●第67回関東大学空手道選手権大会
~男子『形』僅差で決勝進出逃し3位。『組手』もインカレへ~
~女子は振るわず『形』『組手』ともに1回戦敗退~
令和6年度「第67回関東大学空手道選手権大会」が10月14日、東京・日本武道館で行われた。母校の名誉を懸けた団体対抗戦に『組手』には男女各29大学、『形』は男子14大学、女子7大学の精鋭が“武道の聖地”に集った。試合は、『形』が女子2グループ7大学で採点方式による各グループ1位の2大学よる決勝ラウンドで1位を競った。山学女子の結果は第1ラウンド3位となり、決勝ラウンドに進めなかった。14大学で争う男子は14大学2グループ。Bグループの山学は第1ラウンドを駒澤大と上位2校が同点となったが端数採点で駒澤を下回りBグループ2位となり各グループ4大学による第2ラウンドに進出するも、またも駒澤に敗れ決勝ラウンドへの進出を逃した。最終順位は昨年の準優勝から3位に順位を落とした。また、『組手』には男女各29大学が出場。男子が1回戦に東京大を相手に5勝0敗で勝利すると、第2ラウンドで手強い慶應義塾大学と対戦。先鋒、次鋒と4年生2人が幸先良く先勝して流れを引き寄せたと思いきや、慶應も続く中堅から大将までの3人が地力を発揮。逆転で2勝3敗とし、山学は拮抗した試合を落とし2回戦で敗退した。しかし、山学男子は初戦勝利したため11月に開催される全日本大学選手権の出場権を獲得した。『組手』女子は初戦に実力校・日大と対戦。1勝2敗で惜しくも初戦敗退し、全日本大学選手権出場権獲得には届かなかった。捲土重来を期す。
午前9時20分、日本武道館に大太鼓の音が響いた。大学関東一を決める令和6年度「第67回関東大学空手道選手権大会」の開始である。会場には6つの競技マットが敷かれ、男女『形』競技と、男子『組手』競技が同時に始まった。山梨学院(山学)は初めに女子の『形』がBグループ競技順3番目に登場した。『形』は全日本空手連盟の形競技規定で102の形の種類が提示されており、それぞれの流派の決まった形を演武し、技の切れ、力強さ、スピード、決め、気合などで相手との上手さを競う。団体形は男女ともに3人1組で形を演武し、5人の審判がフィギュアスケートや体操競技と同じように採点方式によりチームとしての一体感、技の上手さ、集中力の視点から評価され勝敗が決められる。
■女子団体『形』 宇都宮令奈、岡村萌愛、竹内佑織、江口悠紗(リザーブ)
山学女子の演武者は前中央に宇都宮令奈(1年)、右後ろに竹内佑織(4年)、左後ろに岡村萌愛(2年)の布陣。凛々しい表情で演武に臨んだ。演武は山学伝統の「ニーハイポ」。身体の屈伸や円運動による体捌き、受けからの肘固め、双手突き、一本拳による突きなどに特徴があり、機敏な動作と緩急をつけたリズミカルな演武が得点に評価される。山学女子の3人は速い動きからぴたりと動作の決めをつくる特徴的な形を、身体のバランスと呼吸の合った演武でまとめた。しかし、グループBでの評価は3位。1位通過が条件の決勝戦に進めずここで涙を吞んだ。
試合後、竹内佑織選手は開口一番。「悔しいの一言に尽きます。ただ自分自身としては試合は楽しめたのは良かったです。ただ普段の練習のときから緊張感をもっと持ってやれたのかというのは、ちょっと甘かったかなと思います」と反省した。同じ演武の国士館大と0,2の差は「大きな動きというよりは、丁寧さだったり、(審判の)見えてないところでの動作といったところで少しずれが生じてしまったところがあったところが0,2の差であったのかな」と竹内選手。グループBでの1位の駒澤大との差が0,6の差については「大きいですね。(演目の違い)見せれるところが大分違ってくるのでそういったところでニーハイポの良さを出せなかった」と悔しさを滲ませた。