●注目の2023年プロドラフト会議開催
~山学大宮崎一樹 日ハムから3位指名、プロへ~
~走攻守に磨きを懸け、チームの中心選手に~
2023年「プロ野球ドラフト会議」(新人選手選択)が10月26日、東京都内のホテルを会場に開催された。今年はプロ志望届を出した選手は高校生139人、大学生177人の計316人に加え、社会人や独立リーグの候補者が指名を待った。その中で山梨学院大から宮崎一樹選手が上位指名を期待されるとあり、報道各社が多く集まり吉報を待った。ドラフト会議は入札での1巡目、2巡目以降はセ・パ交互に順に指名するウエーバー方式で行われた。宮崎選手は3巡目最後の順番となった日本ハムファイターズから3位指名を受けた。指名後、別室で控えていた宮崎選手は野球部・齋藤雅代部長、須田喜照監督とともに記者会見に臨み、齋藤部長、須田監督の挨拶に続き、宮崎選手は「正直ほっとしていると同時に気持ちが引き締まる思いです。これから厳しい世界に飛び込むわけですが、これまでたくさんの指導者の方々からたくさんのご指導をいただいて成長できたので、これからも頑張っていきたいと思います」と指名への思いと抱負を述べた。引き続き、報道各社との質疑応答、フォトセクションが行われた。会見終了後、宮崎選手は山梨学院クリスタルタワー入口前に駆け付けた野球部員約30人から胴上げで祝福され、チームメイトの騎馬に乗り笑顔でガッツポーズをして見せた。走攻守3拍子揃ったプレーをさらに磨き、プロでの活躍を誓った。
■プロ野球ドラフト会議122人の選手が指名されたー
今年のドラフト会議は大学投手に逸材が多く、入札抽選方式の1巡目1位指名ではセリーグ、パリーグ12球団中高校生(1人)を含め9球団、2位からのウェーバー方式では10球団が投手を指名した。3巡目、日本ハムが最後の順で宮崎選手を指名した。ウェーバー方式は、2巡目からその年の下位チームから順に選手を指名し、1巡すると、逆ウェーバーとして上位から、次は下位からと順送りになり、今年はセリーグから開始した。3巡目3位指名が終了して外野手の指名は両球団通じて3人。その内、2人は社会人で大学生は宮崎選手ただ1人。外野手での宮崎選手の高評価がうかがえた。すべての会議が終了し、支配下で72人、育成では50人、計122人が指名を受け各球団が交渉権を獲得した。
■宮崎一樹選手プロフィール
宮崎一樹選手は東京都日野市出身。山梨学院大スポーツ科学部4年、22歳。身長体重・184cm、84㎏のセンターを守る大型外野手。小学1年生(6歳)から野球を始め、中学時代は調布シニアでプレーをした。高校は山梨学院高に入学。甲子園出場も経験したが特別目立つ存在ではなく、山梨学院大に進学、関甲新学生野球連盟1部に所属する野球部に入部。須田監督に俊足、強肩を見込まれ大学1年秋季リーグからスタメンにも名を連ね、大学2年からレギュラーを獲得すると頭角を現し、持ち味を武器にさらに身体を大きくする日々の努力もあり順調に成長していった。その進化は大学3年(2022年)に発揮。2022年関甲新1部春季リーグで最多盗塁賞(12盗塁)、2022年秋季リーグでは最多本塁打打者賞(5本)、最多安打打者賞(24本)、最多打点打者賞(19点)と3部門で1位に輝き、打率も6割を超える目覚ましい活躍でスカウトの注目を集めた。そして、2023年春季リーグで走攻守揃う選手としてベストナイン外野手にも選ばれた。その後、7月に行われた第44回日米大学野球選手権大会の大学侍ジャパン代表メンバー26人の一人として選出された。昨年12月4日、上記大会に向けた大学侍ジャパン代表候補選手強化合宿では恒例の50m走測定で5秒91の新記録を出し、一躍名を上げ、今回のドラフト指名にも結び付いた。
■指名後の記者会見ー
宮崎選手の3位指名が確認された午後6時半過ぎ、別室で待機していた宮崎選手らは報道各社が待ち受ける山梨学院広報スタジオの記者会見場に姿を見せた。記者会見は、初めに山梨学院大学法学部教授・齋藤雅代野球部部長が挨拶。「本学スポーツ科学部4年、宮崎一樹選手が日本ハムファイターズからドラフト3位指名をいただくことになりました」と指名報告を行った。続いて須田喜照監督は「日本ハムから3位ということで最後の最後に指名を受けて本人も当然うれしがっていますが、私も正直ほっとした気持ちでいっぱいです」と挨拶した。引き続き宮崎一樹選手がやや緊張した面持ちで「上記」を述べ、報道各社との質疑応答に移った。
■報道各社と質疑応答(抜粋)ー
宮崎一樹選手は、指名された日本ハムの印象を聞かれると、「新庄監督で同じポジションだったりするので良さや欠点をすべて監督には見られてしまうと思うので自分が成長するためにはいいチームだと思う」と前向きに捉えた。プロでの目標に、「自分自身では三拍子揃った選手を目指していて、具体的な選手を挙げると鈴木誠也選手(シカゴ・カブス)みたい選手になりたいと思っています。そのためにはまだまだ粗削りの部分が多く、自分は外野手なので打てなければ始まらないので、まずはバッティングという面ではこれからもっと成長したい」と意気込んだ。自分のセールスポイントを挙げると「今年大学ジャパンに入り、自分の強み、弱みもいろいろ見えてきて、自分自身、強みにしていいと思うのは肩の強さ(遠投120m)」で1年目では、「すべての基礎ベースを挙げて1軍で少しでも活躍できたらいい」と意欲を示す。そして将来に向けては、「バッティングだけ、守備だけとか偏った戦力というよりは、すべてにおいてチームの強みになれる選手になりたいです。ファンの皆さんから愛される選手になりたいと思っています」とプロでの飛躍を誓う。最後に、「まだ11月6日から大会(関東地区大学野球選手権)が始まるんですけど、今のメンバーには自分が成長するためにいろいろ活動し、感謝しているのでこのメンバーと1試合でも多く戦いたい」と関甲新秋季リーグでの快進撃を横浜スタジアムで続ける。
ここまで宮崎選手の素質を見極め育ててきた須田喜照監督は「正直、4年後にドラフトに掛かる選手だとは夢にも思っていなかったですけども、一つは宮崎には武器があるということです。足、肩、守備力、これは大学、社会人合わせてもトップクラスだと思っていますので、当然プロに行ったら今のレベルは1軍では平均的になってしまいますが、でも身体能力は高く対応力もある選手だと思っています。当然プロの世界は甘くないですが、1軍で活躍しないと意味がないので将来的には本当に打てる、走れる、投げれる、三拍子揃った選手になってくれると思っているので、宮崎の性格や努力、日頃の練習の態度を見れば、さらなる上でいい選手になってくれると期待しています」とエールを送った。
宮崎選手は、ここまで指導して成長させてくれた監督、チームメイトに感謝を忘れずに、不断の努力で才能を開花、小さい頃から憧れたプロの道を手にした。一握りの“プロでの活躍を目指して”自ら選んだ厳しい海原に船を漕ぎ出した。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2023.10.26