●山学高で[変面]公演 中国無形文化遺産の秘技を鑑賞
~中国語授業の一環として中国伝統芸術を知る~
~「変面」の秘技に生徒は驚嘆と感動で興味津々~
山梨学院大学孔子学院は10月22日、中国文化イベントとして中国国家級無形文化財に認定されている「変面」の公演を山梨学院高ルネサンスホールで行った。「変面」とは変面師が手や衣装、扇子などを顔にかざした瞬間にマスクを次々に変幻自在に変えていく中国伝統の芸術でその方法は中国国家機密の「秘技」とされている。山梨学院大孔子学院では2019年開設の翌年4月から山梨学院高進学コースを対象に週2回の中国語授業を開いて中国文化への理解促進に努めており、これまでにもいくつかの文化交流イベントも実施され、今年度はその一環として2021年度に行われ好評だった「変面鑑賞会」に続き2度目の「変面」公演を実施した。午前中の1年生に続いて午後から2年生を対象とした公演を生徒と一緒に鑑賞した。今回の公演は、「変面」では世界初となる夫婦で演じる「双人変面」で京劇の動作にオリジナルな演出を加えてテンポ良く変幻自在に顔を変えていく様はまさにマジックショー。中国の伝統芸能の奥深さを実感した。「変面」に続いて変面の影響を受けた古典演劇「京劇」の歴史や特徴・役柄、観劇のポイントなどが「変面師」の解説とともに実演で簡潔に紹介され、中国に400年続く伝統芸術の粋を堪能できた。他に生徒たちは「西遊記」でおなじみの「如意棒体験」をし、短い時間だったが中国文化の一端に触れ興味・関心を広げていた。
孔子学院とは、中国政府が「国際的な中国語教育制度の開発・整備。中国文化に対する世界各国との相互理解と友好関係の促進」を目標に推進するプロジェクトで中国の大学と現地の大学等が提携して運営する教育機関である。日本で15校目となる山梨学院大孔子学院では、2019年度の開設以来、中国語や中国文化の理解促進のための語学講座や文化講座を開講している。通年講座に加え、毎年「孔子学院の日」には文化交流イベントを開催。これまでに牡丹画・中国書を展示した「中国文化芸術展」、「中国切り絵芸術の世界展」として世界無形文化遺産「剪紙」の実演や「中国伝統芸能&雑技公演」、昨年は「中国牡丹画の世界展」などを開催。山梨学院高では「楊琴」の演奏会や「変面芸術鑑賞会」、今回2回目となる「変面」公演を実施した。
高校では「芸術鑑賞会」として午前の4校時に1年生を対象に、午後の6校時授業で2年生を対象に「変面」公演を行った。公演の前に宮崎健副校長が挨拶。「変面は明(時代)、約400年前に生まれたと言います。400年前というと日本では江戸時代で、その時代に誕生した歌舞伎と同じくらいと理解しています。皆さんも自分たちの文化について十分に知っているとは思わないですけど、逆に他国の文化を通じて改めて私たちの文化・歴史というものについて知る機会にしてもいいのかなと思います。この『変面』を大いに楽しんで鑑賞して自分たちの伝統芸能に思いを馳せてもらえたらと思います」と述べた。続いて「変面」公演が高校ルネサンスホールのステージで演じられた。男女二人の変面師は、11歳から古典劇「京劇」を学びさまざまな演目で主役を演じた京劇を代表する俳優。二人は、変面に京劇の仕草を取り入れてオリジナルの演出で世界初の「双人変面ショー」を完成させ、現在は日本を中心に各国で公演活動を行っている。ホールに集まった生徒の前で息の合ったテンポで次々にマスクを変えていく秘技は圧巻。通常の変面師は8枚から10枚ほどの変化を披露するというが、二人合わせて34枚と他ではない枚数による妙技を見せた。中にはドラえもん、くまモンなど、他にもアニメキャラの仮面をかぶり生徒から大きな笑いが起こった。「変面」の面白さは生徒たちを驚きと感動の世界へ誘い込んだ。
「変面」の公演が終了したところで山梨学院大学孔子学院・細萱和寛事務局長が改めて京劇の俳優で変面師の劉東風(リュウ トウフウ:男性)さん、劉姸(リュウ ケン:女性)さん夫妻の経歴を紹介。続いて劉姸(リュウ ケン)さんがこの変面の影響を受けた古典演劇「京劇」の歴史や「変面」との関係、特徴、役柄、観劇のポイントは『唱(歌)・念(セリフ)・做(仕草)・打(立ち回り)』と説明。例えば“京劇の歌はチャイニーズオペラ”と言われ、高い音程で歌唱する”“仕草は、大道具などは全く使わず表現する”など例を示しながら演じ、
チャイニーズオペラと言われる京劇の特徴ある歌と振り付けを劉姸さんが美しい声と舞で披露。生徒たちはその美声に聴き入っていた。次に劉東風(リュウ トウフウ)さんが仕草や立ち回りを演じその振る舞いに目を見張っていた。その他、生徒たちは中国の小説「西遊記」に登場する『如意棒体験』を生徒数人が行い、二人に指導されながら演舞をしたが難しさに苦労するも、他の生徒たちから大きな拍手をもらっていた。生徒たちはこの公演で通常の中国語授業とともにイベントを通して悠久なる中国文化の一端に触れ興味・関心を膨らませていた。
公演終了後に生徒代表の二人が花束を贈呈した。贈呈者の小林里美さんは「(変面は)初めて見たんですけど想像以上にすごいなと思いました。特にものすごい速さで変わっていって、種も仕掛けも分らないものでした」と秘技の素晴らしさを言葉にした。佐久間小夏さんは「私は一度中国に訪問したことがあるんですが、その時には見られなかった「変面」を目の当たりにしてすごく中国の良さが感じられました」と話し、中国に行った理由を、中国をテーマに日本語による作文コンクール「Panda杯」に山学高が団体賞1位を受賞した時に成績優秀者代表の一人として日中相互理解と友好交流の促進を図る目的で中国に招聘されたと言う。
孔子学院は、言語・文化に対する理解を深め、人的・文化的交流を推進することを目的にし、山梨学院大及び系列校(山梨学院高)ではこれからさらに中国語教育や地域への中国文化の理解を深める活動を展開する。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2024.10.22