●2023年度全国高等学校駅伝競走大会
~山学男女駅伝部 颯爽と冬の都大路を駆け抜けた~
~男子21位、女子38位と昨年より順位上げる~
「男子74回・女子35回全国高等学校駅伝競走大会」が12月24日、たけびしスタジアム京都を発着点とする、男子7区間42.195km、女子5区間21.095kmで行われた。都道府県の予選会に優勝した男子47校、女子は記念大会のため地区代表の11校が加わり58校が出場して冬の都大路を駆け抜けた。山梨学院高は駅伝部男子が13年連続23回目、女子が15年連続23回目の出場。女子は前回大会40位という悔しい結果の雪辱を果たすべく、そして男子は前回大会24位を上回り、上位を目指して大会に臨んだ。午前スタートの女子は、1区川越愛実の39位を、2区留学生シャロン・ムワンティが16人抜きの区間5位の快走で一気に23位と順位を押し上げた。その後、3区主将の井手笑菜、4区新井帆乃花、5区西本佑菜が順位を下げたものの、粘りの38位でゴール。出場校が増えた中、健闘を見せた。午後スタートの男子は、1区渡邊莉玖、2区小林柊が30位台前半と出遅れたが、3区フェリックス・ムティア二が9人抜きで23位に順位を上げると、4区小島光稀、5区野口翔大、6区望月朝陽、7区佐藤新太が順位を落とさずに、昨年を上回る21位でゴールした。今大会には高校から生徒会役員や応援団、吹奏楽部、チアリーダー部、引率教員、PTA役員など総勢120人の応援団が駆け付け、都大路を疾走する選手たちにスタンドから応援をした。
■師走の都大路に高校生ランナーの熱い戦いが始まるー
午前10時20分、まず女子のレースが始まった。1区スタート時の天候は晴れ。前日の冷たい風から一転、穏やかな日差しがスタジアムに降り注いだ。応援席には、4年ぶりに吹奏楽部の演奏での応援も可能になり、山梨学院高校からは、生徒会役員、応援団、チアリーダー部、引率教員、PTA役員の総勢120人が甲府を午前5時に出発、駅伝部の雄姿を応援するためスタンドに駆け付けた。
■女子21.0975km <5区間>■
◆第1区6km (たけびしスタジアム京都~衣笠校前) 川越愛実(2年)
今大会の山梨学院駅伝部女子は1、2年生で4区間を固め、1区間を3年で2年連続出場の井手笑菜主将の布陣で臨んだ。最長区間の1区は中間地点から始まる上り坂は残り1kmの上り坂が勝負を分ける。各校のエース級のランナーが揃う。昨年は2区で出走した2年連続出場の川越愛実(2年)は、スタートから集団の中ほどに位置し、数人で形成する速いペースの第1集団から離されるも後ろの集団で自身のペースを守り終盤に懸けた。レース後、川越愛実選手は「最初の1kmは速く入ると覚悟はあったんですけど、前は追えないとは分かっていたので落ち着いて一人にならないことを意識していました。ラストの1kmで行けると思ってスパートをかけて何人かを抜けたのは良かったです。去年に比べて自分の実力も上がって、1区6kmのタイムも自分の中ではベストだった」と順位は39位だったが、次につなげた。「上りの区間は得意なので来年も1区を走ることがあればもっと上で渡せたらいい」と話した。
◆2区第2区4.0975km (衣笠校前~烏丸鞍馬口) シャロン・ムワンティ(1年)
約4kmのコースは、アップダウンや4か所のカーブを走り、位置取りや曲がり方などロードレースの技術が重要視される。ケニアからの留学生シャロン・ムワンティ(1年)は39位でタスキを引き継ぐとがむしゃらに次々と前を捉え、16人抜きで23位まで順位を上げた。シャロン・ムワンティ選手は「自分の走りは良かった。でも、自分の気持ちより10秒足りなかった。次にいいタイムを出す」。小気味よい走りが光った。
◆第3区3km (烏丸鞍馬口~室町小学校前折返し~北大路船岡山) 井手笑菜(3年)
タスキをもらってすぐに折り返し地点。短い距離のスピード区間で最後500mに上り坂が待ち構える。井手笑菜主将は「1区、2区の川越、シャロンといい流れでタスキを持って来てくれたので、プレッシャーは大きかったんですけど、今の自分の最大限の走りをしようと考えて、ラスト、帆乃花が見えた時にしっかりスパートを掛けられ、今のベストは出せた」と順位を落とすも納得の走りでタスキをつないだ。主将としての重圧で迎えた都大路の思いを。「県大会、関東と自分たちが納得できる走りができなくて都大路を迎えたんですけど、でも今日はすごく良いタイムでゴールできてみんなも最後悔し涙を流さずに終われたことが一番良かったなと思っていて、シャロンが入ってきてくれたことが大きいんですけど、みんなで駅伝を楽しむことができ結果を出せたことは自分がキャプテンをやってきて良かった」とチームでの役割を果たした。
