●第19回関東学生女子ソフトボール春季1部リーグ
~山学大会初日の屈辱の2連敗から2連勝~
~群雄割拠のリーグ戦、敗戦を糧に更なる飛躍へ~
4月29日開幕した「第19回関東学生女子ソフトボール春季1部リーグ戦」第2節が5月3日、埼玉県・東京国際大学キャンパスで行われた。山梨学院大は、第1節の清和大、淑徳大に敗れ、3年ぶり6回目の優勝を狙うチームは、2連敗からの波乱の幕開けとなった。近年、各チームの実力が拮抗する群雄割拠の様相を見せ、僅かなミスがチームの浮沈を左右する。第1試合目の東海大戦。先攻の山学は1回、2回と走者を得点圏に進めるも、後続が倒れ好機を逃した。先発の手塚心彩は、4回まで無安打で東海打線を抑えると、山学打線は5回、先頭の9番河西真奈の安打に続き1番松原緑が左越え三塁打で先制。続く2番吉田美緒の犠飛で2点目を入れた。その後は、7回先頭の松原が2本目の三塁打に、再び吉田が中犠飛で1点を加え3-0とした。投げては、手塚が7回を完封に抑えた。2試合目は東京国際大との対戦。この試合も先攻の山学は1回表、1番松原が左前打で出塁。2番吉田の内野安打の間に好走して三塁まで進塁。さらに相手の連係ミスを逃さず本塁を陥れ1点目。さらに小技により走者を得点圏に置いて、6番中込楓の適時打などでこの回4点を挙げた。3回には押し出しの四球で1点、6回にも集中打を浴びせて4点を加えた。連投の先発手塚は5回まで1失点の好投で試合を作り、6回に継投した兵働彩七はこの回を3者凡退に抑え、チームは9-1でコールド勝ち、2勝2敗とした。残り1試合、宿敵城西大戦に一矢を報いる。
関東学生女子リーグ1部リーグに2019年に昇格して以来、春夏通算15回の優勝を誇る山梨学院大ソフトボール部は、今季3年ぶり6回目の優勝を目指し、4月29日に開幕した大会に臨んだ。第1節、思いがけない事態が待っていた。清水正監督が言う。「昨年から戦力は落ちてないのに、2戦ともこちらのミスがないのにことごとく防ぎようのない点の取られ方で守りから攻撃のリズムが作れないような負け方でした。勝負事ですからしょうがないですけど、ついてなかった」と悔いた。開幕1戦目、清和大学に2-6。2戦目、淑徳大学に0-8と山学らしくない負け方で出遅れた。近年、各チームの力が拮抗しており、強豪校といえども僅かなミスで勝敗が決する象徴的な試合だった。
■第2節1試合目 東海大戦ー
3日間の修正期間を挟んで臨んだ5月3日第2節、部員の明るい姿がグラウンドにあった。1戦目、東海大との対戦。1、2戦先発した手塚心彩(3年)は、打ち取ったと思ったボールが点につながるなど思い通りにいかない投球に下を向いた姿は微塵もなく、マウンド上に溢れる笑顔があった。手塚心彩選手は「今回はすごく楽しい思いで投げれたので、チームの流れを持ってくることができたのかと思っています」と振り返った。試合は、先攻の山学が1回・2回と先頭打者と次打者が好機を作るも、後続が倒れ無得点。この試合も先発した手塚は、4回まで無安打、1四球と完璧に相手打線を抑えると、山学打線は5回、先頭の9番河西真奈(3年)が左前打で出塁。続く、ここまで2打数2安打と打撃好調の1番松原緑(4年)は、1球目を鮮やかな左越え三塁打で1点を先制。続く2番吉田美緒(2年)の右犠飛で2点目を入れた。手塚は6回、二死から東海4番打者に浅い安打を打たれ、続けて次打者にも続けられ第1節同様の嫌な場面に山学出場メンバー全員がマウンドに集まり守りを確認。手塚は後続をしっかり抑えピンチをかわした。山学打線は7回先頭の松原が2本目の大きな三塁打で出塁すると、再び吉田が中犠飛で1点を加え3-0とし、投げては手塚が終始笑顔で好投し東海を完封した。試合後、4打数4安打で全得点に絡んだ松原緑選手は2連敗の後、「とにかく楽しくやることを意識して、私がみんなを楽しさに巻き込むという気持ちでやってました」とチームの雰囲気づくりに努めた。また、打撃好調の理由を「もう自信しかなかったです。それが打てた要因」と笑顔で答えた。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 合計 | |
山梨学院大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 1 | 3 |
東海大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
◆《山梨学院大出場メンバー》
