●2第32回関東学生女子ソフトボール選手権大会
~山学3位 15回連続インカレ出場権獲得の快挙~
~2連覇を目指すも、城西大の牙城を崩せずに~
5月25日から山梨県を舞台に開催している「第32回関東学生女子ソフトボール選手権大会・第59回インカレ関東地区予選会」2日目が甲府市小瀬スポーツ公園球技場ほかで行われた。この大会は、東京都を除く関東の大学12チームがトーナメント方式で関東一の座を競い、さらに先日行われた春季リーグ1位・2位のチームに与えられたインカレ関東代表出場権の残り4枠を争う。前回大会優勝の山梨学院大(山学大)は春季リーグで不覚を取り、今大会での獲得挑戦となった。大会1日目に東海大に勝利し、26日大会2日目、第1戦に代表枠を懸けて東京国際大(東国大)と対戦。1回表、山学大は先頭1番、松原緑がセフティーバントで出塁すると、2番長田華の犠打が相手守備の失策を誘い、無死二塁一塁の好機に3番椋梨琳花の適時打で先制。東国大も2回裏、先頭打者の安打を犠打と果敢な走塁で本塁を陥れ同点に追いつく。山学大は2回以降も毎回のように得点圏に走者を送るが、1点が遠い状態が続いた。互いの投手の好投で決め手に欠き7回を終了。1-1でタイブレークに突入。8回の息詰まる攻防は、堅実な攻撃の山学大が攻撃ミスを犯した東国大を2-1で破り辛勝。15回連続インカレ出場権を獲得した。引き続き行われた準決勝は、宿敵城西大と対戦。ここまで連投好投続けてきた手塚心彩が2回裏に4連打を浴び2失点。打線は緩急を使い分けた相手投手を攻略できずに0-2で敗退。目標の2連覇関東第1代表には及ばなかった。
■山梨学院大ソフトボール部女子 戦いの歩みー
山梨学院大ソフトボール部女子は2008年、強化育成クラブとして創部、関東学生ソフトボールリーグ戦3部からスタートした。その翌年、僅か1年で1部昇格の快挙を果たし、リーグ戦では春・秋通じて15回の実績を残している。関東選手権大会では2011年の初優勝から3連覇を飾り、2015年から2019年までの5連覇と8回の優勝と快進撃を続けたが、翌2020年はコロナ禍で中止を挟み、2021年は3位、2022年は準優勝に甘んじるも、昨年、31回大会で4年ぶり9回目の関東一の座を奪還した。しかし、今月上旬に行われた春季リーグ戦では、優勝メンバーの半数が残りチーム状態は悪くない状態にも、初日2試合に敗戦し、“一敗地にまみれ”リーグ4位に沈んだ。その雪辱を晴らすべく前回王者のプライドを持って、2年連続10回目の優勝。そして、創部2年目からのインカレ15回連続出場更新を目指し、並々ならぬ思いで大会に臨んだ。
■26日大会2日目準々決勝戦《山梨学院大VS東京国際大》タイブレークの熱戦ー
山梨学院大(山学大)は25日の2回戦で東海大と対戦。5-0で勝利。大会2日目の26日、甲府市小瀬スポーツ公園球技場でインカレ出場権が懸かる準々決勝で東京国際大(東国大)と対戦した。先攻の山学大は、1番松原緑(4年)が投前に巧みなセフティーバントを成功させ出塁すると、2番長田華(4年)が犠打を俊足で生かし無死二塁・一塁とした。先制点の好機に3番椋梨琳花(4年)が期待に応え、中前適時打で1点を先取。2回にも走者を三塁・二塁に進めるが相手投手の前に抑えられた。山学大先発は1日目の東海大戦にも先発した手塚心彩(3年)が連投でマウンドに上がった。2回裏、手塚は先頭打者を右前打で出すと、二死二塁の場面から東国大は犠打、盗塁を成功させると山学大の守備ミスから本塁を許し同点となった。山学大は5回一死から3番椋梨が左中間二塁打で出塁、続く4番吉田美緒(2年)が右前打と盗塁で一死三塁・二塁の絶好の追加点の好機に後続が凡退した。両チーム投手が力投する中、4回裏、東国大の先頭打者の打った打球が手塚の膝上を直撃。続投を心配されたが、その後も力強い投球が冴え相手打線を抑えた。東国大投手も粘り強い投球で山学大打線を要所で締め、7回終了を1-1のまま8回タイブレークに持ち込まれた。