●【関東地区大学野球選手権 山学11年ぶり出場で1回戦突破】
~主軸の2本の本塁打で横浜商大を下す~
~4年生のため明日も勝つ 2回戦は強豪・創価大~
「第19回関東地区大学野球選手権大会」が11月6日、横浜スタジアムで開幕した。9日までの4日間、関東5地区10校が激突。上位2校が得る『明治神宮野球大会』出場を目指して熱戦を繰り広げる。関甲新学生野球連盟に所属する山梨学院大は、秋季1部リーグ戦で準優勝(2位代表)を飾り11年ぶりに出場権を獲得。この日の2試合目に神奈川2位代表の横浜商科大と対戦した。試合は横浜商大の先攻で始まった。山学大の先発は山梨学院高出身の中込陽翔が先発した。無得点で迎えた3回裏、山学大は、二死一塁で4番野村康太が左翼スタンドに豪快に2点本塁打で先制すると、4回表には横浜商大も先頭4番打者の二塁打を6番打者が適時打で1点を返した。先発の中込は5回には、二死から単打と2連続二塁打を浴び1-3と逆転されたが、その裏、山学大は9番安川快飛の二塁打と犠打で走者が三塁へ進塁。2番乙黒颯斗の中犠飛ですぐさま同点に追いつくと、山学大は6回から2番手として左腕の西野知輝を投入。6回、7回を打者6人に4三振と、無得点に抑え援護を待った。その好投に応え7回一死一塁後、横浜商大3人目の投手から内野安打と四球で一死満塁の一打逆転の好機に、5番山元丈輝がカウント有利の5球目を叩き、右翼スタンドに満塁本塁打となる会心の一撃を放ち、7-3と差を広げた。横浜商大も8回に1点を返したものの、9回西野は3人できっちり試合を締めた。山学大は明日2回戦準々決勝で創価大と対戦する。
「関東地区大学野球選手権大会」は明治神宮野球大会の関東地区予選で代表枠は、関東地区の首都大学野球連盟、東京新大学野球連盟、神奈川大学野球連盟、千葉県大学野球連盟、関甲新学生野球連盟の5地区上位2校、計10校で争われる。大会方式は各連盟の秋季リーグ戦の1位、2位チーム、合計10チームによるトーナメント方式により、優勝校、準優勝校2校が第1代表、第2代表となる。今年の明治神宮大会は11月15日から行われる。
「関東地区大学野球選手権大会」が創設された2005年に山学大野球部はカレッジスポーツセンター強化育成クラブに指定され、関甲新大学野球連盟に所属する。これまで(2023年10月現在)春・秋の1部リーグ戦で2014年に春季リーグ初優勝を飾り(全日本大学野球選手権大会にも初出場)、準優勝は6回を数える。秋に行われるこの大会に過去、2011年、2012年に2度出場。以来、今回11年ぶりとなる3回目の出場を果たした。
■11年ぶり3回目の出場で明治神宮野球大会初出場を目指すー
11月6日第2試合目、山梨学院大(関甲新2位)は横浜商科大(神奈川2位)と対戦した。対する横浜商科大は、創部1975年の伝統校でこの大会9回の出場を誇る。全日本大学野球選手権大会にも過去4度の出場経験がある。試合は曇り空が広がる横浜スタジアムで午後0時30分、横浜商科大の先攻で始まった。山学大の先発は中込陽翔(4年)が先発した。今年の秋季1部リーグでは中込、佐藤裕士(4年)の山学高野球部出身の2人と西野知輝(4年)の3投手の貢献があり準優勝への快進撃を続けた。中込は3回まで毎回安打は許すも要所を締め無得点で迎えた。山学は1回裏、一死二塁・一塁の得点好機を作るも、後続が続かず無得点、3回裏、二死一塁で4番野村康太(4年)が2球目の変化球を引っ張り、豪快に左翼スタンドに運ぶ2点本塁打で先制した。横浜商大も4回表に先頭4番打者の左中間二塁打を6番打者が左中間適時打で1点を返した。先発の中込は5回には、二死から1番打者の中前打、2番には左中間に大きな二塁打で同点、次打者にも左翼右を抜く2連続二塁打で1-3と逆転された。しかし、山学大はその裏、9番安川快飛(4年)の中堅への大きな二塁打と1番海辺眺(4年)犠打、2番乙黒颯斗(1年)の中犠飛ですぐさま同点に追いついた。山学大は6回から2番手として左腕の西野知輝(4年)を投入、6回、7回を6人の打者に対し4三振と、完璧に無得点に抑えた。その好投に応え山学大打線は7回、1番海辺が遊ゴロ内野安打で出塁、2番乙黒が犠打で走者を進めると、一死後、横浜商大は3人目の投手へ継投。3番宮崎一樹(4年)は持ち味の俊足を活かし三塁内野安打、4番野村は相手投手の長打を警戒したストレートの四球を選び一死満塁、一打勝ち越しと攻め立てた。5番山元丈輝(2年)はボールが先行した5球目を狙い撃ち、打球は右翼スタンドに突き刺さり、満塁本塁打となる会心の一撃で7-3とリードした。西野は8回に横浜商大に単打と二塁打で1点を返されたものの、9回、力強い投球できっちり3人で試合を締めた。山学大は明日2回戦準々決勝で創価大と対戦する。
