫でインパクトが強くなる」などの意見が述べられた。最後に株式会社ソイワールド・長澤要市代表取締役は「今回、すべてのレシピで豆乳の濃厚さが出ているのがうれしく、改めて先生と皆さんの力をすごく感じさせていただきました。商品化に対しての思い入れがすごく伝わってきました。私たちは“おから”(廃棄物として)を出さない豆腐商品を世の中に出しているのですが、その(栄養価の高い)特徴を料理にも使って世の中の人に知っていただきたいというのが今回の趣旨です。これだけ完成度の高いこのメニューを先生と今から擦り合わせをして、もちろん皆さんの力を借りながら頑張って商品化したい」と挨拶した。

続いて中川教授とともに、学生を指導した古屋七虹食物栄養科助手は「本日はありがとうございました。いろいろと貴重な評価をいただいてとても勉強になりました。学生が2年間、勉強する中で、地産地消の作物を用いて、日々の調理技術を磨いております。そのようなものを活かして今回、知恵を絞りだして作ったものがこの5品になります。いろいろな皆さんの意見を聞いた中、今まで学生はもちろん、私も足りない知識がまだたくさんあるので最後の発表の時には、よりブラッシュアップしたレシピを皆さんにお届けできたらと考えております」と述べた。試食会の総括を中川裕子教授は「本日は夏向きというメニューでしたので5品ではありましたが、アンケートへのいろんなご意見をいただきましたのでこの後、学生たちと意見を参考に、改善できる点は改善して10月以降に秋、冬用のテイクアウトメニューをこちらでももう少し検討させていただき、最終的には栄養的要素を加味しながら本学のホームページにもレシピ集を掲載しながらソイワールドさんとの特定連携事業の終結に向けて努力を重ねていきます」と挨拶した。

■中川教授、古屋助手とともにメニュー開発に取り組んだ学生ー
試食会が終わって、「抹茶香る豆乳シェイク」のメニュー開発に携わった押領司希さんは 出席者の意見を聞いて、「評価はすごくうれしかったです。今回、抹茶アイスクリームを一から作って、使用した材料とかを提供する方に分かり説明できたので良かったかなと思います。今回は夏向きだったので、商品開発に携わる上ではまだ10月、11月と期間はあるので次は秋、冬の商品を考えていけたらいいなと思います」と次の商品開発に意欲を示した。
「豆乳明太子うどん」を担当した磯野有沙さんは企業の商品開発に係わって、「最初は自分たちにできるか不安だったですけど、仲間と考えて料理を作っていく上でコミュニケーションも取れて、すごく有意義な時間となりました。企業さんからの意見を聞いて若者だけではなく幅広い年齢層に食べていただく料理を考えていくのも商品開発する上では大切と改めて思いました。そして、(感想で)甘いものは苦手と言っていらっしゃった方もいたので甘い物だけではなく“これ合うのかな”といろんな味で研究してみたいなと思いました」と仕事に対する試行錯誤の大事さを感じていた。「豆乳といちごの紅白シャーベット」を提案した高井鴻弥さんは「僕たちが考えたものが実際に市場に出て売れたらうれしいなという気持ちで取り組んでいました。ただ僕たちはこの学科で学んでいるのは栄養なので、僕たちは栄養的観点で、企業の方はおいしさだったり販売のし易さなので視点が違うなと感じたので、そこの擦り合わせだったりを上手くしていけば、もっと扱いやすかったりお客さんが買いやすい商品が出せるかなと感じました。企業の方も言っていたんですけどターゲットを絞るという点では味にメリハリを付けたりすることはいいかなと感じました」と話した。

試食会後、中川裕子教授は学生たちに指導したメニュー開発の視点について、「おからの出ない食物繊維たっぷりの豆腐をソイワールドさん自体が提供してくださっているので私の研究テーマでもある未利用なものを上手く活用して食品ロスを失くすことにすごく合致していたので、まずそこをベースにさらに学生の新しい知恵をプラスしていったということです」と話し、学生が企業に関わることに、「私たちは企業さんが目指しているものに何の魅力を感じるかによるタイアップも必要だと思います。将来的にはソイワールドさんがこういったものを商品化して売り場、または作り手として本学学生の就職へつながっていくことが私どもの最終的な目標値にあるので若い人たちの知恵や創造力、作り手の技術が社会貢献に向けてつながることが願いです」とこの事業の意義を語った。

文(K.F) カメラ(平川大雪) 2023.8.3