●山学短大、農林高との連携事業 県産果実で菓子製造
~農林高生8人が短大生7人と調理実習でコラボ~
~連携事業で山学短大の魅力を伝え、進学志望を増やす~
山梨学院短期大学食物栄養科は8月24日、山梨県立農林高校食品科学科の生徒及び教員とともに菓子製造の実習を行った。これは県立農林高と2017年3月に締結した包括協定に基づいた連携事業で、農林高校生徒に県産果実の「シャインマスカットとスモモを活用した菓子づくり」を通して地域食材の調理・加工方法を体験してもらった。農林高校から食品科学科の1年生4人、2年生2人、3年生2人の8人と教員2人が参加。調理サポートに山学短大食物栄養科2年生7人が食育ボランティアとして参加した。グループを5つに分け、「ふわふわオムレット(シャインマスカットクリームを挟んで)」、「スモモの葛切りシロップかけ」の2種類の菓子づくりに取り組んだ。午前9時30分、羽畑祐吾食物栄養科長の挨拶の後、樋口千鶴食物栄養科准教授がモニターを駆使した示範を見せた後、全員による調理に入った。11時の試食までの短時間に農林高生と短大生は和気あいあいの雰囲気の中、手際よく調理していた。その後、農林高校の参加者は自身が手掛けた2種類のレシピを賞味した。山学短大では、これらの実習を通して生徒や教員との人的交流や情報交換により、山学短大の魅力を伝えることで、山学短大への進学志望につなげられればとする。
8月24日、山梨学院短大と山梨県立農林高校で包括協定に基づいた連携事業が行われた。県立農林高校の生徒と教員が山学短大講師と学生食育ボランティアのサポートの下、県産果実を使用した菓子2品をつくり上げた。山学短大と県立農林高校は2017年3月に包括的連携協定を締結し、途中コロナ禍による2年間の休止もあったが年間3事業が実施され、今回で14回目の連携事業となる。事業内容は山学短大教員による出前授業や夏休み期間に農林高生の本学での調理実習、11月に行われる農林高『収穫感謝祭』でのブース展示(一部販売)での本学の広報活動などを実施し、連携を深めてきた。山梨学院短大・中川裕子食物栄養科教授は「県立農林高校は、県内で県立笛吹高校とともに食品科学的な学科コースを持っていますので本学がどちらの高校とも連携した理由にもなっています。生徒さんは調理実習や食品科学や農産物の勉強をしていますので、入学後は力のキーパーソンになって動いてくれる学生たちが多くいて、本学としても農林高校から多くの生徒さんを送ってくれるようにこのような企画を精力的にやっております」と話した。
■地域食材の調理・加工で夏にぴったりのお菓子づくりー
午前9時30分、山梨学院短大51号館204実習室に、この日のテーマとなる県産果実を使用した菓子2品の調理・加工法を体験するため、県立農林高食品科学科生徒8人(1年生4人、2年生2人、3年生2人)と教員2人、計10人が訪れた。活動を始める前に、羽畑祐吾食物栄養科長・地域連携センター長が挨拶。「今日は現役の短大生と一緒に実習を行いますので、いろいろお話をしてください。いろんなことを聞いてほしいなと思います。興味を持って一つでも新しいことを得て帰れるように、午前中だけですけど有意義な時間になるように皆さん積極的に実習に取り組んでください」と述べた。引き続き実習に入り、初めに樋口千鶴食物栄養科准教授が本日のレシピ、フワフワのパンケーキを折った中に生クリームとシャインマスカットを挟み込んだ「ふわふわオムレット」と県産のスモモを皮ごとすりおろした暑い夏にスモモの酸味がぴったりの「スモモ葛切り」の2点を実演。大型モニターに自身の手元作業など映すなど、分かり易く手順や調理法を示範した。その後、全員で実習に入りグループを5つに分け、それぞれの調理台に食物栄養科の2年生7人が食育ボランティアとして調理サポートについた。調理中は高校での調理実習の積み重ねもあり、積極的に学生に方法を短大生に尋ねるなど笑顔を交えながら手際よく菓子作りを進めた。途中、調理・加工の難しいところもあったものの、どれも納得のいく仕上がりになった。