先攻の山学大は無死二塁から6番中込楓(3年)がバント内野安打で三塁・一塁にすると、中込はすかさず二盗。好機を広げる。7番神林碧莉子(4年)は前進守備の内野の上を抜く中前適時打で1点を奪い、なおも追加点を狙ったが最少得点に留まった。その裏、東国大も無死二塁からの攻撃に先頭打者の三ゴロで走者を三塁に進めたが、次打者の2球目に相手のサインミスか、走者が飛び出しアウト。ピンチの芽を摘んだ山学大は、相手の自滅から辛うじて勝利を手にし、インカレ出場権を獲得した。創部2年目から続く15回連続出場の快挙となった。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 合計 | |
山梨学院大学 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 2 |
東京国際大学 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
◆《山梨学院大出場メンバー》
《先発》1,松原緑(中・4年)、2.長田華(右・4年)、3.椋梨琳花(捕・4年)、吉田美緒(遊・2年)、5. 岩本唯花(三・1年)、6.中込楓(DP・3年)、7.神林碧莉子(左・4年)、8. 志水萌花(一・4年)、9. 河西真奈(二・3年)、FP手塚心彩(投・3年) ※DP(打撃専門選手)、FP(守備専門選手)
《交替》椋梨⇒5回(R)周藤南美(3年)⇒(再出場)椋梨 河西⇒6回(H)須藤彩愛(3年)⇒(再出場)河西、岩本⇒8回(R)須藤里咲(1年)⇒(再出場)岩本 ※R(代走)、H(代打)
◆[バッテリー](投手)手塚ー(捕手)椋梨
[投手] 手塚8回:打者30、投球数121、被安打7、四球0、三振4、失点1
[打撃]安打11 長打《二塁打:椋梨1》、四球2、三振6
■試合後のインタビュー
好リードの守りと先取点を上げ気を吐いた椋梨琳花選手はリーグ戦などで勝率の良い東国大戦との接戦に、「勝つ自信はあったんですけ、1点取った後にランナーが出るにも関わらず得点できなかったことが苦しかった」と打線のつながりがなかったことを悔いた。相手の投手の好投について、「リーグ戦の時より球速はなかったですけど緩急の差で打たされた選手が多かった感じですね。前回より調子は良かった」と振り返った。次の城西大戦に、「最後まで集中して抑えて守り切ったところを流れに変え、次の試合に絶対勝って決勝まで行きたい」とあくまで優勝してインカレに挑む。今日の試合を吉村菜津子主将(4年)は「ドキドキしました。フライだとアウトになることが多いでゴロを意識することで足を活かすバッティングができていたんですけど、最後、勝ちきれないところでピッチャーが粘ってくれたので勝利に結びついた」と投手の力投に感謝した。さらに「ベンチにいる自分たちは選手を信じて応援するしかないのでひたすら声を出していた」とベンチでともに戦った。城西戦については、「リーグ戦の借りをここで返すしかないので、ここを1位で通過してしっかりインカレにつなげられるような試合をしたい」と意気込んだ。
■26日大会2日目、準決勝戦《山梨学院大VS城西大》宿敵に挑み決勝へー
対戦する城西大とは前回大会決勝戦でコールド勝ちを収め優勝をはしたが、リーグ戦では分が悪く、昨年の秋季大会は決勝戦で敗れ、城西大が優勝した先日の春季大会も城西大に最終日に逆転負けを喫し4位に沈んだ。試合は、山学大の1戦目の試合が伸びたためインターバルが1時間にも満たない中、開始された。城西大は春季リーグ優勝したためスーパーシードでこの準決勝で初戦を迎えた。先攻の山学大はこの試合も先発に手塚心彩をマウンドに送った。初回は前の試合で打球を当てるアクシデントの影響も見せずに無難な立ち上がりを見せたが城西大の2回裏の攻撃。一死後から3連打で一死満塁のピンチに、次打者が手塚の投じた2球目を空振り、飛び出した三塁走者を捕手の椋梨が追いかけタッチアウト。二死三塁・二塁にし、ピンチを切り抜けたと思いきや3球目を右中間に適時三塁打を打たれ2点を失った。