《先発》1,松原緑(中・4年)、2.吉田美緒(遊・2年)、3.長田華(右・4年)、4.椋梨琳花(4年)、5.中込楓(一・3年)、6.荒川詩帆(DP・1年)、7.神林碧莉子(左・4年)、8.岩本唯花(三・1年)、9. 河西真奈(二・3年)、FP手塚心彩(投・3年) ※DP(打撃専門選手)、FP(守備専門選手)
《交替》長田⇒5回(H)春日智奈美(4年)⇒(再出場)長田 中込⇒6回(R)志水萌花(4年)⇒(再出場)中込、荒川⇒4回(R)周藤南美(3年)⇒(再出場)荒川 ※R(代走)、H(代打)
◆[バッテリー](投手)手塚心彩ー(捕手)椋梨琳花
[投手] 手塚7回:打者27、投球数102、被安打4、四球1、三振2、失点0
[打撃]安打8 長打《三塁打:松原2、二塁打:荒川1》、四球2,死球1、三振2
■第2節2試合目 東京国際大戦ー
2試合目は東京国際大との対戦。この試合も先攻の山学は1回表、1番松原の勢いが止まらない。前進守備の三塁の足元を強烈に抜く左前打で出塁。2番吉田の投ゴロ内野安打の間に三塁へ俊足を飛ばした松原は、二・一塁間に挟まれた吉田の対応の隙に本塁を陥れる好走塁で1点を先取。なおも山学の攻撃は椋梨琳花(4年)の安打で走者三塁・二塁の場面で6番中込楓(3年)が二ゴロ強襲打を放ち、はじいたボールを右翼手が後逸、走者2人と打った中込が本塁まで還り3点を奪い、この回4点を入れた。3回には相手投手の乱調から4つの四球で押し出し1点を加え5-0とした。この試合も先発手塚は味方の援護で余裕の投球だったが4回裏、疲れからか先頭打者に中堅に難しい打球を打たれたが松原の好守で救われるも、これに続く打者に3安打を浴び満塁。次打者に押し出しの四球を出し1点を失った。6回表、山学打線はこの回も火を噴いた。一死後、8番岩本唯花(1年)の安打と相手の連携ミスで一死二塁一塁、またも続く1番松原が左越え適時三塁打で2点、さらに相手投手の失投が絡み1点、椋梨の適時打、四球押しと続き、この回4点を重ね9-1とした。6回裏から手塚を救援した兵働彩七(1年)は相手打線をきっちり3人で抑え、山学はこの回コールドゲーム勝ちした。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 合計 | |
山梨学院大 | 4 | 0 | 1 | 0 | 0 | 4 | - | 9 |
東京国際大 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | - | 1 |
◆《山梨学院大出場メンバー》
《先発》1,松原緑(中・4年)、2.吉田美緒(遊・2年)、3.神林碧莉子(左・4年)、4.椋梨琳花(4年)、5.荒川詩帆(DP・1年)、6.中込楓(一・3年)、7.河西真奈(二・3年)、8.岩本唯花(三・1年)、9.長田華(右・4年)、FP手塚心彩(投・3年)
《交替》吉田⇒6回(R)須藤里咲(1年)⇒(再出場)吉田 岩本⇒6回(R)周藤南美(3年)⇒(再出場)岩本
◆[バッテリー](投手)手塚心彩⇒兵働彩七(1年)ー(捕手)椋梨琳花(
[投手] 手塚=5回 打者22 投球数78、被安打6、四球1、三振1、失点1
兵働=1回 打者 3 投球数13、被安打0、四球0、三振3、失点0
[打撃]安打7、長打《三塁打:松原1》四球6、三振2
■試合後インタビュー
清水正監督は「今日の試合は先攻を取って、とにかく先制点を取ろうと初回から集中して、ゲームをしっかり作れました。(打線は)しっかりボールが見えていました。まだまだ主軸の何人かが不調ですが、その周りが良く打ってくれているので、これで彼女らが回復してくれれば今度のインカレ予選(昨年度優勝)にはしっかり打ってくれると思います。負けがチームを見直す良いきっかけにもなりました」と巻き返しを図る。今日は出番がなかったが、ベンチでチームを鼓舞した吉村菜津子主将(4年)は「前の2試合を無駄にしてはいけない、そこをしっかり繋げられるようにこの3日間で修正してここに入ってきて、今日はすごく良い試合ができたかなと思います。3日間では技術面は変えることができないので、持っている力を全部出し切るために、ソフトボールをただ単純に楽しもうと全員でこの試合は臨みました」と敗戦を引きずらないように心掛けた。残り1試合を、「城西大(第1のライバル)と直接対決になるので、いつも拮抗してどちらが勝つか分からない試合をしているので今回はしっかり勝ちを取れるように全員総力で楽しんでやってきたい」と宿敵との戦いに一矢を報いるため闘志を燃やした。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2024.5.3