山梨学院広報課

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●第96回日本学生氷上競技 3日間の戦いが終わる
~男女子総合成績5位、主力揃わず上位逃す~
~ショートトラック優勝得点がスピードの不振を補う~

群馬県で熱戦が繰り広げられてきた「第96回日本学生氷上競技選手権大会(インカレ)」は最終日を迎えた。1月7日、群馬県渋川市・高崎健康福祉大学伊香保リンクでスピードスケートのインカレの華、大学対抗団体戦の男女2000mリレーとチームパシュート(団体追い抜き)2種目と前橋市ALSOKぐんまアリーナでは男女フィギュアスケートフリーが行われた。スピードスケートは最初の種目女子2000mリレーに、山梨学院は2名の選手が大会直前の発熱のため帰甲、メンバーが組めずに棄権。男子は1走・大野遥輝、2走・大窪優太、3走・金子直樹、4走・吉澤翔が力走するも10位と振るわず、次の男女チームパシュートに対抗得点獲得の望みを懸けた。女子は佐々木成果、尾谷琴音と体調不良から最終日に復帰した中西琴菜が1組目で出走、3人一組がリンクを6周、練習は不十分だったが息の合った滑りを見せ7位に入った。男子はリンクを8周。4年生の小原伊織、両角元太が2年生の田丸諒一とともにインカレ最後の種目を力強く滑り6位。得点獲得に貢献した。フィギュアスケートでは、吉岡詩果が前日のショートで7位入賞圏内と健闘。この日のフリーでは危惧されたジャンプのミスが続き、順位を総合で13位に落とした。その結果、女子はスピードスケートの大学対抗得点は8位、男子は9位だったが、ショートトラック、フィギュアスケートの3部門の総合成績では男女W優勝のショートトラックの得点が順位を押し上げともに総合成績を5位とした。競技終了後、チーム全員で恒例の集団滑走を行い、4年生はインカレ引退式で後輩から花束を贈られ、大学での競技を終えた。

スケート競技のインカレでの山梨学院大女子の戦績は、第74回大会初優勝から75回、80回、第82回から85回までの4連覇を含め、7回の優勝。そして第92回、コロナ禍で中止になった2021年第93回大会を挟み第92回、第94回と2大会連続、計9回の優勝を誇り、今大会は10月のインカレショートトラックで16年ぶりの男女アベック優勝を飾り、弾みをつけ女子は2年ぶり10回目の総合優勝を目指して大会に臨んだ。一方、男子もショートトラックで優勝を果たし、スピードスケートでも上位を狙った。

しかし、3日間の大会を終えた成績は、男女ともに大会直前に主力の4年生の感染症による発熱者が帰甲して離脱。同じく主力の怪我による欠場で戦力を落としての大会参戦となった。その結果、インカレの強豪校と言われてきた山学大も今大会では苦しみ、以下のような成績に終えたが、厳しい練習に耐え、戦いに臨む選手の前を見据える一途な目が成績以上の輝きを見せた。

《山梨学院大 インカレ氷上決戦3日間の結果》
●《スピードスケート1/5大会1日目 群馬県渋川市・高崎健康福祉大学伊香保リンク》●
◆男子500m(滑走順)=大窪優太(2年)26位、大野遙輝(2年)、吉澤 翔(1年)13位大学対抗得点獲得
◆女子500m=尾谷琴音(3年)16位、佐々木成果(4年)10位 ❖大学対抗得点獲得
◆男子1500m=佐々木蒼太(3年)30位、金子直樹(2年)27位、両角元太(4年)16位 ◆女子1500m=尾谷琴音(3年)20位
◆男子10000m=田丸諒一(2年)22位、小原伊織(4年)14位 ❖大学対抗得点獲得

●《スピードスケート 1/6大会2日目 渋川市・高崎健康福祉大学伊香保リンク》●
◆女子3000m=出場なし
◆男子5000m=金子直樹(2年)23位、田丸諒一(2年)20位、小原伊織(4年)14位 大学対抗得点獲得
◆女子1000m=佐々木成果(4年)15位
◆男子1000m=大窪優太(2年)29位、両角元太(4年)23位、吉澤 翔(1年)22位

●《フィギュアスケート 1/6大会1日目 前橋市・ALSOKぐんまアイスアリーナ》●
ショートプログラム=吉岡詩果(3年)7位。24位までのフリースケーティング出場を決めた。吉岡は冒頭の3回転2回転のコンビネーションジャンプを決めるとこの後の2本のジャンプも決め、ほぼ完璧な演技で入賞の8位以内の7位につけ、2日目のフリーで圏内入りを目指す。演技終了後、吉岡詩果選手は「この何年間かはずっといい演技ができなくていつになったら試合でできるようになるんだろうと思っていたんですが、今日、久しぶりに良い演技ができたのですごくうれしかった」と笑顔で話した。

●《スピードスケート 1/7大会最終日 渋川市・高崎健康福祉大学伊香保リンク》●
◆女子2000mR(リレー) 出走なし
◆男子2000mR(リレー) 10位 大野遥輝・大窪優太・金子直樹・吉澤 翔
◆女子チームパシュート(6周)7位 佐々木成果・尾谷琴音・中西琴菜(2年)
◆男子チームパシュート(8周)6位 小原伊織・両角元太・田丸諒一 ❖対抗得点獲得

