●2023関東大学ラグビーリーグ戦2部 開幕戦
~山学大 國學院のキックに薄氷を踏む初戦勝利~
~苦戦が薬。一日一日の練習の積み重ね1部復帰へ~
2023年「関東大学ラグビーリーグ戦2部」開幕戦が9月17日、山梨学院大学和戸ラグビー場ほかで行われた。山梨学院大ラグビー部は、3度の1部経験を持ちながら2015年2部降格以来、8年ぶり4度目の1部復帰を目指す今季、ディフェンスシステムとブレークダウン(密集)からのスピーディーな攻撃展開の強化を進めてきた。初戦はこれまで分のある國學院大との対戦。必勝を期して試合に臨んだ。山梨学院は前半3分、相手陣内22mラインアウトからパスをつなぎ#14・WTB阿部涼太のトライで先制。しかし、その後の攻防はペナルティキックでじりじり攻める國學院に苦戦。18分にペナルティゴールで3点を返され7-3、尚もボール支配率の高い國學院が33分、ゴール前のブレイクダウン(密集)からフォワードがゴールに押し込み、7-10と逆転。山梨学院はその直後、#9・SH丹下竜希が相手のタックルをかわしトライ、14-10と再び逆転して前半を終えた。後半10分、流れがつかめない山梨学院は、またも國學院のペナルティゴールで14-13と迫られると山梨学院は16分、後半から出場した#16・FL鈴木虎鉄がゴール前でのドライビングモールで押し込み21-13とリードした。しかし、粘る國學院は終了間際、22mライン内での攻防で21-20と1点差に迫った。残り1分、互いに死力を尽くす見ごたえのある攻防はノーサイドの笛が鳴るまで続き、山梨学院は苦しみながらも初戦に勝利した。
■8年ぶり4度目の1部復帰に懸けるー
今季2部リーグは、関東学院大(降格)、専修大・中央大、山梨学院大、國學院大、白鷗大、朝鮮大校、国士舘大の8チームが1部入替戦権利を懸けて戦う。山梨学院大ラグビー部は、1997年初の1部昇格を果たし、2002年に2度目、2013年に10年ぶり3度目の1部復帰を成し遂げるも、2015年、1部在籍2年目に8位と振るわず、2部1位の日本大学との1部入替戦で敗れ2部降格となった。翌2016年にも2部1位となり再び入替戦で日大と対戦したがここでも敗れ2部残留となった。また、2020年にはコロナ禍の影響を受けた試合方式のAブロック1位(総合2位)となったが入替戦は中止。昇格のチャンスを逃した。2021年、従来の1試合総当たり方式に戻り3位と善戦するも、あと一歩入替戦に届かず、2022年は4勝2敗1分けの成績で4位となった。7年間1部リーグから遠ざかった今季リーグ。8年ぶりの1部復帰にチーム一丸、全身全霊を懸ける。
■前半、スクラムからのペナルティキックを多く与え、苦戦招くー
山梨学院和戸ラグビー場での開幕戦。有観客で行われた一戦に多くのラグビーファンが集まった。午後3時、國學院大学院大のキックオフで始まった試合は前半3分、山梨学院はペナルティキックから得た相手陣内22mラインアウトボールをドライビングモールの密集から波状攻撃を仕掛け#10・SO具志堅峻祐(3年)が一人飛ばした鋭いパスを#14・WTB阿部涼太(4年)がゴールライン右へ先制のトライを決めた。#10具志堅がコンバージョンキック(GK)も決め7-0とした。しかし、その後、國學院はキックで山学ディフェンスを狙い、ペナルティキックでじりじりと山学陣地に迫った。18分、山梨学院22mライン際で得たペナルティゴールを決め3点を返し7-3。ウオータータイム後、山梨学院はラインアウトから左右にコースを変えながら速い波状攻撃を展開、何度かゴールラインに迫るもペナルティや相手ディフェンスに押し戻されるなどトライの好機を阻まれた。その後は、キック中心から攻撃を仕掛ける國學院に手こずった33分、國學院の22mラインアウト攻撃で山梨学院のゴールライン5mの攻防で相手フォワードの圧力に耐えきれずにトライを許し、GKも決まり7-10と逆転された。相手のキック攻撃に流れを引き込めない山梨学院は前半終了間際の39分、ハーフウエイライン付近の中央を突破した#5・LOゲリット ローベルト(2年)から#9・SH丹下竜希(2年)がパスを受け、トップスピードで相手タックルをかいくぐり中央付近に起死回生のトライを決め、14-10と再逆転をして前半を終了。