◆第4区3km (北大路船岡山~西大路下立売) 新井帆乃花(2年)
スタートから一気に上って、その後はなだらかな下り坂が続き、3区と同様に力のあるスピードランナーが集まる区間。32位でタスキを受けた新井帆乃花選手は「上って下るコースなんですけど、自分は下りが得意なので本当は9分台で走りたかったんですけど、10分3秒と届かなかったので悔しいところはあります。最初の下りでペースは上がったんですけど最初の上りで他の選手について行けなくなって、苦しかったですけど、みんながつないでくれたタスキをつなごうと全力で走りました」と思いを届けた。
◆第5区5km (西大路下立売~たけびしスタジアム京都) 西本佑菜(2年)
スタートから最初の2kmは下り坂。その後はゴールまで平坦な区間。
前回大会は補欠で走れなかった西本佑菜選手は「アンカーを言われた時は、責任重大だなと思ったんですけど、みんながつないでくれたタスキを今、自分ができる一番いい走りをして競技場に持ってこようと走りました。前半はほぼ下りでスピードを出して走れるんですけど、後半ラスト1kmは上り坂が続くのでそこが頑張りどころと思って走りました。いつもよりは足が動いていた」と38位でゴール。1年生、2年生中心のチームで順位を上げた。
◆山梨学院高校女子成績◆ 1:12:31 38位 区間 |
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区間 | ランナー | 距離 | 区間時間 | 区間 | 合計時間 | 総合順位 |
1区 | 川越愛実(2年) | 6km | 20:50 | 39位 | 20:50 | 39位 |
2区 | シャロン・ ムワンティ(1年) |
約4km | 13:20 | 5位 | 34:10 | 23位 |
3区 | 井手笑菜(3年) | 3km | 10:40 | 44位 | 44:50 | 32位 |
4区 | 新井帆乃花(2年) | 3km | 10:03 | 31位 | 54:53 | 35位 |
5区 | 西本佑菜(2年) | 5km | 17:38 | 46位 | 1:12:31 | 38位 |
補欠:齋藤奏絵(3年)、坂元唯花(1年)、加々美青衣(1年)
レース後、小俣宏記駅伝部女子監督は「まずは昨年を越えたいと思っていたのでほっとしているところです。今年は58チーム出て、しかも地区代表11チームの強いチームが加わって、昨年を下回ってしまうか心配もあったんですが、子どもたちは本当に一生懸命粘ってくれました。タイムも県大会よりも3分縮めたのでみんな頑張った」と選手を労った。
女子の結果は、優勝:神村学園高(鹿児島)、2位:仙台育英高(宮城)、3位:立命館宇治高(京都)、4位:大阪薫英女学院高、5位:長野東高、6位:須磨学園高(兵庫)、7位:筑紫女学園(福岡)、8位:青森山田高。ここまでが入賞となった。
■男子42.195km <7区間>■
◆第1区10km (たけびしスタジアム京都~烏丸鞍馬口) 渡邊莉玖(3年)
12時30分、男子がスタートした。『花の1区』と言われる各校のエース級が投入される最長区間は3kmから5km付近に上り坂が続き、後半3kmは下り坂に交差点やカーブを走る難コース。山梨学院の1区を託された渡邊莉玖主将(3年)は「自分より強い選手がたくさんいるので初めに前で戦ってその選手たちが来てからリズム合わせていこうと思ったんですけど、レベルが全然違い合わせられなかったです。7km地点で切り替えられなかったところが苦しかった」と31位と不本意なレースを振り返った。この区間1位が日本人選手最高記録と同タイムとなり、上位で戦うためにはハイレベルなスピードが要求される。
◆第2区3km (烏丸鞍馬口~丸太町河原町) 小林 柊(3年)
3kmと短いスピード区間を走る小林 柊選手(3年)は31位でタスキを受け取ると持ち味のスピードを活かしてさらに順位を上げようと前を追った。「初めの1kmは自分が想定していた以上のペースで進んだんですけど、1km過ぎから前との差を感じて、3kmは気持ちで崩れたらダメなところで一瞬、そう思ったところで足が動かなくなってしまい、ずるずるとペースを落としてしまった」と悔やんだ。
◆第3区8.1075km(丸太町河原町~国際会館前) フェリックス・ムティアニ(1年)
