●インカレ男子バスケ 山学大準々決勝で敗れるもベスト8
~伝統校筑波大に前半善戦も、後半相手の攻撃力に屈す~
~急成長の原動力、4年生の努力に感謝、次につなげる~
「第75回全国大学バスケットボール選手権大会(インカレ)」準々決勝2試合が12月9日、東京・国立代々木競技場第二体育館で行われた。山梨学院大は初出場ながら決勝トーナメント2試合に勝利し、準々決勝に駒を進めた。この日は、インカレ創設時から大会とともに歩んできた筑波大と対戦した。大勢の観客が見守る中、山学は奮闘を見せた。第1Q開始早々、筑波が3Pがリングを揺らすと、山学もPG野溝利一が3Pで対抗。序盤、互いに得点を奪い合うがその後、筑波が一気に得点を重ねてリード。山学も終盤の粘りを見せ18-24で第2Qに入った。山学は立ち上がりにSG武内理貴の2連続3Pで盛り返すと、SG河田優人のレイアップ、PG野溝がドライブシュートのインサイドプレーで勢いをつくると、さらにSG武内が前半で4つ目の3Pで逆転。拮抗状態の37-38で第2を終了。後半第3Q、最初の得点は山学SG河田だったがその後、筑波が3連続3Pで引き離し、山学は筑波のマンツーマンディフェンスに苦しみ攻撃を封印された。それに対して筑波は猛攻を続け13点まで差をつけた。第4Q、反撃したい山学だが筑波のリバウンドからの攻撃に手を焼き中盤までにさらに差を広げられた。終盤PG野溝の3P、SF上床洋人、最後はオフェンスリバウンドをCカボンゴ・ジョナサンが押し込み意地を見せるも、後半の筑波の攻撃力に屈し、58-73で準々決勝敗退した。敗れたがベスト8という見事な成績を残し大会を終えた。
■男子、全国地区予選を勝ち抜いた40チームが日本一を懸けて争うー
バスケットインカレは、全国9ブロックの予選を勝ち抜いた男女40チームがグループステージ(リーグ戦)及びトーナメント方式で戦い大学日本一を決定する。12月2日に開幕した大会は6日までに24チームが8グループに分かれてそれぞれの1位を争うグループステージを行い、7日からはそれに16チームが加わる決勝トーナメントに移り10日までに準々決勝までの4チームを選出した。1週間を経て16日に準決勝、17日に2023年度全国大学バスケットボールの日本一を決定する。山学は決勝トーナメントから出場、1回戦に九州産業大を下し記念すべきインカレ初勝利を挙げた。2回戦は昨年度ベスト8の名古屋学院大と対戦、快勝してベスト8準々決勝に進出した。
■準々決勝に進出した山学バスケットボール部、伝統校筑波大と対戦。
◆前半、強豪に互角の戦いで挑み善戦ー
12月9日、大会8日目。決勝トーナメント準々決勝2試合(残り2試合は10日同会場)が行われる東京・国立代々木競技場第二体育館には多くの観客が集まり声援を送っていた。
2試合目、山梨学院大が白のユニフォームで筑波大とまばゆい照明の中、コートに立った。
筑波大は第75回目を数える大会に75回の出場を誇り、優勝5回、準優勝12回を飾る、インカレを代表する伝統校。山学が今季から参戦した関東リーグ1部に所属し、大きな目標とするチームとの一戦。午後2時10分、予定よりわずかに遅れて試合が開始された。ティップオフ直後、ボールを奪った筑波大が3P(スリーポイントシュート)を決め、山学も負けじとすぐに#90PG野溝利一(3年)が3Pで返すと、会場にどよめきが起こった。。序盤、#5PG中村千颯(1年)のブロックシュート、#9SF齋藤晴(1年)の3Pでやや先行するも、中盤、筑波の猛攻が始まり一気に11点を奪い形勢逆転した。その後は一進一退の攻防が続いた終了間際に、#67SG武内理貴(4年)の3Pなどで粘りで18-24と点差を詰め第1Qを終えた。第2Qに入ると、山学は立ち上がりにSG武内の2連続3Pで盛り返し、#98Cスヴェトリシック・イゴール(1年)のリバウンドからつないだ#46SG河田優人(4年)のレイアップシュート、PG野溝のドライブシュートと、インサイドプレーで勢いをつくった。さらにSG武内が前半で4つ目の3Pを決め逆転に成功。互いに激しいプレーの応酬の中、山学がこのクオーター1点差まで詰め寄り37-38と後半に期待を持たせた。
◆後半、筑波のマンツーマンディフェンスに圧されるー
第3Qは、山学SG河田の相手ディフェンスをかいくぐるドライブシュートから始まった。その後、筑波がリバウンドで優位に立ち、山学ディフェンスの外から精確な3連続3Pで点差を広げた。山学は身体の大きい筑波のマンツーマンディフェンスに手を焼き攻撃を封印された。さらにパスミス、攻撃の連係ミスが重なり得点を挙げられず、残り3分を切った時点で僅か4得点と苦しんだ。それに対して筑波は攻撃の流れに乗り45-58と13点のリードで試合を優位に進めた。第4Q、反撃したい山学だが当たりの強い筑波ディフェンスにリバウンドを奪われる場面が続き好機を逃し続けた。攻撃の要の武内が必死に3Pを狙い攻撃の糸口を探るが、勢いに乗る筑波の前に山学はさらに得点を許した。終盤PG野溝の3Pや#14SF上床洋人(4年)のゴール下での執念のシュートと続けて得点を加え、最後はオフェンスリバウンドを#2Cカボンゴ・ジョナサン(4年)が押し込む意地を見せたが、後半の筑波の攻撃力に屈し、58-73で準々決勝敗退した。
■山梨学院大結果《第75回全国大学バスケットボール選手権大会》
◆男子決勝トーナメント準々決勝《山梨学院大学VS筑波大学》12/9 14:00~ 東京都・国立代々木競技場第二体育館 |
