●山学高 秋季関東高校野球県大会、史上初の4連覇
~中盤までの均衡をスクイズ1発で流れを引き込む
~持ち味の走・攻・守で2年前の歓喜をもう一度~
「第77回秋季関東高校野球山梨県大会」決勝戦が10月6日、山日YBS球場で行われ、山梨学院高が帝京第三高に5-0で勝利、史上初の4年連続11回目(出場は14回目)の優勝を飾った。山学と帝三は、昨年も決勝で対戦し山学が5-2で勝利し関東大会山梨県第1代表として出場、関東大会準優勝で選抜出場に繋げた。今大会も両校は昨日の準決勝でともに関東大会代表に連続出場を決めている。試合は0-0で迎えた5回裏、山学は7番川本喜一の二塁打を足掛かりに、相手の守備ミスも絡む一死三塁・一塁の好機に1番萬場翔太のスクイズで先制。続いて3番宮川真聖の適時二塁打で2点を追加、3-0とした。7回にも一死二塁で再び3番宮川が一塁強襲内野安打と相手の失策が絡み1点を追加。8回にも川本の2本目の二塁打と悪送球で1点を加え5-0とした。山学投手陣は今大会初先発の加藤優空が5回を3安打無失点、三塁を踏ませない好投を見せると、救援した津島悠翔は6回から8回まで無安打1四球とこれまた完璧な投球を披露。9回は1年生投手の菰田陽生が長身から繰り出す140キロ台前半の速球で1安打を許すも2三振と3人で4安打無失点の完封リレーで5-0と、しっかりと試合を締めた。3月に行われるセンバツ甲子園大会につながる関東大会は、10月11日に組合せ抽選が行われ、26日から神奈川県で開幕する。山学はこれから3週間、調整を続けて強豪校揃う大会に挑む。
■今大会の優勝までの道のりー
山梨学院は今大会を、1回戦を今年の夏の甲子園出場の日本航空高にノーシードで対戦し、4-0で勝利。2回戦は白根高に13-0のコールド勝ち。準々決勝甲府工業戦は4-2、昨日行われた準決勝の駿台甲府戦を6-2で勝利し決勝戦に進んだ。そして、10月6日、秋季関東高校野球県大会決勝戦で対戦するのは準決勝で甲府城西高を接戦で破った帝京第三高と前回大会と同カードとなった。帝京第三高とは、2021年第74回大会決勝戦で対戦しており山梨学院が9-3で勝利を収め、2度目は前回大会に山梨学院が5-2で勝利し今年は昨年に続き3度目の決勝対決になった。両校は昨日の準決勝で山梨学院は4年連続14回目、帝京第三は2年連続5回目の出場権を獲得しており、山梨学院が優勝すれば史上初の4連覇11回目の優勝となる。
■決勝戦、中盤までの均衡を小技で破るー
曇り空の中、一塁応援スタンドには山梨学院高(山学)の野球部員、生徒会、応援団、吹奏楽部、チアリーダー部、保護会などが応援に集まった。試合は正午丁度、帝京第三高(帝三)の先攻で開始された。先発は昨日の駿台甲府高との準決勝で5-2でリードした7回に3番手で今大会初マウンドに上がり1回を三者凡退に収めた左腕の加藤優空(2年)が決勝のマウンドに初先発した。1回表、加藤は一死後、2番選手に右前打を打たれるもその後は、5回まで3本安打無失点の好投で2番手津島悠翔(2年)に交代した。山学打線は4回裏、先頭の3番・宮川真聖(2年)が右前打で出塁。その後、二死二塁から6番・鳴海柚菜(2年)の右前打で宮川が本塁を突くがタッチアウトになり先制を逃した。球場に日差しが戻った5回裏、先頭打者7番・川本喜一(2年)が3球目のスローボールを狙いすまし左二塁打を放つと、続く加藤の代打、島田達矢(1年)の三前犠打が悪送球になり無死三塁・一塁の好機に、続く9番・平野天斗(2年)の中飛が犠飛になったと思われたがタッチアップできず先制点につながらなかった。
しかし、山学はここで鍛え上げられた機動力を発揮した。次打者1番・萬場翔太(2年)のスクイズでようやく1点を先制。このプレーで捕手の1塁悪送球で萬場が生き、二死二塁から3番・宮川が初球を右翼線適時二塁打でつなぎ2点を追加。この回3-0とした。救援した津島は6回から8回までを四球1つで帝三打線をきっちり抑えた。山学打線は7回に1番・萬場が四球で歩くと2番・田村颯丈郎(2年)がきっちり犠打で走者を二塁に送ると当たっている3番・宮川の一塁強襲安打で1点を加え、打った宮川は一塁手の悪送球で二塁へ進塁したが後続が倒れた。さらに山学の攻撃はやまず、8回にも一死後、7番・川本が左二塁打で出塁。代打杉村大雅(2年)の空振り三振に飛び出た二塁走者川本が三塁へ向かうと帝三遊撃手の悪送球で川本が生還し1点を加え5-0とした。9回表、山学はマウンドに1年生194cmの長身、菰田陽生をマウンドに送った。最球速140キロ台前半の右腕菰田は直球を主体に1本の安打を与えたが最後の選手を空振り三振に仕留め試合終了。山学は、秋季関東大会県大会に史上初となる4連覇を達成、11回目の優勝を飾った。
試合終了後、表彰式が行われ山梨学院に優勝旗などが贈られた。