■《フィギュアスケート 1/7大会2日目 前橋市・ALSOKぐんまアイスアリーナ》●
前日、ショートプログラム7位と会心の滑りを見せた吉岡だったが、フリーの冒頭、3回転ルッツ、2回転トゥループのコンビネーションジャンプは成功したものの、続く2回転アクセル、3回転トゥループが1回転となり、そこからリズムを崩しフリーでは18位と順位を落としたがショート、フリーの総合で13位と健闘を見せた。吉岡詩果選手は「今回はうまくジャンプがはまらなかったんですけど、練習ではだいぶ良くなってきているので、次は不安のない状態で国体に挑めるように頑張りたい」と話し、岩本英嗣コーチはフリーの滑り見て、「今シーズン試合でのミスが続いている苦しいシーズンにはなっているんですけれども、昨日のショートは本当に今シーズンの中でも一番いい彼女の本来の姿が少しずつ出始めていたので、これからすぐに国体もあるのでそこに向けてまた、課題を潰してやっていけたら」と手応えを口にした。

■4年間の大学でのスケート生活を胸に込め、インカレ引退式
全てのスピードスケートの競技を終え、山梨学院チームは部員全員でインカレ恒例の集団滑走を行い4年生は最後となる伊香保リンクの感触を足に伝えた。その後、4年生を送るインカレ引退式を行い、男子3人(1人欠場)、女子3人(2人欠場)の3人ひとり一人に後輩から花束が贈られた。4年生3人は仲間や指導者、保護者らに感謝を述べ、最後のインカレでひとまず区切りをつけ後輩に歴史をつないだ。
両角元太スケート部主将は今大会を振り返り、「本当に不甲斐ない。個人種目でも貢献したいという思いで1年間やってきたので絶対に最低でも15番以内に入るんだという気持ちの中で、そこで入れず結果を残せなかったというのは本当に悔しい」と話し、「みんなも苦労した1年間というか、結果がついてこなくて悩むメンバーも多かったですけど、こうやってインカレが終わって、キャプテンをやらせてもらい自分を成長させることができました」と最後は清々しく思いを語った。共に苦労してきた4年生メンバーが出場できずに一人奮闘した佐々木成果選手は「最後のインカレということもあって、順位もタイムも狙える元気はあったのでもう少しタイムを出したかったし、入賞もできなかったのでそこは悔いが残ります」。スケート部の4年間は「今年は新しいコーチが来たり、練習メニューが変わったりということもあったんですけど、4年間、チームみんなで辛い練習を乗り越えられたこともあって、ここまでこられたかなと思います」と深くうなずいた。小原伊織選手は「今回、なかなか厳しい戦いが多かったんですけど、やれることは精一杯やってきたので、出せる力は出せたかなと思います。悔いはないです。苦しい時は多かったですけど、やっぱり最後の年になって、この年が一番楽しく終わった気がします」と4年間の思いを巡らせた。

不在の篠原祐剛スケート部監督に代わって指揮を執った昨年4月に就任したOBでトリノ五輪入賞やW杯優勝経験を持つ及川佑コーチは「僕自身もこの1年、まだそんなに選手と関わる機会が少なかったので、なかなか見てあげられなかったことが一番歯痒いところでもあったんですけども、今回のインカレもその中ですごく本人たちは精一杯頑張ってくれたと思うんですけども、この結果はしっかりと本人たちに受け止めてもらい、また来年に悔しい思いはできるだけしないように力を伸ばしていきたいと思っています。僕自身もコーチとしての経験はまだまだ浅いので自分の経験でしか伝えることができないのでその中でいままでやってきたことを少しずつ伝えて行ってレースに対する心構えだとか、スタートラインに立ったときの心境だったり、そういうところで意識改革して行ければなと思っています。インカレは決して思い出作りでだけではないので、勝つ喜びを選手には知ってもらいたいなと思います」と大会の振り返り、今後の抱負を語った。
川上隆史スケート部顧問は「大会直前で、残念ながらチームの中で体調不良者が出まして、女子がほぼ半分、リレーもエントリーできない、男子もレギュラー大会本番には棄権しなければならないと、最近の競技会の中では非常に厳しいチームの力で戦かわなければならない状況でした。4年生メンバーは最後のインカレで非常に悔しい思いとそれから寂しい思いと、それにプラス来年からの新しいチームを期待するという、そういう形で今回のインカレは終わりました。ただ最悪のチーム状況を体験して踏ん張った3年生以下のメンバーが来年を期して新たなチーム作りと個々の力を伸ばそうという決意がこのインカレを通して感じることができました」と大会を総括した。

■敗れざる者たちの「敗者の美学」ー
今大会を通じ、感じた言葉があった。チームが軌道に乗っている時には思いつかなかった「敗者の美学」という言葉である。スポーツには相手を常に絶対破るという強い意志が必要だが、練習して練習して努力しても負けてしまう。それでも諦めず大きな壁に淡々と立ち向かい、うちに秘めた闘志を押し隠し、卑屈にならずに負けた相手に敬意を払う。ありのままの自分を受け入れて努力してレースに全力で挑む姿。今回の山学大スケート部と接して今回、思うようにいかない結果に選手たちの「敗者の美学」という、青春のまぶしさを感じた。

文(K.F)カメラ(平川大雪)2024.1.8