山学空手道部は今年4月から全日本学生選手権個人形、世界大学選手権個人形で優勝を飾ったOGの田中美佐稀さんを女子監督に迎え強化を図っている。田中美佐稀さんは試合後、「本人たちはできる限りのことはやったと思うんですけど、まだ普段の力を出し切れていない部分もあるので、そこは残念なところであり、私の指導不足な部分もあったところ。もう少し普段の練習の緊張感を高めてやっていかないという課題として見つかったので、選手たちと話し合って練習を進めていきたい。グループ1位との差をどう思うか「1位の子たちというのは、3人の団体がぶれないということを前提としてしっかりパワー的なところの見せ方も上手だったかなという印象で。今後うちの選手の必要な部分としては、パワー的に決めの強さを仕上げていかないと上で勝っていけないのかなと感じています」。目指していたところは「まずは全国に繋げるということを目指していたので、今回第1ラウンドで敗退というところで全国に繋げることができなかったことは悔しい」と表情を引き締めた。
■男子団体『形』 関根翔、生田晃、佐々木空、宮垣勇太(リザーブ)ー
山学は、第1ランドを中央前正面に関根翔(3年)、後ろ右に生田晃(2年)、後ろ左に佐々木空(4年)の3人が並んだ。第1ラウンドは女子と同じく2グループに分かれ14大学で各グループ上位4位までの第2ラウンドを勝ち抜き決勝戦に臨む。山学の第1ラウンドは女子と同じ「ニーハイポ」。3人は三位一体の力強く、スピード、切れのある演武を見せ1位と同点2位で通過した。1回戦は出場の無かった宮垣勇太主将(4年)は出来について「まあまあですかね。彼らは分かっているとは思いますけど、もう少し出し切れたと思いますので次はやってくれるかな」と主将としての思いを託した。田中剛監督は「力強さがあって、たまたま同率で2位でしたけど、1位でもおかしくないので、引き続き気を引き締めて、強く、正確な演武で第2ラウンドを1位通過できると思うので決勝の演武をしたいので、頑張ってほしい」と期待を込めた。
❖第2ラウンドに進んだ山学は形名「チャタンヤラクーサンク」を演武した。『キレ』『気迫』『美しさ』が要求される空手の形の原型とされ、最高難度の非常に難しい技といわれる。山学の3人は息の合ったスピードと切れのある三位一体となった演武を披露、会場を魅了した。結果は駒澤大に0,2差で敗れグループに2位となり決勝戦進出を逃した。駒澤は決勝に進出準優勝となった。決勝戦に残れなかったチームリーダーの佐々木空選手は「悔しいですけど、次の全国につながったので、今日負けた技でやり返してやろうと頑張ります」。駒澤とは僅差だったが「個々の実力では負けていないと思うので一体感や団体形の(印象度)差で負けた感じです」。昨年準優勝に届かなかったが「今年も決勝に残って、昨年の先輩たちを超えたかったですけど、インカレでは会場が感動するような演武で優勝したい」とリベンジを誓った。田中剛監督は「力強さがあって、たまたま同率で2位でしたけど、1位でもおかしくなかった。実際は優勝を狙っていたので本当に悔しいですし、本人たちは試合後に気持ちが全く切れていなくて、『来月の全日本大学で決勝まで行って、形の演武プラス形の分解が決勝だけできるのでそれをやり切ります』と強く言ってくれたので引き続き1カ月掛けて
さらに仕上げて優勝を目指す」と言葉に力を込めた。大会結果は、男子は帝京大が1位、16連覇を達成。過去23回大会からを振り返ると。帝京大は22回優勝。そのうち山学だけが2回帝京の優勝を阻止している。2位は駒澤大、3位は国士館大と山梨学院大が分けた。
■女子団体『組手』 田中旭、三村天音、栗田さくらの布陣ー