■大会11日目決勝戦《山梨学院高校VS帝京第三高校 》10月6日・山日YBS球場
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 合計 | |
帝京第三高 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
山梨学院高 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 1 | 1 | - | 5 |
■山梨学院高先発メンバー=1.(遊)萬場翔太②、2,(中)田村颯丈郎②、3.(右)宮川真聖②、4.C(三)梅村 団②、5.(一)横山 悠②、6.(左)鳴海柚菜②、7.(捕)川本喜一②、
8.加藤優空(投)② 9.(二)平野天斗② ※〇は学年、Cは主将
◆山梨学院高バッテリー=加藤⇒津島悠翔②⇒菰田陽生① ー[捕手]川本
[投手]加藤;投球回5回 打者18 投球数57 被安打3 奪三振3 与四球1 失点0
津島:投球回3回 打者10 投球数35 被安打0 奪三振3 与四球1 失点0
菰田:投球回1回 打者 4 投球数15 被安打1 奪三振2 与四球0 失点0
[打撃] 安打8《二塁打:宮川1 川本2》三振2 四球3 犠打6
[交代]加藤⇒(H)島田達矢①、津島(右)⇒(H)杉村大雅②、鳴海(左)⇒(左)高橋英登②
■試合終了後の監督、選手の声ー
表彰式後、吉田洸二監督は優勝後の気持ちを「今日朝に知人から優勝すると県内で初めての秋4連覇と教えてもらい、『えー!』と思いました。ただ高校野球では何年連続というのが本当に難しくて、この4年連続というのは卒業生を含めてチーム全体で喜びたい」と話した。中盤まで攻めあぐんだ試合展開の5回の攻撃に、「ノーアウト一塁・三塁の場面で打者が9番だったのでとにかく1点が欲しかったので内野ゴロでもWプレーの間に得点できると思って打たせました」。結果は中飛で得点ならずも、「今日はずっと試合が動かない展開だったので、その後はスクイズでまずは1点と思って」と山学らしい小技で先制した。関東大会に向けては「今日の試合も課題(修正能力)というところが改善されていなかったので、それができるようになれば4年連続センバツという山梨では無かった歴史がまた一つ扉が開けられる」と関東大会開幕まで約3週間の課題修正に取り組む。
そのチームをまとめる梅村 団新主将は「守備の面ではあまりミスがなくて、それでも取れるアウトが取れなかったことがあったのが反省点です。攻撃面でも5点取れているものの、その中で無駄なアウトだったり、まだまだ詰めなきゃならない部分が今日の試合にも出ました。あと20日間、その修正からプラスワンレベルアップしなければいけないと思っているので、もう一度しっかりチーム全体を締めていきたい」と監督の言葉を胸に刻んでいた。
鉄壁の守備と巧打でチームを牽引する萬場翔太選手は「5回のスクイズの場面にコーチからスクイズがあるから準備しておけと言われたので、そこは焦らずにしっかり決められた」と関東大会での期待を抱かせた。その関東大会では「関東の各県の強豪校が出てきますが、自分たちもそれに負けないようにしっかり練習して、本当に自分たちの甘さを潰して大会に臨みたい」と落ち着いた受け応えからも関東に向かう力強さが窺えた。続いて4打数3安打3打点と勝利に貢献した宮川真聖選手は「打撃は練習してきたことができたので良かったですけど、守備、走塁どっちも自分の甘さが出てしまい、得点できたところがあったので、そこは関東大会までにもっと磨きを掛けて甘さを失くしていきたい」と課題に取り組む。史上初の4連覇には「先輩たちが築いてくれたところに自分たちも繋げたのは良かったなと思うのと、まだ関東に行けるというだけなので甲子園に出られなければやってきた意味がないので目の前の試合に一戦一戦集中して甲子園に出られればいい」と意気込んだ。初先発で5回を3安打無得点と好投した加藤優空投手は自分の投球を「投げる前から(投球の)テンポを意識してチームの攻撃に流れを持ってこられるように試合に入りました。思い通りに投げれて良かった」とほほ笑んだ。この試合の好投で関東大会の活躍を期待されることに、「自分の持ち味はコントロールとテンポですので関東大会では今日の試合のように攻撃に流れを持ってこられるように頑張る」と意気込んだ。
山梨学院は10月26日から神奈川県で開催される関東大会に山梨県第1代表として出場。2021年度準優勝、2022年度優勝、2023年度準優勝と関東の強豪と言われるほど実力校として頭角を現した。前々回のセンバツ優勝を目指し、2度目の紫紺の優勝旗を期待するのは早計か。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2024.10.6