山梨学院広報課

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●山梨学院短大「第45回木犀の会」創立者を偲ぶ
~学生、教職員全員で創立者の「建学の精神」を振り返る~
~本物に触れる芸術鑑賞でピアノ三重奏を堪能~

山梨学院短期大学は10月4日、山梨学院創立者・古屋眞一初代学院長、古屋喜代子初代学長の建学の精神を学ぶ「第45回木犀の会(もくせいのかい)」を山梨学院メモリアルホールで開催した。「木犀の会」の名称は、古屋喜代子初代学長の忌日が木犀の香り漂う頃であったことで亡くなった翌年1980年から創立者を偲び、その『建学の精神』を振り返ることで名づけられ、毎年この日に行われている。会は第1部・2部からなり、1部は羽畑祐吾短期大学長が「木犀の会にあたって」と題し講和した。「皆さんの母校となる山梨学院短期大学がどのような大学なのか一年に一度皆さんと振り返る会です」と語り掛け、続いて創立からの歴史や時々のエピソードを交えながら創立者が残した教育理念を説いた。最後に「すべての学生のみなさんがこの短期大学を母校とし、真・善・美への憧れをもって、力強く自らの道を切り拓いていってくださることを教職員全員で心から願っています」と講和を締めた。引き続き2部は、古屋喜代子初代学長の「学生たちが持つ純粋な感性で善い物もの、美しいものをしっかり感じ取ってほしい。素晴らしい芸術こそが学生にふさわしい」という考えからこの会を『芸術鑑賞の日』として演奏会など本物に触れる機会を設け、本短大独自の文化として育んできた。今回は国内を中心に第一線で活躍する3人のピアノ、ヴァイオリン、チェロ奏者のアンサンブルコンサートが催され、それぞれの楽器が醸し出す芳醇なハーモニーに学生たちは一流の演奏に浸っていた。

10月4日午前。山梨学院メモリアルホールで山梨学院短期大学「第45回木犀の会」が開かれた。会の名称は、古屋喜代子学長の忌日が、木犀の香りがただよう頃であったこと、その木犀が謙虚で温かい人柄を彷彿させるものであることから名づけられた。亡くなった翌年1980年から創立者を偲び、その『建学の精神』を訪ねるため毎年この日に行われている。初めに会場に集まった食物栄養科131名、保育科236名、専攻科50名、計417名の学生、教職員、来賓を前に司会進行の竹中麻美子保育科准教授が「今日は『木犀の会』です。美しい芸術を鑑賞することでこの山梨学院短期大学がどのようにしてこの地に誕生したかを知り、そこに込められた思いを心で感じる一日です」の開式の言葉で開幕した。1部・2部で構成された会は、1部に今年4月に就任した山梨学院短期大学羽畑祐吾学長が挨拶に立ち、「木犀の会にあたって」と題する講和を行った。

■第一部:「木犀の会にあたって」羽畑祐吾山梨学院短期大学長の講和ー
羽畑祐吾短大学長はまず、山梨学院短大の前身である「山梨実践女子高等学院」として第2次世界大戦の終結の翌年1946年に、食物栄養科からスタートした山梨学院78年の歴史の変遷をスクリーンを使って紹介。その後、創立者の古屋眞一初代学院長、古屋喜代子初代学長が目指した教育について説明した。その講和の中で羽畑学長は古屋学院長夫妻が教育によって祖国を再建しようと学生たちに望んだことを、「荒廃した日本を、そして故郷を教育によって再建しようと決意した当時、眞一先生はまだ30代でした。とにかく猛烈な行動力の持ち主で、天真爛漫な明るい、楽しい方だったとお聞きしています。『青年よ、読書に励み己を磨け。青年よ、未来に備え体をつくれ。青年よ、歴史を学び知識をひらけ。青年よ、世界を知って大志を抱け』。いかがですか?あの焼け野原の前に立ち、若い人の教育でしか、この国がもう一度立ち上がることはできないと、何もないところから必死の思いで学校をつくった眞一先生がどんな思いで、これからのことを学生たちに願ったのか。それを考えると熱いものが胸にこみ上げてきます。学生こそが、古屋眞一先生の希望だったのです」。
また、古屋喜代子先生は、「とても優しく心の美しい、正しい方だったそうです。そして、驚くほどに、学生ひとりひとりの良いところを知っている方だったとお聞きしております。教員として、私たちが大切にしたい喜代子先生の言葉があります。それはこちらです。『学生一人一人に惜しみない努力を払ってください。口で言うのはやさしいけれども、このことは決して簡単なことではありません。自分を忘れるほどに学生のことを考えるのです。まず学生のためを考えると、道が開けてきます』」。さらに学生には「自らの道を切り開くためには、この世にある真・善・美に対し、限りない憧れを持つことが何より大切である。学生のみなさんが今、心の中に持っている純粋な感性で善いものや美しいものをしっかり感じとってほしいと喜代子先生はいつもそう思っていらっしゃいました。芸術こそ、学生にふさわしいもの。その教えを受けて、木犀の会は、毎年、芸術鑑賞の日としています。今日も、この後、世界で活躍する素晴らしい音楽家をお迎えしてのコンサートがあります」と羽畑学長は、創立者の学生たちに懸けた熱い思いを講和によって伝えた。

