山梨学院広報課

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●2023年度全日本学生レスリング 大会3日目
~女子65㎏級寺本鈴が優勝狙うも、悔しい3位~
~グレコ130㎏級山田優勝!昨日を上回る快挙~

明日のレスリング界を背負う若い力が全国から結集、各階級の頂点を目指す「文部科学大臣杯2023年度全日本学生レスリング選手権大会」(インカレ)大会3日目は8月28日、神奈川県・横須賀アリーナで女子フリースタイル全階級の1回戦から決勝までと男子グレコローマンスタイルの準々決勝までが行われた。そのうち、女子の活動を今年度から本格的に始動した山梨学院大は、5人の部員のうち3人がエントリー。65㎏級で寺本鈴(3年)が
3位に入賞した。寺本は2021年、それまで女子部員が途切れていたレスリング部にただ一人入部。男子部員に混じり厳しい練習に身を置き技術を磨いてきた結果、今年10月に行われるU23世界選手権の出場権を獲得し、この階級のトップクラスで活躍する。この日も1回戦を前半に相手選手をTF(テクニカルフォール)で難なく破り準決勝で宿敵・日体大の選手と対戦。2-4で惜敗、狙っていた初優勝を逃し3位に終わった。他の女子2人は、53㎏級・澤田美侑(1年)、55㎏級・丸 未永海(1年)は初戦敗退した。男子グレコローマンスタイルには4人がエントリーしたが、準決勝に進出した男子グレコ130㎏級の山田康瑛(3年)以外、2日目に進めず、29日最終日に山田は専門のグレコで優勝を飾った。

■山梨学院大、伝統のレスリング部に女子が本格始動―
山梨学院大レスリング部に新たな潮流が起こっている。男子は、巷間よく知られるように歴代、多くの選手を五輪、世界選手権に輩出してきた。現在も9月セルビア・ベオグラードで開催の世界選手権に現役の青柳善の輔(4年)やOBで東京五輪金メダリスト乙黒拓斗選手(自衛隊体育学校)が出場する。一方、女子はというとこれまでに3人(短大生1人)が在籍しただけで直近では、現在コーチで元五輪でも活躍した高橋侑希さんと同世代の青柳ななみさん(2016年全日本学生選手権58㎏級3位)が在籍、インカレなど国内の大会に出場した。これまでに3人の選手はそれぞれの在籍期間はただ一人の女子部員として孤軍奮闘し、好きな競技に没頭した。そして、今大会に3位入賞した65㎏級寺本鈴(経営学部3年)も2021年、唯一、山梨学院大の厳しい環境の下に身を置きたいとレスリング部の門を叩いた。3歳からレスリングを始めた寺本は中学、高校時代にはインターハイでも高校2年時に優勝、全日本選手権でも上位に入るなど注目を浴びていた選手。入部後はレベルの高い男子の練習に食らいつき、2021年世界ジュニア選手権を獲得、出場する予定だったがコロナ禍で派遣がなくなったものの、その後も不断の努力で2022年、天皇杯2位、今年の全日本選抜選手権も2位、2023年4月にはJOC杯ジュニアクイーンズカップを制し、今年の10月にフィンランドで開催されるU23世界選手権を獲得、順調に成長を続け久しぶりの国際大会に挑戦する。世界選手権からさらにパリ五輪出場へ飛躍が期待されている。

◆今年4月には1年生が4人そろって入部。山梨学院は女子の活動も積極的に開始した。
小幡邦彦監督はその理由を「アテネ五輪から女子も正式種目になり、日本のレベルは高く勝つのは大変なんですけど、常に世界のトップにいて、代表になればメダルを獲る確率も高いので、正式種目ということもあり、やる価値はあると判断してスタートしました。今後、部員が増えればレスリング部女子として分け、スタッフも充実させる」と今後の強化を見据える。現在の5人の部員は3年生の寺本のほか、インターハイ2位の実績を持つ、53㎏級の澤田美侑、55㎏級丸 未永海、今回は欠場したが6月に行われた全日本選抜選手権で5位と健闘した小幡未羽と昨年末、高校3年生ながら天皇杯全日本選手権に優勝し、今年の全日本選抜で世界選手権代表を狙ったが敗れたものの、パリ五輪に近い選手と熱視線を浴びる茂呂綾乃。