今大会の女子団体組手は29チームがトーナメント方式で優勝を目指して迫力に満ちた熱い戦いが繰り広げられた。『組手』は突きや蹴りを駆使した攻防はもちろんの事、巧みな寸止めの攻撃の正確さがポイントなる。山学女子団体組手1回戦の相手は、過去37回の戦績で12度の優勝を誇る日大と対戦。先鋒の田中旭(3年)が2-5、中堅の三村天音(3年)が3-7敗れたが、大将の栗田さくら(1年)が一矢を報い2-1の僅差で勝利したが、勝負は1勝2敗で日大に1回戦敗退を喫した。
◆男子団体『組手』工藤智也、田原大翔、上野朔斗、佐々木夕祐、姉崎颯樹の布陣ー
29チームで行われた男子団体『組手』に山学チームは、先鋒の工藤智也(4年)、次鋒・田原大翔(4年)を中心に、中堅・上野朔斗(1年)、副将・佐々木夕祐(1年)、大将に姉崎颯樹(2年)、の布陣で臨んだ。1回戦は、東京大学と対戦。5勝0敗で2回戦に進んだ。2回戦は過去に優勝経験のある古豪慶應義塾大との対戦。先鋒工藤が立ち上がりきれいに突きを決め先制するが残り20秒で相手に返され同点。残り15秒、突きで返し勝利。先制した。次鋒田原は優位に試合を進めるがカウンターで失点も、残り30秒での突きで1-1にすると続けて同点に追いつき、残り時間が少ない中、互いに突きの応酬の末、田原がポイントを奪い3-1で2勝目。4年生が流れをつくった。中堅石坂は敗れた後、副将の佐々木は序盤大技で3ポイントを挙げたが、徐々に相手に主導権を握られ4-5で逆転負け、勝負は2勝2敗と五分に持ち込まれた。最後の大将・柿崎に勝利の命運を掛けた。柿崎は先制したものの激しい戦いの末、逆転され2勝3敗で敗退した。
■男子団体『組手』試合結果 《山梨学院大VS慶應義塾大》 第2ラウンド
先鋒 | 次鋒 | 中堅 | 副将 | 大将 | |
山梨学院大 | 工藤智也④ | 田原大翔④ | 上野朔斗① | 佐々木夕祐① | 柿崎颯樹② |
慶應義塾大 | 〇3-1 | 〇3-1 | ●0-6 | ●4-5 | ●1-2 |
〇囲みは学年
第2ラウンド慶應に惜敗した組手のチームリーダーの工藤智也選手は「(後輩には)いい経験をしてもらえた。まだこれで終わったわけではないのでこれを活かしてもらって、この試合でできた課題は全日本までにしっかり克服してもらって、いい結果が獲れるように精進したい」と1回戦を突破し、出場できるインカレに気持ちを入れ替える。田原大翔選手は「手応えを感じたので、全日本までは1ヶ月ちょっとあるので練習して最後いい終わり方ができたらと思います」。チームの敗因については「刻み突き(前足で踏み込みながら前拳で相手の上段を突く技)に合わせて取れるところが結構あったので、そこの部分をもうちょっと練習してポイント重ねられるように皆で頑張りたい」とやはり全日本に目を向けた。田中剛監督は「悔しいですね。やっぱり3、4番目の中堅と副将で早く決めていかないといけないところで皆な色々反省が出たので全日本大学に向けてしっかりやっていきたいと思います。いいところも出たし、向こうが(慶應)あれだけ喜んだ姿を見ると、相当うちのことも警戒していたんでしょうけどうれしい勝利を与えてしまいましたね。次は全日本で決勝に行けるように頑張ります。1年生が2人出ていたが「いい感じですね。まだ1年なのに相手は4年と3年でしたけどいいですね」と次代を見据える。
今大会の結果は団体男子『形』で優勝・帝京大が16連覇を達成。2位・駒澤大、3位・国士舘大と山梨学院大となった。同じく女子『形』は第1ラウンドで敗退。女子団体『組手』も1回戦敗退。次に捲土重来を期す。団体男子『組手』では、2回戦敗退したもののベスト16。11月の全日本大学選手権の出場権を男子『形』とともに獲得した。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2024.10.14