●2024年度インカレ全日本学生レスリング2日目
~グレコ130㎏でアビレイ初優勝、準優勝山田~
~女子62㎏級寺本準優勝、50㎏級は小幡3位~
明日のレスリング界を背負う若い力が全国から結集、大学レスリングで各階級の頂点を目指す2024年度「全日本学生レスリング選手権大会」(インカレ)が8月23日、東京都・駒沢オリンピック公園屋内球技場で開幕。26日までの4日間に前半2日間は男子グレコローマンスタイル、女子フリースタイル、後半2日間に男子フリースタイルが実施される。23日大会1日目の男子グレコローマンは、ベスト8までを競い、24日大会2日目に準々決勝から決勝まで行われた。山梨学院からは60㎏級五町由伸(2年)、82㎏級谷崎工之助(2年)、130㎏級山田康瑛(4年)、中沢遥貴(1年)、ソヴィット・アビレイ(3年)の5人がエントリー。4人が2日目に進んだ。その結果、130㎏級の決勝で山田とアビレイの同門同士が対戦。アビレイが熱戦の末、山田の2連覇を阻み初優勝を飾った。82㎏級の谷崎は準決勝で敗れるも3位入賞を果たした。女子は24日に10全階級が決勝までの全試合が行われ、山梨学院から50㎏級小幡未羽(2年)、55㎏級澤田美侑(2年)、57㎏級丸 未永海(2年)、62㎏級寺本 鈴(4年)が出場。前回大会3位の寺本が決勝に進むも、持ち味のスピードを封じられ準優勝となった。また、50㎏級の小幡が怪我から復帰した大会で3位と健闘した。明日25日は、男子フリースタイルのベスト8までを決定、26日最終日に決勝までが行われる。
全日本学生レスリング選手権(インカレ)は、日本のレスリング界の明日を担う国内学生レスリング最高峰の大会。ここから数多の選手が世界選手権、オリンピックと世界に羽ばたいた。先日行われたパリ五輪では男女各4個の金メダル、男子銀1個、女子銅2個と全階級でメダルを獲得し、日本レスリングの強さを全世界に見せつけた。この快挙に続くべく若い力に大いなる刺激を与え好試合が期待された。大会は、男子フリースタイル、グレコローマンとも1日目にベスト8までを決め、2日目に準々決勝から決勝までを争う。山梨学院は、男子グレコローマンスタイルに5人、女子フリースタイルは2日目に1回戦から決勝戦までの全試合が行われ、山学からは4階級4人がエントリーした。大会後半の男子フリースタイルは10階級中9階級に計31人がエントリーした。
■24日大会2日目、男子グレコローマン準々決勝から、女子全階級決勝までー
試合は午前10時から、4つのマットを使い男女の試合が開始された。山梨学院男子グレコローマンスタイルに出場した5人の選手は、1日目に五町由伸(2年)が1回戦敗退。4人が2日目の準々決勝に進出。82㎏級谷崎工之助(2年)は準決勝でこの階級優勝者に敗れ3位となり表彰台に上った。130㎏級は3人が出場。中澤遥貴(1年)は2回戦で優勝候補の一角、育英大のモンゴルからの留学生に敗れ、昨年の王者山田康瑛(4年)は準々決勝、準決勝をテクニカルスペリオリティ(旧テクニカルフォール)で圧勝、決勝に進出。もう一人のソヴィット・アビレイ(3年)は準決勝で難敵育英大留学生と対戦。前半をアビレイの5点りードに後半1点差まで迫られるも残り10秒に反り返しの大技で勝負を決め決勝に。山田との同門対決となった。決勝は手の内を知り尽くす中で、勝負は拮抗するも積極性が勝りアビレイが5-1で勝利。初の学生タイトルを手にした。グレコローマンスタイルの選手が少ない山梨学院の中で重量級3人が表彰台に立った。
■女子フリースタイル2年生トリオと女子部を支える寺本が躍動―