■後半終盤、相手に1点差に迫られるも、チーム一丸守り切るー
後半、右から左に攻める山梨学院のキックオフで始まった。立ち上がり、國學院のキックに苦しむ山梨学院は4分、國學院のラインアウトからの攻撃に、ゴールライン5mでのスクラムでピンチを迎えたが相手ノックオンで難を逃れた。相手フォワードの圧力からスクラムでのペナルティが多い山梨学院は10分、またもペナルティキックを与え、ゴールを決められ14-13と迫られた。この日のゲームに流れに乗り切れない山梨学院は後半開始からメンバー交代で打開を図った。16分、交代出場した一人、#16・FL鈴木虎鉄(4年)が相手ゴール前の密集からドライビングモールで押し込みトライ。GKも決まり21-13とリードした。しかし、この日の國學院はフォワード、バックスのコンビネーションも冴え主導権を握る展開で粘る。終了間際39分、山梨学院22mライン後方でのスクラムから出たボールを國學院#12の絶妙なショートキックをバックスが抑え21-18、GKも決め21-20と勝利への執念を見せた。残り時間わずか。次に得点したチームの勝利がほぼ確定する緊迫した攻防に山梨学院、國學院チームは最後のプレーに死力を尽くしノーサイドの笛が鳴るまでぶつかり合った。結果、山梨学院が苦しみながら初戦を1点差勝利した。
■試合結果
2023年関東大学ラグビーリーグ戦2部 開幕戦 40分ハーフ 山梨学院大学VS國學院大学(9/17)山梨学院大和戸ラグビー場 |
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○ 山梨学院大学 21 | 14 前半 10 7 後半 10 |
20 國學院大学 ● |
《前半》:トライ=(3分)#14・WTB阿部涼太、(38分)#9・SH丹下竜希 コンバージョンゴール=(5分、39分)#10・SO具志堅峻祐(3年) 《後半》:トライ=(16分)#16・FL鈴木虎鉄 コンバージョンゴール=(17分)具志堅峻祐 (トライ5点、コンバージョンゴール2点) |
■試合後、梶原宏之監督は「相手はチャレンジャー精神で向かってきて、相手の勢いに押された場面も多々ありましたね」と開口一番。「春に50点ほど差をつけて勝っているので気持ちの面で緩みが出ました。昨日のミーティングでもそこのところを強調はしていたんですけど、主力に怪我人もいるので初めて公式戦に出た選手もいたので少し硬かったかなと思います」と話し、続けて「決して弱くはないチームですのでだいぶ苦しみました。敵陣でのスクラムのペナルティが多く、流れに乗れなかったですね。ただ後半、劣勢の場面でディフェンスの粘りというのは大きいのでこれから自信になれるようにやって行きたい」と苦戦に精神面の弱さを挙げた。残りの試合には、「次の白鷗もうちと同じようなチームで、春には勝っていますがそこはしっかり対応して勝ちきりたい」と気を引き締めた。#8・NO.8小嶋大士主将(4年)は「本当に苦しかったというか、國學院さんがものすごく準備してきた中で、自分たちは準備不足だったということがまずは一番(苦戦)でした。この試合のボールのポゼッション(保持)をみれば分かると思うんですけど、國學院さんの方が圧倒的に上で自分たちがアタックできない状態だったので、自分たちは全く主導権を握れなく、スクラムが組みきれなかった対応力の無さ」と苦戦の要因を挙げた。次戦に向けて、「ここでこの経験ができたということはいいことなので、ここからの練習を一日一日噛みしめて、自分たちは1部へ行くのでそのための下準備をこれからしていきたい」とこの日の苦戦を糧にすると前を向いた。
2部リーグ戦はこれから11月26日(日)まで残り6試合戦い、山梨学院の次の試合は9月24日(日)午後3時より白鷗大学と同じく山梨学院ラグビー場で対戦する。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2023.9.18