■第2部コンサート:ピアノ、ヴァイオリン、チェロによる室内楽ー
第2部の芸術鑑賞は、ピアノ、ヴァイオリン、チェロによるシューベルト、ドボルザーク、メンデルスゾーンなどの名曲が3人の演奏家によって披露された。1曲目、東京フィルハーモニー交響楽団コンサートマスターの三浦彰宏氏のヴァイオリンとサントリーARKクラッシック、ヤマハ銀座サロンコンサート、富士山河口湖ピアノフェスティバルなど多数のソロリサイタルや室内楽やアンサンブルピアニストとして活躍する三浦舞夏氏のピアノによる『シューベルト作曲のヴァイオリンとピアノのための幻想曲』。続いて第86回日本音楽コンクール第1位。東京フィルハーモニー交響楽団との共演や2019年に渡欧をして、ローザンヌ高等音楽院を経て現在、パリ高等音楽院に在学中の新進気鋭のこれからの飛躍を期待されるチェロ奏者・香月麗氏とピアノのための作品『ドボォルザーク作曲・ロンド』。続いて、三浦舞夏氏のピアノソロ。ヴァイオリンの超絶技巧で知られるパガニーニが作曲した曲をリストがピアノ用に編曲した「ラ・カンパネラ」を情熱的に演奏した。休憩を挟んで、『メンデルスゾーン作曲・ピアノ三重奏曲第1番ニ短調』が3人によって演奏された。この曲は作曲家シューマンによって「ベートーベン以来のもっとも偉大なるピアノ三重奏曲と評された」名曲を3人の奏者が一糸乱れぬアンサンブルを聴かせた。学生たちはピアノ、ヴァイオリン、チェロの心地よい音色に魅了され、一流の演奏に聴き入った。演奏終了後、学生を代表して3人の学生が出演者に花束を贈呈、会場からは大きな拍手が起こった。

■「木犀の会」終了後、食物栄養科、保育科の代表から話を聞いたー
食物栄養科パティシエコース2年・塩島みささんは、今年のコンサートを「やっぱり生の音で聴いてみるとヴァイオリンとかは小さい楽器なのにすごく大きい音がして、音域の広さとか、演奏の仕方、指で弦を弾くような(ピチカート)演奏の仕方もあるんだということを初めて知って驚きました。楽器がまるで歌を歌っているような感じに聴こえてすごく感動しました」と気づきと驚きを胸に収めた。これまでの学びは「実習が多いコースなので人とコミュニケーションを取りながら、ケーキを作ったりとか、周りに視野を広く持って、実際の現場でもすぐに働けるようことを学んできました」。残り半年。将来は「私自身はケーキを作るのがすごく好きなので、自分の好きな事を仕事にできるかはまだ分からないんですけど、続けていきたいなと思っています。お菓子を作って食べてくれた人を幸せにしたいという目標があります」と将来に憧れる。
保育科2年・池谷琴音さんは芸術鑑賞について「楽器によって音の響きや迫力を感じることができ弾き方によっても全然違っていて、三つの楽器が重なり合った時の聴こえ方も一つの楽器の時と違って、とても刺激的な時間になりました。普段経験できないような体験だったので、音楽によって子どもと関わるときにも今日学んだ刺激をこれからに活かせるようにしたいですし、知識をもっと深めたいと思いました」。これまで短大で学んだことは「ここまでの1年半で子どもに関する知識を深めるために実習をたくさんして様々な経験からいろんな道があるんだということを学ぶことができました。自分は将来、子どもに関わる仕事につきたいと考えているのでここまで学んできたことに、さらに残り半年で学生のうちに学べることを最大限に活用して就職に向けてたくさんの園とか施設を見ていきたい」と二人は実践で身に付けた知識と技術に自信を持って、しっかり前を見据えていた。

学び舎南側に並ぶ木犀の花の満開はもう少し。天国で待ち遠しく開花を期待する創立者古屋喜代子の言葉を最後にひとつ。「かしこく、やさしく、強く」。慈愛に溢れる言葉が胸に響く。「第45回木犀の会」が終了した。時代が変わっても創立者二人の意志がこれからの社会をつくる若い学生たちに引き継がれていくように・・・願う。

文(K.F) カメラ(平川大雪) 2024.10.4