24日大会2日目、女子10階級に山梨学院は4階級にエントリー。50㎏級の小幡未羽(2年)は初戦2回戦、怪我明けの復帰戦とあり緊張の中、前半大きく差を付けられるも、後半猛攻を懸け逆転し、進出した準々決勝では前半から優位を保ち快勝。初の準決勝に進んだ。準決勝は、積極的に攻めるもカウンターで相手の防御のうまさに屈するも初の3位に笑顔を見せた。55㎏級に澤田美侑(2年)、57㎏級丸末永海(2年)は準々決勝で敗れベスト8となった。前回大会3位に入賞、U23日本代表にも選出され、今大会では優勝を目指した62㎏級寺本 鈴(4年)は2021年、山梨学院大の厳しい環境の下に身を置きたいとレスリング部の門を叩き2年間孤軍奮闘してきた。昨年、1年生4人が入部。先輩として女子をまとめてきた。準々決勝から出場した寺本は、初戦をテクニカルスペリオリティで圧勝。準決勝でも順調に得点を重ね勝利した。決勝は前回大会2位の日体大選手と対戦。寺本は積極的に素早い動きでタックルを仕掛けるが巧みな防御でかわされる中、相手が少ないチャンスを得点に変え寺本は敗退した。悲願の優勝にわずかに届かなかった。
■試合後のインタビュー
高橋侑希コーチは「本学はフリースタイルに力を入れているのでグレコローマンに関しては、練習はしていますけど、フリーが強い選手はグレコでも結構勝ったりしていますので、優勝者を出せたことは良かった」と両輪での指導が実を結んだ。本格的に始動して2年目の女子部については「(上位の選手)そんなに大きな差はないですし、女子は一つの技の精度やパワーとかの差が男子よりも出てしまうので、そこを細かく修正していけば今回も優勝者は出せたと思うので、今回はゼロでしたけど収穫は多く、さらに強化していきたいと思います」。明日のフリースタイルについて。「最低でも5階級は優勝者を出したいので気を引き締めてまずは明日の1日目を頑張りたい」と意気込んだ。
初優勝を飾ったソヴィット・アビレイ選手は「気持ちいいです」と一言。チームメイトと戦ったことに「スパーリングでもいつもぎりぎり山田さんは一番強いです。ファイナルは難しかった」と先輩をリスペクトした。また、「前に負けたセミファイナルのモンゴル育英大の選手が手強かった。彼に勝てたことで勢いに乗れた」と試合を振り返った。
2連覇ならなかった山田康瑛選手は「普段から練習で負け越しているんですけど、チャンスもあるかなと思ったんですけど、やりづらかったというよりは、最後のディフェンスで気持ちの弱さが出てしまいました」。最後のインカレですが「2連覇という言葉に憧れて去年からやってきたので悔しいですけど、決勝はアビレイじゃなくても育英の留学生でも結果は変わらなかったかもしれないので、実際自分の実力はこれぐらいだと受け入れています」と謙虚に振り返った。明日からのフリーでは、「勝ち進めばアビレイと当たるので、そこではもう少し試合の中で自分が誇れる内容にできるように頑張りたい」と気持ちを入れ替えた。
優勝を狙った寺本 鈴選手は「準決勝が思ったよりは自分のレスリングができたので、その調子のまま行ければ優勝できたかなと思うんですけ、相手が自分の思うようなレスリングをさせてくれなかったことが悔やまれます。調子はいつもより緊張せずにリラックスできた状態でできたので、調子としては良かったんですけど、まあ結果は結果なので優勝できなかったのはすごく残念です」と振り返った。4年生最後のインカレは「2年、3年と3位、3位と来たので順位を一つ上がられたというのはいいのかな思うのですけど、やっぱり最後のインカレなので優勝はしたかった」と下を向いた。次は「U23の世界選手権があるのでそれまでに優勝できるように一つひとつ悪いところを修正できたら」とこの悔しさを力に変える。
小幡未羽選手は振り返って「今回の試合が昨年の膝の怪我から1年ぶりの復帰戦ということもあって、1回戦では足が動かず苦戦をしてしまったけど、準々決勝で9点取れて勝つことができて準決勝まで進めたのは良かったです。準決勝では相手のカウンターで負けてしまい悔しい思いはあるんですけど復帰戦で3位になれたことはうれしいです」と笑顔で答えた。
25日は、男子フリースタイルのベスト8までを決定、26日最終日に決勝までが行われる。
山梨学院は、前回大会優勝者2人を超える5人の優勝者を目指し、“フリースタイル山梨学院”の地位を保持する。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2024.8.24