3区は留学生が多く走る区間。上り・下りのあと終盤6kmを過ぎたあたりで跨線橋のアップダウンを通過する。比叡山からの向い風やカーブも多い難しいコースでレース上重要な区間。2区33位でタスキを受け9人を抜いて24位に順位を上げたフェリックス・ムティアニ選手は「目標を24分丁度だったのでクリア(23分59秒)できて良かった。来年はもっといいタイムを出せるように頑張る」と話した。
◆第4区8.0875km (国際会館前~丸太町寺町) 小島光稀(3年)
3区を逆走する。全体としては下り基調のコース。前回大会でこの区間8人抜きで個人9位になりチームを23位まで順位を上げた小島光稀選手は今大会を、「3年連続4区を走らせてもらったんですけど、展開が思っていたイメージと違っていたのと、一人ということもあって向かい風に負けてしまう部分もあって、順位を落とさずに二つ上げられたのですけど、もう少し行けたなという感じはあり悔しいです」と振り返り、本来の力を出せずも、区間18位と健闘した。
◆第5区3km (丸太町寺町~烏丸紫明) 野口翔大(3年)
5区は往路2区の逆を走る上りのコース。野口翔大選手は22位でタスキを受けると「予定通りの走りはできたんですけど、上りなので最初にもっとガツンと行って、あと2kmを耐える走りをしたかったんですけど、1km以降キープができずに3分を超えるようなペースになってしまって。でもラスト、タスキを取るタイミングから仕掛けられたのでいつもだったら落ちて行ったところを、ラスト上げられたので自分的には半分ぐらいの点数の走りだった」と22位の順位を保持した。
◆第6区5km (烏丸紫明~西大路下立売) 望月朝陽(3年)
レースの終盤を迎える6区。カーブ多く、上りも下りもある。後半、下りを少し余裕を持って迎えられるかペース配分ポイントで順位争いが激しくなる区間。望月朝陽選手(3年)は「自分は上りが得意なので前との差を縮めて後半、下りをしっかり切り替えて走る予定だったんですけど、上りのところは順調で一人選手を抜き、そこから下りで前を追うと思ったんですけど思うように切り替えられなくて本来の自分の力を発揮できなかったです。去年は走った5区で順位を下げてしまったので、今年は何が何でも自分の所で順位を上げようと思い、そこは借りを一つ返せたと思います」と順位を一つ上げ最終区にタスキを渡した。
◆第7区5km (西大路下立売~たけびしスタジアム京都) 佐藤新太(1年)
女子の5区と同じコース。1年生ながらアンカーを託された佐藤新太選手は「入賞が目標だったのでもう少し頑張れたらなという思いはあります。中継で見てて、もう少し行かないといけないと焦って、何人か抜くというつもりで走ったんですけど、中間点辺りのカーブで足が重くなってしまい追いつけなかったです。最初、速いペースで入ったつもりだったんですけど、前に追い付けなくてレベルの差を感じた」と全国の力を体感、次につなげる。
◆山梨学院高校男子成績◆ 2:07:42 21位 | ||||||
区間 | ランナー | 距離 | 区間時間 | 区間 | 合計時間 | 総合順位 |
1区 | 渡邊莉玖(3年) | 10km | 30:45 | 31位 | 30:45 | 31位 |
2区 | 小林 柊(3年) | 3km | 08:55 | 32位 | 39:40 | 33位 |
3区 | フェリックス・ ムティアニ(1年) |
約8km | 23:59 | 9位 | 1:03:39 | 24位 |
4区 | 小島光稀(3年) | 約8km | 24:30 | 18位 | 1:28:09 | 22位 |
5区 | 野口翔大(3年) | 3km | 09:06 | 29位 | 1:37:15 | 22位 |
6区 | 望月朝陽(3年) | 5km | 15:23 | 27位 | 1:52:38 | 21位 |
7区 | 佐藤新太(1年) | 5km | 15:04 | 21位 | 2:07:42 | 21位 |
補欠:本多巧樹(2年)、保々遼斗(1年)、渡邉大雅(3年)、
箱崎孝久駅伝部男子監督は「1区、2区で流れが作れなかったですね。3区のフェリックスも良くなかったですね。もうちょっともらった位置が良かったら違っていたかも知れませんね。留学生が入っての21位ですから山梨のゼッケン(15)位はいきたかったです」と結果には満足はしていない。これからの課題としては1区で10位前後を走れる選手の育成が重要と話した。
男子の大会結果は、優勝:佐久長聖高(長野)、2位:倉敷高(岡山)、3位:八千代松陰高(千葉)、4位:須磨学園高(兵庫)、5位:埼玉栄高、6位:大牟田高(福岡)、7位:洛南高(京都)、8位:仙台育英高(宮城)。ここまでが入賞。
文(K.F)カメラ(平川大雪・藤原稔・今村スタジオ・小池裕太・Y.Y・R.K)
2023.12.24