■1回戦=山梨学院大学VS横浜商科大学 11月6日 横浜スタジアム
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 合計 | |
横浜商科大 | 0 | 0 | 0 | 1 | 2 | 0 | 0 | 1 | 0 | 4 |
山梨学院大 | 0 | 0 | 2 | 0 | 1 | 0 | 4 | 0 | × | 7 |
■山梨学院大先発メンバー 〇は学年
1.(右)海辺 眺④、2,(二)乙黒颯斗①、3,(中)宮崎一樹④、4.(三)野村康太④、5.(一)山元丈輝②、6.(DH)岸本捷汰④、7.(左)金城英佑④、8.(捕)岩﨑 瞭③、9.(遊)安川快飛④
■山梨学院大バッテリー=中込⇒西野―[捕手]岩崎
[投手]中込:5回 打者22 投球数77球 被安打8 奪三振2 与四球0 失点3
西野:4回 打者15 投球数60球 被安打3 奪三振6 与四球0 失点1
[打撃] 安打8《本塁打:野村1、山元1、二塁打:安川》三振2 四死球5
[交代]金城(左)⇒(H)小貝優光③(左)
■試合後のインタビュー
須田喜照監督は「うちは投手中心で最少失点で戦ってきたチームで、相手は力があるチームなので最初に野村が打ってくれていいスタートが切れました。でも相手の粘り強いバッティングで同点にされた後に、すぐに同点に追いついたのが大きかったですね。後半勝負の西野は予定通りで、山元の満塁ホームランは予想外でしたね。カウントも狙って行けというサインだったので、打ち損じなく振り抜いてくれましたね。あれで逃げ切って勝てたという試合でした」と振り返った。11年ぶり3回目の出場については、「私も、もちろん選手もいなかったので初出場みたいなもので。でもリーグ戦しっかり戦えてこういう結果になったので、相手のことは気にはなるけどしっかり自分たち野球をやればおのずと結果はついてくると話していました」と選手に緊張、気負いはなかった。満塁ホームランで試合を決めた山元丈輝選手は「打った球は、ストレートで少し低めでした。芯ではなかったですけど、伸びてくれて良かったです。自分は2年生で試合に出させてもらって、4年生は負けてしまえば最後の試合になるので、そのためにも勝つという気持ちでした」と打席に集中した。また、この大会に出場して、「自分たちの代(山梨学院高出身)は甲子園に出ることができなかったので絶対に神宮に行く目標で大学に入学したので、それに向けて次も頑張りたい」と前を向いた。持ち前の俊足内野安打で山元選手の本塁打につなげた宮崎一樹選手はプロ入りが決まって、注目を浴びる試合の中、「今まではスカウトの方にアピールする気持ちがあったりしましたが、今日は久しぶりに楽しい試合で、自分自身そんなに意識することなく、チームファーストじゃないですけど、チームのことだけを考えていました」と話した。先制の本塁打を打った野村康太選手は「地元が横浜ということで、小さい頃から見ていたこの横浜スタジアムで試合ができて、まさかホームランが打てるなんて思わなかったので率直にうれしかったです。打った球はスライダーです。感触は良かったんですけど、正直ホームランになるとは思いませんでしたが最後、打球が伸びてくれて良かった」と笑顔で話した。明日の創価大戦について、「チーム一丸、チームプレーでしっかり勝ちきりたい」と意気込んだ。
山学大は明日2回戦準々決勝で今大会創設年度の2005年度を含め4度の優勝を誇る、東京新大学野球連盟1位、創価大と対戦する。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2023.11.6