●第59回全日本大学女子ソフトボール選手権
~創部から17年、悲願のインカレ初優勝~
~日々努力と、仲間との切磋琢磨が実り全国の頂点へ~
大学ソフトボール日本一を懸けて争われる「第59回全日本大学女子ソフトボール選手権」(インカレ)が8月30日、愛知県安城市を会場に開幕。全国7地区32校が各地区の予選を突破して集結した。山梨学院大女子は、昨年ベスト4の好成績を残し「日本一」を目指し大会に臨んだ。30日大会1日目に関西大学に勝利すると31日大会は荒天のため9月1日に延期された2回戦で、優勝8回を誇る園田学園女子大に2-1と勝利し勢いに乗ると。準々決勝では大阪大谷大に5-0と勝利し、9月2日大会最終日、準決勝では東海学園大に3-0,決勝は昨年準決勝で1-2と惜敗し、優勝した中京大と対戦。3-1で勝利して雪辱を果たすとともに初の優勝に輝いた。この大会エースとしてチームを支えた手塚心彩を中心に勝ち上がってきたチームは決勝戦でも輝きを見せた。初回、二死から四球と足を絡め吉田美緒の適時打で先制、2回にもつなぐ野球でそつなく2得点を加え、この回3-0とした。先発の手塚はこの試合にも好投。6回にいったん退いたが、継投の投手がピンチを招き、再出場。1点を返されたが後続を抑え、7回も三者凡退できっちり試合を締め見事な投球で初優勝に貢献した。山梨学院ソフトボール部女子は2008年に強化育成クラブに指定されてから17年、インカレで全国の強豪と渡り合いついに初優勝を勝ち取った。
全日本大学女子ソフトボール選手権インカレとは全国各地区の予選を勝ち抜いた32チームにより「大学日本一」の座が争われる。山梨学院は2008年の創部2年目、インカレに初出場。以来15回連続出場を果たしており、東の実力校の一角として知られる存在。過去2013年と2019年にベスト8、2023年にはベスト4(3位)の成績を残しており、創部以来、17年目に悲願の日本一、初優勝を飾った。59回を数える伝統の大会は、8月31日に開幕。9月1日に決勝戦を迎える予定だったが、31日に台風10号の影響で1日順延。9月2日に準決勝と決勝が行われた。
■山梨学院は初戦をコールドで勝利。勢いに乗るー
8月30日大会1日目1回戦、山梨学院大(山梨)は関西大(大阪)と対戦し、9-0の5回コールド勝ちで勝利。9月1日には2回戦、準々決勝が行われ、2回戦に優勝回数8回を誇り、前回大会準優勝の強豪園田学園女子大(兵庫)と対戦。2-1で勝利し最初の関門を突破した。これで勢いに乗った山梨学院は準々決勝を大阪大谷大(大阪)と対戦。5-0で完封完勝した。9月2日の準決勝には、東海学園大(愛知)と対戦。3-0と準々決勝に続き完封勝利した。この試合、先攻の山梨学院は2回、内野安打と足を絡め1点を先行。3回には、二死から四球と4番中込楓(3年)の右翼越えの適時二塁打で1点を追加。5回にも1点を加え勝利した。先発の手塚心彩(3年)はここまで3試合に先発。3回に満塁のピンチを背負うも、5回まできっちり無得点で抑え、5回から兵働彩七(1年)に継投。兵働も3回をしっかり役目を果たし無得点に抑えた。山梨学院はこの勝利で悲願の初の決勝進出を果たした。
■初の優勝を懸け、昨年準優勝、東海地区の実力校中京大に挑むー
決勝戦は前回大会準決勝で敗れた中京大と対戦。中京はその後の決勝戦で敗れ準優勝に甘んじた。ともに成し遂げられなかった思いを胸に2度目の優勝を狙う中京大(愛知)と初の優勝を目指す山梨学院が激突した。試合は、後攻の山梨学院が1回、2回に得点し先行した。