試合後、東国大戦に膝に打球を受けた影響を手塚心彩選手は「痛みに強いので影響はなかったです。集中力で投げました」と気丈に笑顔で答えたが、痛みと3戦連続先発の疲れもあり4回、先頭打者に左中間にエンタイトル二塁打を打たれ田中愛花投手(3年)に継投、マウンドを託した。その後も、山学大打線は相手投手の緩急を交えた投球に手こずり、田中も2本の長打を打たれたが要所を締め無得点に抑えた。結果は4回裏の城西大の2点が決勝点となり0-2で準決勝敗退となった。この試合も城西大の牙城を崩せず目指した2連覇10回目の優勝を果たせずに、27日の3位決定戦に回った。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 合計 | |
山梨学院大学 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
城西大学 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | × | 2 |
◆《山梨学院大出場メンバー》
《先発》1,松原緑(中・4年)、2.長田華(右・4年)、3.椋梨琳花(捕・4年)、4.吉田美緒(遊・2年)、5.中込楓(一・3年)、6,荒川詩帆(DP・1年)、7.神林碧莉子(左・4年)、8.岩本唯花(三・1年)、9.河西真奈(二・3年)、FP手塚心彩(投・3年)
《交替》荒川⇒6回(H)山下実莉(3年)⇒7回(H)志水萌花 岩本⇒7回(R)周藤南美(3年) 河西⇒7回(H)阪野愛花(4年) ※R(代走)、H(代打)
◆[バッテリー](投手)手塚⇒田中愛花(3年)ー(捕手)椋梨
[投手] 手塚=3回 打者14 投球数55、被安打7、四球0、三振1、失点2
田中=3回 打者11 投球数41、被安打2、四球0、三振2、失点0
[打撃]安打5、四球1、死球1、三振2
■試合後のコメントー
清水正監督は開口一番。「今回はインカレに行けて良かった」と本音を吐露。「今、どこのチームもピッチャーが良く、全国でも関東のレベルが一番高いので、楽に勝てるところはどこもなく本当に気が抜けない。だからチーム力を高めないと足をすくわれる」とチーム作りに腐心する。準決勝敗退を受け、「もちろん優勝を狙ってはいましたけど、リーグ戦を戦ってきて流れ的に今回は厳しいのかなと感じてはいましたけど、でも逆にここで行けたので、もう一度チームを作り直して全国での戦いに向けて取り組んでいきたい」と昨年の3位以内の成績に目標を切り替える。この大会で3試合、先発としてエースの役目を十分果たした手塚心彩選手は「絶対に負けられないと思っていたので、先輩たちとの最後のインカレを掴むためにはここで絶対に勝つしかないので、ゼロで行こうという思いをつなげていました」と振り返り、城西戦の敗退には、「本当に悔しいです」と唇を噛んだ。インカレに向けて、「もちろん優勝です。今よりもっと成長できるように日頃の練習の時から一球、一球を大切にしていきたい」と前を向いた。
■27日大会最終日、決勝と3位決定戦―
大会3日目最終日、3位決定戦に回った山学大は清和大学と対戦。清和大とは、5月上旬に行われた春季1部リーグ戦初日1戦目に対戦。不覚にも敗れたことで優勝争いに加われなかった苦い思いがある。試合は、山学大が初回に3点、終盤6回にも3点を重ね、投げては4戦連続先発の手塚が3安打無得点、6-0の完封勝利。山学大は3位となり関東地区第3代表(東京都は除く)としてインカレに臨み、前回大会3位以上の成績を狙う。今大会の優勝は城西大、2位に淑徳大、3位山梨学院大、4位清和大、5位東京国際大、6位順天堂大となり、6校がインカレ関東地区代表の出場権を獲得した。
8月30日から9月1日まで愛知県安城市で行われるインカレ「第59回全日本大学女子ソフトボール選手権」には全国各地区の予選を勝ち抜いた32校の精鋭が「大学日本一」の座を目指して真夏の熱い戦いが繰り広げる。
文(K.F) カメラ(平川大雪)2024.5.27