■28日大会3日目、女子全階級決勝まで、男子グレコローマン準々決勝までー
試合は、定刻より30分遅れの午前10時30分から、男子は3つのマットと女子は1つのマットを使い開始された。山梨学院は男子グレコローマンスタイルに4人がエントリー。60㎏級に坪田諭依(1年)は2回戦に進んだが敗退。同級の内野旭飛(1年)は1回戦敗退した。87㎏級に出場した澤田雄斗(4年)も1回戦敗退を喫した。また、昨日までの男子フリースタイルで125㎏級に出場し、堂々の準優勝に輝いた山田康瑛(3年)は専門とするグレコの130㎏級に出場。初戦を相手棄権のため29日最終日の準々決勝へ進出した。最終日には準々決勝を3-1、準決勝に優勝候補の育英大のモンゴルからの留学生を5-5のラストポイントで退けると決勝では日体大の選手を破り優勝した。昨日のフリースタイル準優勝に続き、専門とするグレコでのうれしい優勝で大会の有終の美を飾った。

◆女子フリースタイル3人が出場ー
最初に登場した53㎏級の澤田美侑は今年の全日本選抜5位の選手と対戦。前半、相手の投げを返し先行したが後半、逆転され僅差の中での激しい攻防では、終了間際にサークル際での大技など2-10で善戦むなしく敗れた。続いての55㎏級の丸 未永海の試合は前半に試合をコントロールされ腰を抱えられ倒される大技で4失点。後半に入り、逆転を狙い積極的に仕掛けるが凌がれ、そのまま0-4で敗れた。3人目の寺本鈴は初戦準々決勝を持ち前のスピードと素早いタックルで大技4P(ポイント)と続けて2P重ね6-0でリード。さらにアンクルタックルで得点を加え、10-0で準決勝へ進んだ。準決勝の対戦相手は、因縁のライバル吉武まひろ(日体大)。昨年12月の天皇杯全日本選手権、今年6月の全日本選抜選手権決勝で敗れ世界選手権代表を逃がした。試合は互いに知り尽くし膠着状態が続く中、前半に寺本の消極的警告により、相手が1Pを獲得0-1となり、そのまま後半に入った。互いの動きが活発になり寺本はタックルを狙うが相手は隙を見せずに中盤、寺本が2回目の警告で1失点、0-2となった。残り1分、時間が無くなった寺本は攻勢を掛けタックルで相手を倒し、粘る吉武を追い詰めサークル外へ押し出し1Pを獲得。1残り30秒、さらに1P加えるも凌がれ2-4とあと一歩勝利に届かず辛酸をなめた。

試合後、寺本鈴選手は「明治杯(全日本選抜選手権)から2か月間自分なりに練習して対策は練ってきたんですが、不甲斐ない試合になってしまったのは残念です。6分間戦ってみてスタミナの面では相手よりはあったと思うし、相手よりは体力は着いたと感じた部分は良かった」と光明を見出した。次に向けては、「次の天皇杯では自分も吉武選手も決勝まで勝ち上がれば、また戦うことになると思うのでもっと練習量を増やすことや技術面を上げるなり勝てるように準備します」とリベンジを誓った。小幡邦彦監督は試合を見て、「互いに何回も試合をやってきて寺本の場合、そこが勝負だと思ったのでスピードもあるし、守りが後半相手が守りに入った時、ロースコアであればチャンスはあると作戦通りにはいっていたんですが、最後40秒を切って相手を攻めたんですけど、処理しきれなかったことが敗因。戦い的には良かったですがあれだけ、後半に触れる(相手に)んだったら最初からと」と課題を挙げた。続けて「ただ6月の大会よりは差は縮まり相手のテクニカル(攻撃)ポイントはゼロだったので今後につながる成果だった」と話した。寺本は今後のジュニア世界選手権と天皇杯に向けてさらに高みを目指す。

小幡邦彦監督は指導者として、「日本のレスリング女子は、男子より世界のレベルが高いが、オリンピックを目指し、国内での戦いに勝ち抜いて頑張らせたい」と山梨学院レスリング女子の活躍を思い描く。

文(K.F) カメラ(平川大雪) 2023.8.29