試食後、県立農林高生の(左から長田さん、松田さん)の長田葵音(3年)はこれまでタイミングが合わず、今回初めて参加した。「いい経験になり楽しかったです。先輩たちも先生たちも優しくていいところだなと思いました。進学は山梨学院を考えているのでこの大学のことも知れて今日体験できて良かったです」と話し、同じく松田ひとみさん(3年)は「料理関係に進学したいと思っているのでこの山梨学院短大の先輩方と一緒にやれたことは将来的にも役に立つと思うので良かったなと思います。自分で考えることも大切だと思うんですけど、先輩たちに色々聞いて、自分はまだまだ勉強が足りないなという体験になりました」と話した。農林高校生徒と一緒に菓子作り実習を行った宮澤芳美農林高校食品科学科教諭は連携事業について、「山梨学院短大さんを進路先に考えている生徒も何人かいてその生徒たちは進路の参考になっていると思うし、そうではない生徒も食品に関する専門的なもっと深い講義とかを聞くことできるので勉強になり、高校の授業にはないテーマや知識を学べて好評です」と効果を話した。調理実習については、「高校では教科書に載っているものしかやりませんから地域食材を使うスイーツは本当に美味しいし、地域振興を考えるきっかけにもなりますし、勉強になっています」と連携による開かれた学びに期待を寄せる。
食育ボランティアとして参加した山梨学院短大食物栄養科・長田舞優(2年)さんは「今回は高校生と一緒に料理を作ったんですが、食べ物を作ることの楽しさを一緒に体験しながら学んでもらえたらいいな思いました。一つひとつの食べ物の大切さ、大事さを学べるのでとてもいい機会だと思います。今回で3か所目の活動になります。高校生と触れ合う機会はあまりないのでとても楽しかったです」と感想を述べた。他での食育ボランティア経験を、「先日、糖尿病の子どもたちに向けたサマーキャンプに行ったんですけど、3日目に野外炊事をしてカレーライスを子どもたちと一緒に触れ合いながら作ったことは楽しかったです」と貴重な学びの機会を体験した。同じく三浦美桜さん(2年)は「自分たちが普段授業で学んでいることを教えながら話しながら一緒にできて楽しかったです。食の楽しさを伝えながら一緒に楽しめる感じで食の大切さも伝えていけたらいいなと思います」と高校生との協働を笑顔で話した。これからの食育ボランティアについては、「学内ですけど、山梨学院ラグビー部寮の食事の献立を立て、今度10月に作るんですけど、そういう活動をしています。実際に相手の年齢や運動量を考えながら食事の内容を考えることは自分の学びも深くできるし、すごく楽しいなと思います」とボランティア活動が人の学びを豊かにする。
■山梨学院短大の「食育ボランティア」とはー
山梨学院短大の卒業要件科目「社会人基礎力育成講座Ⅱ」の中に、ボランティア活動に関するカリキュラムがある。2年生は学内、学外の食に関するボランティアで2か所、計8時間以上が卒業要件科目と定められ、単位に反映される。
■中川教授が見た農林高校生徒の魅力はー
これまで本学に進学してきた農林高校出身の学生の印象を中川裕子教授は、「物づくりを高校生の時から学んでおりますので、センスを感じますし、実験の授業では率先して行動してくれる感触を持っています。食品科学科の生徒さんが各学年30名程なのでそこから約2割の数が本学を志望してくれるような連携につながって行くことで、それぞれが“WIN,WIN”の関係になれるということを双方が理解することが連携事業の大切さと思っているので継続していきたい」と力を込めた。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2023.8.24