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● 山梨学院大 58 | 1Q 18-24 2Q 19-14 3Q 8-20 4Q 13-15 |
73 筑波大 〇 |
■山梨学院のスターティング5(ファイブ)
◆#2CKカボンゴ ジョナサン(4年)、#46SF河田優人(4年)、#64PF山田光哉(4年)、#67SG武内理貴(4年)、#90PG野溝利一(3年)の5人。
◆その他、#5中村千楓(1年)、#7SF齋藤晴(1年)、#14SF上床洋人(4年)、#26PF小野寺恒洋(4年)、#68F高橋涼太郎(4年)、#98Cスヴェトリシック・イゴール(1年)が随時途中交代した。
試合後、古田悟監督は開口一番。「うちらしく、正直悔いなく終われたかなと思います」と僅かに目をしばたたかせた。今日の試合を振り返って、「皆さん見ても分かるように相手はサイズも、キャリアも違うし、そんなチームでも前半含めて戦えたことは彼らの力だと思うし、彼らは無名の選手が多くてサイズも無くてパワー的にも、技術的にもというチームですけど、負けてはしまいましたけど、本当に良いチームでしたね。4年生が1年生の時から主力でやってきてくれたのでそこは本当に感謝していますし、選手だけではなく、学生コーチ含めて僕がやらないところをやってくれたので本当に良かった」とチームに感謝した。これからについては「大変ですけどまずは1部に残すことと、今回、チャレンジに失敗したベスト4というのは、今の3年生に頭の中にあるので、やっぱり学生スポーツというのは4年生の出来次第だと僕は勝手に思っているので、今の4年生、3年生が一緒にチームを作ってくれたことは楽しみではあります」と次に向けてさらなる躍進を誓った。
■チームを支えた4年生スターティング
❖武内理貴主将は筑波戦に、「前半は自分たちのいい流れでできたんですけど、後半になると相手も伝統のあるチームですので、ギアをあげてくるとは分かっていたんですけど、そこに対応できなかったです」。後半、得意の3Pが抑えられたことに、「他の大学では自分に付くのが185cm辺りなんですけど、今日は190オーバーの選手がずっと付いてきて、相手の高さが気になってしまった」と不発だった要因を話した。初のインカレ出場を、「一番は楽しかったですね。初出場ですし、自分たちはどの相手にもチャレンジャーだったので、今日みたいなゲームもあるので切り替えて、今後の自分のステージに向けて頑張りたいなと思います」と話した。
❖河田優人選手は筑波戦に臨んで、「インカレの常連校の相手に序盤は結構戦えていた部分はあるんですけど、雰囲気に飲まれてしまったのかなあと思いますけど、その中で全力で戦えたので良かった」と振り返った。初のインカレの印象を、「初めての全国大会でこういう舞台に立たせてもらって、すごく緊張する面もありましたけど、やっぱり最後の大会なので楽しんでという思いが一番大きかった」と話し、山学のバスケット部は急成長したが、「4年生一人一人の向上心というのが強くて、それが後輩たちに繋がって、自分たちの代でインカレに出場することができたので、こういうのを継承して後輩たちは後輩らしく、全力で戦ってもらえれば自分たちはうれしい」と後輩にさらなる躍進を託した。
❖県内出身でスターティングの一人として活躍した山田光哉選手は「バスケットを小1からやっていて、それを含めても初めての全国大会がこのインカレで今までの大会とは違って、すごく楽しめたし、観客とか会場の雰囲気とか、一つひとつ違くて全国大会ってすごく楽しいものなんだなと今回知ることができて良かった」。筑波大の印象を、「リーグ戦の時も強かったですけど、相手の4年生がやっぱり負けないという気持ちが強くて、そこにやられたかなとすごく感じます。身体もとても大きく、やっぱり気持ちが強かった」と話した。
❖ゴール下で存在感を示したカボンゴ・ジョナサン選手は「4年間戦ってきましたが、最初はインカレは見えていなくて、古田さんと同じ気持ちで頑張って、今年1部でできることになって残留も決まり、インカレでベスト8になれたのはすごくうれしい」と笑顔を見せた。今日の筑波戦に「リーグ戦で1回戦って負けて、今日は勝ちたかった気持ちが強かったですが力を出せなくて負けて悔しいですが、来年は後輩たちが勝てるように応援していきたい」と流暢な日本語で話した。
■山梨学院大バスケットボール部男子、10年の節目を越えてさらなる進化をー
山梨学院大バスケットボール部男子は、2014年から強化育成クラブに指定されてから本格的に活動を始動。2018年関東大学リーグ戦3部を準優勝で2部昇格も、翌年3部に降格した。2019年7月に再建を託され就任した元世界選手権日本代表の古田悟監督の下、強化が実り2021年3部全勝優勝で再び2部昇格を果たし、昨年、2022年には2部2位となり自動昇格。1年で1部へ大躍進、一気に駆け上がった。そして今季2023年、強豪ひしめく関東大学1部14チーム中9位と健闘、来季の残留も決めた。10年を経て初のインカレ出場を果たし、決勝トーナメントに2勝して臨んだ準々決勝に筑波大に負けはしたものの、ベスト8という輝かしい成績を収めた。
来季からはこれまでチームを支えてきた4年生に代わり次代を担う後輩のさらなる進化を期待して山梨学院大バスケットボール部の躍進に期待を寄せる
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2023.12.10