1回裏、二死から四球と盗塁で走者を貯めると、5番吉田美緒(2年)が左前適時打で1点を先制。2回には無死から2本の内野安打で得点圏に走者を置くと、送りバント、エンドランを仕掛け、走者が果敢に本塁を狙ったが惜しくも得点にはならなかったものの、その後の相手の守備の乱れに乗じて1点を追加、なおも相手を揺さぶり二死三塁一塁に3番椋梨琳花(4年)が中前敵時打を放ち2点目を加え3-0とリードした。先発の手塚は全試合先発を果たし、これまでの勝利に貢献、チームの支えになってきた。手塚はこの試合も安定した投球を見せ、4回に2本の単打などで二死満塁とされるが後続を三振に打ち取り無得点に抑えた。6回、ベンチは手塚から兵働に継投。しかし、兵働は四球と死球で無死二塁一塁にすると、ベンチはすかさず手塚を再出場。一死三塁二塁に次打者の内野ゴロの間に三塁走者が本塁を踏み1点を返され3-1となるが7回、手塚は中京打線を三者凡退に抑えゲームセット。その瞬間、山梨学院の初優勝が決まった。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 合計 | |
中京大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 |
山梨学院大 | 1 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 |
◆《山梨学院大出場メンバー》
《先発》1,神林碧莉子(左・4年)、2,松原緑(中・4年)、3.椋梨琳花(捕・4年)、4.中込楓(一・3年)、5.吉田美緒(遊・2年)、6.山下実莉(DP・3年)、7.松崎紗也(三・4年)、8.長田華(右・4年)、9.河西真奈(二・3年)、FP手塚心彩(投・3年)
※DP(打撃専門選手)、FP(守備専門選手)
《交替》(代走)周藤南美(3年)、(代走)志水萌花(4年)
◆[バッテリー](投手)手塚心彩5回⇒兵働彩七(1年)0/3回⇒手塚(再出場)2回ー(捕手)椋梨琳花
■優勝インタビュー
清水正監督
「(初の決勝進出、初優勝について)感無量です。去年は準決勝で中京大学さんと対戦して次に進めなかったので、とにかく決勝の舞台を見てみたいと選手たちにお願いして、ここまで勝ち上がってくれました。最後の相手がまた中京大学さんで、昨年のリベンジを果たそうということだったので、本当に選手たちに感謝しています。このチームはあまり大きなヒットを打てるバッターはいないので、今年は『スモールソフトボール』を掲げ、皆で繋いで得点しようということを徹底してやってきました。これを選手たちはぶれずに理解してくれて、追い込まれても繋いでくれた、その気持ちが実を結んだと思っています」
吉村菜津子主将(投手・4年)
「本当に嬉しいです。グラウンドに入る前に、後輩たちが私を日本一のキャプテンにすると言ってくれて、それを有言実行し日本一にしてくれました。私たちのチームは本当に色々なことがあり、最初はリーグ4位というところから始まりどうなることかと思いましたが、国体あたりからチームが仕上がってきて、本当に良いチームとなり日本一にもなれたので、とても感謝しています。(このチームの一番良いところは)どのチームよりもソフトボールを楽しんでプレーしているところだと思います」
手塚心彩選手(投手・3年)
「みんなの力のおかげで決勝の舞台に立てたので、この決勝はチーム全員で楽しんで、勝つ気持ちでずっと臨んでいました。最高に楽しかったです。楽しんで、みんなを信じて投げ切れたことが良かったです」
■ここからどこまで続くか、次につなげる伝統の重みは大きいー
創部以来17年に積み上げてきたものは計り知れない。全国の頂点に立った今、多くの先輩たちが残した山梨学院スピリッツを噛みしめたい。やったぜ日本一!
文(K.F) 写真提供(山梨学院大ソフトボール部) 2024.9.2